ある宅配便のお兄さんの話

てんつぶ

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ある宅配便のお兄さんの話

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 大きなマンションの入り口で、指定された部屋番号を押す。
 綺麗に手入れ行き届いたそこは何度か既にこの仕事で来たことがある。気持ちよくお客さんに荷物を渡したいなんていう気持ちは、バイト2年目ではもう消え失せた。とりあえず渡したら俺の仕事は完了。
 車を運転してものを渡すだけ、今はサインすら不要なのだから張り合いの無いオシゴトだ。まあバイト代は悪くないし、面倒な人付き合いもない。ピアスしてても茶髪でもオッケー、大学とアパートからのアクセスも悪くないってだけで選んだバイトにはなんの感慨も無い。

 だからなかなか出ないこの部屋のインターホンを何度も押すのは仕方がない。俺はこの一件で今日は上がりなんだから早く出ろ。代引き商品なんだから再配達は勘弁してくれ。

「……は、い……」

「にこにこ便です、代引き商品の受け取りをお願いします」

「……っ、あの、…………はい」

 妙に弱弱しい声だったがまあ俺には関係ない。仕事をこなすべく開いたガラスのドアを潜り抜け、エレベーターに乗り込んだ。お届け先は……501号室『遠藤』……はいはい、この部屋。部屋前の呼び鈴を押せば、少し時間が置かれてドアが開く。
 宅配便が来るって知ってるんだから用意しておけよ。

「は、はい……っ」

 舌打ちしたい気持ちを抑え込んで、俺は同僚に愛想が無いと言われる顔に笑顔を貼り付けた。何度かこの家に来たことがあるが、その時に見た『遠藤』さんははもう少し大人の……イケメンだった気がする。

 出てきたのは高校生位だろう、まだ幼い顔立ちをしているが、何だ……妙な色気がある。顔は地味だしその辺に埋もれるような容姿だ。そもそも男なのに、少し赤みを帯びた頬が妙に艶めかしく感じる。
 大き目のシャツはまるで彼シャツのようにすら見えるんだから俺の目はどうかしているな俺の目は。変な気が起きる前にとっとと渡して帰ろう。

「お荷物の受け取りお願いします。代引きで金額は――」

 金額をを伝えながら、なんとも堪えきれずちらちらと出てきた男を観察する。
 よく見ればシャツだけで下は履いていない上に、ギリギリシャツに隠れるあたりに――キスマークが見えた。時折悩まし気な息を漏らすこいつはひょっとして――?

「あの、すんません『遠藤』さん?」

「え……っ、あ、の俺?ちが、ん、俺は……その、――友達が出かけてる間の留守番……で、その……友達の家、です……」

 ふうん?この子は『遠藤』では無いらしい。となると見たことのあるこの家の家主であろう『遠藤』というあのイケメンの男との関係性を、いまの少年の姿からは想像に易い。
 まあ関係性なんてどうでもいい。俺はこいつを見ていると、何か湧き上る感情がどうにも制御できないまま、殆ど無意識に口を開いた。

「あんた名前は?」

「え?俺?佐藤タクト、です?」

 ざわざわと落ち着かない胸の中を落ち着かせようとしているのか、俺の口は何故かこいつの名前を聞いていいた。
 男に名前なんて聞くのは初めてかもしれない。そうして苗字すら違うこの少年が、年の離れた『遠藤』の家に一人でいる理由がはっきりとした。

「タクトね。今この家あんただけ?『遠藤』は男だろ。ヤってんの」

「は!?は、あの別にお兄さんに関係なくないです、か……!?」

 流石に直球すぎたのか睨んでくるタクト。
 でもその目は男を煽るだけだって気付かないんだろうか。俺は確信した、こいつに抱いている感情は愛とか恋とかそんな可愛いもんじゃない、征服したい、鳴かせたい、――犯したい。男としての本能を、こいつという存在は刺激する。
 喋らせたのは俺だけど……喋るなよヤりたくなる。

 見ればシャツの上からでもぷっくりとした乳首は立ち上がり、その存在を俺にアピールしていた。俺は頭がくらくらとしていくような不思議な感覚を味わった。なけなしの理性はもうとっくに崩壊しているんだろう、何も考えずにそこに指を伸ばす。

「ん、あ♡」

 荷物を渡して代金を受け取った時点で俺の仕事は完了だ。大き目の段ボールを両手で受け取ったタクトは、伸びてきた俺の指を抵抗できずに受け入れた。
 まあ抵抗したら荷物、落ちるもんな。精密機械と書かれた荷物は妙に軽かったけれど、落とすのはしのばれるのだろう。
 
 シャツの上から引っ掻くようにして乳首を擦ると、甘い声がタクトから漏れる。ああ、これはもう随分開発されてる声だな。まだ高校生だろうに、どんな生活してるんだか。

「何あんた大分感じるんだな乳首。もう片方も触ってやろうか」

「ちが……っ、感じてな……あっ♡そこ……だめぇ♡」

 こりこり、かりかり、きゅっと、両方の指で弄べば、もうタクトの腰はひけていた。
 乳首が少し遠くなったことに苛立って、俺はその腕に抱えた段ボールを床に奪い取るとやや乱暴に床に置いた。

「え……おにいさんなに……っ、あっ♡」

 玄関の壁にタクトを押し付ければ、一枚しか着ていなかったのだろうシャツの裾がひらりと舞う。
 言っておくが男にこんな気が湧いた事もなければ、女にだってこんな乱暴な事はしたことないしそもそも相手に不自由もしていない。
 それなのに俺の中の凶暴性、性欲、そんな普通なら秘めるはずのそれをむき出しにさせるのだ、この男は。
 大きなシャツのその奥にあるであろう尻の感触に喉を鳴らして、肩を壁に抑えつけたままそこに手を伸ばした。

「あっ、や……っんんっ♡」

 案の定、女のソコの様にとまではいかないにせよくちゅりと湿ったそこは易々と俺の指を飲み込んだ。俺が来るまで散々ヤってたんだろう。

「なあ『遠藤』は?あのイケメンいつ戻んの」

「ふぇ、え、あっ♡」

 指を3本に増やして、ちぐちと大きく抜き差しするだけで、こいつは勝手に腰を突き出してくねらせる。ああ、男に抱かれることに慣れ切ってるなこれは。なら、いっか。股間の硬くなったモノがそろそろ窮屈になってきた。

「ん……っあ、あんっ♡やあ……っそこ……きもちい……っ♡」

「さっさと答えろ。……この家の『遠藤』はいつ戻る?」

 質問の意図を察したのか、快楽に揺らぎ始めていたこいつの顔が一瞬戻る。だが淫肉のナカ――確かこの辺りに前立腺があった――を強く押せば、小さな悲鳴を上げてぎゅうぎゅうと俺の指を締め付けた。

「何、ケツだけでイけんの?まだ高校生だろ……どんだけ仕込まれてんだよ淫乱」

「ん、ちが……っあ、あっ♡や、動かしたら、あんっ♡」

 まだヒクヒクと締め付けるそこを無理やり指を動かすだけで甘い声が漏れる。これで、誰が淫乱じゃないって信じるんだ?

「さっさと答えろ。『遠藤』は?いつ戻る?」

「ひゃ、あっ♡ん、んんっ、夕方……夕方にもどるって……っ♡あ、だめ……っ♡」

 チラリと腕時計を確認すればまだ13時過ぎ。家主が帰るまでざっくり17時と考えても……そうだな。

「ふうん……あと3時間はいけるか。じゃあゆっくりヤれるな?タクト」

「やだ……っや♡やだよぉ……っ♡んっ♡」

 ねっとりと耳朶を舐めながら指で掻き混ぜれば、抵抗なんて形だけだとわかる声を出すタクト。シャツをまくりあげて尻を見たら萎えるかと思っていたが、むしろその白い、だが確実に男のそれだとわかる尻に興奮している自分がいた。

「入れるぞ」

「や、やだぁ……っ♡やめて、おにいさん……っ♡」

 振り返るタクトの顔は眉が下がり悲しそうに――なんて見えない。完全にこれは口だけの抵抗ってやつだろう。俺は片手で孔を拡げながら、反対の手でベルトを外した。

「コレ、ここにぶち込んで欲しくねーの」

「ひ、あ……っ♡なに、それぇ……っ♡」

 太ももに擦りつけてやる俺のペニスは、多分規格外、というやつだ。処女には悲鳴を上げられ、慣れてる女だって一苦労するサイズ。だが癖になるという女も多く、寝てても勝手に跨るような相手もそれなりにいる。
 だが今は俺はコレを、この男に突っ込みたいと強烈に感じている。自分にこんな欲望があったのかと笑えるほどに、タクトは俺の何かを刺激するのだ。

「これ、あんたのケツにぶち込んで欲しくねー?結構でかいっしょ」

「あ、あっ♡しゅご……っおっき……っ♡」

 細い手を俺のデカブツに導けば、指先が触れただけで勝手に握り込まれた。形を確かめる様にやんわりと掴んだあと、長さを確かめる様に上から下までなぞっていく。

「でっけーちんこ、お前の狭いココに入れたら気持ちいんじゃね?みっちみちに広がって……入っかな?」

 想像したんだろうな、入れたままの指が強く締め付けられる。いや、ナカがぐねぐねと動いてこれ、入れた想像だけでイってないか?

「ん、あぁっ♡ん、んぁっ♡」

「たーくーとー?あんたイってんの?誰だよ淫乱じゃないとか言ってたやつ……」

「やあ……っごめんなさ……っ♡」

 俺のペニスを握る手はそのままに、むしろ握り込む力を強くしている目の前のこの男は、俺の想像以上の人間らしい。もう遠慮なんていらないなこれは。

「ほら、入れて欲しいんだろ?お願いしろよ」

「だれが……っあ……♡」

 態勢を変えて、マンション特有の段差の低い框に座らせる。その顔前に陰茎を差し出せばほら、やっぱり男が好きなんだろう、とろんとした顔でそれを見つめた。こいつの口に突っ込んで、喉まで犯して射精するのも悪くないかもしれないが、とりあえずそれは後だ。今は――ケツにぶち込むことしか考えられない。
 無理やり犯したい所をなけなしの理性をかき集めて同意を得ようと必死な自分を、普段群がる女たちがみたら笑うだろうな。

「言えよ。お前のぐっちゃぐちゃのケツに、デカチンポ入れて欲しいだろ?きもちいーとこ全部擦ってお前の胎破っちまうかもだけど」

 怖がるか?と思ったけど逆に興奮したらしいタクトの顔は……あと一歩。亀頭をタクトの頬に寄せて優しく擦りつけてやる。

「どうする?無理やりヤっても良いけど……欲しがってくれるなら滅茶苦茶気持ちよくしてやってもいいけど?これ入れてゆっくりゆっくり出し入れして、あんたの胎がたっぷたぷになる位射精してやろっか?」

「んぁ……っ♡おにいさ、ん……♡」

 あ、堕ちたな。

 柔らかいと思っていたアナルに先端を宛がい、ぷちゅぷちゅと押し当てる。玄関横の壁に手をついてこちらに尻を突き出すタクトは、いかにも期待していると言わんばかりに肩を振るわせてこちらを見ている。
 物ほしそうな顔に煽られて、もっと焦らそうと思っていたはずの気持ちはどこかに消し飛んだ。男の尻を一気に引き寄せるとさしたる抵抗も見せずにずぶずぶと奥まで誘い込まれる。

「あ、あっ♡ふと……っ♡おにいさん、の……っなに、これぇ……っ♡」

 つま先立ちになっているタクトの、感極まった声が耳に入るがそれどころではない。肉襞がきつく締め付けるそこは女と違う生々しい感触、奥行きがあり普段はいらない俺の根本近くまで一気に飲み込むのだからたまらない。

「……っ、すげえなあんた……、っめっちゃ名器じゃん」

「ひあ、あ♡揺らさない……でっ♡まって、ちょっとだけっああっ♡」

 割と肉付きの良い尻をぐっと掴み、遠慮なく腰を打ち付ける。一突きするごとに絡まってくる淫肉の感触に気を抜けば射精しそうだ。もっと奥、更に奥へと入りたくなるのは男の本能なのか、パンパンと突き入れながらも入りきらないもっと奥までペニスをねじ込んでやりたくなる。

「あ、だめ、そこ……っ♡駄目なとこ……っ♡」

「確か奥に……入るとこあんだろ?」

 飲み会で誰かが言っていた。アナルセックスでは更に奥に入れるところがあるんだと。結腸と言っていた気がするが、とにかくそこへ亀頭を潜り込ませると最高に気持ちがいいらしい――ただし日本人サイズでは無理だ、とも。まあ規格外らしいコレなら平気だろうと、タクトの同意も無しに突き進む。

「ん、この奥か?入っかな……よ、っと!」

「ん、や、あっ、だめ、そこ♡だめっ♡だめなとこだからぁ……っあああああっ♡」

 奥だと思っていたそこを、腰を強く引き勢いを付けてきつく突き立てると、くぽっと切っ先が何かにはまる。ああ、ここか。

「やあっ♡そこお、あかちゃん、できるとこ……っ♡」

「ん?なにあんた仕込まれてんの?赤んぼ、こんなえっろい穴から生まれるわけねえじゃん?」

 抵抗を無視してググっと押し込めば、亀頭が丁度よく嵌った。後孔の締め付け以上にきつい肉輪がペニスの一番敏感な部分をちゅうちゅうと吸い上げる。もう射精したいという欲望以外何もない。この男の中に出して、全て俺の精子で塗りつぶしてやる。

「は……っ、やべ……気持ちいじゃん……!」

「あんっ♡あかちゃんの……っ、おへや潰れちゃうよおお♡だめぇ、強すぎるうっ♡あっ、やあん♡」

「あんたっ、自分で腰、打ち返してんのに……説得力、なさすぎ」

「ひあ……っやあ♡だって、きもちい……っ♡あかちゃんのへやズボズボっ、すき、なの♡」

 捏ねまわすように腰をひねるだけで、悲鳴のような嬌声が響く。男のくせに甘く感じるこいつの声は麻薬の様で、感じていなかった俺自身の残虐さを刺激する。

「……そんなでっかい声で喘いでいいのか?外の廊下まで、響いてんじゃねえの」

 耳元に唇を寄せて囁けば、一瞬だけタクトはビクリと震えた。蕩け切ったこいつでも、多少の羞恥心はあったらしい。他人の家で、初対面の男に、玄関先でセックスをしているという事実。

「ひゃっ♡あ、だめ……っ声……っでちゃうう~っ♡」

「いいんじゃねえの。ずりネタ提供、って感じで……!あとでベランダで犯してやんよ……!」

「やあっ……♡駄目♡そんなとこで、しにゃい……♡見られちゃうっ♡あ、あっ♡」

 駄目だと言う割にはアナルの締め付けはきついし、腰はくねくねと俺のピストンに合わせてくる。感じ切ったその様子は、もう多少の羞恥すらスパイスになるタイプの人間なんだろう、その証拠に自分で乳首を弄り始めた。

「あっあああ♡イっちゃう、イっちゃうよお♡」

「なに……あんた乳首好きなの」

 器用にも壁で身体を支えながら強く自分の乳首を愛撫している。押しつぶし引っ張りねじる。普段からやっているのかされているのかその手つきは迷いがない。

「しゅき……っ♡しゅき♡おにいさん触ってくれない、からぁ♡んあ、あ♡や、やだあ、おっぱい触って……ほし……っ」

 だが一人気持ちよくされるのも腹が立つ。俺以外の刺激でイくなんて許せるわけがない。無理やりその両手首を絡めとり、立ちバックの態勢でぐっと後ろに引っ張ってやる。

「ふぁ……っ♡あっ奥、奥、あああ、あっ……っ♡しゅ、ごい……っ♡」

 身体を引いた事でさっきまでとは違った部分に当たるのか、身体を震わせてあっさりとイったらしい。ひくひくと断続的にきつく締め付ける肉壁の感触が俺を絶頂に誘っていく。最後の仕上げとばかりにガツガツと腰を打ち付ければ、もはや声を殺す事などすっかり忘れた男が嬌声を上げる。

「やあ……っまた♡また……っイっちゃう、イっちゃうからぁ~♡♡」

 ミチミチに拡げられた後孔の縁が赤く染まって、そこから出入りする赤黒いペニスが興奮する。性器を入れる部分ではないはずなのに、その中は完全に男を受け入れるためものでしかなく、柔らかく包み込んできつく締めあげ蠕動するのだ。
 ……これは俺のものだ、そんな可笑しな支配欲征服欲独占欲が陰嚢から押し上げられるものと一緒に腰から身体へ、身体から脳へと伝達されていく不思議な感覚を味わった。

「……っタクト、出すからな……っ!」

「だして、おくで……っ♡俺のお尻の中に……っいっぱいかけてぇ♡あ、あああっ♡イく、またイくよぉ♡」

 タクトの孔が一際激しく震え、ここまで精液を出したことがあっただろうかと思うほど、腰が痺れるほどの深い射精感を味わった。ドクドクと尿道から出てい精液の感覚、そして射精しながらも締め付けられる肉襞の感触に目の前が真っ白になる。

「……っは……すっげ……嵌るわ……」

「あんっ……♡おにいさん……すご……っいっぱい♡せーしぃ♡俺のおなか……たぷたぷになるよお♡」

 残滓全てを吐き出したくて、男の孔を使って緩くピストンする。ひくひくときつく締め付ける男の孔の中でぴゅ、ぴゅ、と残っていた精子が出ていくたびに背筋を這い上がるこの快感は癖になりそうだ。

「……っはー……、めっちゃいい……なあ、あんたも良かっただろ」

「ん、んんっ♡きもち、よかったぁ……おにいさんの……っちんちん……♡」

 タクトの着ていたシャツはめくりあがり、露わになっている背中を撫でればまだナカに入ったままの俺自身をきゅっと刺激する。ぷるぷると震える男の背中に何だか愛着が湧いて、ふとキスすらしていなかったことを思い出す。

「タクト――こっち向け」

「ふぁ……?」

 腕を引いて繋がったまま上体を起こすと、タクトの焦点の合わない目が俺の方を向いてにこりと笑った。キスをしようと寄せた途中で、ふいに感じた気配に動きが止まる。
 ――いや。タクトは俺の顔は見ていない。こいつが見ているのは――俺の後ろ。

「あー♡遠藤サン……見てたのぉ?」

 その言葉に固まる。『遠藤』それは家主の苗字だ。男の尻にペニスを突き立てたこの状態は何も言い訳ができない。急激に萎えていく自分自身を感じながらも、後ろを振り返る事も逃げ出す事も出来ない。
 どうしたらいい、どうすれば。

「タクト、声大きいよ。ご近所さんに聞こえたらどうするの?タクトがエッチな男の子だってバレちゃうよ?」

「……っ」

 見れない。隣に来た男の声に身体を動かせない。どう、何を、言い訳を、弁解を、釈明を、どうしたら。

「ね、お兄さんもこの子の身体楽しんだでしょ?そろそろ離して上げてくれる?……タクト。」

「んっ♡はあい……っあっ♡」

 タクトは尻を動かして自分から俺のペニスを抜くと、ふらつく足取りで『遠藤』の所に寄って行った。俺はバッと足元に下がったズボンを持ち上げてペニスをしまい、そしておそるおそる『タクト』を見た。
 何度か宅配で見たことのある、にこにこと穏やかそうな男がそこにいた。それなのにその目の奥は笑っていないし、誰だろうお穏やかだと感じたのは。その目の奥は何も笑っていない。
 この茶番はきっと、この男の遊びなのか特に遠藤は気にした様子もない。
 ただ俺に分かるのは、その割には愛おしそうにタクトと深く唇を重ね、タクト自身もうっとりと首に腕を回しているという二人の関係性だ。

「ん、ちゅ……♡えんど……さん、えんどうさぁん♡んんっ♡」

 ああそうか。一瞬でも自分のものにできるなんて妄想でしかなかった。具合の良すぎる穴は多少惜しくもあるが、この二人はこれで完結しているんだろう、俺の入り込む余地など最初からないのだ。
 俺とのセックスの時以上に官能的に蕩け切った声を聞くだけで、全てが分かってしまった自分も大概だ。

「ん、んん……っ♡えんどうさん……っもっと、キスして……♡」

「はいはい……可愛いねタクトは。ほら、届いたオモチャで遊んであげようか」

「は……っんん♡あ……うん、いっぱい、遊んで……♡」

 俺などどうでもいいと言わんばかりにキスをしている『遠藤』とぱちりと目があうと、にこりと細められつつもさっさと帰れとまるで犬を追い払うように手を振られる。くそ、言われなくても帰るさ。
 重厚なドアをあけて廊下にでれば、部屋の中の声など一切聞こえなかった。
 きっとあいつらは俺を出汁にしてまたセックスするんだろう。
 遠慮なく舌打ちをして、事務所からの着信履歴が多いであろう携帯を取り出しながらマンションの外へと向かった。

 



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