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焦り
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桜子が来て一か月半程経過し、彼女も大分現場に慣れた事もあり徐々に研修的なバイク隊での移動から当人の希望もあり少数パトロールや個人の判断の自由行動に移行する
勿論、彼女の判断としてもあまり単身行動は危険なので当初は他のメンツとの共同もあるが、桜子は特に晴海との行動を希望した
此れは彼女自身が泰斗に与えられた命を果たそうという意図もある、別にスパイしている感覚はあまりなく
「晴海はどう考えているのか」
という意思をなるべく知っておこうという意味合いが強く自然近くに居る事が多く成った
晴海に疑うという概念があまり無いだけに無理にスパイする必要も無く、必要な事は簡単に得られたともいうが。何しろ、ペアの同行パトロールの合間の雑談でも、学校でも
私的な事に限って晴海は「隠す」という事をあまりしないから
「前回の会合で、次代の候補に並べられたと聞きましたが?…」
と恐る恐る問うても、別に「余計な事を聞くな」という対応もされなく非常にやり易かった
「うーん、僕も泰斗兄さんが継ぐのは決定だと思ってたから少し混乱はしているね…」
「次男なのですから候補には違いないのでは?」
「いや、僕は家から離れた場所で育てられたし、いわゆる帝王学的なモノも受けてない、家族と会う事も稀だし、期待もされていないだろう…とは思ってたし」
「そうなんですか」
「先日の集まりでいきなりだし、兄さんの成人まで直ぐだし、まさかて感じだね」
「では候補とか次代とかは考えて無いのですか?」
「今まで武芸とか中心に一般教育しか受けてないしなぁ…正直やれて言われても困るんだよね…。確かに退魔の家だから退魔の力があるのは望ましいんだろうけど、いきなり武闘派集団にする訳でもないし、僕は別に剣術とか凄い強い事もないし」
「でもランク最初からCですよね?」
「まあ、そうなんだけど、物理的戦闘の話だとそんな強くないよ…レイナさん、名雪さん、メイちゃんのがフツーに強いし…霊力だけやたらあるからランク高いだけだしね…」
「な、なるほど」
素で晴海の場合そんな感じなので聞き出す、という概念すら桜子を持たなかったのもあるが
事件は本来、状況が変わっていなければ起こらないハズの事だった、予報も無し、通報も無し、事件性無しで、実害無しの偶発的な出来事で時間も二十二時
桜子は環境が変わった事が大きく、無理をしている訳でもなく、特に割り当てられている警戒任務でもなく、自発的パトロールをする事が多い。その日も特に予報も通報もなく平和と思われた
が、彼女は日常でも常に、グラスを装備している、それも明確な意図があった訳でもなく、単に
「霊力値が多い所で事件発生率が高いハズ」
「一月過ぎたけどコレと言った事件に関わっていない」
「小物以外にも実際見てみたい」
という、これまで自分には出来なかった事が出来るのだから積極的に自分の方から探す、そういう漠然とした願望と意識していない焦りが根源にあったからだ
そうして、東京湾に沿って南西をバイクで流し思いのほか遠出に成った
「今日も何も無し、事件は多いと聞いていたけどまだ遭遇はないな」
そう思った所で。眼鏡に反応があった
本来ならあまり気にしない程度の数字だ。これまでも何度もあった事だし、実際、数字は大きくない、普通の人間でも多い人は多い訳で、実際線量計頼りの捜査は空振りが多い
「霊力値150少しか…どうしよう」とは自身も思ったのが
「せっかく遠出したのだから」と、桜子は一応確認に向かう
それが出来たのも、本来「ちょっと多い」くらいの数字は街中だと、略、表示されない。サンマの捕獲網にタコが混じっても分かりはしないのと同じことで、この時間の、極めて人、混じりの無い環境だから見えた、故に偶発的な本来起こらない事件なのである
そのままバイクを低速で走らせ、線量計と同時にサーモグラフを起動し示された方向を向かう。
当然夜の殺風景な湾岸の小さな道路なので人等も殆ど見当たらないそこで初めて「まさか!」と思った
場所は現代でもよくある、川辺に近い二段に成っている河川敷に近い場所、道路横に長方形に整備されたちょっとした公園の様な所だ、そこで初めて遭遇する事となる
直進しながら左右に眼を配り、そのサーモグラス越しの視界左に明らかに人間でない物体を目視し、バイクを停めて装備と薬を装備し、ゴーグルの通信も遮断する
本来起こらないハズの事件の意味二つ、桜子は、サーモグラス越しに見える相手、大型の二足歩行に近いサイの様な形の消えたままの相手に、空気銃を構え先制攻撃したのである
そう、相手は何か獲物を探していた訳ではない、消えたまま
ただ徘徊していただけだ
撃った薬品入り弾丸は二発命中したが通らずガラス管が割れる様に四散して地面に落ちた。そうして「刺激した」相手も現実に姿を現しながら桜と対峙する、桜子は自身に薬を注入し、抜刀しつつ構える
そうした理由は最初のレイナと同じ様な心理がある
「私でもやれる」というある程度の自信と
「試してみたい、誰にも邪魔されずに」
という二点があるが。彼女は泰斗が評した通り、レイナより気が強く自我が強いそれが猪突する原因である
「サイの様な」と云う通りで、体長ニメートルで体重も一トン強だろう、甲殻に覆われた二足歩行と四足の中間で、灰色に近いが、特に甲殻が自然物に見えず鎧武者の様な人工物に近くロボットの様な洗練さもある
実際のサイと行動は同じで直進して走って体当たりに近い攻撃だが動きは早い。見た目が重そうだが人間が瞬発ダッシュするのとそう違いが無く、桜子も面食らうが、右に運足しながら刀を打ち込んでカウンターを入れつつ直進攻撃は避ける
桜子が「私でもやれる」と誤解した要素、獅童に元々ある抜刀術と、彼女が保持している刀である
刀は代々初代から伝わる特殊な退魔武器であるし、獅童の業は長い歴史の中で退魔、大型に対して錬磨したものだ
元々は居合系の剣術だったのだが、神宮寺の輪に加わってから「退魔」に対する術を練り上げ、少しずつ変化していった
初手で桜子がやったように、横切りを入れて攻撃並び防御の反発力を使って、常に、相手の左右に移動しながら正対しないように、優位ポジションを取る、真正面から戦わない事を意図した独特の剣法である
簡単に言ってしまえば、例えば壁や大木に押す様な突きを入れる、当然、自分より遥かに大きく、重い相手、壁や大木は動かない
だがそこに使った運動エネルギーは作用するので、強く押す程、自分の体は押した反対側に勝手に移動される。これを利用し、攻防をセットで行う
防衛も例えば左手で受ければ、押される反動で左半身が下がって回転すると、逆に右半身が前進する、此れを利用して意図せずに回転回避に近い行動が力学的に起こる
理屈は簡単だが、実際にやるのは難しい。ゆっくりなら誰でも出来るが、実戦だと攻撃にしろ、防御にしろ、時間的余裕が極端に少ないから
故に桜子もこの相手ならなんとかなっているのである
幸運は、この初戦の相手が想像を絶して早くない事、人間の反射神経でも見て対処できる範囲だから、続けて突進してくるサイの攻撃も2,3と打ち返しながら回避出来ている
そして不幸は、この相手は想像を絶して重くて硬い事だ、切り替えしても一切ダメージが通ってない。初撃で弾丸が弾けたようにただの竹光の斬り等、全く傷にもならない
故に「金切りの一閃」がある訳だが、それもどの程度のダメージがあるのかすら分からない
五度、サイの攻撃をかわし、六度目の突進を敢えて正面で剣で返して受けて後方に飛ぶ。獅童の業の一つで「浮草」という業。
相手の力の進行方向に合わせて自身を地から離して、これを利用してそのまま移動すると同時、ダメージを消すというものだ
効くかどうか分からない、だが彼女にはコレしかない、七メートル相手の力を利用して飛んで着地と同時「金切りの一閃」を打つ
高純度の金属同士を擦ったような「キッ!」という打撃音と共に命中したが、サイは後ろに仰け反る様に踏鞴を踏み、放った霊力の斬撃は弾ける様に目視する形で相手の周囲に青白い光の粉末の様に四散する
サイは仰け反ったがゆっくりと向き直り、醜悪な怒り顔で前傾に構えた。そう「大したダメージが無かった」のである
相手はそのままダッシュするように再突進、桜子は此れを右横に倒れるようにギリギリ掠めてかわすが半回転するように倒れる、なんとか立ち上がろうとするが次への備えを出来る状態になく、片膝で右手持ちで刀を構えた所で動けなくなった
痛みなどない、事前に強鎮痛剤を打っているので被弾すら認知出来なかっただけだ。だが、認知出来ないだけで既にダメージは深刻
相手の突進を「浮草」で剣で受けた際、左肩を脱臼、再突進の攻撃を掠めてかわした際、左肋骨と鎖骨も骨折している、更に、金切りの一閃を全力で撃った為、霊力も略空その場で失神してもおかしくない重症である
相手は動けなくなった桜子に鈍足で前進し、右手、前足というのだろうか、此れで押す様に殴りつけ吹き飛ばした
これも刀で受けつつ、後転するようにダメージを逃がしたのだがその程度では大して軽減にならない。受けた反動で五メートル飛ばされて地面を転がった
そのまま仰向け大の字で血交じりにせき込むが、今度こそ、一切の自身の意思に反して身動きが取れない状態に陥った
サイも確信したのだろうが、ズシンズシンとゆっくり近づき見下して顔を近づけ桜子が身動き取れないのを確認して、前足で桜の頭を鷲掴みして持ち上げる
相手は本気で殺そうと思っている訳でもない、ただ掴んで持ち上げて確認しただけだ、だが、痛みはないが、認知は出来る。ただ掴まれて持ち上げられたその頭がミシミシと音を立てるのがダイレクトに聞こえるのだから
そうレイナの初戦と同じ様な誤りをしていた、最大限に相手の力を見積もって挑んでも、相手はその想像等遥かに超える力を持つ、万事を尽くして尚、足りない程の認知と力の差がある
ある程度の覚悟はしている、だから単身挑んだのだが恐怖が無くなる訳ではない
「ああ…此処で終わりか…頭を潰されて死ぬ、最悪の死に方だ」
が、そこでサイの掴んでいる手から滑り落ちる様に落とされる、もう一切体が言う事を利かず、ドシャッと人形のように、座る様に落ちたが、まだ、意識も視界もある
サイは鈍重に上を見て、左右を見回している、その視界の先、手が届かない程度の低空に何か小さな青くぼんやり光る蝶の様なモノが舞っている。それを目で追っかけてサイの気が逸れたのだ
そうして蝶の様な何かは座ったまま動けない、桜子の上で横八の字で舞いつつ
「キュ!キュ!」と子供アザラシの様な鳴き声で光の鱗粉を撒いている
「なんだ…これ…」
不思議な光景ではあると同時、桜の朦朧とした視界と意識が戻ってくるのだ
「な!回復してる⁉」と自身でも驚いた、ずっと送り続けている桜子の意思に体が応じている、座った体勢から片膝に移行し、刀を杖にして支える事が
可能になっているのだから
ある程度行動可能である事を認知して彼女はそのまま中腰から後ろに移動するが此れも可能。どの程度被弾が治ってるのかは不明だが思いのほか治りは早いらしく歩く様に距離を取れた
彼女の行動に合わせる様に、蝶の様なモノもサイの周りを飛び回り相手を引き付ける
(まるで知性体のようだ)そう桜子が思った様に蝶は鳴きながらサイを誘導して、桜子から離す
意識と視界がハッキリしてくると目視でも分かる様になった、蝶というより妖精の様なものだ。五センチくらいの体に紋白蝶の羽の生えた生物に見えるが生物ではない
そうアヤネの「天恵の月」の完全体である
そして天恵の月を通りして声が聞こえる、発声している訳ではない、直接頭に入ってくる
「桜子さん、アヤネです。もうすぐ援護が来ます。回復は徐々に進みますので無理せず時間稼ぎを、凌いでください」
「アヤネさん?な…なんで?誰にも言ってないのに…」
そう桜子は自身でも言った通り。誰にも知らせてない、定期連絡すら切っているし、通信も止めた。だから援護等来ないハズだ
が、こうした彼女の行動は今回が初ではない。
当然、組織として隊員の場所は位置情報である程度分かる、そして桜子の問題行動も凛は知っているし、晴海も報告を受けた
レイナの例があったし、桜の前後の事情も知っている、故に、晴海も敢えて制止せず、桜子のやりたいようにさせた
結果「最低限の補助を置いて、自由にさせる」
という判断で話し、最終的に「一番彼女の邪魔に成らない手法」が、アヤネが略完全な形で使えるようになった天恵の月、これに任せた経緯が現在の状況である
「援護が来る」のも簡単な理屈。桜子が単独行動しても何時どこで遭遇するか分からないが、位置情報は分かるのである程度、近隣に味方を置いておけば良い。
そして、いつ起きたのかも分かる。桜子が自ら通信機器を切ったからだ
再び桜子もサイと対峙するが、援護が来るならそこまで耐えればいい。
距離を取って相手の殺傷範囲に入らず、遠・中距離からの
金切りの一閃で斬撃すればよい
実際金切りの一閃は牽制としても使える、威力を下げればそこまで霊力を消耗しない事もあるが。この間も天恵の月は彼女の頭の上を飛び回り、治療と霊力回復を撒き続けるので、全力で撃たなければ回復が間に合う
五分、徹底した防御と回避に集中し、逃げ打ちしながらどうにか時間を稼いで最初の援護が間に合う
開発部のバイク隊、三名である、即座にライフルを装備し、河川敷側に下段に降りて隊長は遠距離から、ゴーグル、耳を指して桜子に指示を出した、応じて彼女も通信を入れる、初期に講習を受けた知った相手だ
「す、すみせん市谷さん」
「構わん、射撃援護する。射線を開けろ」
「はい!けど改造銃は効きません」
「分かっている、既に周囲に立ち入り禁止令を出した、実弾を使う。発砲許可する」
「はっ」
通信会話しながら前二人の隊員が桜子が離れたのに合わせて
交互射撃。
「ガガガン」と連続で被弾してサイも左手を出して盾にして防ぐが一定の効果はあり動きが止まる、がダメージがある、という程でもないらしい
打撃圧力で極端な前進が止まっただけだが、その隙に桜子も後退しつつ、時計回り移動し隊員らと合流する
「硬いな、ライフルすらまともに通らん」
「私の業でも殆どダメージ無しです、神経弾も表層にすら刺さりません」
「まあいい、ECMが後続で来る後退射撃する」
言って、相手を撃ちながらバイクに乗り体勢を整えるが後続で到着したのが移動式トレーラーとバイク。国道側の広い道路で停車し、誠とレイナも合流する
「おっしゃ!久々の大物だな!」
とレイナも霊剣を構えて飛び出すが硬さで言えば多分、晴海の相手したヘビ並みなので大したことは出来ないだろう
実際接近して思いっきり霊剣で防御の上から殴ったら「ガン!」と打撃音と共に、反射されるようにレイナも後ろに踏鞴をふんだ
「なんだこれ!硬!」
まあ、以前の虎と違い動きはそんなに早くないのでレイナなら殴り合いも可能な範囲の相手なのだが何しろ殆ど物理攻撃が効かない
サイも腕を振り回して反撃してくるが、これもレイナなら籠手を使わずとも見て避けられる
単に外殻が硬いだけでなく、何らかの防御膜の様なモノがあるらしく、当たる手前で弾かれている様にも見える、そうでなくても、一トン強ある相手だと当ててもあんまり意味がない
目的は倒す事でもないので「いいのかな?」という感じで
誠も霊矢で援護する。レイナが近接で殴り合ってても問題ない誘導して当たるから
レイナが対峙して打ち込んでいるのを避けて、ブーメランの様に半円を描いてサイの頭の横から命中して爆砕する、目の前で霊矢が爆砕すると自分に当たらないのが分かっててもびびる
「誠!あぶねーだろ!」
「目的が違うでしょ!追い返せばいいの!」
と何か言い合いが始まる、どうも普段は兎も角、戦闘時の相性はあんまりよくないぽい
「もっとデカイの撃つから下がってよ!」
「うっせ!近接攻防してんだからこっちに合わせろ!」
とは言ってるのがまるっきり誠もお構いなしで霊矢に霊力充填して撃った。ただ文句言いながらも連携は合ってるサイが前傾でレイナに突進するタイミングで横っ面にデカイ矢が命中してサイを吹き飛ばした
あれだけデカクて重い相手を吹き飛ばしたのだから相当な威力だろうサイも6メートル飛んで地面を転げて海側の柵に衝突
直ぐに相手も怒り顔で起きたが、諦めたのだろう反転し背中を見せて、海にダイブした
「逃げた⁉」
と一斉に言ったが、その通りで。サイはそのまま戻る事は無かった
元々捕食目的で居た訳ではなく、ただ徘徊していたハグレの様なモノであまり固執しなかったというのもある
こうして、この現場での遭遇戦は大した事にならずに終わったのである
勿論、彼女の判断としてもあまり単身行動は危険なので当初は他のメンツとの共同もあるが、桜子は特に晴海との行動を希望した
此れは彼女自身が泰斗に与えられた命を果たそうという意図もある、別にスパイしている感覚はあまりなく
「晴海はどう考えているのか」
という意思をなるべく知っておこうという意味合いが強く自然近くに居る事が多く成った
晴海に疑うという概念があまり無いだけに無理にスパイする必要も無く、必要な事は簡単に得られたともいうが。何しろ、ペアの同行パトロールの合間の雑談でも、学校でも
私的な事に限って晴海は「隠す」という事をあまりしないから
「前回の会合で、次代の候補に並べられたと聞きましたが?…」
と恐る恐る問うても、別に「余計な事を聞くな」という対応もされなく非常にやり易かった
「うーん、僕も泰斗兄さんが継ぐのは決定だと思ってたから少し混乱はしているね…」
「次男なのですから候補には違いないのでは?」
「いや、僕は家から離れた場所で育てられたし、いわゆる帝王学的なモノも受けてない、家族と会う事も稀だし、期待もされていないだろう…とは思ってたし」
「そうなんですか」
「先日の集まりでいきなりだし、兄さんの成人まで直ぐだし、まさかて感じだね」
「では候補とか次代とかは考えて無いのですか?」
「今まで武芸とか中心に一般教育しか受けてないしなぁ…正直やれて言われても困るんだよね…。確かに退魔の家だから退魔の力があるのは望ましいんだろうけど、いきなり武闘派集団にする訳でもないし、僕は別に剣術とか凄い強い事もないし」
「でもランク最初からCですよね?」
「まあ、そうなんだけど、物理的戦闘の話だとそんな強くないよ…レイナさん、名雪さん、メイちゃんのがフツーに強いし…霊力だけやたらあるからランク高いだけだしね…」
「な、なるほど」
素で晴海の場合そんな感じなので聞き出す、という概念すら桜子を持たなかったのもあるが
事件は本来、状況が変わっていなければ起こらないハズの事だった、予報も無し、通報も無し、事件性無しで、実害無しの偶発的な出来事で時間も二十二時
桜子は環境が変わった事が大きく、無理をしている訳でもなく、特に割り当てられている警戒任務でもなく、自発的パトロールをする事が多い。その日も特に予報も通報もなく平和と思われた
が、彼女は日常でも常に、グラスを装備している、それも明確な意図があった訳でもなく、単に
「霊力値が多い所で事件発生率が高いハズ」
「一月過ぎたけどコレと言った事件に関わっていない」
「小物以外にも実際見てみたい」
という、これまで自分には出来なかった事が出来るのだから積極的に自分の方から探す、そういう漠然とした願望と意識していない焦りが根源にあったからだ
そうして、東京湾に沿って南西をバイクで流し思いのほか遠出に成った
「今日も何も無し、事件は多いと聞いていたけどまだ遭遇はないな」
そう思った所で。眼鏡に反応があった
本来ならあまり気にしない程度の数字だ。これまでも何度もあった事だし、実際、数字は大きくない、普通の人間でも多い人は多い訳で、実際線量計頼りの捜査は空振りが多い
「霊力値150少しか…どうしよう」とは自身も思ったのが
「せっかく遠出したのだから」と、桜子は一応確認に向かう
それが出来たのも、本来「ちょっと多い」くらいの数字は街中だと、略、表示されない。サンマの捕獲網にタコが混じっても分かりはしないのと同じことで、この時間の、極めて人、混じりの無い環境だから見えた、故に偶発的な本来起こらない事件なのである
そのままバイクを低速で走らせ、線量計と同時にサーモグラフを起動し示された方向を向かう。
当然夜の殺風景な湾岸の小さな道路なので人等も殆ど見当たらないそこで初めて「まさか!」と思った
場所は現代でもよくある、川辺に近い二段に成っている河川敷に近い場所、道路横に長方形に整備されたちょっとした公園の様な所だ、そこで初めて遭遇する事となる
直進しながら左右に眼を配り、そのサーモグラス越しの視界左に明らかに人間でない物体を目視し、バイクを停めて装備と薬を装備し、ゴーグルの通信も遮断する
本来起こらないハズの事件の意味二つ、桜子は、サーモグラス越しに見える相手、大型の二足歩行に近いサイの様な形の消えたままの相手に、空気銃を構え先制攻撃したのである
そう、相手は何か獲物を探していた訳ではない、消えたまま
ただ徘徊していただけだ
撃った薬品入り弾丸は二発命中したが通らずガラス管が割れる様に四散して地面に落ちた。そうして「刺激した」相手も現実に姿を現しながら桜と対峙する、桜子は自身に薬を注入し、抜刀しつつ構える
そうした理由は最初のレイナと同じ様な心理がある
「私でもやれる」というある程度の自信と
「試してみたい、誰にも邪魔されずに」
という二点があるが。彼女は泰斗が評した通り、レイナより気が強く自我が強いそれが猪突する原因である
「サイの様な」と云う通りで、体長ニメートルで体重も一トン強だろう、甲殻に覆われた二足歩行と四足の中間で、灰色に近いが、特に甲殻が自然物に見えず鎧武者の様な人工物に近くロボットの様な洗練さもある
実際のサイと行動は同じで直進して走って体当たりに近い攻撃だが動きは早い。見た目が重そうだが人間が瞬発ダッシュするのとそう違いが無く、桜子も面食らうが、右に運足しながら刀を打ち込んでカウンターを入れつつ直進攻撃は避ける
桜子が「私でもやれる」と誤解した要素、獅童に元々ある抜刀術と、彼女が保持している刀である
刀は代々初代から伝わる特殊な退魔武器であるし、獅童の業は長い歴史の中で退魔、大型に対して錬磨したものだ
元々は居合系の剣術だったのだが、神宮寺の輪に加わってから「退魔」に対する術を練り上げ、少しずつ変化していった
初手で桜子がやったように、横切りを入れて攻撃並び防御の反発力を使って、常に、相手の左右に移動しながら正対しないように、優位ポジションを取る、真正面から戦わない事を意図した独特の剣法である
簡単に言ってしまえば、例えば壁や大木に押す様な突きを入れる、当然、自分より遥かに大きく、重い相手、壁や大木は動かない
だがそこに使った運動エネルギーは作用するので、強く押す程、自分の体は押した反対側に勝手に移動される。これを利用し、攻防をセットで行う
防衛も例えば左手で受ければ、押される反動で左半身が下がって回転すると、逆に右半身が前進する、此れを利用して意図せずに回転回避に近い行動が力学的に起こる
理屈は簡単だが、実際にやるのは難しい。ゆっくりなら誰でも出来るが、実戦だと攻撃にしろ、防御にしろ、時間的余裕が極端に少ないから
故に桜子もこの相手ならなんとかなっているのである
幸運は、この初戦の相手が想像を絶して早くない事、人間の反射神経でも見て対処できる範囲だから、続けて突進してくるサイの攻撃も2,3と打ち返しながら回避出来ている
そして不幸は、この相手は想像を絶して重くて硬い事だ、切り替えしても一切ダメージが通ってない。初撃で弾丸が弾けたようにただの竹光の斬り等、全く傷にもならない
故に「金切りの一閃」がある訳だが、それもどの程度のダメージがあるのかすら分からない
五度、サイの攻撃をかわし、六度目の突進を敢えて正面で剣で返して受けて後方に飛ぶ。獅童の業の一つで「浮草」という業。
相手の力の進行方向に合わせて自身を地から離して、これを利用してそのまま移動すると同時、ダメージを消すというものだ
効くかどうか分からない、だが彼女にはコレしかない、七メートル相手の力を利用して飛んで着地と同時「金切りの一閃」を打つ
高純度の金属同士を擦ったような「キッ!」という打撃音と共に命中したが、サイは後ろに仰け反る様に踏鞴を踏み、放った霊力の斬撃は弾ける様に目視する形で相手の周囲に青白い光の粉末の様に四散する
サイは仰け反ったがゆっくりと向き直り、醜悪な怒り顔で前傾に構えた。そう「大したダメージが無かった」のである
相手はそのままダッシュするように再突進、桜子は此れを右横に倒れるようにギリギリ掠めてかわすが半回転するように倒れる、なんとか立ち上がろうとするが次への備えを出来る状態になく、片膝で右手持ちで刀を構えた所で動けなくなった
痛みなどない、事前に強鎮痛剤を打っているので被弾すら認知出来なかっただけだ。だが、認知出来ないだけで既にダメージは深刻
相手の突進を「浮草」で剣で受けた際、左肩を脱臼、再突進の攻撃を掠めてかわした際、左肋骨と鎖骨も骨折している、更に、金切りの一閃を全力で撃った為、霊力も略空その場で失神してもおかしくない重症である
相手は動けなくなった桜子に鈍足で前進し、右手、前足というのだろうか、此れで押す様に殴りつけ吹き飛ばした
これも刀で受けつつ、後転するようにダメージを逃がしたのだがその程度では大して軽減にならない。受けた反動で五メートル飛ばされて地面を転がった
そのまま仰向け大の字で血交じりにせき込むが、今度こそ、一切の自身の意思に反して身動きが取れない状態に陥った
サイも確信したのだろうが、ズシンズシンとゆっくり近づき見下して顔を近づけ桜子が身動き取れないのを確認して、前足で桜の頭を鷲掴みして持ち上げる
相手は本気で殺そうと思っている訳でもない、ただ掴んで持ち上げて確認しただけだ、だが、痛みはないが、認知は出来る。ただ掴まれて持ち上げられたその頭がミシミシと音を立てるのがダイレクトに聞こえるのだから
そうレイナの初戦と同じ様な誤りをしていた、最大限に相手の力を見積もって挑んでも、相手はその想像等遥かに超える力を持つ、万事を尽くして尚、足りない程の認知と力の差がある
ある程度の覚悟はしている、だから単身挑んだのだが恐怖が無くなる訳ではない
「ああ…此処で終わりか…頭を潰されて死ぬ、最悪の死に方だ」
が、そこでサイの掴んでいる手から滑り落ちる様に落とされる、もう一切体が言う事を利かず、ドシャッと人形のように、座る様に落ちたが、まだ、意識も視界もある
サイは鈍重に上を見て、左右を見回している、その視界の先、手が届かない程度の低空に何か小さな青くぼんやり光る蝶の様なモノが舞っている。それを目で追っかけてサイの気が逸れたのだ
そうして蝶の様な何かは座ったまま動けない、桜子の上で横八の字で舞いつつ
「キュ!キュ!」と子供アザラシの様な鳴き声で光の鱗粉を撒いている
「なんだ…これ…」
不思議な光景ではあると同時、桜の朦朧とした視界と意識が戻ってくるのだ
「な!回復してる⁉」と自身でも驚いた、ずっと送り続けている桜子の意思に体が応じている、座った体勢から片膝に移行し、刀を杖にして支える事が
可能になっているのだから
ある程度行動可能である事を認知して彼女はそのまま中腰から後ろに移動するが此れも可能。どの程度被弾が治ってるのかは不明だが思いのほか治りは早いらしく歩く様に距離を取れた
彼女の行動に合わせる様に、蝶の様なモノもサイの周りを飛び回り相手を引き付ける
(まるで知性体のようだ)そう桜子が思った様に蝶は鳴きながらサイを誘導して、桜子から離す
意識と視界がハッキリしてくると目視でも分かる様になった、蝶というより妖精の様なものだ。五センチくらいの体に紋白蝶の羽の生えた生物に見えるが生物ではない
そうアヤネの「天恵の月」の完全体である
そして天恵の月を通りして声が聞こえる、発声している訳ではない、直接頭に入ってくる
「桜子さん、アヤネです。もうすぐ援護が来ます。回復は徐々に進みますので無理せず時間稼ぎを、凌いでください」
「アヤネさん?な…なんで?誰にも言ってないのに…」
そう桜子は自身でも言った通り。誰にも知らせてない、定期連絡すら切っているし、通信も止めた。だから援護等来ないハズだ
が、こうした彼女の行動は今回が初ではない。
当然、組織として隊員の場所は位置情報である程度分かる、そして桜子の問題行動も凛は知っているし、晴海も報告を受けた
レイナの例があったし、桜の前後の事情も知っている、故に、晴海も敢えて制止せず、桜子のやりたいようにさせた
結果「最低限の補助を置いて、自由にさせる」
という判断で話し、最終的に「一番彼女の邪魔に成らない手法」が、アヤネが略完全な形で使えるようになった天恵の月、これに任せた経緯が現在の状況である
「援護が来る」のも簡単な理屈。桜子が単独行動しても何時どこで遭遇するか分からないが、位置情報は分かるのである程度、近隣に味方を置いておけば良い。
そして、いつ起きたのかも分かる。桜子が自ら通信機器を切ったからだ
再び桜子もサイと対峙するが、援護が来るならそこまで耐えればいい。
距離を取って相手の殺傷範囲に入らず、遠・中距離からの
金切りの一閃で斬撃すればよい
実際金切りの一閃は牽制としても使える、威力を下げればそこまで霊力を消耗しない事もあるが。この間も天恵の月は彼女の頭の上を飛び回り、治療と霊力回復を撒き続けるので、全力で撃たなければ回復が間に合う
五分、徹底した防御と回避に集中し、逃げ打ちしながらどうにか時間を稼いで最初の援護が間に合う
開発部のバイク隊、三名である、即座にライフルを装備し、河川敷側に下段に降りて隊長は遠距離から、ゴーグル、耳を指して桜子に指示を出した、応じて彼女も通信を入れる、初期に講習を受けた知った相手だ
「す、すみせん市谷さん」
「構わん、射撃援護する。射線を開けろ」
「はい!けど改造銃は効きません」
「分かっている、既に周囲に立ち入り禁止令を出した、実弾を使う。発砲許可する」
「はっ」
通信会話しながら前二人の隊員が桜子が離れたのに合わせて
交互射撃。
「ガガガン」と連続で被弾してサイも左手を出して盾にして防ぐが一定の効果はあり動きが止まる、がダメージがある、という程でもないらしい
打撃圧力で極端な前進が止まっただけだが、その隙に桜子も後退しつつ、時計回り移動し隊員らと合流する
「硬いな、ライフルすらまともに通らん」
「私の業でも殆どダメージ無しです、神経弾も表層にすら刺さりません」
「まあいい、ECMが後続で来る後退射撃する」
言って、相手を撃ちながらバイクに乗り体勢を整えるが後続で到着したのが移動式トレーラーとバイク。国道側の広い道路で停車し、誠とレイナも合流する
「おっしゃ!久々の大物だな!」
とレイナも霊剣を構えて飛び出すが硬さで言えば多分、晴海の相手したヘビ並みなので大したことは出来ないだろう
実際接近して思いっきり霊剣で防御の上から殴ったら「ガン!」と打撃音と共に、反射されるようにレイナも後ろに踏鞴をふんだ
「なんだこれ!硬!」
まあ、以前の虎と違い動きはそんなに早くないのでレイナなら殴り合いも可能な範囲の相手なのだが何しろ殆ど物理攻撃が効かない
サイも腕を振り回して反撃してくるが、これもレイナなら籠手を使わずとも見て避けられる
単に外殻が硬いだけでなく、何らかの防御膜の様なモノがあるらしく、当たる手前で弾かれている様にも見える、そうでなくても、一トン強ある相手だと当ててもあんまり意味がない
目的は倒す事でもないので「いいのかな?」という感じで
誠も霊矢で援護する。レイナが近接で殴り合ってても問題ない誘導して当たるから
レイナが対峙して打ち込んでいるのを避けて、ブーメランの様に半円を描いてサイの頭の横から命中して爆砕する、目の前で霊矢が爆砕すると自分に当たらないのが分かっててもびびる
「誠!あぶねーだろ!」
「目的が違うでしょ!追い返せばいいの!」
と何か言い合いが始まる、どうも普段は兎も角、戦闘時の相性はあんまりよくないぽい
「もっとデカイの撃つから下がってよ!」
「うっせ!近接攻防してんだからこっちに合わせろ!」
とは言ってるのがまるっきり誠もお構いなしで霊矢に霊力充填して撃った。ただ文句言いながらも連携は合ってるサイが前傾でレイナに突進するタイミングで横っ面にデカイ矢が命中してサイを吹き飛ばした
あれだけデカクて重い相手を吹き飛ばしたのだから相当な威力だろうサイも6メートル飛んで地面を転げて海側の柵に衝突
直ぐに相手も怒り顔で起きたが、諦めたのだろう反転し背中を見せて、海にダイブした
「逃げた⁉」
と一斉に言ったが、その通りで。サイはそのまま戻る事は無かった
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こうして、この現場での遭遇戦は大した事にならずに終わったのである
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