377 / 566
異世界転生 15日目

第352話 褒められウヅキ

しおりを挟む
 そんな俺が社会的に抹殺されそうな絶体絶命の大ピンチを救ってくれたのは――、

「それと、はおー様がぎりぎりまで追いこんでくれたおかげですねー」

 巫女エルフちゃんの一言だった。

 偶然なのか、はたまた色々と分かった上でこっそり助け舟を出してくれたのかはわからないけれど。

 少なくとも巫女エルフちゃんが、ちょうどいいタイミングで話題を提供してくれたことは間違いないわけで。

 となれば――乗るしかない、このビッグウェーブに!

「いやーほんと惜しかったんだよ、あと一歩だったからさ。な、精霊さん」

 俺はともに戦った精霊さんに声をかけながら、腰のあたりを優しくぐりぐりしてくるイケナイお尻から、意識を強引に切り替えた。

 キリッ!

「――って、あれ? 精霊さん……?」

 しかし精霊さんから返事はなかった。
 ふよふよ浮いているだけで、全くの無反応である。

「おーい、精霊さーん?」

「――ハっ!? 寝てないわよ!? アタシ寝てないんだからね!?」
「いや別にそんなことは一言も言ってないんだけど……」

「そもそも精霊はエネルギー体だから、寝る必要は特にないんだし!?」
「ああうん、そうなんだ……?」

 これはあれだな。
 真面目な話を聞いているのが面倒くさかったから端から寝ていたな。

 ふよふよと浮いたままで、器用に立ち寝ならぬ浮き寝をしていた精霊さん。
 どうりでずっと静かなままだと思ったよ……。

「でも瞬間移動まで追えるのは、さすがは『真なる龍眼』だな」

「なに、あれだけ強引に術を使えば、ほころびも出てくるというものじゃ。それもこれも主様ぬしさまが追い込んでくれたおかげじゃよ。ふむ、つまりこれはわらわ主様ぬしさまの共同作業だったというわけなのじゃ。むふふ、むふ、むふむふ……」

「ほんと改めて思うんだけど、戦うと鬼畜無理ゲーだった《神焉竜しんえんりゅう》だけど、味方になったらほんと反則級に頼りになるなぁ……」

 しかもこうやって平和に過ごしていれば、甘え上手で綺麗なお姉さんなんだし。

 そして《神焉竜しんえんりゅう》が完全に無害化されている最大の要因として――、

「ウヅキもありがとな。俺のいない間、いろいろと面倒を見てくれて」

 ウヅキが美味しいご飯とおやつを作って、完全に餌付けして飼いならしてくれていることがあげられるだろう。

「そんな、全然です! それにわたしは、戦いの方はさっぱりですから」

「常に一歩引いて主様ぬしさまを立てる……奥方殿はほんに奥ゆかしいのぅ」

「えへへ、ありがとうございます。でもいきなり急にあっちこっちから褒められちゃうと、なんだか照れちゃいますね」

 楽しそうに会話しているウヅキと《神焉竜しんえんりゅう》。

 ウヅキは多分俺と同じか、いや、それ以上の関係を《神焉竜しんえんりゅう》と築いている。

「それにの。戦う力はなくとも、しゃもじとおたまだけでわらわの前に立ってみせたその気概は、誰にも真似はできぬのじゃ」

「そんなこともありましたねぇ、あはは……」

 そうだよな。
 あれがあったから。
 ウヅキが俺の前に立ってくれたから。

 俺はもう一度戦えると、そう思えたんだから――。

「本当にウヅキはスゴい女の子だよ。俺の――《神滅覇王しんめつはおう》のお墨付きだ。遠慮なく誇ってくれ」

「もう、セーヤさんも持ち上げすぎですよ……」

 俺と《神焉竜しんえんりゅう》から急に褒め褒めアタックをされ、ちょっと困ったような仕草とともに「えへへ」と照れるウヅキは、それだけでご飯三杯はいけそうなくらいに可愛いかったのだった。
しおりを挟む
感想 289

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...