晴海様の神通力

篠崎流

文字の大きさ
64 / 81

集約

しおりを挟む
まだ日も高く、同じ滋賀ではあるので、桜子と駅で別れ晴海と蛍子は甲賀支部にも顔を出す。施設と近郊の状況をチェックし音と雑談と相談だが、形は定めてあるし人員設備ともに略整ってるしこれと言って問題はないが

「という訳で現状特に問題はありません、パトロールも実働人員も戦闘可能なのがウチ含めて三人なんで、そこまでガッツリやってないです」
「いいと思う、けど思ったより予報は多いみたいだね」
「そん時は流石に全員で向かいますけど、まだ直接戦闘には成って無いです、一応マリさんも略毎日来てくれてますんで、支部援軍専門的な扱いでもそこまで問題ないです」
「まあ、直近であったら逆に援軍に来てもらう感じになるけどこれはお互い様だしね、ただ、それでも三人はどうなのかな」
「そうですね、足りてるんですけど足りてないみたいな感じですね、現状はですけど」
「それも個が強ければあんまり問題なくはあるしね…」

というのも、当初から形は変わってないのだが、ECMという特化部隊は人海戦術でどうにかする組織ではない、晴海とアヤネだけの時から変わってなく、強い退魔師を状況とか事件の規模次第で派遣する形ではあるから

小さいよくあるランクで言えばEとかの事件とか案件は捜査にしろ戦闘にしろ、四家の兵とか警察とかが動いて手に余るCとかBとかの強い範囲に置いてスペシャリスト、要するに晴海やアヤネが援軍で行って片づければよいのであって、現状の人員の数で対処というのは既に特化部隊の役割から外れていると言えなくもない

偶々獅童一派が加わる経緯や、アチコチ交流の経緯や配慮、希望などの結果、拡大化しているだけで、本部支部として大組織というか、人数が多い必要はあまりない、結果的にこうなってるだけで、支部の人数不足というのもそれほど問題なくはある

一通りの見学と現状を確認の後こちらも出て晴海は戻るが

「近畿の他家もまわる」と蛍子が言ったので自由行動にした

晴海もまた別の用事が出来たので本拠に戻らず神宮司の本家屋敷へ向かう、甲賀支部から30kくらいなのでこれも一時間掛からず辿り着いて再びキラとも会う

地下の保存庫へ行き、貰ったデータと照らし合わせながらも傍に付いてくれているキラとも相談

「この辺の武具て借りてもいいの?」
「指定して頂ければ大丈夫です、出し入れと保持の管理だけですので」

二つ選んで「じゃあこれ」と透明な展示物みたいなケースを開けてもらい、桐箱に沢山入っている三センチくらいの宝石というか、琥珀みたいな色の玉を5個取り手袋みたいのも一個貰う

「かしこまりました」
「紛失とか壊したとかしたらどうするんだろう」
「いえ、こちらは再生製造可能なモノですので仮にそうなっても問題ないです、そもそも消耗品の武具には違いないので、晴海様次第ですが減った分補充しとけ、という事なら再製造補填します」
「30個くらいあるみたいだからいいかな」
「はっ」

それだけ貰って屋敷の居間に戻る

「結構大昔のモノも残ってるんだなぁ」
「使い手が居ませんから残っているというか余ってるのは多いですね、武具ではあるんですが古美術みたいな扱いで終わってるというか」
「そうだろうね…誰も使わない、使えないのだから、かと言って破棄する訳にもいかない」
「はい、結果過去から現在まで保存されているので増えるばかりではありますので」

「この招来魂て宝石みたいだけど高いの?」
「一般的にはそうですが、我々視点だとそうでもないです1個高くても数万でしょう」
「そっか、それなら一応安心だね」
「しかしお使いになられるのですかそれ?二代から殆ど使われていないモノですが」
「いや…わかんないけど、道具の目録と業の辞典見たらなんか有効そうだから…これから試してみる感じ」

言った通り、この招来魂、という玉は神宮司の歴史前期に主に使用された事があるこれは現在、晴海などに授与されている後年の道具。刀や陣羽織と違い

「昔の当主が使った」道具と業の媒体であり、これ一つで色々な事が出来るらしい、業の教本の中にもあるし、古いのだが中期にも一人だけ使い手が登場していて「こうしろ」と扱い方が明確に記されている、なので今回「僕ならできるかな?」程度の思いつきだが試す事にした

庭に出てとりあえず一つ目、手袋みたいなモノを左手に装着、モバイル教法みながら適当な丸太マトみたいのが立ってるので早速書いてある通りにやってみる

こちらは今使ってる霊刀と同じで元の業の手法を簡易に使えるようにした道具でおそらく同じ感覚で使えるハズだ

「うーんと、霊圧刀と同じ感覚で継続して込める、と」

そうして左手指先をマトに向けてイメージと霊圧刀の構築を更に小さくしたような感覚で力を込めると、青ぽい光が帯電し、発気するに近い感覚で心で命じる

相手を指す格好の指先から、霊力のボールみたいのが発生し矢印のような形にゆっくり変化「いけ!」とそのまま発射するが

ゆっくりからいきならズトン!という射撃音で光の矢がキャノン砲みたいにとんでいってマトに爆砕して中ったが、あまりに威力があり過ぎて気砲撃った時みたいに反動で晴海も反対側にすっころんだ

「危な!?」と咄嗟に後ろ回転受け身とって回避したが

「だ、大丈夫ですか!?」とキラも背中を抑えるが、まあ、なんとなくこうなりそうな予感はあったので膝立ちで前方方向をガードしたし大丈夫ではある

そう、これは九十九針の原型の業、略、現在使ってる気砲と同じ業だ

「ちょっと霊力を入れ過ぎたか」

気砲と似た業、なのでとりあえず100くらい入れて打ってみたが、それでもこの威力、晴海感覚で最小でも一般基準だとあるだけ入れたになるので結果はこうなるのだが

流石にキラも今まで見た事ないような驚き顔で固まってたが

「まるでバズーカですね…」
「霊砲、て業らしいけど…これは使い難いかも」

ただそれは晴海がやるからこうなるだけで、本来はもっと多様な使い方と操作がいる

少なく溜めて打って、小さくすることも出来るし、霊力受け渡しの手法で継続して少量入れて連射も可能で、まだその調整が出来ない

常人の10倍以上エネルギーを持ってる晴海だからそうなるだけの事で実際は使い難いという事はないのだが

「ま、でもとりあえず各家に伝授した秘術の一つというのは理解できた、これを一般向けというか使い易くしたのが綾辻の九十九針て事か」

もう一つが「招来魂」を使った多種業、これは媒体があるので。霊刀や九十九針の土台石のように、道具を経由するので現代簡易法具に見えるが違う

神宮司の初代~二代はこれに霊力注入して様々な効果を発揮して使ったので原始の業で、触媒を経由してるが直接霊気を扱っているのに近い

元は霊気を塊にして飛ばしたり打撃する業だったのだが、気砲と同じくそのまま裸で扱うと自然拡散し易く使用中に減衰霧散するので、帯電し易い天然石を用いて操作の形に落ち着いただけで使用感はかなり違う

一応、これも試してみるが、玉に霊力注入し自身の周りに浮遊させ移動させたりは成功し、だが意図して目標物に射撃して撃つの所は盛大に失敗して明後日の方向にかッとんでった

玉を自身の行動とは別に動かし、剣で戦いながら前後にズラして打撃射撃する、既存の知識で言えばガンダムのファンネルミサイルみたいなもので威力もそこそこある

実はこれも睦の秘術の原始で、天武三真法の「飛真」や「天啓」の元になった業だ、睦の場合、苦無などに注入して射撃切りするが、神宮司の初期の業でそれも一つの手法に過ぎない

応用としては、玉に霊力が帯電出来る為、そのまま停滞させて九十九針の効果を出す事や、宝玉から小範囲の盾を構築して遠隔防御なども可能

操作時間も60秒持つので周りに飛ばしたまま援護攻防可能とかなり万能な業だが使うエネルギーが多い

使い方にも寄るのだが霊力基準で言えば、一つ構築するのに100近く浪費するので晴海以外の者が使えるかというとかなり微妙だ

睦の秘術、例えば菜摘の使う打真は30くらいだし、飛真は50くらい使う、そうして本来の形から性能と浪費を抑えて、使い易くして伝授したのが各家の秘術という事になる

つまり晴海が考えた、僕が過去の神宮司の業を掘り起こして
他所に伝える。という発想は既に行われてきた、という事にもなる

「なるほどなぁ…少なくとも神宮司の歴代の当主はちゃんと考えていた訳か、自身の持っている業をコスパ良くして各家に渡してる訳だし、僕が今更あれこれ考える必要はなかったという事だね」

まあ、ただ、晴海の考え「僕が過去神宮司の当主が使ってた古い業を掘り起こし習得し、新たに各家とか、個々人に伝える」という発想は間違いでも無駄でもない

晴海以外が使えるかというとなんとも言えないが、自身がそれらを持ち新たに次の世代に渡す、或いは教本を加筆する、或いは応用できるようにすれば何れにしろ有益になりうるから


本拠に戻ってからも業に集中してファイル検索で見ていくが思った通りで、誰も使えないから自然埋没してるだけで結構業自体は多い

藤原の秘術の身体強化も元は神宮司からのモノだし、天啓の月も招来魂がベースらしい。それだけに何れも晴海が使える可能性もあるし手法をミックスしたりもおそらく可能だろう

そうして晴海は業の掘り起こしと習得にシフトした生活に転換する、一度は向いていないなぁ、と諦めかけてた仙術も再びメイに指導を受け

各家に過去与えられた秘術の元となる業の習得と操作も暇さえあれば再現もする

蛍子も言った通りだが、晴海はおそらく初代~二代に比類する能力かベース、霊力という絶対的な才能に恵まれている訳だし、足りないか出来ないのは繊細な操作や感覚なのでおそらく其れが上手く成れば近い事は出来るハズだから

実際、気砲も早駆けもダイレクトに扱っているし、どの業を使っても極端な性能になっている、エネルギーを最小範囲で使う、のが苦手なのが問題なのでこのコントロールが上手くできれば何れも教本通りに可能だから

当然の話しだが、常人は100の10分の1が10なのでそもそも「1」の感覚が違う

晴海は少なくとも10倍以上あるので1000の10分の1が100使ってしまうので必然的に暴発に近い事が起きる、これの調整が可能なら略なんでも出来ると言えなくもない、ただ、100分の1感覚が偉く難しくなるだけで

ボールを投げるを余人が全力の10分の1で行えば軽いトスになるが、晴海の10分の1が余人の10倍なので同じ感覚で使っても、火の玉ストレートになるので大概失敗しているとも言う

「とは言え…それはそれで難しいんだよなぁ…霊力の受け渡しはなんとか出来てるけど」
「そうかも知れませんね~10段階で加減しろ、はそれも訓練次第ですが~10段階感覚を100段階感覚に調整するなんて人間的な感覚では難しいでしょうね~」
「分からなくもない、戦闘中となれば更に難しいお、積み木をしながら逆手でボクシングするようなもんだし」
「そう例えられると確かに滅茶苦茶難しそう…」
「とは言え、アスカの言うように実際100段階まで調整可能にする必要もないとは思うお、20分の1感覚を掴むだけでも実際に行った際の加減は可能な訳だし」
「確かに…気砲一つでも更に半分とかに加減可能なら他の使い方も可能という事になるし」
「こればかりは練習するしかないお、当人の力の加減なんてメイやアスカが教えられるもんでもないお」
「そうだね、頑張るよ」

と、色んな人に教えを受けながらもこればかりは自分が掴むしかないので続けて反復して「分かる」しかない

ただメイの気功の訓練はイメトレや実際気力のボールを作って操作等もあり、この修行には向いている、紐を動かすのも瞑想でエネルギーを作るのも溜めるのも、物理的に加減するでなく、イメージでコントロールするモノだから

今までリボンを使って結んでいたモノを縫い糸を使って結べれば同じ感覚で低く扱える=実際の業を使う際に小さく扱えるので後は慣れの問題でしかない

或いは、最小感覚で使ってもちゃんと効果を発揮する方向の業を習得するかのどっちかだろう
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~

bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。

処理中です...