12 / 16
11※R18
しおりを挟む
東に面している寝室に薄っすらと光が差し込んでくると、昨夜から絶えず貪っていた身体がくっきりと眼前に映し出された。
そのを美しい光景を恍惚と見つめていると、恥じ入るように華奢な身体が身をよじる。
彼の身体はこんなにも魅力的であるのに、何を恥じ入ることがあるというのか。
確かに肉付きが薄く平らな腹は、自分よりもずっと柔らかくはあるが、決して女性的ではない。
発育が悪いと言われればそれまでだが、俺には自分が突き上げる度に上下に動くその華奢な腹が堪らなく愛しかった。
小さな尻で自分の可愛いとは言えない大きさのものを懸命に受け入れる様子も一層健気に感じて、胸が疼く程に憐憫の感情が込み上げる。
「ひ………んッ、やッあぁッ。」
可哀想に思う癖に、愛しさが抑えられなくて激しい抽挿を始めると、セツは慌てた様に声を抑えようと口元に手を持っていく。
「んぅッ………。」
それでも抑えきれなかった声は鼻から抜けるように高く響く。
自ら上げた矯声に頬を染める初心な様子は、いつまでも見ていたくなるくらいに可愛かった。
初めて身体を開いた日から、何度この身体を抱いたか分からない。
誰とも経験のなかったセツには、体格の良い自分の相手はさぞ大変だろう。
それなのにセツは一度も俺を拒否したことはない。
初めて身体を繋げた日でさえ、心配する俺を安心させるように大丈夫だと微笑み、幸せだと言ってくれた。
快感から来るものではなく、苦痛を逃がす為の呼吸を繰り返しながらそれでも微笑む彼は胸が締め付けられる程美しかった。
彼と恋人という関係になってから、それなりの時間が経過したけれど、彼への気持ちは少しも変化していない。
大事に甘やかしたい、激しく責め立てたい、そんな感情が、セツに対して際限なく湧いてくる。
こんな相反する感情を抱かれるなんて、セツにすれば戸惑いしかないだろう。
だけど、彼は無償の愛で俺の全てをうけ入れてくれた。これで彼に溺れるなと言う方が無理な話だろう。
セツは俺に幸せを与えてくれる女神のようだ。
不思議なことに、セツと想いが通じ合ってからは良いことばかりが起きる。
ことの始まりに王都で頻繁に起きていたスタンピードがピタリと治まった。
それに続き、今年は近隣の領地では作物が不作だったようで、うち領地の作物を分けて欲しいとの依頼が跡を絶たなかったが、持ち直すことが出来たと、どの領主も向こうから断りの報告を寄越してきたのだ。
いくらうちの領地が潤っているといっても、こうも多くの領主から援助を求められては限りがある。
どの領地に援助を行い、どの領地の援助を断るか、難しい選択に頭を痛めていたが、何の作も講じることなく解決に至ることができた。
同時に複数の問題が片付いたことを些か疑問に感じるが、おかげで騎士団としての仕事も領地の仕事も落ち着いており、セツとの時間をゆっくりと楽しむことができている。
セツと過ごす毎日がただ幸せだった。
だが、最近になってその幸せに水を差す人物がこの屋敷に現れるようになった。
ある日突然、先触れもなくこの屋敷を訪ねてきたのは、大賢者と呼ばれれる老人だった。
騎士団長という立場から何度か顔を合わせことはある。
老人とはおおよそ言い難い、堂々とした人物であったと記憶していたが、エントランスホールでその窶れた顔を見た時は随分驚いた。
頬はこけて目は窪み、明らかに痩せ細っていて、最初は大賢者を名乗る別人が現れたのかと思う程だった。
このところは表舞台で見る機会も減っており、噂では睡眠もそこそこに文献を読み漁ったり、王太子やその側近に訳のわからない進言をしているらしい。
大賢者様は頭がおかしくなったと嘲笑の的になっているとも聞いていたが、その噂は本当なのかもしれない。
そんな人物がなんの用事で俺の屋敷に、それもこんな突然たずねてきたのか……。
面倒に感じる思いを内心に隠して慇懃に尋ねると、大賢者は切羽詰まった様子でセツに会わせて欲しいと言ってきた。
「セツに、一体何のご要件で?」
「……彼に直接話す。」
「話しなら私が言付けましょう。セツはこの国の人間にはあまり良く思われていないので、貴方に怯えるかもしれません。」
理由も話さず会わせろと言う大賢者に反発する思いで断りを入れる。
今更なんの用があると言うのか、召喚の儀でら彼になんの関心も見せず見棄てたくせに。
「彼に直接話なさければいけない。決して危害などは加えないと約束しよう。心配なら同席しても構わない。彼にとっても大切なことだ。」
頑なにこの場で理由を言わない態度に訝しみむが、セツにとって大事なことだと言われてしまえばは譲歩するしかなかった。
もとより大賢者という確固たる地位についている人物の願いを、団長とはいえ一介の騎士である俺が跳ね除けられる訳はないのだが、狂人と疑われる人物をセツには近づけたくなかった。
渋々招き入れた応接間にセツを呼ぶ。
セツは自分への来客に戸惑いながらも、持ち前の優秀さを持って完璧なマナーで入室し、客へと挨拶をした。
そして、その顔を上げた瞬間に「あっ…」と何かに気付いたような表情をした。
「私の事を覚えているのですか」
大賢者もセツの表情に気が付いたようで、セツに自分を覚えているかと問いかける。
「……はい、神子様の召喚の儀の際に同席されていました。」
「そのとおりです。………あの時は貴方に酷いことをした。謝らせて頂きたい。」
大賢者が徐ろに頭を下げる。セツは驚いていたが、俺もセツ同様に驚いていた。
大賢者が王族以外に頭を下げる等、考えられない行為だ。
「そんな、頭を上げてくださいッ…、貴方に謝られるようなことはされていません……。」
セツが助けを求める様にこちらを見て、慌てて俺も声をかける。
「大賢者様が頭を下げるなど、どうか顔を上げてください。」
俺達の説得にも大賢者は礼の姿勢を崩さない。セツは慌てて顔を上げさせようとするが、みだりにこの老人に触れてもよいのか迷っているようだった。
「理不尽に糾弾されているのを助けもしないのは十分罪になる。そのせいで本来なら城で保護するべきところを貴方は牢屋に入れられるところだった。ジューク殿がいなければ今頃どうなっていたのか……。本当に申し訳なかった。」
大賢者は一頻り謝罪の言葉を延べると、やっと顔を上げる。
いっそ可哀想になる程オロオロと狼狽えていたセツはほっとした顔で謝罪を受け入れた。
「もう済んだことです。それに、結果的にこちらのお屋敷に来れて良かったと思っています。」
セツはちらりと俺の方を見つめて、ゆるりと笑みをみせた。その意図に、俺も笑みで返すと、ますます幸せそうに笑みを深める。
「今日は、態々僕に謝ってくださる為にここに来られたのですか?」
「今日は謝罪と……、貴方に話があってきた。」
セツと俺の様子を不思議そうに眺めていた大賢者は、重々しい口調でセツへの話を切り出した。
「今、私はあなたが元の世界に帰る為の方法を探している。私は貴方は元の世界に帰るべきだと思っている。」
意を決した様に賢者が口にした言葉は、到底承服できるものではなかった。
そのを美しい光景を恍惚と見つめていると、恥じ入るように華奢な身体が身をよじる。
彼の身体はこんなにも魅力的であるのに、何を恥じ入ることがあるというのか。
確かに肉付きが薄く平らな腹は、自分よりもずっと柔らかくはあるが、決して女性的ではない。
発育が悪いと言われればそれまでだが、俺には自分が突き上げる度に上下に動くその華奢な腹が堪らなく愛しかった。
小さな尻で自分の可愛いとは言えない大きさのものを懸命に受け入れる様子も一層健気に感じて、胸が疼く程に憐憫の感情が込み上げる。
「ひ………んッ、やッあぁッ。」
可哀想に思う癖に、愛しさが抑えられなくて激しい抽挿を始めると、セツは慌てた様に声を抑えようと口元に手を持っていく。
「んぅッ………。」
それでも抑えきれなかった声は鼻から抜けるように高く響く。
自ら上げた矯声に頬を染める初心な様子は、いつまでも見ていたくなるくらいに可愛かった。
初めて身体を開いた日から、何度この身体を抱いたか分からない。
誰とも経験のなかったセツには、体格の良い自分の相手はさぞ大変だろう。
それなのにセツは一度も俺を拒否したことはない。
初めて身体を繋げた日でさえ、心配する俺を安心させるように大丈夫だと微笑み、幸せだと言ってくれた。
快感から来るものではなく、苦痛を逃がす為の呼吸を繰り返しながらそれでも微笑む彼は胸が締め付けられる程美しかった。
彼と恋人という関係になってから、それなりの時間が経過したけれど、彼への気持ちは少しも変化していない。
大事に甘やかしたい、激しく責め立てたい、そんな感情が、セツに対して際限なく湧いてくる。
こんな相反する感情を抱かれるなんて、セツにすれば戸惑いしかないだろう。
だけど、彼は無償の愛で俺の全てをうけ入れてくれた。これで彼に溺れるなと言う方が無理な話だろう。
セツは俺に幸せを与えてくれる女神のようだ。
不思議なことに、セツと想いが通じ合ってからは良いことばかりが起きる。
ことの始まりに王都で頻繁に起きていたスタンピードがピタリと治まった。
それに続き、今年は近隣の領地では作物が不作だったようで、うち領地の作物を分けて欲しいとの依頼が跡を絶たなかったが、持ち直すことが出来たと、どの領主も向こうから断りの報告を寄越してきたのだ。
いくらうちの領地が潤っているといっても、こうも多くの領主から援助を求められては限りがある。
どの領地に援助を行い、どの領地の援助を断るか、難しい選択に頭を痛めていたが、何の作も講じることなく解決に至ることができた。
同時に複数の問題が片付いたことを些か疑問に感じるが、おかげで騎士団としての仕事も領地の仕事も落ち着いており、セツとの時間をゆっくりと楽しむことができている。
セツと過ごす毎日がただ幸せだった。
だが、最近になってその幸せに水を差す人物がこの屋敷に現れるようになった。
ある日突然、先触れもなくこの屋敷を訪ねてきたのは、大賢者と呼ばれれる老人だった。
騎士団長という立場から何度か顔を合わせことはある。
老人とはおおよそ言い難い、堂々とした人物であったと記憶していたが、エントランスホールでその窶れた顔を見た時は随分驚いた。
頬はこけて目は窪み、明らかに痩せ細っていて、最初は大賢者を名乗る別人が現れたのかと思う程だった。
このところは表舞台で見る機会も減っており、噂では睡眠もそこそこに文献を読み漁ったり、王太子やその側近に訳のわからない進言をしているらしい。
大賢者様は頭がおかしくなったと嘲笑の的になっているとも聞いていたが、その噂は本当なのかもしれない。
そんな人物がなんの用事で俺の屋敷に、それもこんな突然たずねてきたのか……。
面倒に感じる思いを内心に隠して慇懃に尋ねると、大賢者は切羽詰まった様子でセツに会わせて欲しいと言ってきた。
「セツに、一体何のご要件で?」
「……彼に直接話す。」
「話しなら私が言付けましょう。セツはこの国の人間にはあまり良く思われていないので、貴方に怯えるかもしれません。」
理由も話さず会わせろと言う大賢者に反発する思いで断りを入れる。
今更なんの用があると言うのか、召喚の儀でら彼になんの関心も見せず見棄てたくせに。
「彼に直接話なさければいけない。決して危害などは加えないと約束しよう。心配なら同席しても構わない。彼にとっても大切なことだ。」
頑なにこの場で理由を言わない態度に訝しみむが、セツにとって大事なことだと言われてしまえばは譲歩するしかなかった。
もとより大賢者という確固たる地位についている人物の願いを、団長とはいえ一介の騎士である俺が跳ね除けられる訳はないのだが、狂人と疑われる人物をセツには近づけたくなかった。
渋々招き入れた応接間にセツを呼ぶ。
セツは自分への来客に戸惑いながらも、持ち前の優秀さを持って完璧なマナーで入室し、客へと挨拶をした。
そして、その顔を上げた瞬間に「あっ…」と何かに気付いたような表情をした。
「私の事を覚えているのですか」
大賢者もセツの表情に気が付いたようで、セツに自分を覚えているかと問いかける。
「……はい、神子様の召喚の儀の際に同席されていました。」
「そのとおりです。………あの時は貴方に酷いことをした。謝らせて頂きたい。」
大賢者が徐ろに頭を下げる。セツは驚いていたが、俺もセツ同様に驚いていた。
大賢者が王族以外に頭を下げる等、考えられない行為だ。
「そんな、頭を上げてくださいッ…、貴方に謝られるようなことはされていません……。」
セツが助けを求める様にこちらを見て、慌てて俺も声をかける。
「大賢者様が頭を下げるなど、どうか顔を上げてください。」
俺達の説得にも大賢者は礼の姿勢を崩さない。セツは慌てて顔を上げさせようとするが、みだりにこの老人に触れてもよいのか迷っているようだった。
「理不尽に糾弾されているのを助けもしないのは十分罪になる。そのせいで本来なら城で保護するべきところを貴方は牢屋に入れられるところだった。ジューク殿がいなければ今頃どうなっていたのか……。本当に申し訳なかった。」
大賢者は一頻り謝罪の言葉を延べると、やっと顔を上げる。
いっそ可哀想になる程オロオロと狼狽えていたセツはほっとした顔で謝罪を受け入れた。
「もう済んだことです。それに、結果的にこちらのお屋敷に来れて良かったと思っています。」
セツはちらりと俺の方を見つめて、ゆるりと笑みをみせた。その意図に、俺も笑みで返すと、ますます幸せそうに笑みを深める。
「今日は、態々僕に謝ってくださる為にここに来られたのですか?」
「今日は謝罪と……、貴方に話があってきた。」
セツと俺の様子を不思議そうに眺めていた大賢者は、重々しい口調でセツへの話を切り出した。
「今、私はあなたが元の世界に帰る為の方法を探している。私は貴方は元の世界に帰るべきだと思っている。」
意を決した様に賢者が口にした言葉は、到底承服できるものではなかった。
82
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
【BL】声にできない恋
のらねことすていぬ
BL
<年上アルファ×オメガ>
オメガの浅葱(あさぎ)は、アルファである樋沼(ひぬま)の番で共に暮らしている。だけどそれは決して彼に愛されているからではなくて、彼の前の恋人を忘れるために番ったのだ。だけど浅葱は樋沼を好きになってしまっていて……。不器用な両片想いのお話。
婚約破棄を傍観していた令息は、部外者なのにキーパーソンでした
Cleyera
BL
貴族学院の交流の場である大広間で、一人の女子生徒を囲む四人の男子生徒たち
その中に第一王子が含まれていることが周囲を不安にさせ、王子の婚約者である令嬢は「その娼婦を側に置くことをおやめ下さい!」と訴える……ところを見ていた傍観者の話
:注意:
作者は素人です
傍観者視点の話
人(?)×人
安心安全の全年齢!だよ(´∀`*)
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる