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異世界転生 26日目
第530話 「お前は大きな勘違いしている」
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「えっとあの、だって、この前もさんざん脅しに脅して帰ったじゃないですか……」
半泣きになりながら、それでもココは必死に勇気を振り絞って《神焉竜》にくらいついてみせた。
だというのに――、
「? キサマは何の話をしておるのじゃ?」
「ええぇぇっ!?」
何を言っとんじゃこいつは?って感じで首を傾げた《神焉竜》に、ココの顔がありえねぇ!って感じに引き攣った。
「えっと、ちょっと前、《神滅覇王》に恭順を誓うかそれとも滅びるか今すぐ選べって迫ってきたじゃないですか……?」
ああ……それな。
それを聞いて俺はあることに思い至ったよ。
あれだよ、時期的にはトワと出会った前後かな。
南方大森林の東側1/3を切り取ってきたとか《神焉竜》が自慢げに言ってきた時のことだと思う。
森の民を脅してまわったあげく、エルフの秘宝をカツアゲしてきたんだよな……。
結果的に俺はその秘宝のおかげでトワ=《スサノオ》の荷電粒子砲を封じることができて、命を救われたから強くは言えないんだけど。
「なんじゃ、そのことか。キサマらに己の生き死にを選らばせてやろうなどと、妾もずいぶんと丸くなったものよのぅ」
「えぇぇぇぇ……?」
うわぁ、すごい理論……。
しかもマジのガチで言ってるんだもんなぁ。
「で、それがどうしたのじゃ?」
「いえその、《神焉竜》さんが来ると、なんていうか、みんなが怯えるって言うか――」
「殺すぞ」
「ひぃぃ――っ!?」
《神焉竜》の殺気が暴力的なほどに爆発した。
「待て待て《神焉竜》! 早まるな!!」
俺は《神焉竜》が言い終わる前に即座に反応すると、《神焉竜》に飛びかかり後ろからぎゅむっとその身体を抱きしめた。
前に『妾が殺すと言った時、それはすでに殺した後なのじゃ』とかなんとか笑えないセリフを言ってたからな。
精霊さんとの知恵比べでガーゴイルをぶっ壊した時だったかな。
いやー危ないところだった。
殺人事件が起こってしまう前にギリギリ間に合ってよかったよ。
「止めるでない主様。妾は今より、この道理を知らぬ愚かなケモノがいったい誰にモノを言うたか、あの世で後悔するまで徹底的に教え込んでやらねばならぬのじゃからの」
「だから待てって言ってるだろ!? まず《神焉竜》、お前は大きな勘違いしている」
「勘違いじゃと……?」
「そうだ、勘違いだ。ココはな、ただ見るだけで怯えてしまうほどにお前のことが強く尊い最強の存在であるって言ったんだ。つまり今のはお前のことをこれ以上なく褒めたんだよ!」
「褒めたのじゃ?」
「そうだ! ストロングでノーブルなお前が来ると、畏れ多くてもはや日常生活もままならないって言ったんだよ。だよな、ココ!?」
非言語コミュニケーション系S級チート『目は口ほどにものを言う』発動!
俺は、視線だけで相手になんとなく言いたいことを伝えるS級チートを発動すると、《神焉竜》から見えないように必死にウインクをしてココに話を合わせてくれるようアイコンタクトをとった。
その甲斐もあって、
「あ、うん、そう意味だったの! ごめんなさい言葉足らずで! 反省しています!」
ココがうまいこと話を合わせてくれる。
「なんじゃ、そう言うことであったのか。そうならそうと早く言うのじゃ。危うく消し炭にするところじゃったではないか」
「あ、はい、以後気を付けます!」
その言葉と共に《神焉竜》が放っていた恐ろしいほどの殺気が霞のように薄れていく。
ほっ、どうにか事なきを得たようだな……んもう、《神焉竜》ったらすぐキレるんだから……。
「そう言うわけだから、おまえはちょっとお留守番していてくれ。すぐ帰って来るからさ」
「……主様にそうまで言われては仕方ないの。やれやれまったく偉大すぎるというのも時に不便なものじゃ」
「分かってくれて嬉しいよ、うん……」
でも俺もだいぶん《神焉竜》の取り扱いに慣れてきた感あるよね。
この手際の良さと来たら、そろそろ《神焉竜》マイスターを名乗ってもいいんじゃないだろうか?
――とまぁそんなこんながあって。
俺は『ちび太』を直してもらうべく、ココと一緒にココの生まれた村へ向かうことになったのだった。
半泣きになりながら、それでもココは必死に勇気を振り絞って《神焉竜》にくらいついてみせた。
だというのに――、
「? キサマは何の話をしておるのじゃ?」
「ええぇぇっ!?」
何を言っとんじゃこいつは?って感じで首を傾げた《神焉竜》に、ココの顔がありえねぇ!って感じに引き攣った。
「えっと、ちょっと前、《神滅覇王》に恭順を誓うかそれとも滅びるか今すぐ選べって迫ってきたじゃないですか……?」
ああ……それな。
それを聞いて俺はあることに思い至ったよ。
あれだよ、時期的にはトワと出会った前後かな。
南方大森林の東側1/3を切り取ってきたとか《神焉竜》が自慢げに言ってきた時のことだと思う。
森の民を脅してまわったあげく、エルフの秘宝をカツアゲしてきたんだよな……。
結果的に俺はその秘宝のおかげでトワ=《スサノオ》の荷電粒子砲を封じることができて、命を救われたから強くは言えないんだけど。
「なんじゃ、そのことか。キサマらに己の生き死にを選らばせてやろうなどと、妾もずいぶんと丸くなったものよのぅ」
「えぇぇぇぇ……?」
うわぁ、すごい理論……。
しかもマジのガチで言ってるんだもんなぁ。
「で、それがどうしたのじゃ?」
「いえその、《神焉竜》さんが来ると、なんていうか、みんなが怯えるって言うか――」
「殺すぞ」
「ひぃぃ――っ!?」
《神焉竜》の殺気が暴力的なほどに爆発した。
「待て待て《神焉竜》! 早まるな!!」
俺は《神焉竜》が言い終わる前に即座に反応すると、《神焉竜》に飛びかかり後ろからぎゅむっとその身体を抱きしめた。
前に『妾が殺すと言った時、それはすでに殺した後なのじゃ』とかなんとか笑えないセリフを言ってたからな。
精霊さんとの知恵比べでガーゴイルをぶっ壊した時だったかな。
いやー危ないところだった。
殺人事件が起こってしまう前にギリギリ間に合ってよかったよ。
「止めるでない主様。妾は今より、この道理を知らぬ愚かなケモノがいったい誰にモノを言うたか、あの世で後悔するまで徹底的に教え込んでやらねばならぬのじゃからの」
「だから待てって言ってるだろ!? まず《神焉竜》、お前は大きな勘違いしている」
「勘違いじゃと……?」
「そうだ、勘違いだ。ココはな、ただ見るだけで怯えてしまうほどにお前のことが強く尊い最強の存在であるって言ったんだ。つまり今のはお前のことをこれ以上なく褒めたんだよ!」
「褒めたのじゃ?」
「そうだ! ストロングでノーブルなお前が来ると、畏れ多くてもはや日常生活もままならないって言ったんだよ。だよな、ココ!?」
非言語コミュニケーション系S級チート『目は口ほどにものを言う』発動!
俺は、視線だけで相手になんとなく言いたいことを伝えるS級チートを発動すると、《神焉竜》から見えないように必死にウインクをしてココに話を合わせてくれるようアイコンタクトをとった。
その甲斐もあって、
「あ、うん、そう意味だったの! ごめんなさい言葉足らずで! 反省しています!」
ココがうまいこと話を合わせてくれる。
「なんじゃ、そう言うことであったのか。そうならそうと早く言うのじゃ。危うく消し炭にするところじゃったではないか」
「あ、はい、以後気を付けます!」
その言葉と共に《神焉竜》が放っていた恐ろしいほどの殺気が霞のように薄れていく。
ほっ、どうにか事なきを得たようだな……んもう、《神焉竜》ったらすぐキレるんだから……。
「そう言うわけだから、おまえはちょっとお留守番していてくれ。すぐ帰って来るからさ」
「……主様にそうまで言われては仕方ないの。やれやれまったく偉大すぎるというのも時に不便なものじゃ」
「分かってくれて嬉しいよ、うん……」
でも俺もだいぶん《神焉竜》の取り扱いに慣れてきた感あるよね。
この手際の良さと来たら、そろそろ《神焉竜》マイスターを名乗ってもいいんじゃないだろうか?
――とまぁそんなこんながあって。
俺は『ちび太』を直してもらうべく、ココと一緒にココの生まれた村へ向かうことになったのだった。
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