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愛を得ないと元の世界に戻れない 20230716
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異世界に迷い込んだイケメン、愛を得ないと元の世界に戻れないらしいと知る。とはいえイケメンは日本でもモテてたし楽勝~って高を括ってた。なのにこの世界には男しかいないしイケメンはごつい男たちに言い寄られて「無理~」ってなる。
そんなイケメンを拾ってくれたのは、同じく日本から迷い込んできた地味男くんだ。だけど彼は真実の愛は欲しくない、というか日本に戻りたくないというスタンスらしい。
ふーん、と興味のないイケメンくん。地味男くんに世話を焼かれながらそこを拠点としてせっけと街へ繰り出す。
なんせ異世界、ムキムキ率が異常に高い。筋肉に言い寄られるのマジ無理~って顔を顰めてる所に「もしもし…」と声をかけられ連れていかれた先は王宮。
なんとイケメンの噂を聞きつけた王子が会いたいと言う。
ゆーてどうせマッチョなんでしょお?とやさぐれるイケメンの前に現れたのは、華奢でカワイイ系の金髪碧眼王子様だった。薄目で見れば美少女に見れなくもない!王子もニコッとほほを染めて微笑んでくれてこれはいける!と内心ガッツポーズ。
とりあえずお友達に…という事でまた遊びに行く約束をした。
ルンルン家に帰って地味男くんに話をするも、どうも興味がなさそうだ。こいつ恋愛したことねえんだろーなーとイケメンくんは察した。
それから連日王子の所に行くイケメン。着々と距離が詰まっていく実感があり、これはもう王子が落ちるのも時間の問題だとニンマリ。男相手に勃つかなーと我が息子をチラチラ見てるとそこに王子の華奢な手が重なった。えっと思うまもなくイケメンは王子に組み敷かれる。
俺がこっち!?とパニクったイケメンは王子を突き飛ばして逃げ帰った。
涙目で地味男くんに一連の出来事を話すとため息をつかれた。
曰く、この世界で日本人はそっち側なのだと。見た目どうこうではなく恐らく神がかった性的な吸引力でもあるのだと言う。それがこの世界に迷い込んだ日本人が得る「愛」なのだろうと。
イケメンくんはゾッとした。つまり誰かにヤられなければいけないのかと。
だけど。
目の前の地味男は平気そうだ。
そういえば街に行ってもだれもこいつを気にとめたりしなかった。ただの地味男だからだとおもっていたが、同じ日本人ならこいつの説明通りモテてなきゃおかしい。
そう問いただすと、地味男くんは珍しくイケメンくんと視線を合わせた。
「たった一人の真実の愛を知ることが帰還の条件だけど」
地味男くんはこの世界に迷い込んですぐに、逃げることも出来ないまま数の男たちに囲まれた。
「一度に複数の「愛」を知った僕はどうやら帰還の対象外だったみたいだよ」
そう言って地味男くんの瞳は暗く沈む。
地味男くんは帰らないのではない、帰れないのだ。だからこの地で生活基盤を整えていた。
「今は女神の加護とやらも消えてるから普通のその辺の人間と変わらないよ」
そう言う地味男くんの今までの努力に、自分はタダ乗りしてきた。イケメンは急に自分が恥ずかしくなった。
翌日、イケメンくんは王宮に行った。突き飛ばした王子はそれでもイケメンに愛を囁いてくれた。罪に問われなかった事にホッとして、でも王子の気持ちには応えられないとお断りした。
それからイケメンくんは変わった。自分がこの異世界の男たちを惹き付ける事を利用して酒場で働き始めた。触ってくるバカもいたけど軽くいなして、チップも沢山もらった。簡単にヤられないように身体も鍛えたし武術も学んだ。そしてちまちまと小さい体で働く地味男くんを助けた。
イケメンくんは地味男くんを好きになっていた。自分にはない根性がある。
つらい中でも自分を助ける優しさがある。二束三文でも文句を言わずに働き続ける所も、意外と料理が下手なところも、笑うと年齢より幼くなるところも、イケメンくんは好きになっていた。
でも地味男くんは「そう行ったコト」に心に傷を負っている。
だからイケメンくんは柄にもなく、この気持ちはずっと秘密にして生きていこうと思っていた。
男に掘られるのはゴメンだし、そうなれば日本には帰れない。地味男くんも置いていけないのだからイケメンくんの心は決まっていた。
それに一緒にいられるだけで幸せだった。
でもそんな日々を打ち破ったのは意外にも地味男くんだった。彼にしてみたら、すっかりこの世界に馴染んでるイケメンくんが、どうして自分の所に居座るのか分からないのだ。
「どうして?」とまっすぐに問うとイケメンくんは顔を赤くした。それから視線をさ迷わせて「わかれよ」と言う。
あれ?あれれ?と地味男くんも顔を赤くした。自分の勘違い?と思ったけどイケメンくんは手を握って「お前が好きだからだよ」なんて言う。
地味で貧乏な自分には取り柄がなくてキラキラしてるイケメンくんに好かれてるなんて思ってもなかった地味男くん。
地味男くんの過去を知っているからこそ好意を口にするつもりはなかったなんて言われては、恋愛経験のなさも相まってあっさり恋に落ちる地味男くん。
いや自覚がなかっただけできっと、地味男くんはイケメンくんに好意があったのだろうと思った。
それから両思いになった2人はゆっくりと愛を育んだ。ゆっくりゆっくり、震える地味男くんを慣らして、ゆっくりゆっくり結ばれた。
地味男くんもイケメンくんも幸せで、顔を見合せて笑った。
だけど寝て起きると隣に愛する人はいなかった。
見知った天井。だけど一瞬どこか分からなかった。
地味男くんは日本に帰ってきたのだ。スマホの日付を確認すると、それは異世界に迷い込んだ次の日になっていた。地味男くんは呆然とした。全てが夢だったのかと。
いや、夢で良かったのかもしれない。だけど胸にぽっかりと空いた喪失感。こぼれ落ちる涙を止められなかった。
ドンドン、とドアが叩かれる。
目元を拭って地味男くんがドアを開けると、そこにはイケメンくんが立っていた。
それから地味男くんが抱きしめて「帰ってこれたな」なんて喜んでいて。
イケメンくんとも再会できたことを喜ぶべきなんだろうけど、ここは異世界じゃない。
イケメンくんは女の子が好きだし、異世界でもそうだったけど日本ならなおさら、地味男くんがいなくても生きていける。自分なんて必要ないだろうと言うと、イケメンくんは悲しそうな顔をした。
「好きだって言ったじゃん。信じてくれなかったのかよ」
地味男くんはハッととして、それからイケメンくんに謝った。自分に自信がないからといって他人の気持ちを否定して良いわけがない。
でもいつかイケメンくんが離れても、笑顔で別れられるようにしようと心に誓った。
地味男くんの考えは杞憂に終わり、それはそれは末永く幸せに暮らしましたとさ
終
そんなイケメンを拾ってくれたのは、同じく日本から迷い込んできた地味男くんだ。だけど彼は真実の愛は欲しくない、というか日本に戻りたくないというスタンスらしい。
ふーん、と興味のないイケメンくん。地味男くんに世話を焼かれながらそこを拠点としてせっけと街へ繰り出す。
なんせ異世界、ムキムキ率が異常に高い。筋肉に言い寄られるのマジ無理~って顔を顰めてる所に「もしもし…」と声をかけられ連れていかれた先は王宮。
なんとイケメンの噂を聞きつけた王子が会いたいと言う。
ゆーてどうせマッチョなんでしょお?とやさぐれるイケメンの前に現れたのは、華奢でカワイイ系の金髪碧眼王子様だった。薄目で見れば美少女に見れなくもない!王子もニコッとほほを染めて微笑んでくれてこれはいける!と内心ガッツポーズ。
とりあえずお友達に…という事でまた遊びに行く約束をした。
ルンルン家に帰って地味男くんに話をするも、どうも興味がなさそうだ。こいつ恋愛したことねえんだろーなーとイケメンくんは察した。
それから連日王子の所に行くイケメン。着々と距離が詰まっていく実感があり、これはもう王子が落ちるのも時間の問題だとニンマリ。男相手に勃つかなーと我が息子をチラチラ見てるとそこに王子の華奢な手が重なった。えっと思うまもなくイケメンは王子に組み敷かれる。
俺がこっち!?とパニクったイケメンは王子を突き飛ばして逃げ帰った。
涙目で地味男くんに一連の出来事を話すとため息をつかれた。
曰く、この世界で日本人はそっち側なのだと。見た目どうこうではなく恐らく神がかった性的な吸引力でもあるのだと言う。それがこの世界に迷い込んだ日本人が得る「愛」なのだろうと。
イケメンくんはゾッとした。つまり誰かにヤられなければいけないのかと。
だけど。
目の前の地味男は平気そうだ。
そういえば街に行ってもだれもこいつを気にとめたりしなかった。ただの地味男だからだとおもっていたが、同じ日本人ならこいつの説明通りモテてなきゃおかしい。
そう問いただすと、地味男くんは珍しくイケメンくんと視線を合わせた。
「たった一人の真実の愛を知ることが帰還の条件だけど」
地味男くんはこの世界に迷い込んですぐに、逃げることも出来ないまま数の男たちに囲まれた。
「一度に複数の「愛」を知った僕はどうやら帰還の対象外だったみたいだよ」
そう言って地味男くんの瞳は暗く沈む。
地味男くんは帰らないのではない、帰れないのだ。だからこの地で生活基盤を整えていた。
「今は女神の加護とやらも消えてるから普通のその辺の人間と変わらないよ」
そう言う地味男くんの今までの努力に、自分はタダ乗りしてきた。イケメンは急に自分が恥ずかしくなった。
翌日、イケメンくんは王宮に行った。突き飛ばした王子はそれでもイケメンに愛を囁いてくれた。罪に問われなかった事にホッとして、でも王子の気持ちには応えられないとお断りした。
それからイケメンくんは変わった。自分がこの異世界の男たちを惹き付ける事を利用して酒場で働き始めた。触ってくるバカもいたけど軽くいなして、チップも沢山もらった。簡単にヤられないように身体も鍛えたし武術も学んだ。そしてちまちまと小さい体で働く地味男くんを助けた。
イケメンくんは地味男くんを好きになっていた。自分にはない根性がある。
つらい中でも自分を助ける優しさがある。二束三文でも文句を言わずに働き続ける所も、意外と料理が下手なところも、笑うと年齢より幼くなるところも、イケメンくんは好きになっていた。
でも地味男くんは「そう行ったコト」に心に傷を負っている。
だからイケメンくんは柄にもなく、この気持ちはずっと秘密にして生きていこうと思っていた。
男に掘られるのはゴメンだし、そうなれば日本には帰れない。地味男くんも置いていけないのだからイケメンくんの心は決まっていた。
それに一緒にいられるだけで幸せだった。
でもそんな日々を打ち破ったのは意外にも地味男くんだった。彼にしてみたら、すっかりこの世界に馴染んでるイケメンくんが、どうして自分の所に居座るのか分からないのだ。
「どうして?」とまっすぐに問うとイケメンくんは顔を赤くした。それから視線をさ迷わせて「わかれよ」と言う。
あれ?あれれ?と地味男くんも顔を赤くした。自分の勘違い?と思ったけどイケメンくんは手を握って「お前が好きだからだよ」なんて言う。
地味で貧乏な自分には取り柄がなくてキラキラしてるイケメンくんに好かれてるなんて思ってもなかった地味男くん。
地味男くんの過去を知っているからこそ好意を口にするつもりはなかったなんて言われては、恋愛経験のなさも相まってあっさり恋に落ちる地味男くん。
いや自覚がなかっただけできっと、地味男くんはイケメンくんに好意があったのだろうと思った。
それから両思いになった2人はゆっくりと愛を育んだ。ゆっくりゆっくり、震える地味男くんを慣らして、ゆっくりゆっくり結ばれた。
地味男くんもイケメンくんも幸せで、顔を見合せて笑った。
だけど寝て起きると隣に愛する人はいなかった。
見知った天井。だけど一瞬どこか分からなかった。
地味男くんは日本に帰ってきたのだ。スマホの日付を確認すると、それは異世界に迷い込んだ次の日になっていた。地味男くんは呆然とした。全てが夢だったのかと。
いや、夢で良かったのかもしれない。だけど胸にぽっかりと空いた喪失感。こぼれ落ちる涙を止められなかった。
ドンドン、とドアが叩かれる。
目元を拭って地味男くんがドアを開けると、そこにはイケメンくんが立っていた。
それから地味男くんが抱きしめて「帰ってこれたな」なんて喜んでいて。
イケメンくんとも再会できたことを喜ぶべきなんだろうけど、ここは異世界じゃない。
イケメンくんは女の子が好きだし、異世界でもそうだったけど日本ならなおさら、地味男くんがいなくても生きていける。自分なんて必要ないだろうと言うと、イケメンくんは悲しそうな顔をした。
「好きだって言ったじゃん。信じてくれなかったのかよ」
地味男くんはハッととして、それからイケメンくんに謝った。自分に自信がないからといって他人の気持ちを否定して良いわけがない。
でもいつかイケメンくんが離れても、笑顔で別れられるようにしようと心に誓った。
地味男くんの考えは杞憂に終わり、それはそれは末永く幸せに暮らしましたとさ
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