446 / 566
第六部「チート学園」 異世界転生 ??日目
第419話 仕切り直し
しおりを挟む
ミロノヴィーナスちゃんをモデルに絵を描いた後。
「へー……うん、ぜんぜん悪くないじゃん。私この絵けっこう好きかも。さすがセーヤくんだね」
なんてにっこり笑いながら言って、俺の心をこれでもかとズキュンしてから帰っていったミロノヴィーナスちゃん。
「ふぅ、俺もやりきったよ。下手なりに俺の全力でもって描ききったぞ」
気分は既に麻奈志漏画伯であった。
俺は腕を組みながら、満足顔で描き上げた絵を見つめる。
一糸まとわぬ全裸のミロノヴィーナスちゃんだ。
大切なところも余すところなくしっかりと描かれていた。
「よし、これは麻奈志漏家の家宝にしよう」
こんな素晴らしいものを課題として提出するなんてもったいない!
――とまぁそれはそれとしてだ。
「ええっ、ミロノヴィーナスちゃんも本物だったって!?」
「ああ、間違いないよ。完全に本物だった」
ミロノヴィーナスちゃんが帰るとすぐに入れ替わるようにしてやってきたケンセーに、俺は今回のミッションの成功と――しかし半月に渡る偽チート・モニタリング・プロジェクトが失敗したことをあわせて報告していた。
「だってそれはないでしょう? これで全員の調査が終わったんだよ?」
「それは俺の方が聞きたいよ……いったいどういうことなんだ? 全員シロだったんだぜ? これってつまり犯人はこのクラスにはいない、例えば別のクラスだった、とかじゃないのか?」
「そんなはずないよ。絶対にこのクラス以外にはありえないんだもん。それはほんとのほんとに間違いなしだよ」
ケンセーはそう言うものの、
「でもなぁ、ミロノヴィーナスちゃんはモデル系S級チート『ミロのヴィーナス』で間違いなかったんだよなぁ……」
ミロノヴィーナスちゃんが服を脱ぎ始めてから、俺の意識と心はぎゅっと鷲づかみされ、文字通り目が離せないほどにくぎ付けになっていたのだから。
今もその美しい裸体がまぶたにはっきりと浮かんでくるよ……にゅふふ。
「セーヤくん、鼻の下が伸びてるよ……ものすっごく伸びてるよ」
「……の、伸びてないよ?」
「ちょぉ伸びまくりだよ! 鼻の下がのびのびのび太くんだよ! マナシロ・セーヤじゃなくてハナシタ・ノビタくんだよ!」
「ま、まぁそれはいいじゃないか。それよりも今後の話をしよう。俺たちは未来志向であるべきだ」
「ぶぅ……っ、まぁいいけど……」
なんだかんだ言いながら、結局は俺に甘々なケンセーなのだった。
ふふっ可愛い奴め。
「うーん、あまり考えたくないけど、ここまで2年S組の全チートをモニタリングしてきたその過程に、もしかしたら見落としがあったのかもだね……」
「それじゃあ、また一から調査をやり直しってことか?」
「うん、やり直しをせざるを得ないと思う……」
おいおい冗談だろ――と言いかけて、しかし俺は済んでのところでその言葉を飲み込んだ。
「よし、ならもう一度仕切り直しだ。一から全員のモニタリングをやり直そう」
だってイケメンならきっと笑顔でこう言うはずだから。
ラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』を使い続けたことで、俺は少なからずイケメンの心理と言うものに触れることができていた。
チートを使いこなす中で、俺自身もすくなからず成長していたのだ――!
「そういや『ただしイケメンに限る』は自我をもって擬人化しなかったんだな。『剣聖』と並んで俺が使いまくってたチートだから、いの一番に擬人化しそうなもんだけど」
「え? あ、うん……しなかった、みたいだね……?」
「……?」
なんだ?
えらく歯切れが悪いな?
ああそっか。
調査が失敗に終わったことで、俺に対して申し訳ないって思ってるのか。
「ま、終わったことを悔やんでも仕方ないさ。別に死ぬわけでもなし、次は失敗しないようにやればいいだけの話なんだから」
俺はにっこり笑いながら、失敗したからって縮こまる必要はないんだってことを優しく伝えてゆく。
「セーヤくん……。うん、ありがと。よーし、じゃあ第2ラウンドだね! 次こそは犯人を突きとめよー! おー!」
すっかり立ち直ったケンセーが右こぶしを突き上げた。
うんうん、やっぱケンセーはこうでなくっちゃな。
明るくて可愛い、それでこそケンセーだ。
「へー……うん、ぜんぜん悪くないじゃん。私この絵けっこう好きかも。さすがセーヤくんだね」
なんてにっこり笑いながら言って、俺の心をこれでもかとズキュンしてから帰っていったミロノヴィーナスちゃん。
「ふぅ、俺もやりきったよ。下手なりに俺の全力でもって描ききったぞ」
気分は既に麻奈志漏画伯であった。
俺は腕を組みながら、満足顔で描き上げた絵を見つめる。
一糸まとわぬ全裸のミロノヴィーナスちゃんだ。
大切なところも余すところなくしっかりと描かれていた。
「よし、これは麻奈志漏家の家宝にしよう」
こんな素晴らしいものを課題として提出するなんてもったいない!
――とまぁそれはそれとしてだ。
「ええっ、ミロノヴィーナスちゃんも本物だったって!?」
「ああ、間違いないよ。完全に本物だった」
ミロノヴィーナスちゃんが帰るとすぐに入れ替わるようにしてやってきたケンセーに、俺は今回のミッションの成功と――しかし半月に渡る偽チート・モニタリング・プロジェクトが失敗したことをあわせて報告していた。
「だってそれはないでしょう? これで全員の調査が終わったんだよ?」
「それは俺の方が聞きたいよ……いったいどういうことなんだ? 全員シロだったんだぜ? これってつまり犯人はこのクラスにはいない、例えば別のクラスだった、とかじゃないのか?」
「そんなはずないよ。絶対にこのクラス以外にはありえないんだもん。それはほんとのほんとに間違いなしだよ」
ケンセーはそう言うものの、
「でもなぁ、ミロノヴィーナスちゃんはモデル系S級チート『ミロのヴィーナス』で間違いなかったんだよなぁ……」
ミロノヴィーナスちゃんが服を脱ぎ始めてから、俺の意識と心はぎゅっと鷲づかみされ、文字通り目が離せないほどにくぎ付けになっていたのだから。
今もその美しい裸体がまぶたにはっきりと浮かんでくるよ……にゅふふ。
「セーヤくん、鼻の下が伸びてるよ……ものすっごく伸びてるよ」
「……の、伸びてないよ?」
「ちょぉ伸びまくりだよ! 鼻の下がのびのびのび太くんだよ! マナシロ・セーヤじゃなくてハナシタ・ノビタくんだよ!」
「ま、まぁそれはいいじゃないか。それよりも今後の話をしよう。俺たちは未来志向であるべきだ」
「ぶぅ……っ、まぁいいけど……」
なんだかんだ言いながら、結局は俺に甘々なケンセーなのだった。
ふふっ可愛い奴め。
「うーん、あまり考えたくないけど、ここまで2年S組の全チートをモニタリングしてきたその過程に、もしかしたら見落としがあったのかもだね……」
「それじゃあ、また一から調査をやり直しってことか?」
「うん、やり直しをせざるを得ないと思う……」
おいおい冗談だろ――と言いかけて、しかし俺は済んでのところでその言葉を飲み込んだ。
「よし、ならもう一度仕切り直しだ。一から全員のモニタリングをやり直そう」
だってイケメンならきっと笑顔でこう言うはずだから。
ラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』を使い続けたことで、俺は少なからずイケメンの心理と言うものに触れることができていた。
チートを使いこなす中で、俺自身もすくなからず成長していたのだ――!
「そういや『ただしイケメンに限る』は自我をもって擬人化しなかったんだな。『剣聖』と並んで俺が使いまくってたチートだから、いの一番に擬人化しそうなもんだけど」
「え? あ、うん……しなかった、みたいだね……?」
「……?」
なんだ?
えらく歯切れが悪いな?
ああそっか。
調査が失敗に終わったことで、俺に対して申し訳ないって思ってるのか。
「ま、終わったことを悔やんでも仕方ないさ。別に死ぬわけでもなし、次は失敗しないようにやればいいだけの話なんだから」
俺はにっこり笑いながら、失敗したからって縮こまる必要はないんだってことを優しく伝えてゆく。
「セーヤくん……。うん、ありがと。よーし、じゃあ第2ラウンドだね! 次こそは犯人を突きとめよー! おー!」
すっかり立ち直ったケンセーが右こぶしを突き上げた。
うんうん、やっぱケンセーはこうでなくっちゃな。
明るくて可愛い、それでこそケンセーだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,938
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる