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てんつぶ

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シンデレラの兄 20240930

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昔々ある貴族の家に、男の子と女の子の双子の赤ちゃんが生まれました。二人はスクスク育ちましたがある日、双子の男の子だけ、魔法が使えることに気が付きます。この国は魔法使いは差別の対象です。力を制御できない息子に悩んだ母親は男の子を連れて家を出ます。
母親は隣国の魔法使いの家系だったため、実家に戻り男の子を育てました。その母親が亡くなってからも男の子は研鑽を続け、立派な魔法使いになりました。

ある日、魔法使いとなった男の子は隣国に双子の妹がいることを知ります。しかし妹は継母と義姉たちに虐げられていました。
どうやって助けたらいいのかと悩んでいるときに、街で青年と出会いました。貴族の息子がお忍びといった様子でしたが、魔法使いに親身になって仲良くなりました。そして近く、お城で王子様が結婚相手を選ぶ舞踏会があると教えてもらいました。
「これだ!」
魔法使いは喜びます。
妹が王子様に見初められれば幸せになれるのだと気づきました。しかし舞踏会は招待状がなければ入れません。
困った魔法使いに青年は招待状を差し出しました。
「余った招待状だ。これを門番に見せたら入れるよ」
魔法使いは青年に感謝しました。

そして舞踏会当日。
案の定双子の妹は一人だけ家に残されていました。意地悪な継母も義姉も舞踏会へ行ったのです。
魔法使いは妹の元に初めて姿を見せました。
「シンデレラ。君は幸せになるべきだ。ドレスと馬車を用意したから舞踏会に行きなよ」
しかし妹は首を横に振ります。
「私は好きな人がいるの。それにわざわざ疲れる舞踏会なんて行きたくないわ」
魔法使いはまさか断られるとは思っておらず驚きました。妹はにんまりと笑います。
「私のフリをして舞踏会に行ったらどうかしら」
「自分の姿は変えられないよ」
変身魔法は自分には効かないのです。
「あら、大丈夫よ。貴方、私にそっくりだもの」
どうやら魔法使いの正体はすでに見破られていたようです。
「ね。兄さん」
妹は魔法使いが思うよりずっとタフでした。
「私を助けると思って行ってくれる?面倒な男から必ず来るように言われて困ってるの」
妹にそう言われては断れません。
魔法使いは魔法のドレスを身に纏い、かぼちゃの馬車に乗り込み城へ向かいました。
招待状を門番に渡すと驚かれましたが中へ入れてくれました。不思議に思いながらも華やかな会場に入ると、すぐに誰かに手を取られます。
妹にそう言われては断れません。
魔法使いは魔法のドレスを身に纏い、かぼちゃの馬車に乗り込み城へ向かいました。
招待状を門番に渡すと驚かれましたが中へ入れてくれました。不思議に思いながらも華やかな会場に入ると、すぐに誰かに手を取られます。
これが妹を困らせている奴かと睨んだ先にいたのは、招待状を手配してくれた青年がいました。華やかな外見を今夜はさらに飾り立てています。
そして青年は魔法使いに膝をつきました。
「美しい人。どうか僕と結婚してください」
周りから大歓声が沸き起こります。
「王子、おめでとうございます!」
「これでこの国も安泰です!」
びっくりする魔法使いを抱きかかえて、王子と呼ばれた青年は会場を後にしました。
ベッドに放り投げられた魔法使いは、青年がこの国の王子であり、自分を妹のシンデレラだと勘違いしているのだと分かりました。
「ま、待ってくれ!僕は男なんだ!」
必死の魔法使いのドレスを剥がしながら、王子は笑みを深めます。 
「よく知ってるよ魔法使い」
魔法使いは目を見開きます。自分の正体を青年に告げたことはありませんでした。
「君のことならなんでも知ってる。力のある魔法使いで、妹思いで、ちょっと抜けてて涙もろい。そんな君だから僕は自分のものにしたかったんだ」
へなへなと力が抜ける魔法使いに、王子様はキスをしました。
12時を告げる鐘が響きます。

お忍びで魔法使いと知り合った王子様は、魔法使いに恋をしました。
そして偶然知り合ったシンデレラと共に計画した「舞踏会を用意して魔法使いを引っ張り出す作戦」は成功に終わります。

その後魔法使いが王子様と結婚したことで魔法は人々に大切にされるようになりました。シンデレラも良縁に恵まれ、皆幸せになりましたとさ。

おわり
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