389 / 566
異世界転生 16日目

第364話 ああもう! もやもやする!

しおりを挟む
 ギン、キン、ギャン、ギリン!
 ギギャン、ギャギギリン――!

 SS級が持つ神に比肩する力『固有神聖』。

 『固有神聖』《鬼力豪放きりょくごうほう》によって若返り、圧倒的なパワーアップを遂げたグレンの猛攻を、俺は防御に専念することでどうにかこうにかしのいでいた。

「どうしたマナシロ・セーヤ? さっきから受けてばかりではないか。まさか《神滅覇王しんめつはおう》を顕現させずに戦うつもりか?」

「うるせぇ、どんな風にやろうが俺の勝手だっつーの」

「舐められたものだな――カァッ!」

 気合いとともに上段から振り下ろされた大上段からの真っ向唐竹割を、

「おおおおっっ!!」
 柄から離した左手を剣の腹に添え、俺は身体の正面で受け止めた――!

 さらにグレンが打ち下ろした勢いを利用して、

「うおりゃぁっ!」

 グレンを引き込むように俺は後ろに倒れこむと、鳩尾みぞおちをけり上げながら柔道で言う巴投げの要領でグレンの身体を跳ね飛ばす――!

 相手の力を利用して投げることに特化したスポコン系S級チート『ヤワラちゃん』による、流れるようなカウンター技だ。

 S級とSS級。
 決して越えられない高すぎる壁。

 けどな――!

「要所要所のピンポイントでなら、S級チートが格上のSS級にも決まることは、《神焉竜しんえんりゅう》と戦った時に既に経験済みだ――!」

「こほっ、げほっ……。受けると見せかけて、勢いを利用しての返し技とはの。急所を蹴りつけ跳ね飛ばす一連の動きは、実に洗練されていて無駄がない。高度な剣の技だけでなく奇妙な体術まで会得しておるとは……その若さで多芸なものだ」

「《神滅覇王しんめつはおう》で力押しするだけだとでも思ったか?」

「……なるほど、先ほどの発言は訂正しよう。さすがだな、マナシロ・セーヤ」

 ――とかなんとか偉そうに言ったものの、だ。
 《神滅覇王しんめつはおう》を使わないのには、実は理由があって――。

 なんかこう、やけにエンジンのかかりが悪いというか、《神滅覇王しんめつはおう》が俺の呼びかけに答えようとしないのだ。

 心を震わせ湧き上がる溢れんばかりの黄金の力が、今の俺にはまったく感じられないのだった。

 力を使えなくなったわけではないはずだ。

 俺と《神滅覇王しんめつはおう》が繋がっていることは、なんとなくだけど実感として俺の中にあった。

 だけど《神滅覇王しんめつはおう》が、ここはまだ自分の出番ではないとでも言いたいように――まるで何かを待っているように――沈黙したまま腰をあげようとしないのだ。

 ああもう!
 もやもやする!

 なんていうか使えそうで使えない、喉の奥に魚の小骨が引っ掛かったような、そんなもどかしい状況なのだった。

「力を温存しているのか? それとも使えないのか? まあよい。どちらにせよ、容赦はせぬぞ――!」
「へっ、それはこっちのセリフだ!」 

 回避系S級チート『質量を持った残像』で幻惑し。
 ラブコメ系S級チート『なぜかそこにあるバナナの皮』によって、不意に体勢を崩させ。
 スポコン系S級チート『音速の貴公子アイルトン・セナ』で一気に懐に飛び込む――。

「SS級との戦いも、これだけ続くとさすがに慣れてきたからな!」

 さらには、対「鬼」専用の限定チート――鬼退治系S級チート『桃太郎』によって俺の全スペックが底上げされているのだ。

 多彩なチートを駆使しながら、俺は『精霊融合エレメンタル・フュージョン』モードで互角に近い戦いを繰り広げていった。

 いくらグレンがSS級で『固有神聖』を発現していたとしても、同じSS級である《精霊神竜》の力を使っている今の俺なら、S級チートと組み合わせればそう一方的に負けはしない――!
しおりを挟む
感想 289

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...