367 / 566
異世界転生 15日目

第342話 勘違いしないでよねっ!

しおりを挟む
「でもま、適材適所だよね……」
 ティモテはティモテの、俺は俺の仕事に全力を尽くそう。

 ……えっ?
 ただ見ているだけじゃないかって?
 
 いやいや、今の俺はティモテの護衛をしているんだよ。

 SS級のグレンがティモテを狙っている可能性が高いとなると、対抗するには俺が適任ってわけなのだ。
 SS級の《神滅覇王しんめつはおう》たる、この俺がね!

 ――なんてことを考えていた時だった。

「やっぱり狙われているのは私なんでしょうか」
 ティモテが小さな声で、ぽつりとつぶやいたのは。

 ティモテは下を向いて作業の手を止めないままだったので、その表情はうかがいしれない。

 でも硬い声色から、意を決して聞いてきたであろうことは想像にかたくなかった。

「うーん、どうだろう。その可能性はゼロじゃないってところかな」

 だから俺も、答えられる範囲でできうる限り誠実に答えようと、そう思ったのだった。

 ナイアはティモテが狙われているかもしれないってことを知らせるのをためらっていた。
 だからこれは独断専行、俺の勝手な判断だ。

 でもさ。
 女の子が不安がってたら、それを取り除いてあげるのは、これは男の子の役目だろ?

「何かあってからじゃ遅いからさ。それで俺がこうして近くについているってわけ。あくまで予防的措置だと思ってもらえれば」

「そう……ですか……」

「だからそんなに気に病む必要なんてないし、深刻に考える必要もないよ。それに俺がいる。《神滅覇王しんめつはおう》にして《王竜を退けし者ドラゴンスレイヤー》の麻奈志漏まなしろ誠也がね! だからティモテはいつも通りしていて。ね?」

 俺はラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』をガッツリと使って、ティモテの女の子の心に強烈に訴えかけた。

 その甲斐あって、

「マナシロさんは優しくて頼りになりますね」
 顔をあげたティモテがちょっと安心したように微笑んだ。

 うーむ……これさ?
 この『ただしイケメンに限る』で雰囲気だけで強引に押し切るってさ?

 今までも散々使っておいてなんなんだけど、よく考えると割と最低なことをしているよね……。

 聖母マリアの再来とまで言われるティモテの穢れなき美しい心を前にして、過去の行いを思わず省みてしまう俺だった。

「そういやさ。ティモテはなんでそう思ったんだ? 自分が狙われてるかもって」

「それは……その、《剣の魔将》グレンが去り際に、私を見ていたような気がしたんです。それで――」

 そっか、ティモテ本人も視られたって感じていたのか。

 戦闘中で、知覚系S級チート『龍眼』が全力稼働していたおかげで感覚が底上げされていた俺が、ちらっとそうかな? って思っただけだったのに。

「ティモテは意外と感性が鋭いんだな」
 それともティモテに何か、思い当たる節でもあったりしたんだろうか?

「え、あ、その――」

「まあでもそっか……ってことは、これはもうほぼほぼアタリで間違いないかな」
 グレンの狙いはティモテだってことで、危険性を上方修正しないといけないな――。

「あ、あの、実は――」
「ん?」

 今後の方針について考えを巡らせていた俺に、ティモテが何かしら言おうとして――、

「いえ、やっぱりなんでもありません」
 ――やめてしまった。

「どんな些細なことでもいいよ。気になることがあったら言ってみて。なにせまだ情報不足なんだ。情報は多いに越したことはないからさ」

 けれどティモテはそれ以上は、決して話そうとはしなかった。

 ティモテの態度が気にはなったんだけれど、なにせ俺たちはほんの昨日に会ったばかりの間柄だ。

 根掘り葉掘り突っ込んで聞くような関係性はまだ構築できてはいない。
 大切な話をするような信頼関係が作れていない。

 べ、別に女の子に込みいった質問を続けて、ウザい男だなって思われるのが怖いヘタレ草食系男子じゃないんだからねっ!
 勘違いしないでよねっ!

 そういうわけで、ティモテの様子が少し気にはなったものの、

「ま、とりあえずはこのままでいっか」

 俺は後回しにして話を流してしまった。

 流してしてしまったのだった――。
しおりを挟む
感想 289

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...