【完結】悪役令嬢に仕立てあげられそうですが、私は絵を描きたいだけなんです。

ぴえろん

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婚約することになりました

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それからというもの、私は妖精の力を借りて絵を何枚も完成させた。




それぞれ属性の違う妖精たちだけど、私の想像する色を紙に反映させるのは3人とも容易にできるようだ。

おかげで快適な絵描きライフを送れている。

妖精の魔力による色彩は抜群に良く、前世以上に素晴らしいイラストがたくさん出来ていた。



ああ、なんて幸せなの!!




存分に絵を描ける毎日に恍惚とした表情を浮かべていたのだが、ふいに聞こえた扉のノックする音で我に返った。






「ユリア。私だ。入るぞ。」




こちらの許可は不要とでも言うかのように、ノックするなり入ってきた父親に思わずため息が出た。




私の吐く溜息に不快そうな表情を浮かべた父親だったが、今日はそんな私を責める気は無いらしく、手に持っていた紙を私に差し出してきた。





「お前はこの方と婚約することになった。これは決定事項だ。」




そう言われ紙を見ると、婚約する男の情報が書かれた書類だった。





勝手に決められた婚約者の名前はローザン・モンテヌ。

年齢は、44歳.......。44歳?!?!



ユリアはもうすぐ16歳なわけだから、28歳も離れてるじゃない?!

全く、私があの時ブチ切れて怒ったのに、結局こうなるわけか。



父親の行動に目眩がしてきた。


魔力も無く、芸術の才能がないからといって、なぜ我が子をここまで冷たく扱えるのか私には不思議だった。



妹のローラだけいれば、ユリアはどうでもいいってことか。




どうせこの男に決めた理由なんて、持参金を1番多く払えるからとかそんな理由に違いない。





「来週にはもうお前を迎えに来るそうだ。その前に荷物をまとめなさい。」




父親は1秒も無駄に長居したくないらしく、伝えたい事だけ一方的に言い終わるとすぐに部屋を出ていこうとした。





「一つだけ教えてください。」



私のその言葉に、出て行こうとした父親の足が止まった。



「何だ?」



私を見る顔は相変わらず冷たい。




「何故ローラと同じように愛してくれないのですか?」




どんな返事が返ってくるのかと思うと、ユリア本人じゃないはずなのに心臓が嫌に大きく音を立てる。




父親は少しだけ間を空けてから口を開いた。





「お前がそう感じるのであれば、それは全部お前の責任だ、ユリア。

お前にはこの家で愛される価値が無かったのだ。」





愛される価値.......。



その言葉は、私の心に重たくのしかかって来た。



転生してから割と言いたい事を思うように言い返しているはずだったのに、その時の私は出ていく父親を無言で見送る事しか出来なかった。



妖精が、心配そうな表情を浮かべながら近寄ってきた。




「大丈夫?ユリア.......。」




妖精の言葉に私は笑顔で頷いた。




価値って、誰が決めるんだろう。


私の価値ってなんだろう。




それは確か、転生する直前にも思ったことだ。




1万円の価値すら無い前世の私、愛される価値が無いこの世界のユリア。



本当に私には、何も無いのかな?



そう思いながら、先程描きあげた絵を見つめた。







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