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異世界転生 12日目(後編)

第240話 進撃の幼女

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「動物掛け言葉?」

「動物の名前を使った軽妙なギャグで、このガッテンガーゴイル君を納得ガッテンさせてみなさいってこと!」

 言って、粉砕されたのとは別の新たなガーゴイルを指差す精霊さん。
 塵となった10年物ガーゴイルと比べると、色々と雑というか、細かいところがガクッとディティールダウンしていた……。

「つまりダジャレか……なんつーか子供の遊びみたいだな。あれだろ……猫が寝ころんだ、みたいな感じだろ?」

 俺が何気なく言った瞬間――、

 ブブー!
 ブブー! ブブー! ブブブブブブー!!

 俺のダジャレを聞いたガッテンガーゴイル君が、バッテンの書かれたパネルを掲げながらブーブーブーブー激しく鳴りはじめた。

「はい0点、出直しなさい」
 ということらしい。

「くっ、この……!」
 べ、別に今のは本気で勝ちにいったわけじゃないし?

 ちょっと試しに例えで言ってみただけなんだからねっ!
 そこんとこ勘違いしないでよねっ!

「じゃあ誰からやる? 別に誰が何回やったってかまわないからね? 好きなだけ挑戦するがいいわ!」

「いいのか、そんなこっちに有利な条件で?」
「ふっふーん、構わないわ! なんせガッテンガーゴイル君はちょっとやそっとのダジャレじゃ納得ガッテンしないからね! 己の無力さに絶望して自ら敗北を認め、泣いて許しを乞いなさい!」

 よほど自信があるのか、またもや精霊さんが調子にのっていた。

「しかし単に負けるところを見たいんじゃなくて、自分から負けを認める姿が見たいとか、ひねくれてんなぁ……」

「で、誰からやるの!」
 調子に絶賛ライド中の精霊さんに、

「すみません、僭越せんえつながら次はトワがやってみても宜しいでしょうか?」
 トワがおずおずと手を挙げながら答えた。

「って、今度はそっちの幼女? よーじょ戦記なの? 言っとくけどこれは高尚な言語センスを用いた知恵比べだかんね! おままごとの延長の子供の遊びと一緒にしないでもらいたいわね!」

「どうやら問題ないようなので、いきます――」
 トワが軽く息を吸って、異議がないことを確認するように周りを見渡した。
 そして――、

「哺乳類ギャグ10連――! イルカはいるか?、パンダの朝ごはんはパンだ、牛が笑うウッシッシ、イタチの生い立ち、ハイエナは言えない、シロサイにはむしろ災難、キリンの食べた焼きリンゴ、シマウマのおもちゃを仕舞うママ、コウモリと行こう森へ、コイワシクジラの恋はしくじらない!」

「なっ!?」
 物静かなトワからはとても想像できないダジャ連打(ダジャレの連打ね)に、

 ピンポン!
 ピンポンピンポンピンポーン!!

 「ガッテン」と書かれたパネルが高々と掲げられるとともに、軽快な音が鳴りひびいた。

「はいぃぃぃぃぃぃぃっっっっっ!!??」

 そして精霊さんが目を見開いて固まっていた。
 正直俺も驚いた。

 って言うか最後のなに?
 ひぃ、ふぅ、みぃ、よ……7文字の掛け言葉なんだけど??

「こういうのは得意なのです」
 割と無表情なことが多いトワが、珍しく鼻息も荒く自慢げだった。
 かわいいな、うん。

「でもこれはもう、得意とかそう言う次元を超えている気がする」
 苦笑交じりの俺と同様、

「なんで!? なんでなんで!? なんで幼女相手に立て続けに瞬殺されるかなっ!?」
 精霊さんも混乱の極みにあるようだった。

「いいえ、それは違います」
「えっ?」
 そこに入ったのはトワの冷静な指摘。

「幼女と思って慢心したのがあなたの敗因ですよ。子供の遊び心はそれこそ、無限大の可能性なのですから」

「くっふぅぅぅっっっっっっ!! この幼女、マジ正論!」
 完膚なきまでに追い打ちを受けた精霊さんは、がっくりと肩を落としていた。

 しかもあっさり勝利したトワはというと、精霊さんに速攻で背を向けると、
「それで《神滅覇王しんめつはおう》。トワには、なでなではしないのですか?」

 なんて聞いてくるのだ。

「あ、うん、そうだな。偉いな、なでなでー」
「ふぁ、気持ちいいです……」

 ハヅキ同様に頑張ったトワに対して、俺は心を込めてなでなでしてあげたのだった。

「くっ、なんなの! なんなのこいつら!? ほんとなんなの!?」
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