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レインは私に対して砂糖より甘い1
しおりを挟む馬車を走らせること1時間。
森を抜けて街を走り、ようやくたどり着いたレインの屋敷は、想像通りと言えばその通りだ。
身分にたがわず立派で大きい。
屋敷を見ただけで、高貴な身分だと察することが出来るだろう。
しかし想像以上と言えば、それもその通りだ。
こんなに大きい建物とは想像していなかった。
これはたぶん、私の元居た世界でいう、役所や役場より広くて大きいだろう。
悠然と佇む屋敷に私がすっかり圧倒されていると、レインが横から先に馬車を降りて、私に手を差し出した。
「ようこそ、フォールスト家へ。僕が直接案内するよ。」
レインに言われるがまま馬車を降り、そのまま屋敷へと足を踏み入れた。
「お帰りなさいませ。公爵様。」
屋敷に入ると、両手に綺麗に並んだメイドたちが出迎えてくれた。
「ああ、ただいま。」
軽く手を上げてレインが短く挨拶を返した。
レインって若そうに見えるのに、この屋敷の主人だったの??
てっきり勝手に、公爵家の息子なんだと思っていたのに、公爵本人だったなんて。
「ねえ、レインって、今何歳なの?」
レインにこっそり聞いてみる。
「えーっと、2300歳だったかな?」
「え!?」
・・・ん!?に、2千!?
からかわれているのだろうか。
真面目に答えてくれないレインに少しイラッとした。
「ふざけているのね。もういいわ。」
怒ってそう言うと、レインが申し訳なさそうに笑った。
「ごめん、怒らないで。じゃあ僕って何歳に見える?」
レインから逆にそう聞かれてしまい、うーんと唸る。
何歳だろう。
若そうに見えるけど、公爵家を引き継いでいるってことはもう成人しているのよね。
「23歳?かな?」
何となく浮かんだ数字を疑問形で答えると、レインがにっこりうなずいた。
「うん。合っているよ。」
そうなんだ、23歳か。
それならユリアよりは年上だけど、転生前の私よりは少し年下ね。
だからついつい敬語を忘れてしまうのかもしれない。
「さあ、ここが今日からユリアの部屋だよ。」
そう言われて案内された部屋は、伯爵家で使っていた部屋とは比べ物にならないほど広かった。
王族レベルに匹敵するのではないかと思うほどだ。
私は王族が使う部屋を見たことは無いので、これは完全に憶測だが。
でもそう思ってしまうほど広くて豪華だった。
「本当にこの部屋を、私が使ってもいいのですか?」
「もちろん。この部屋の中で、自由に過ごしてくれ。
足りない物や欲しい物があればすぐに言うんだよ。」
レインにそう言われたが、恐らく足りない物なんて何一つないだろう。
何故なら、部屋には画材道具までそろっていたからだ。
「レインも絵を描くのですか?」
「いいや?描かないよ。」
「では、この屋敷に絵を描く人がいるのですか?」
私の問いにレインは首を振った。
「いいや、誰も描かないよ。」
「では、何故画材道具があるのですか?」
「もちろん、ユリアのためさ。」
レインにそう言われて言葉を失う。
だって、絵を描くのが好きだとレインに打ち明けたのは今日なのだ。
レインはずっと私と一緒にいたのだから、買いに行くのも、それを手配するのも、どう考えても無理だ。
「この画材道具は一体いつ・・・・。」
その言葉の続きは、咄嗟に飲み込んだ。
その代わりに、レインを見上げる。
「これもまた、レインの特別な力で急遽用意したんでしょうか?」
嫌味たっぷりにそう言うと、レインが困ったような顔をして笑った。
「流石ユリア。僕の返事を聞かなくても、答えが分かってきたようだね。」
レインがそう褒めるが、嬉しくはない。
もったいぶらずに、種明かししてくれてもいいのに。
そして、この日から私は、レインの屋敷で相当甘やかされた生活を送ることになってしまう。
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