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傭兵団編
反転攻勢
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「事」の起こりまで一ヶ月と成った頃、クリシュナから自国の高速小型船を使ってとりあえず先行して将が2名送られる
クリシュナには四天王と呼ばれる軍指揮官が居りそのうち二名が送られたのだ
「マリア陛下が将を欲して居られると聞き先行して我らが参りました」と挨拶した
1人は25歳の男性騎士、エドガー=ベルンシュタイン、長身茶の髪で厳しい面持ち如何にも軍の高官という雰囲気だが、男らしいが整った顔でもある、剣と盾を使う「攻守」の騎士である
もう1人は22歳の女性、カルラ=ベルンシュタイン、エドガーの妹であり同じく茶の髪でやはり女性にしては男前という感じの端正な面持ちで。スラッとした体格の同じく剣と盾を使う騎士。
二人は敬礼して礼を取り「宜しくお願いします!」とハキハキと言った
「うーん、お堅い」と思ったが本来伝統的騎士とはこういうモノかもしれないなぁとも思った
「マリア=フルーレイトじゃ、両名とも頼むぞ」
「ハっ!」と言って直立不動で固まった
「じゃ、さっそく試合でもしてもらおうかの」
「え?!」
相手をしたのは勿論グラムとバレンティアだがベルンシュタイン兄妹は及ばず、土下座ポーズで肩で息をして「し、信じられん‥なんという強さ‥」と二人同時に言った
「筋は良いですし、剣と盾を使いますから防御力は高いですな。バレンティア殿は一騎打ち経験が多いですがどの辺りのレベルと思いますか?私では比べる対象が少ないので、イマイチどのくらいの強さと判断つきませんが」
「うーん、武芸者としてなら、うちの隊長より劣るかしら。シャーロットやエリザベートクラスと手を合わせるには二人ががりでもちょっと‥もっと経験を積まないと実戦は厳しいわ」
とグラムとバレンティアに涼しい顔で言われる
「な‥なんと‥、ハイレベル過ぎる‥」
これは困ったという顔でマリアも
「ふむ、では北援軍指揮官ではどうかの?」
「指揮経験は多いでしょうし、行けるのでは?そっちは私よりマシでしょう」
「北もロベールが居りますからな、シャーロットと互角のバレンティア殿にまるで敵わぬとなれば個々の武芸で当たるのは避ければよろしかろう」
「しょうがないのう‥んじゃ、バレンティア殿2対1でもうちょっと相手してやってくれんか?」
「ハァ‥かまいませんが」
と2対1で仕切りなおして戦ってみるが、バレンティアの攻撃をどうにか凌ぎきる、という結果だった
「二人ならいけますね、兄妹だけに息は合ってるし、伊達に盾の騎士ではないわ、守りは強い」
「じゃ、決定じゃの、ご苦労じゃった両者休んでくれ」と言ってマリアは城の自室に帰ったが
兄妹は完全にorzだった、が
「お二人さん、ちょっといい?」
とバレンティアはその後三日、立ち合いをしながらの集中指導を兄妹に行う、驚いた事に3日目終了時点で、遊ばれていたバレンティアを2対1ならそこそこ良い勝負をするようになっていた。これには兄妹自身も驚愕だった
「な、なんでたった三日でここまで差が縮まるんだ、信じられん‥」
「それが元々の実力てだけよ。急に強くなった訳じゃないわ」
「どういう事でしょう‥」
「貴方達って、習った軍剣法をそのまま忠実に練習のまま使ってたでしょ、応用性、実戦性が低いのよ。でも、真剣での上の相手との「斬り合い」となればそうはいかない、怖いし、ためらいもある、相手は強さも技も、武器も毎回違う、ある意味騙し合いな所もある、だから基礎をそのまま使うだけじゃ百戦錬磨の相手にはあっさり見抜かれて遊ばれるだけになるわ」
「な、なるほど」
「でも私と戦って分かったでしょ、虚実織り交ぜて、こっちの動きに対応して自分達の動きを変えて当たるように振り方も考えて変えて」
「はい、たしかに、当たる気がしなかったので、色々考えて、振りを小さく、隙を突かれない様守りの位置や構えも変えて‥」
「そう、刀なんて「当たればいい」のよ、型をそのまま使ったら大振りの隙だらけになるわ。それを実戦の中で自分達で考えて対応するようにしたそれが「個性」よ」
「なんと‥」
「真面目なのはいいけど、それだけじゃダメ、二人は才能もあるし、基礎もしっかりしてる。不幸なのは実戦経験の多い相手と戦った事が無い事よ」
「たしかに、実際本気の斬り合いなどありませんし、戦争もありませんでしたから」
「ええ、後は貴方達次第よ、経験さえ積めばまだまだ伸びるわ、がんばってね」
「あ、ありがとう御座いました!最善を尽くします!」
それをずっと遠くで見ていたマリアもグラムも
「御主の言った通りじゃったのグラム」
「ええ、まず、指導者としても立派な者です、バレンティア殿は「常に最前線で斬り合いをしてきた」ある意味今の時代に置いて最高レベルの実戦経験者ですから」
「うーむ、ますます欲しくなったのう‥」
「私もです」
「惚れたかじーさん」
「ハハハ、私が若ければ即口説いたでしょうな」
「ショットの小僧も強いのだが事、後身の指導となるとなぁ」
「はい、それに我流の傾向が強すぎて余人に教えるのは、将としても武芸者としても頼りになるのですが‥」
「うーん困ったのう‥」
「マリア様その事でご相談が‥」
「うん?」
翌日、更に驚きの事態になったのが「兵二千やる、北援軍指揮を頼む」とマリアに言われた事である
そりゃ驚く、クリシュナの全軍兵が二千なのだから。大軍指揮は騎士の誉れでもあるが。同時にその規模の指揮の経験が無く更にどれほどの相手なのか前日の二人の経験から不安も同じくらいあった
が、マリアは当然知っていたので
「あー、獅子の国の援軍じゃ、向こうの指揮に従って無理せんで良いぞ、まあ、経験を積んでくると良い」
と言われたので「ハ!お任せください!」と受けて出立した
更にもっと驚きだったのがその日の夜、城での会食の後
「え!えええええ!?」とバレンティアが叫んだ「な?私を養女に!?」
なんとグラムがバレンティアを養子にしたいと求めた事である
「バレンティア殿は親族が居りません、我が家に入って銀の国の者としてお迎えしたい」
「うむ、わらわもそなたが居て、後身の指導に当たってくれると有難いと思う」
「し、しかし、急に言われても、そもそも、私はフラウベルトの軍属でありますし」
「と、言うと思ってすでに団長、聖女にも相談済みじゃ」
「?!」
「当人が了承するなら、そうしても良いとの事じゃ」
「たしかに‥団長は「自分の道を見つけたなら何時でも抜けて良い」とは最初から言ってましたが‥」
「ただ、ショット殿も一緒にと思ったのですが、そこは当人に拒否されましたが」
「そ、そうなの?」
「お前を姉と呼ぶなどありえん」じゃそうだ」
「たしかに嫌かも‥」
グラムはこの時本気で頭を下げて頼んだ
「どうか!」と。 バレンティアは悩んでいたようだが、しばらくして「わかりましたお受けします」と返しそれを了承した
「おお!ありがとうバレンティア殿」と手を掴んでブンブンする、この時のグラムは本当に嬉しそうだった
一方マリアはバレンティアの腕に絡み付いて「ふ、ふ、ふ、もう離さんぞ~」としばらくへばり付いていた
「し、しかし、あくまでこの作戦が成功して、生き残っていたらの話です、それで宜しいですね?」
「うむ、ま、御主を死なせるマヌケでは無いよ、安心するがいい」
「それに南の封鎖も出来ねば落ち着かんからな」
翌日、バレンティアとフリットは鏡ごしに二人だけで話した
「いいんでしょうかね?私だけこんな厚遇で迎えられて‥」
「皆自分の行動と選択によって幸せを掴む権利はある、それに、お前は今までその分苦労した。別に私だけ、ではないさ」
「そうなんでしょうか」
「それになぁ、俺としてもお前には最善の道を進んで欲しいと思う、それが俺の救いでもあるんだ」
「‥フリット‥」
「ま、これが最善の道かなんてまだ分からんさ、全部後で分かる事だ。今はより幸せと思われる道を行ってほしい」
「一時は‥貴方を恨みもしたけど、今は感謝してるわ‥ありがとうフリット」
「そう言われると俺もいくらか救われるよ、がんばれよ、これからも」
「はい」
二人にはアーリア=レイズの一件での関わりがあり、双方に因縁があった。が、その過去に区切りが付けられた時でもあった
フラウベルト、銀の国双方の準備が進められる中。一定のメドが双方立ち、マリアから作戦が伝えられる。
「クルベル」奪還作戦である
その作戦を双方の謁見の間の鏡を通して伝えられる。両軍ほぼ責任者全員が集められる
「まず、一月後、わらわの国と、隣国ワールトール、南西クリシュナから、西の最前線への侵攻を行う 当然だがこれは陽動作戦でもあるが攻め落とせるならそのまま攻め落とすつもりじゃ、その為にわらわとグラム、バレンティアらも参戦する。これで向こうの西軍を縛りつける」
「攻め落とせるのですか?」
「ま、そこは展開次第じゃな、正直向こうの軍師の力量が分からん、ただ、基本的には「陽動」が上手く行けばそれでよいのと、向こうの戦力を削ればそれでいい、ついでに、こちらの軍がそちらより一週間程早く出て向こうのクロスランド周辺の援軍も釣る」
「兵力が低下すれば、以降も篭って動けなくなりますからね」
「左様じゃ、で、次にフラウベルト側じゃが機械弓の数はどうじゃ?」
「今30ほどあります、後一ヶ月ありますので倍間に合うかと」
「よかろう、それを10をショットの軍に預けよ、銀の軍は元々弓騎馬があるのでそれでいい。残りを10キャシーの軍に配備、後をアクセルの軍に、「矢」だけは死ぬ程用意しとけよ」
「ハ!」
「以降作られた物は全てフラウベルト主力に回せ。首都の守りを2000だけ残し、全軍クルベル南街道から進軍。投石器も全て配備、こっちがメインじゃ。んで、クルベル東街道から側面を突くのはショットに任せる、こちら方面に迎撃に来るのがシャーロットでも王子でも。武芸者の数と差が厳しい故にキャシー殿も混成軍で攻めさせる。」
「可能性は高くないが、ガレスが機転を利かせて出てきた場合、ロックとアクセルに対応させよ。無理に止める必要は無い。弓と移動で足を止めて時間を稼げばよいこれでクルベル自体の守兵も東に引き込み、戦力分断を図る。釣れるのが大魚であるほど主力が楽になる心してかかれよ」
「応!まかせとけ!」
「南主力は向こうがスカイフェルトにやった様に攻城兵器で敵を釣れ、野戦に持ち込んでここで可能な限り敵を削りたい。上手くすれば攻城戦をやらず済むかもしれぬ。数でも将、武芸者の質でも兵力でも上回るハズ、で、戦術。戦場での策だが‥」
マリアの一連の細か説明をする。その内容に一同「なるほど」と同時に声をあげる
「一つお聞きしたいのですが、こちら方面へのベルフの援軍ですが」
「たぶん来れても各地の治安維持軍をかき集めるくらいじゃろう、多くても1千あるかないかじゃな。しかも時間がかなり掛かるはず。西、南からアリオスを外したのは完全に戦略ミスじゃ」
「それと向こうの欠点は領土が広大過ぎる事、皇帝自ら指揮をしていない事。全軍の統一が連動して居ない事じゃ、それだけ八将の権限が大きい訳じゃが、これを繋ぐ「知略」がアリオス任せなのが痛い。」
「そしてそのアリオスを北に当てた事、か‥」
「左様、せめてシャーロットはクロスランドに置くべきじゃった。あれが西と南の戦略担当であればもう少しマシだったハズ、こちらとしては向こうのミスは有難いがな」
「おそらく、多方面からのベルフからの援軍の速度も考え1月でクルベルを確保せねばならん、時間的余裕はそのくらいじゃが、まあ、たぶんイケるじゃろ」
「わらわの策は以上じゃ、何か質問は?」
一同沈黙して正面を見据える
「では、開始のタイミングはわらわの軍が出てから一週間後じゃ、そのタイミングでフラウベルトも動け。よいな」
一同「ハっ!」
いよいよ、と一同は意気を高め、攻略作戦への準備が整えられる、明確な目標と策が示され、その行動も自然と早まる
そこから18日、アリオス、ロベールが北のベルフ、アルベルト軍に参加する。そこから更に五日
まず、マリア軍が七千の軍勢で宣戦布告と共に南進、2日遅れでワールトール軍が中立街道を3000の兵で南進
同時にクリシュナから1000の兵が北進、後発2軍はベルフとの領土境界線で待機牽制の動きを取る
ベルフの西軍は大わらわだ、この時点で既に兵力差が一万一千対7千だ、即ベルフ側は周辺国から治安維持の兵力を収集を図る、3日後マリア軍はそのままクロスランド北西の最前線「デルタ」の砦に到達する
ベルフ西軍も全軍を挙げて対峙する、出撃したのは首脳部丸ごと集めたエリザベート、ロゼットの軍である
その軍会議の場でエリザベートは怒った
「アリオスが居なくなった途端攻めて来おって!!私なら余裕とでも言いたいのか!」とテーブルを叩き壊す勢いで手を着いた
「落ち着いてください」とも言えなかった、表面的事実だけ見てもそうとしか見えない
「相手はマリア自身が出てきました、数も目的も、本気という事でしょうか」
「何を考えているのか分からん女狐ですからな、あまり表面的な事実で物を捉えるのも危険でしょう」
そこに、マリアから一同を更に激怒させる書が届く
「ワールトールとクリシュナの軍は動かさんで置いてやる、わざわざ同数を揃えて来て「やった」のじゃ、さっさと出て来い、相手してやる」
というとんでもない挑発文である
これにはエリザベートだけで無く他軍官も怒ったがロゼットは
「この様な見え透いた挑発に乗る必要はありません、我らは守れば良いのです」と諌めたがロゼットの参謀でもあるバロンは
「ご尤もですが、この砦は大きくありませんし、篭城と言っても大規模な援軍が期待出来るわけでもありません、また、丘と森に囲まれていますが、正面は平坦な平地、基本的な事として野戦を挑むのは間違いでもありますまい」
と言った為一同も同意。結局同数である事も考慮され、まず、野戦を挑む事になった、こうなってはロゼットも止められないので
「戦うは宜しいが、後ろにはわたくしが居る事を忘れないでください、皆さんが大敗退すれば、わたくしの命もありません」
そう自重を促すのが精々であった
このデルタ砦開戦は全くの同数戦力で開始された、双方縦列陣を敷いて正面決戦、マリアの挑発に怒ったベルフ側はエリザベートを中央最前線に置き百人騎馬と共に突撃して始まる
「大軍に確たる傭兵等必要無い!中央突破で叩き潰せ!」とエリザと共に全軍前進
「全く単純な奴等じゃな」とマリアは最後衛の陣で言ったが
同席したバレンティアは「余り怒らせると後が怖いですが‥相手しなきゃ成らないのは私ですし」と返した
「ハハハ、心配いらぬ、暫くはわらわの実験で遊ばせて貰う」
「実験ですか?‥」
「うむ、あのクラスの最強武芸者に戦術でどれだけやれるか色々考えて来た、全部試させてもらう当面バレンティアもここで観戦してて良いぞ」
「は、はい」
と言った通り、マリアは自軍の兵の戦法だけでそれに対応した「中央突破が好きならそれをさせてやろう」と
只管先行して突撃してくる百人騎馬らに、本当に中央を開けて通してやった。軍を3体にY字に分け散会、即時軍を中央突破する相手に返して3方包囲攻撃を弓と長槍で敢行、相手の本隊に辿り着くまでも無く突かれ、後退させた
体勢を整え、2度目の突撃を敢行する敵軍
今度はそれに合わせて引き、後退しながら先頭集団に弓を浴びせかけ足止め。逆反撃して後退させる
3度目、突形陣で攻めてくる相手に自軍を左右に分け挟撃して叩きのめす
「うーん、もう少し工夫せんとこのまま負けるぞベルフは」
ここで一日目が終了
翌、4度目、流石にこのままではまずいと正当戦法を取る、左右中央に陣を分け前進攻撃、そこにエリザベートの騎馬隊が何時もの側面攻撃をかけてくる
「正攻法じゃと奇計は難しいのう」と正面から受ける、が
「出番じゃなエリザベートの例の戦法の、対処を頼む、時間稼ぎだけでよいぞ」
そうマリアに指示を受けたバレンティアが出撃、矛を率いてエリザベートの騎馬の左側面攻撃に対処するこれには向こうも驚いた
「な?!ライティスの矛だと!?しかも貴様か!」
「マリアは全部お見通し、らしいわよ」
「おのれ!」
とエリザベートとバレンティアは部隊同士での戦闘開始、マリアに言われた通りここはバレンティアは守備に配分して戦い、戦闘を引き伸ばす
「よし、クルツ、カティ、パティ出番じゃ」
クルツに弓騎馬を率いさせ200名で百人騎馬の横からすれ違う様に、遠距離からクロスボウを撃ち尽くす、部隊同士が戦っている横からイキナリ矢を浴びせられ、混乱する
しかも、自動発射弓で一切剣を合わせず、打ちつくしては離れ、装填しては接近して撃ちを繰り返す
これはたまらず、エリザベートを撤退させる、が、今度は百人騎馬がやっていた事を逆に矛にやられ、ベルフ軍の右翼にサイドアタックを掛け突き崩す
「次はグラムの出番じゃ、左翼前線に出て向こうの右翼を突き崩せ」
「ハ!」とグラムが左翼を指揮して突撃、サイドアタックと呼応して一気に敵右翼を叩く
これに対処しようと百人騎馬も再出撃するが、バレンティアは付き合わず後退しつつクルツらが弓を打ちつくして引き。グラムがそのまま前進してベルフの右翼を押しきる
そうなるとエリザベートが敵中孤立になるためやむなく騎馬隊と共に撤退
散々に陣が崩されベルフ側は全軍後退、再編を行うがマリア軍も「もういいだろう」と合わせて一時後退して休戦し
二日目も終了する
この時点で兵力が 6700対6120と成り圧倒的にマリア軍優勢であったもうバレンティアら団の一団も初めて目にするマリアの戦術に感嘆の溜息しかでなかった
流石にここまで翻弄され、兵力を失うとベルフ軍も余計な事が出来なくなり、明けて三日目も同陣形で対処するが守勢中心にならざる得ない
ここで急報が入る、遂に南方フラウベルトが動いたのだ
まず、援軍で南方地域に配属させていたショットの軍がスカイフェルト砦から大回りで出撃、数二千攻める先はクルベルしかなく、クルベルのベルフ軍側も城から出て東街道側に出て陣を敷く、対処に出たのはカリス王子の軍四千である
が、同時にシャーロットは兵に指示を出しスエズに向かわせる。城の備えをしながら本国への一応の援軍要請も出す
「尤も、そんな余裕は無いでしょうが‥」
シャーロットが呟いた通り、来ても精々予め回すと言っていた1千か二千だろうと見積もっていた
「始まったか」と情報を受け取ったマリアは後は遊び続ければ良く、様々な攻めを展開する。3陣分けしてぶつかり合う軍の両翼外から高速騎馬や弓で嫌がらせ側面攻撃を浴びせたり。一時引いて敵を引っ張り出して先頭集団に逆攻勢を掛けて潰したり
兵力差が出来たので左右両翼から更に左右に二陣に分け3対5陣にして半包囲戦法を展開したりと「やってみようかな?」と思った事を次々行い全て成功させた
同日南方連合側に最初に出撃した銀の軍のショットがカリス王子の軍と開戦、数が劣勢である為押されていきなり下がる事になる。
同時、カサフ側から移動したキャシー=ゴールドの軍が1千出撃、街道T字交差点でカリス軍に側面攻撃を掛ける、数の不利をカバーさせる為に敵を引きずり出してこの位置まで下がった
「だろうとは思ったが‥数も武芸者もこちらが上のハズ」
とロズエルの三姉妹に前線を任せつつ迎撃と反撃を繰り返す
「こっちは妹の二人かよ」
「なめるな!銀の軍の弱将ごときが」
二対一のショットとロズエル妹二人の前線打ち合いが始まるがほぼ互角だった「銀の国はグラム以外ゴミ将しか居ないんじゃなかったのか?!」とカレンもフレアも叫んだが
「銀の国の新将、ショットガルド様だ、覚えとけクソガキ共」
「なんだとー!!」
一方側面突撃への対処で軍を割って前線を率いるコーネリア、当初はその武力で押し返したがここでキャシーが前に出て止める
「海の一族のキャシーだ、お相手いたす」
「ちょこざいな、男女が!」
とこれまたぶつかり合うがこちらもほぼ互角、全軍では数の差はあるが、街道に全軍配置できる訳でも無く二正面作戦の展開で接線を繰り広げた
両軍ぶつかり合いが始まった情報を受け取り、フラウベルトからも、予めフラウベルトとテイブの境界線に配置した準備万端で待ち構えていた軍が、クルベル南の自治区テイブから即時北進する
数は六千、残ったメンバーほぼ全て出しての出撃である
向かうはクルベルへの南街道である
クリシュナには四天王と呼ばれる軍指揮官が居りそのうち二名が送られたのだ
「マリア陛下が将を欲して居られると聞き先行して我らが参りました」と挨拶した
1人は25歳の男性騎士、エドガー=ベルンシュタイン、長身茶の髪で厳しい面持ち如何にも軍の高官という雰囲気だが、男らしいが整った顔でもある、剣と盾を使う「攻守」の騎士である
もう1人は22歳の女性、カルラ=ベルンシュタイン、エドガーの妹であり同じく茶の髪でやはり女性にしては男前という感じの端正な面持ちで。スラッとした体格の同じく剣と盾を使う騎士。
二人は敬礼して礼を取り「宜しくお願いします!」とハキハキと言った
「うーん、お堅い」と思ったが本来伝統的騎士とはこういうモノかもしれないなぁとも思った
「マリア=フルーレイトじゃ、両名とも頼むぞ」
「ハっ!」と言って直立不動で固まった
「じゃ、さっそく試合でもしてもらおうかの」
「え?!」
相手をしたのは勿論グラムとバレンティアだがベルンシュタイン兄妹は及ばず、土下座ポーズで肩で息をして「し、信じられん‥なんという強さ‥」と二人同時に言った
「筋は良いですし、剣と盾を使いますから防御力は高いですな。バレンティア殿は一騎打ち経験が多いですがどの辺りのレベルと思いますか?私では比べる対象が少ないので、イマイチどのくらいの強さと判断つきませんが」
「うーん、武芸者としてなら、うちの隊長より劣るかしら。シャーロットやエリザベートクラスと手を合わせるには二人ががりでもちょっと‥もっと経験を積まないと実戦は厳しいわ」
とグラムとバレンティアに涼しい顔で言われる
「な‥なんと‥、ハイレベル過ぎる‥」
これは困ったという顔でマリアも
「ふむ、では北援軍指揮官ではどうかの?」
「指揮経験は多いでしょうし、行けるのでは?そっちは私よりマシでしょう」
「北もロベールが居りますからな、シャーロットと互角のバレンティア殿にまるで敵わぬとなれば個々の武芸で当たるのは避ければよろしかろう」
「しょうがないのう‥んじゃ、バレンティア殿2対1でもうちょっと相手してやってくれんか?」
「ハァ‥かまいませんが」
と2対1で仕切りなおして戦ってみるが、バレンティアの攻撃をどうにか凌ぎきる、という結果だった
「二人ならいけますね、兄妹だけに息は合ってるし、伊達に盾の騎士ではないわ、守りは強い」
「じゃ、決定じゃの、ご苦労じゃった両者休んでくれ」と言ってマリアは城の自室に帰ったが
兄妹は完全にorzだった、が
「お二人さん、ちょっといい?」
とバレンティアはその後三日、立ち合いをしながらの集中指導を兄妹に行う、驚いた事に3日目終了時点で、遊ばれていたバレンティアを2対1ならそこそこ良い勝負をするようになっていた。これには兄妹自身も驚愕だった
「な、なんでたった三日でここまで差が縮まるんだ、信じられん‥」
「それが元々の実力てだけよ。急に強くなった訳じゃないわ」
「どういう事でしょう‥」
「貴方達って、習った軍剣法をそのまま忠実に練習のまま使ってたでしょ、応用性、実戦性が低いのよ。でも、真剣での上の相手との「斬り合い」となればそうはいかない、怖いし、ためらいもある、相手は強さも技も、武器も毎回違う、ある意味騙し合いな所もある、だから基礎をそのまま使うだけじゃ百戦錬磨の相手にはあっさり見抜かれて遊ばれるだけになるわ」
「な、なるほど」
「でも私と戦って分かったでしょ、虚実織り交ぜて、こっちの動きに対応して自分達の動きを変えて当たるように振り方も考えて変えて」
「はい、たしかに、当たる気がしなかったので、色々考えて、振りを小さく、隙を突かれない様守りの位置や構えも変えて‥」
「そう、刀なんて「当たればいい」のよ、型をそのまま使ったら大振りの隙だらけになるわ。それを実戦の中で自分達で考えて対応するようにしたそれが「個性」よ」
「なんと‥」
「真面目なのはいいけど、それだけじゃダメ、二人は才能もあるし、基礎もしっかりしてる。不幸なのは実戦経験の多い相手と戦った事が無い事よ」
「たしかに、実際本気の斬り合いなどありませんし、戦争もありませんでしたから」
「ええ、後は貴方達次第よ、経験さえ積めばまだまだ伸びるわ、がんばってね」
「あ、ありがとう御座いました!最善を尽くします!」
それをずっと遠くで見ていたマリアもグラムも
「御主の言った通りじゃったのグラム」
「ええ、まず、指導者としても立派な者です、バレンティア殿は「常に最前線で斬り合いをしてきた」ある意味今の時代に置いて最高レベルの実戦経験者ですから」
「うーむ、ますます欲しくなったのう‥」
「私もです」
「惚れたかじーさん」
「ハハハ、私が若ければ即口説いたでしょうな」
「ショットの小僧も強いのだが事、後身の指導となるとなぁ」
「はい、それに我流の傾向が強すぎて余人に教えるのは、将としても武芸者としても頼りになるのですが‥」
「うーん困ったのう‥」
「マリア様その事でご相談が‥」
「うん?」
翌日、更に驚きの事態になったのが「兵二千やる、北援軍指揮を頼む」とマリアに言われた事である
そりゃ驚く、クリシュナの全軍兵が二千なのだから。大軍指揮は騎士の誉れでもあるが。同時にその規模の指揮の経験が無く更にどれほどの相手なのか前日の二人の経験から不安も同じくらいあった
が、マリアは当然知っていたので
「あー、獅子の国の援軍じゃ、向こうの指揮に従って無理せんで良いぞ、まあ、経験を積んでくると良い」
と言われたので「ハ!お任せください!」と受けて出立した
更にもっと驚きだったのがその日の夜、城での会食の後
「え!えええええ!?」とバレンティアが叫んだ「な?私を養女に!?」
なんとグラムがバレンティアを養子にしたいと求めた事である
「バレンティア殿は親族が居りません、我が家に入って銀の国の者としてお迎えしたい」
「うむ、わらわもそなたが居て、後身の指導に当たってくれると有難いと思う」
「し、しかし、急に言われても、そもそも、私はフラウベルトの軍属でありますし」
「と、言うと思ってすでに団長、聖女にも相談済みじゃ」
「?!」
「当人が了承するなら、そうしても良いとの事じゃ」
「たしかに‥団長は「自分の道を見つけたなら何時でも抜けて良い」とは最初から言ってましたが‥」
「ただ、ショット殿も一緒にと思ったのですが、そこは当人に拒否されましたが」
「そ、そうなの?」
「お前を姉と呼ぶなどありえん」じゃそうだ」
「たしかに嫌かも‥」
グラムはこの時本気で頭を下げて頼んだ
「どうか!」と。 バレンティアは悩んでいたようだが、しばらくして「わかりましたお受けします」と返しそれを了承した
「おお!ありがとうバレンティア殿」と手を掴んでブンブンする、この時のグラムは本当に嬉しそうだった
一方マリアはバレンティアの腕に絡み付いて「ふ、ふ、ふ、もう離さんぞ~」としばらくへばり付いていた
「し、しかし、あくまでこの作戦が成功して、生き残っていたらの話です、それで宜しいですね?」
「うむ、ま、御主を死なせるマヌケでは無いよ、安心するがいい」
「それに南の封鎖も出来ねば落ち着かんからな」
翌日、バレンティアとフリットは鏡ごしに二人だけで話した
「いいんでしょうかね?私だけこんな厚遇で迎えられて‥」
「皆自分の行動と選択によって幸せを掴む権利はある、それに、お前は今までその分苦労した。別に私だけ、ではないさ」
「そうなんでしょうか」
「それになぁ、俺としてもお前には最善の道を進んで欲しいと思う、それが俺の救いでもあるんだ」
「‥フリット‥」
「ま、これが最善の道かなんてまだ分からんさ、全部後で分かる事だ。今はより幸せと思われる道を行ってほしい」
「一時は‥貴方を恨みもしたけど、今は感謝してるわ‥ありがとうフリット」
「そう言われると俺もいくらか救われるよ、がんばれよ、これからも」
「はい」
二人にはアーリア=レイズの一件での関わりがあり、双方に因縁があった。が、その過去に区切りが付けられた時でもあった
フラウベルト、銀の国双方の準備が進められる中。一定のメドが双方立ち、マリアから作戦が伝えられる。
「クルベル」奪還作戦である
その作戦を双方の謁見の間の鏡を通して伝えられる。両軍ほぼ責任者全員が集められる
「まず、一月後、わらわの国と、隣国ワールトール、南西クリシュナから、西の最前線への侵攻を行う 当然だがこれは陽動作戦でもあるが攻め落とせるならそのまま攻め落とすつもりじゃ、その為にわらわとグラム、バレンティアらも参戦する。これで向こうの西軍を縛りつける」
「攻め落とせるのですか?」
「ま、そこは展開次第じゃな、正直向こうの軍師の力量が分からん、ただ、基本的には「陽動」が上手く行けばそれでよいのと、向こうの戦力を削ればそれでいい、ついでに、こちらの軍がそちらより一週間程早く出て向こうのクロスランド周辺の援軍も釣る」
「兵力が低下すれば、以降も篭って動けなくなりますからね」
「左様じゃ、で、次にフラウベルト側じゃが機械弓の数はどうじゃ?」
「今30ほどあります、後一ヶ月ありますので倍間に合うかと」
「よかろう、それを10をショットの軍に預けよ、銀の軍は元々弓騎馬があるのでそれでいい。残りを10キャシーの軍に配備、後をアクセルの軍に、「矢」だけは死ぬ程用意しとけよ」
「ハ!」
「以降作られた物は全てフラウベルト主力に回せ。首都の守りを2000だけ残し、全軍クルベル南街道から進軍。投石器も全て配備、こっちがメインじゃ。んで、クルベル東街道から側面を突くのはショットに任せる、こちら方面に迎撃に来るのがシャーロットでも王子でも。武芸者の数と差が厳しい故にキャシー殿も混成軍で攻めさせる。」
「可能性は高くないが、ガレスが機転を利かせて出てきた場合、ロックとアクセルに対応させよ。無理に止める必要は無い。弓と移動で足を止めて時間を稼げばよいこれでクルベル自体の守兵も東に引き込み、戦力分断を図る。釣れるのが大魚であるほど主力が楽になる心してかかれよ」
「応!まかせとけ!」
「南主力は向こうがスカイフェルトにやった様に攻城兵器で敵を釣れ、野戦に持ち込んでここで可能な限り敵を削りたい。上手くすれば攻城戦をやらず済むかもしれぬ。数でも将、武芸者の質でも兵力でも上回るハズ、で、戦術。戦場での策だが‥」
マリアの一連の細か説明をする。その内容に一同「なるほど」と同時に声をあげる
「一つお聞きしたいのですが、こちら方面へのベルフの援軍ですが」
「たぶん来れても各地の治安維持軍をかき集めるくらいじゃろう、多くても1千あるかないかじゃな。しかも時間がかなり掛かるはず。西、南からアリオスを外したのは完全に戦略ミスじゃ」
「それと向こうの欠点は領土が広大過ぎる事、皇帝自ら指揮をしていない事。全軍の統一が連動して居ない事じゃ、それだけ八将の権限が大きい訳じゃが、これを繋ぐ「知略」がアリオス任せなのが痛い。」
「そしてそのアリオスを北に当てた事、か‥」
「左様、せめてシャーロットはクロスランドに置くべきじゃった。あれが西と南の戦略担当であればもう少しマシだったハズ、こちらとしては向こうのミスは有難いがな」
「おそらく、多方面からのベルフからの援軍の速度も考え1月でクルベルを確保せねばならん、時間的余裕はそのくらいじゃが、まあ、たぶんイケるじゃろ」
「わらわの策は以上じゃ、何か質問は?」
一同沈黙して正面を見据える
「では、開始のタイミングはわらわの軍が出てから一週間後じゃ、そのタイミングでフラウベルトも動け。よいな」
一同「ハっ!」
いよいよ、と一同は意気を高め、攻略作戦への準備が整えられる、明確な目標と策が示され、その行動も自然と早まる
そこから18日、アリオス、ロベールが北のベルフ、アルベルト軍に参加する。そこから更に五日
まず、マリア軍が七千の軍勢で宣戦布告と共に南進、2日遅れでワールトール軍が中立街道を3000の兵で南進
同時にクリシュナから1000の兵が北進、後発2軍はベルフとの領土境界線で待機牽制の動きを取る
ベルフの西軍は大わらわだ、この時点で既に兵力差が一万一千対7千だ、即ベルフ側は周辺国から治安維持の兵力を収集を図る、3日後マリア軍はそのままクロスランド北西の最前線「デルタ」の砦に到達する
ベルフ西軍も全軍を挙げて対峙する、出撃したのは首脳部丸ごと集めたエリザベート、ロゼットの軍である
その軍会議の場でエリザベートは怒った
「アリオスが居なくなった途端攻めて来おって!!私なら余裕とでも言いたいのか!」とテーブルを叩き壊す勢いで手を着いた
「落ち着いてください」とも言えなかった、表面的事実だけ見てもそうとしか見えない
「相手はマリア自身が出てきました、数も目的も、本気という事でしょうか」
「何を考えているのか分からん女狐ですからな、あまり表面的な事実で物を捉えるのも危険でしょう」
そこに、マリアから一同を更に激怒させる書が届く
「ワールトールとクリシュナの軍は動かさんで置いてやる、わざわざ同数を揃えて来て「やった」のじゃ、さっさと出て来い、相手してやる」
というとんでもない挑発文である
これにはエリザベートだけで無く他軍官も怒ったがロゼットは
「この様な見え透いた挑発に乗る必要はありません、我らは守れば良いのです」と諌めたがロゼットの参謀でもあるバロンは
「ご尤もですが、この砦は大きくありませんし、篭城と言っても大規模な援軍が期待出来るわけでもありません、また、丘と森に囲まれていますが、正面は平坦な平地、基本的な事として野戦を挑むのは間違いでもありますまい」
と言った為一同も同意。結局同数である事も考慮され、まず、野戦を挑む事になった、こうなってはロゼットも止められないので
「戦うは宜しいが、後ろにはわたくしが居る事を忘れないでください、皆さんが大敗退すれば、わたくしの命もありません」
そう自重を促すのが精々であった
このデルタ砦開戦は全くの同数戦力で開始された、双方縦列陣を敷いて正面決戦、マリアの挑発に怒ったベルフ側はエリザベートを中央最前線に置き百人騎馬と共に突撃して始まる
「大軍に確たる傭兵等必要無い!中央突破で叩き潰せ!」とエリザと共に全軍前進
「全く単純な奴等じゃな」とマリアは最後衛の陣で言ったが
同席したバレンティアは「余り怒らせると後が怖いですが‥相手しなきゃ成らないのは私ですし」と返した
「ハハハ、心配いらぬ、暫くはわらわの実験で遊ばせて貰う」
「実験ですか?‥」
「うむ、あのクラスの最強武芸者に戦術でどれだけやれるか色々考えて来た、全部試させてもらう当面バレンティアもここで観戦してて良いぞ」
「は、はい」
と言った通り、マリアは自軍の兵の戦法だけでそれに対応した「中央突破が好きならそれをさせてやろう」と
只管先行して突撃してくる百人騎馬らに、本当に中央を開けて通してやった。軍を3体にY字に分け散会、即時軍を中央突破する相手に返して3方包囲攻撃を弓と長槍で敢行、相手の本隊に辿り着くまでも無く突かれ、後退させた
体勢を整え、2度目の突撃を敢行する敵軍
今度はそれに合わせて引き、後退しながら先頭集団に弓を浴びせかけ足止め。逆反撃して後退させる
3度目、突形陣で攻めてくる相手に自軍を左右に分け挟撃して叩きのめす
「うーん、もう少し工夫せんとこのまま負けるぞベルフは」
ここで一日目が終了
翌、4度目、流石にこのままではまずいと正当戦法を取る、左右中央に陣を分け前進攻撃、そこにエリザベートの騎馬隊が何時もの側面攻撃をかけてくる
「正攻法じゃと奇計は難しいのう」と正面から受ける、が
「出番じゃなエリザベートの例の戦法の、対処を頼む、時間稼ぎだけでよいぞ」
そうマリアに指示を受けたバレンティアが出撃、矛を率いてエリザベートの騎馬の左側面攻撃に対処するこれには向こうも驚いた
「な?!ライティスの矛だと!?しかも貴様か!」
「マリアは全部お見通し、らしいわよ」
「おのれ!」
とエリザベートとバレンティアは部隊同士での戦闘開始、マリアに言われた通りここはバレンティアは守備に配分して戦い、戦闘を引き伸ばす
「よし、クルツ、カティ、パティ出番じゃ」
クルツに弓騎馬を率いさせ200名で百人騎馬の横からすれ違う様に、遠距離からクロスボウを撃ち尽くす、部隊同士が戦っている横からイキナリ矢を浴びせられ、混乱する
しかも、自動発射弓で一切剣を合わせず、打ちつくしては離れ、装填しては接近して撃ちを繰り返す
これはたまらず、エリザベートを撤退させる、が、今度は百人騎馬がやっていた事を逆に矛にやられ、ベルフ軍の右翼にサイドアタックを掛け突き崩す
「次はグラムの出番じゃ、左翼前線に出て向こうの右翼を突き崩せ」
「ハ!」とグラムが左翼を指揮して突撃、サイドアタックと呼応して一気に敵右翼を叩く
これに対処しようと百人騎馬も再出撃するが、バレンティアは付き合わず後退しつつクルツらが弓を打ちつくして引き。グラムがそのまま前進してベルフの右翼を押しきる
そうなるとエリザベートが敵中孤立になるためやむなく騎馬隊と共に撤退
散々に陣が崩されベルフ側は全軍後退、再編を行うがマリア軍も「もういいだろう」と合わせて一時後退して休戦し
二日目も終了する
この時点で兵力が 6700対6120と成り圧倒的にマリア軍優勢であったもうバレンティアら団の一団も初めて目にするマリアの戦術に感嘆の溜息しかでなかった
流石にここまで翻弄され、兵力を失うとベルフ軍も余計な事が出来なくなり、明けて三日目も同陣形で対処するが守勢中心にならざる得ない
ここで急報が入る、遂に南方フラウベルトが動いたのだ
まず、援軍で南方地域に配属させていたショットの軍がスカイフェルト砦から大回りで出撃、数二千攻める先はクルベルしかなく、クルベルのベルフ軍側も城から出て東街道側に出て陣を敷く、対処に出たのはカリス王子の軍四千である
が、同時にシャーロットは兵に指示を出しスエズに向かわせる。城の備えをしながら本国への一応の援軍要請も出す
「尤も、そんな余裕は無いでしょうが‥」
シャーロットが呟いた通り、来ても精々予め回すと言っていた1千か二千だろうと見積もっていた
「始まったか」と情報を受け取ったマリアは後は遊び続ければ良く、様々な攻めを展開する。3陣分けしてぶつかり合う軍の両翼外から高速騎馬や弓で嫌がらせ側面攻撃を浴びせたり。一時引いて敵を引っ張り出して先頭集団に逆攻勢を掛けて潰したり
兵力差が出来たので左右両翼から更に左右に二陣に分け3対5陣にして半包囲戦法を展開したりと「やってみようかな?」と思った事を次々行い全て成功させた
同日南方連合側に最初に出撃した銀の軍のショットがカリス王子の軍と開戦、数が劣勢である為押されていきなり下がる事になる。
同時、カサフ側から移動したキャシー=ゴールドの軍が1千出撃、街道T字交差点でカリス軍に側面攻撃を掛ける、数の不利をカバーさせる為に敵を引きずり出してこの位置まで下がった
「だろうとは思ったが‥数も武芸者もこちらが上のハズ」
とロズエルの三姉妹に前線を任せつつ迎撃と反撃を繰り返す
「こっちは妹の二人かよ」
「なめるな!銀の軍の弱将ごときが」
二対一のショットとロズエル妹二人の前線打ち合いが始まるがほぼ互角だった「銀の国はグラム以外ゴミ将しか居ないんじゃなかったのか?!」とカレンもフレアも叫んだが
「銀の国の新将、ショットガルド様だ、覚えとけクソガキ共」
「なんだとー!!」
一方側面突撃への対処で軍を割って前線を率いるコーネリア、当初はその武力で押し返したがここでキャシーが前に出て止める
「海の一族のキャシーだ、お相手いたす」
「ちょこざいな、男女が!」
とこれまたぶつかり合うがこちらもほぼ互角、全軍では数の差はあるが、街道に全軍配置できる訳でも無く二正面作戦の展開で接線を繰り広げた
両軍ぶつかり合いが始まった情報を受け取り、フラウベルトからも、予めフラウベルトとテイブの境界線に配置した準備万端で待ち構えていた軍が、クルベル南の自治区テイブから即時北進する
数は六千、残ったメンバーほぼ全て出しての出撃である
向かうはクルベルへの南街道である
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