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第七部 続 異世界転生 24日目
第496話 マナシロ・セーヤ復活祭
しおりを挟むその夜、サクライ家では宴会が行われていた。
新サクライ家も靴を脱いであがり、板間に座布団を敷いて座る慣れ親しんだ日本様式のため、俺はだらしなくあぐらを組んで座っていた。
参加者は俺の他には、ウヅキとハヅキのサクライ姉妹とサーシャ。
《神焉竜》、精霊さん、巫女エルフちゃん。
トワとシロガネとティモテ。
ナイアとクリスさんとココ。
そして新たに加わったケンセー。
異世界転生してから仲良くなった総勢13名の女の子たちだ。
お座敷の真ん中には大きな長机が置いてあって、その上に豪勢な料理がところ狭しと並べられている。
俺たちはその長机を挟んでみんなで向き合うように座っていた。
典型的なお座敷宴会スタイルである。
そして壁には「マナシロ・セーヤ復活祭」と書かれた横断幕がかけられていた。
つまりこれは、俺の快気祝いなのだった。
「はいどうぞ、セーヤさん」
「ありがとうウヅキ」
……『ありがとウヅキ』ってなんか公共広告機構のCMキャラで居そうだよな。
ぽぽぽぽーん、だっけ?
俺の右隣りに座ったウヅキが、豪勢な料理を取り分けたりお酌をしたりと甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。
もちろん作ったのもウヅキを中心とした料理チームだ。
左にはサーシャ、そして膝の上にハヅキが座っていた。
「……ってあれ、気のせいかな? いつもと比べて形が不ぞろいなような?」
ウヅキの料理の腕はぴか一だ。
野菜一つ切るにしても食べやすさとか火の通りを考えて、状況に応じた巧みな包丁さばきを見せるウヅキなのに、今日は大きさは不ぞろいだし、形もガタガタなのが混じっているのだ。
「それはわたくしが切ったものですわ……」
そんな俺の疑問に答えたのは、涙声のサーシャだった。
「ああ、サーシャも手伝ったのか。そういうことか、なるほど」
「申し訳ありませんの。実はわたくし、トラヴィス家の跡取りともあろうものが料理は基本人任せでお菓子作りくらいしかやったことがなく……それでこのような婚約者にあるまじき失態を……ウヅキにはちゃんと、セーヤ様にはよけて出してとお願いしておいたのですが……」
なんて言いながら、ちっこいボディをさらに縮こめうつむいてしまったサーシャ。
だから俺は言ってやった。
「やれやれまったく、サーシャはバカだなぁ」
「はい、料理もまともに作れない大馬鹿者ですわ……」
「ああ、違う違う。そういう意味じゃないよ」
俺にはさ、ウヅキがお願いを聞かずにサーシャの作ったふぞろいなのも一緒に出した意図が、これ以上なくわかるんだもの。
よく見るとサーシャの指には絆創膏が貼られていた。
俺のために一生懸命作ってくれたんだよな。
「可愛い女の子が一生懸命作った手料理を食べてさ、それで嫌な気持ちになる男なんていないよ」
言って、俺はサーシャが切った形の悪い里芋の煮っころがしを口に入れた。
「うん、美味しい。苦みが綺麗に抜けてて優しい味だ。頑張って作ったサーシャの気持ちがいっぱい伝わってくる」
「あ、セーヤ様……」
サーシャが嬉しそうにパッと顔を上げて、
「えへへ、セーヤさんならそう言ってくれると思ってました」
これにはウヅキもにっこりだった。
気が付くとグルメ系S級チート『おふくろの味』が発動していた。
しょんぼりしていても、一家団欒でみんなほっこり幸せな気分になるという、素敵なチートである。
「里芋のアク抜きや下茹では、ほとんどサーシャが一人でやったんですよ?」
「お、なんだよ、ちゃんと色々やってるじゃん」
「うにゅ、ハヅキも、てつだった。ちょっとだけ」
「うんうん、ハヅキも偉いな」
俺の膝の上をベストポジションと陣取るハヅキを優しくなでなでしてあげると、ハヅキは嬉しそうに目を細めた。
そんな感じでしばらく食べて飲んでお話をしてから、
「ちょっと回ってくるよ」
俺はくっついて離れない甘えんぼハヅキを抱っこすると、他の女の子たちのところに向かうことにした。
みんな俺が話に来るのを、今か今かと待っているだろうからね。
女の子の期待に応える漢・麻奈志漏誠也であるからして!
みんな待っててね~。
順番に回っていくからね~。
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