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第七部  続 異世界転生 24日目

第500話 絶対零度 -273.15℃

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「マナシロ様が寝込まれてから約1週間。煮ても焼いてもまったく目覚める気配がなかったというのに、起きて早々にそのいつもと変わらぬ抜けたご様子とは。この分ですとどうやら私ども下々しもじもが特に心配する必要などなかったようですね。お嬢さまがご飯ものどを通らぬほどに心配していたというのに、いやはや人騒がせな」

 俺とナイアのやりとりが一区切りついたのを見たクリスさんが、そんなことを言いながらこれ見よがしに肩をすくめてため息をついた。

 全てはナイアのパンツを見ていた俺の自業自得とはいえ、しょぱなからいたわってくれる雰囲気がゼロを通り越して絶対零度-273.15℃ですよ……。

 そんな氷の女王クリスさんに、
「色々と迷惑かけちゃってごめんなさい」
 俺はしっかりと頭を下げた。

 サーシャもごめんな、ご飯を食べれなくて……いやまぁクリスさんの大げさな比喩だってのは分かってはいるんだけれど。

 ただ割と長い期間チート学園をヒャッハーって満喫しちゃっていた俺としては、俺の身を案じて気が気でなかったサーシャの姿をするだけでたいへん心苦しく、素直に謝ったというわけである。

 俺の心からの謝罪に反応して、ラブコメ系A級チート『無断で朝帰りして妻にごめんなさいする夫』が発動した。
 心配して待っている相手に対して、チート使用者の誠意が増幅されて伝わるという支援系のチートである。

 チート学園で長いこと遊びほうけていたことが、きっと無断で朝帰りなのかな?
 そしてクリスさんを通してサーシャにもごめんなさいをしたことで、妻とか夫とかのチートが発動したんだろう。

「なぜかサーシャとは『夫婦』をキーワードにしたチートが発動するんだよな……」
 なんでだろう?
 不思議だなぁ。

 まぁサーシャとは仲間ファミリーの契りを交わした仲ではあるんで、いいっちゃいいんだけど。

「やれやれまったく、古来より『無事これ名馬』と申しますがマナシロ様のしぶとさは折り紙付きですね」

「あの、その言い方はもはやディスられているような気がしなくもないような……?」
「おっと、私としたことがこれは大変失礼いたしました。御身おんみ安らかなることを遠回しにめたつもりだったのですが」

「ほ、めた……?」
 今ので??

「だいたい――」
 なおも何事か言いかけたクリスさんに割って入ったのは、ナイアだった。

「まったくクリスは素直じゃないねえ」
 ナイアはどこか嬉しそうにニマニマとクリスさんを見ていた。

「ナイア様。その言い方ですと、私がマナシロ様になにかしら本心を隠しているかのように聞こえてしまいますが?」
 クリスさんはいつも通りのポーカーフェイスでそう切り返したんだけど――、

「その通りの意味だよ? だって品行方正なトラヴィス筆頭格メイドであるはずのクリスが、こんなにもずけずけとモノを言うのはアタイの知る限りセーヤだけだからね。それだけでもクリスにとってセーヤが特別な存在なのは明らかってなものさ」

 この件に関してナイアは強い確信でも持っているのか、その追及の手を緩めようとはしない。
 こういう風に深入りするのはナイアにしては珍しいな……あ、分かった、軽く酔ってるっぽいな。
 頬が赤いもん。

 この2人は素敵なお姉さん同士、結構気が合うみたいだけど、プラスお酒の力で珍しくナイアが絡んでるわけだ。

 こういうナイアも新鮮だなぁ。
 ナイアの珍しい一面を見ることができて、ちょっとほっこりする俺だった。
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