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そのパーティーは盛大に1
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不安と、緊張と、少し期待を含んだ想いを心の中で抱えつつ、ついに今日、私はその日を迎えた。
朝から雲一つない快晴だった。
窓を開けて、朝の爽やかな空気で肺を満たした。
朝日を全身に浴びながら、眩しさに一瞬目を閉じる。
いよいよ、ローラの婚約パーティーの日がやって来たのだ。
不安だけど、でも。レインもいるし、三人の妖精もいる。
私には今、心強い味方がいる。
ゆっくりと目を開けた。
私はきっと、大丈夫だ。
朝早くから部屋に入ってきたメイドたちが、綺麗に私を飾り付け、ドレスを着せてくれた。
伯爵家のメイド達とは違い、公爵家のメイドたちは私に誠心誠意仕えてくれる。
もちろんそれは、レインのおかげでもあるんだろうけど。
メイドたちの丁寧な仕事のおかげで、完成された私は、今までで一番綺麗だった。
「誰よりも綺麗だよ、ユリア。僕にとって今日の主役は、間違いなく君だ。」
レインが仕上がった私を見て、これ以上ないくらい褒めてくれた。
「ありがとう、レイン。」
「では、行こうか。」
レインが優しく笑って、私に手を差し出した。
なんだか最近、すっかりレインの好意に慣れた私は、ごく自然にレインの手に自分の手を重ねた。
そして私たちは馬車に乗り込み、ローラの婚約パーティーが開かれる城へと向かった。
**************
国中の貴族が招かれたのだろう。
城には多くの馬車が集まっていた。
それだけでなく、ドレスコード以外の、平民服姿の人もたくさん見かけた。
そういった人達は城の中には入らず、庭園に案内されているようだ。
恐らく、見るだけならどんな身分の人でも自由に参加していいのだろう。
ローラの婚約パーティーは、予想以上に規模が大きいらしい。
レインと馬車を降り、城内へ入った。
「招待状はお持ちですか?」
入り口で待機している使用人が、レインに聞いた。
「ああ、もちろん。」
レインが胸元のポケットから長方形の紙を取り出し、使用人に提示した。
「フォールスト公爵様ですね。お待ちしておりました。」
使用人がレインにうやうやしく頭を下げた。
しかしすぐに体を起こし、レインを見つめた。
「フォールスト公爵様、腰元の剣は預かってもよろしいでしょうか?
恐れ入りますが、ローラ様の意向により、本日のパーティーに武器の持ち込みは控えていただきたいのです。」
レインが腰元に差している剣を撫でた。
「困ったな、僕のパートナーの安全を確保するために持っていきたいんだが。
どうしてもだめかな?」
レインがそうお願いしたが、使用人は首を振ってそれを却下した。
「いいや、駄目じゃないよね?」
使用人にそう言いながら近付くレインを見て、一瞬目を見張った。
レインの目が、赤く光ったように見えたからだ。
しかし瞬きをして、目を凝らすと、いつも通りのレインの瞳の色に戻っていた。
き、気のせいかな?
「失礼いたしました、公爵様。ダメではありません。どうぞ、そのままお入りください。」
使用人は先ほどまで武器の持ち込みを頑なに阻止しようとしていたのに、なぜかあっさり了承し中に入れてくれた。
レインが当然のような表情をして、そのまま城内に入っていった。
少し違和感を覚えつつも、置いて行かれないように私も急いでレインの後に続いた。
いよいよ、ローラに会う・・・・・!
緊張から来るのか、不安から来るのか、どちらが原因か分からなくなるほど動悸が激しくなる。
そんな私に気付いたレインが、そっと私の頭を撫でた。
「大丈夫、ユリア。僕がいるから。」
レインの言葉が、馴染むように心の中に入ってくる。
そうだ、そうだった。
私は一人じゃない。
レインを見て頷き、パーティー会場についに足を踏み入れた。
朝から雲一つない快晴だった。
窓を開けて、朝の爽やかな空気で肺を満たした。
朝日を全身に浴びながら、眩しさに一瞬目を閉じる。
いよいよ、ローラの婚約パーティーの日がやって来たのだ。
不安だけど、でも。レインもいるし、三人の妖精もいる。
私には今、心強い味方がいる。
ゆっくりと目を開けた。
私はきっと、大丈夫だ。
朝早くから部屋に入ってきたメイドたちが、綺麗に私を飾り付け、ドレスを着せてくれた。
伯爵家のメイド達とは違い、公爵家のメイドたちは私に誠心誠意仕えてくれる。
もちろんそれは、レインのおかげでもあるんだろうけど。
メイドたちの丁寧な仕事のおかげで、完成された私は、今までで一番綺麗だった。
「誰よりも綺麗だよ、ユリア。僕にとって今日の主役は、間違いなく君だ。」
レインが仕上がった私を見て、これ以上ないくらい褒めてくれた。
「ありがとう、レイン。」
「では、行こうか。」
レインが優しく笑って、私に手を差し出した。
なんだか最近、すっかりレインの好意に慣れた私は、ごく自然にレインの手に自分の手を重ねた。
そして私たちは馬車に乗り込み、ローラの婚約パーティーが開かれる城へと向かった。
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国中の貴族が招かれたのだろう。
城には多くの馬車が集まっていた。
それだけでなく、ドレスコード以外の、平民服姿の人もたくさん見かけた。
そういった人達は城の中には入らず、庭園に案内されているようだ。
恐らく、見るだけならどんな身分の人でも自由に参加していいのだろう。
ローラの婚約パーティーは、予想以上に規模が大きいらしい。
レインと馬車を降り、城内へ入った。
「招待状はお持ちですか?」
入り口で待機している使用人が、レインに聞いた。
「ああ、もちろん。」
レインが胸元のポケットから長方形の紙を取り出し、使用人に提示した。
「フォールスト公爵様ですね。お待ちしておりました。」
使用人がレインにうやうやしく頭を下げた。
しかしすぐに体を起こし、レインを見つめた。
「フォールスト公爵様、腰元の剣は預かってもよろしいでしょうか?
恐れ入りますが、ローラ様の意向により、本日のパーティーに武器の持ち込みは控えていただきたいのです。」
レインが腰元に差している剣を撫でた。
「困ったな、僕のパートナーの安全を確保するために持っていきたいんだが。
どうしてもだめかな?」
レインがそうお願いしたが、使用人は首を振ってそれを却下した。
「いいや、駄目じゃないよね?」
使用人にそう言いながら近付くレインを見て、一瞬目を見張った。
レインの目が、赤く光ったように見えたからだ。
しかし瞬きをして、目を凝らすと、いつも通りのレインの瞳の色に戻っていた。
き、気のせいかな?
「失礼いたしました、公爵様。ダメではありません。どうぞ、そのままお入りください。」
使用人は先ほどまで武器の持ち込みを頑なに阻止しようとしていたのに、なぜかあっさり了承し中に入れてくれた。
レインが当然のような表情をして、そのまま城内に入っていった。
少し違和感を覚えつつも、置いて行かれないように私も急いでレインの後に続いた。
いよいよ、ローラに会う・・・・・!
緊張から来るのか、不安から来るのか、どちらが原因か分からなくなるほど動悸が激しくなる。
そんな私に気付いたレインが、そっと私の頭を撫でた。
「大丈夫、ユリア。僕がいるから。」
レインの言葉が、馴染むように心の中に入ってくる。
そうだ、そうだった。
私は一人じゃない。
レインを見て頷き、パーティー会場についに足を踏み入れた。
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