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レインが仲間になりました

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「なんだか、おとぎ話を聞いている気分だよ。」

それは私の話をすべて聞き終えたレインが、最初に発した言葉だった。


「君の妹が本当は妖精だなんて、そんなの是非見てみたいね。

その、人を操ってしまうほどの歌声も一度聞いてみたいし。」



レインらしい感想を述べているが、そんな感想より気になることがある。


「信じてくれるの?この話を。」


私がそう聞くと、レインはきょとんとした顔をした。


「最初に言ったろ?君の話なら信じるって。」


あれは本当にそう思って言っていたのかと驚愕する。

一体この人の胸の内はどうなっているのか、今言っている言葉は本当に本心なのか、心を覗いて確かめたくなる。


「どうしてそんな風に思うの?だって、わたしとあなたは知り合って間もないのに。」


思わず心の声が出てしまった。

そんな私にレインは微笑んだ。


「君が可愛いからさ。」



レインのその答えに一瞬で嫌悪感が湧いた。

顔で人を判断するなんて、私はこの人の事絶対信じられない!


思わず顔をしかめる私に、レインがぷっと吹き出した。

「もしかして、いま僕に引いてる?ユリアって本当に分かりやすいよね。」


そんなに表情に出てたかなと思い、顔をさする。

そんな私を見てレインが再び笑った。



「はあ。いちゃつくのはその辺にしてもらって。」


イグニスが私たちの間に入り、不快感を隠す事なくレインをにらんだ。


「なんだい?ユリアと仲良さげなの僕に嫉妬しているのか?」


「うるさい、話を信じたならさっさと答えろ。
俺たちに協力するのか?それともしないのか?」



イグニスの問いに、レインは宙を見上げ、うーんと唸った。



「そうだなあ。招待状を手に入れるのに協力してあげるのは別にいいけど、それって僕に何か得があるの?」


レインの返しに頭を抱えた。

つまり、見返りを求めているということ?

レインに何を返せば、レインの得になるのだろうか。

伯爵家という身分を捨てた私が、公爵家のレインにしてあげられる事は一体なに?



レインに協力を仰ぐのは失敗だったと思いかけた時、レインが私の手を取った。


「そうだな、君が1日僕とデートしてくれるなら、協力してあげてもいいよ。」


レインが上目遣いで私の顔を見上げる。


不覚にも少しだけ心臓が高鳴った。



「ふざけんな!見返りがいるならお前にはもう頼まない。」


怒り出したイグニスに、まあまあと声を掛けて宥める。


「1日だけなら、いいですよ。」

私がそう言うと、イグニスが勢いよく振り返った。


「ユリア、嫌なら無理しなくていいぞ。招待状なら俺がなんとかするから。」


「君が?いや無理だろう。店で売っているわけじゃないし、君に身分がないならどう考えたって

僕に協力してもらう方が得策だ。そんなことも分からないのか?」

イグニスの発言に、すかさずレインが反論する。


「お前は黙ってろ!」


結局喧嘩が始まってしまう二人にため息が出た。

この二人、どうしてこんなに相性が悪いの・・・?



「二人とも落ち着いて!」


これ以上見ていられなかった私は、イグニスの肩に手をかけ、レインから距離を取れるように引っ張った。


「イグニス、私は大丈夫だから。

レイン、デートしましょう。その代わり、招待状のことをお願いするわ。」


レインが私の言葉に満足げに笑ってみせた。



「決まりだね。じゃ、さっそく今からデートしよう!」




レインが私の手を引き、思い出したように振り返る。


「もちろん、君は付いてくるなよ。」


イグニスに対して忠告するようにそう言った後、再び私を見てほほ笑んだ。


「では行こうか、ユリア。」


レインに手を引かれるがまま馬に乗り、私はレインと再び街へ行く事になってしまった。





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