晴海様の神通力

篠崎流

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決意の経緯

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が、やむを得ない事態に至るにそう時間は掛からなかった

一週後の27日の夜22時、更にとんでもない事件になる。
最初は列車の線路事故と思われる事態で、立川駅から青葉線ルートに線路破損が見つかる、警察などが向かうが、現場に爆発物のようなモノで空けられた地面をえぐったようなニメートルくらいの穴が空き、封鎖となる

実際何かが落下して爆発音が聞こえたとの通報があり周辺に退避命令が出されるが、そのまま周辺捜査の際、線路から北に数百メートルの所で警察官が刺されて重傷

その現場を一般の人も目撃し大騒ぎになったが、人為的な通り魔事件でもない、何しろ「女が刀を持って暴れている」というモノ。

これにECMへの要請が来て、近い所で哨戒していたバイク隊の隊員が向かい、予報無しなので立川自衛隊駐屯地の大駐車場に入り線量捜査、霊力値500超え。ネルガルで間違いないと通達が走り即、周辺一キロを封鎖措置する

自衛隊や警察署がある真っ只中ではあるが名雪からE案件通達を出し、防衛しようなどと思うな屋内退避しろと強い命令を出して対応と共に現場に向かうがこの時点で既にネルガルは北進

悪い事に警察もこの命令を遵守しなかった。やむを得ない事ではあるが市役所、自衛隊基地、裁判所、警察など集まってる敷地で

屋内に退避して出るな。というのも出来なかったのもある、幸い時間が時間なので公人が大量に居るという程でもないが、こられて被害になっては堪らないという事だろう

名雪も比較的近い所に居たのでルートの道を開けてもらい高速で向かうが、到着までの10分でとんでもない被害になる

一応警察隊も武装し、車両で南側の国道で迎撃にあたる、この辺りは森林に近い場所なので人的規制状態では、殆ど人目はなく出来るがそれでも過大被害になる

道路に車両を並べて警告と発砲するが、逆に霊矢を打ち返されて盾にした車両が爆発炎上、4人が吹っ飛んで重症、硬化シールドや防護服を構えての対応だったが相手がネルガルと成ると歯が立たない

シールドを構えて下がりながら銃撃するが、当たっても大して効果がなく、手前に居る警官から刺される

一人、二人と腿や肩を突きさされて転がる

「おのれ!」と包囲射撃、銃弾の雨を食らうが、それが本当に雨粒のようにバチバチ当たるが、食らいながらも気にする様子もなく転がった警官の手や足を踏みつけて粉砕、断末魔に等しい悲鳴が響き渡る

包囲射撃した周りの警官にも霊矢を打ち込んでこれも三分の一吹き飛ばして五人重傷、吹っ飛んで転がる相手にも歩いて近づき、これも手を刺し足を刺し弄ぶ

「止めろキチガイ!!」と誰かが言ったがネルガルはこっちの言葉が分かる、それは煽りにしかならない

「あ?」みたいな顔で、そのまま寝転んでる兵の手首をスッと引くように切り取って笑う。どうにもならない、狩られるだけの悲惨な状況となった

間に合っていないが、ここで名雪が到着。高速燃料装置を起動したまま、バックパックを捨てて、ネルガルにバイクごとぶつけて自身もバック宙しながらハンドガンを二丁出しつつ降りる

とんでもない速度でバイクがぶつかって流石にネルガルもそのまま100mくらいぶっ飛んで炎上した

名雪到着と同時タイミングを合わせて開発部のバイク隊3とバン1も合流、戦う為ではない。死屍累々の警察隊を回収か救護の為だ。ネルガルクラスだと普通の兵も兵器も意味はない事は知っている

名雪も分かっているのでネルガルの方向へ構えながら後退、相手が爆炎の中から歩いて出てくるのを即両手銃で連弾しターゲットを名雪に移した事を確認して、撃ちながら後退

幸いネルガルも名雪を徒歩で追ってくるので、敷地東にある、ゆめ広場に誘導する、倒す所か被弾させるのすら難しい相手。自身が引っ張って二次被害を避け、救護を完遂させたい

この広場は自然地帯に近く、木々や垣があり何があっても物的人的被害は発生しないし、かなりの広さであるため、戦闘するにはこの辺りしかないだろうという判断だ

そうして200メートル一定距離を保って射撃しながら、後退し中央付近に誘導、名雪とネルガルのタイマンになるが、向こうもイラついてるらしく直立で飛ぶように接近、最初の一撃、刀を横に振って両断しにくる

首刈のような一撃だが、名雪はバック転しながら回避、そのまま二回反転し距離を取り、射撃しようとするが今回のネルガルはそれに付いてくる、かなりの速度で接近して唐竹割で二撃目。

これを横に180度コマ回転して避けながら空振りした相手と、回った反動を利用してソバットを当て、当てた足の掛かりを使って反転飛びして離れて、空中で6発銃撃

相手も一瞬左手で顔を庇うように止まって防ぐが、そもそもそうするまでもなく、当たっても効かない

名雪は相手から離れるように後ろ飛び銃撃しつつ、着地と同時籠手のアルミカッターを追い打ちで打ち込み、ナイフも投擲

飛真を発動し、回転させながら遠隔でネルガルの周りを飛び回らせ斬りつけるが、この相手は傷すら付かない。ただ気が逸れたのか、飛真を追っているので時間稼ぎにはなる

が、飛真も10秒稼ぐ程度だった

「邪魔」とボソっとネルガルも言って刀で飛びナイフも払い破壊

「チッ…何しても大して効果がないな」としかいいようがない

ネルガルは邪魔な飛真を壊して再び名雪と対峙、少し前傾姿勢に構えた所で、ネルガルの後方から何かが飛び掛かり、後ろからのしかかって犬が喉笛に噛みついた

「名雪さん!」と後方から加勢したのがアヤネである

が、ネルガルは直立で犬に噛まれながら気にする様子もなく
逆に右手で犬の首を掴んで引きはがし、そのまま犬を掴んだまま片手で握りつぶして紙片に解体する

「なんて奴なの…」
「正直勝てる気がせんな、雹か晴海様はまだか」

そう言ったが距離と時間はレーダーで捉えている、名雪とアヤネは構えて距離を取ったまま、相手を挟んで回る、それでネルガルもどっちを襲うか逡巡している

そこで高速度で走ってきた晴海も現場に間に合う
霊刀を発動と同時ネルガルと対峙する

「またお前か…」
「今度は逃がさんぞ」
「逃げる?それはお前の方だろう」

そう交わしながら名雪とアヤネに下がるようにハンドサインで伝え自身は再び一対一で戦う

ただ今回のネルガルは感情が多い、不愉快なのか眼を細めて少し睨んだように、晴海に向き直って駆ける

そうして剣の範囲での打ち合いになるが、事直接範囲の斬り合いだと互角近くにはなる。お互い霊剣であると技術とかのレベルでなく、重量ゼロの武器での反応の仕合ではあるし
妖怪と言えど目視不可能な速度では動かないのでなんとか打ち合い継続は可能になる

12回合わせて一旦飛び退き、数秒睨み合いの後、晴海も前回の戦いから習得した業を試す。

刀形状のまま盾、打ち刀に変更し招来魂を1個放り発動、再びネルガルに接近しながら刀を合わせるが、これらは成功する

双方上段から振って剣が合わさった所で大きくネルガルの方の剣が弾かれ引く、弾き形態での打撃刀のが単純に反射が起こる為、相手が剣を打った逆側に吹っ飛ばされる反応が発生し、物理的にネルガルがのけ反る

ので、剣で斬る以外の攻撃があるか、打ち合いで不利な場面では剣で防いで別の攻撃をする場合有利になりうる

そうしてネルガルの刀の打ち込みを弾き、前方上に招来魂を操って、ネルガルの前頭部を玉で殴るように突進させて殴りつける

まだ招来魂を使った投擲打撃のコントロールはイマイチだが、これは命中。遠くからコントロールして狙って当てるだと難しいが

対象と玉が2~5Mの範囲だと当てるだけなら可能、近い程、どちらかの方向に飛ばす、だけならマトが大きく命中自体はデタラメでもし易い

ネルガルも斜め上から殴られて膝を折るように崩れて伏せる、上から下に移動打撃させた玉を更に下から上に射撃打撃、これも当たって今度は後方に吹っ飛ばされる

相変わらずバキンという生物殴ったとは思えない衝突音と殴られて吹っ飛ばされて後方宙にマネキンみたいに回って転がるが、流石に意外だったらしい

地面を転げて、糸で上から引っ張って立たせたみたいに立ち体勢に戻るが、驚いたように一歩下がったが、どこか被弾したとも見えなくはあるが

「これはイケる」と晴海も思った

晴海も打撃刀から火焔刀に再構築、ネルガルと距離を詰めて左右の斬りを打ち込み、招来魂を防御モードに切り替え
手前に戻し、攻撃を火焔、防御を招来魂で戦うが、これも成功

ネルガルが打ち返してくるのを招来魂のピンポイントバリアで弾き、火焔刀で二撃横に斬る。相手は右手前腕でこれを防ぐが「ガッ!」と擦ったような音と裂傷が付いて後方に飛びのく

始めて「む…」と声を出して驚きか痛みのような表情を見せる、実際、受けて防いだ右手の部分に炎症が発生している、小さい数センチのヤケドの傷程度だが晴海を睨みつける

それでおそらく近距離は不利と思ったのだろう、今度は一定距離、それも宙を飛んだまま左右に飛んで、指先から霊矢を撃っての攻撃に切り替える。

被弾して吹っ飛んで起きる時も、自身の手足を物理的に使ってない、上に何かで引っ張ったように、移動するのでおそらく地面でも空中でも同じく移動できるのだろう

ただ、それでも今の晴海には通じない。招来魂を防御モードにして自身の手前に配置して霊矢の軌道に介入し、空に弾き返し。逆に火焔のまま射撃刀を打ち返してネルガルを狙撃

これも相手は掌を向けて盾のように止めて防ぐが爆砕、止めた右手に火炎が着火して、嫌がって体ごと後ろに引いた、空中停止して自身の手を真横に払って火を消す

「ぐっ…」と呟いて、使った右掌をゆっくり見つめて不愉快な顔を見せた。晴海の火焔射撃刀を受けとめて爆砕し、燃え上がった時点で掌から前腕が軽傷だがヤケドが発生してるのを自身でも確認したからだ

それが堪らなく不愉快で腹立たしかったのだろう
眉間にシワを作って眉も吊り上げた

「ゴミが…許さん…」そう静かに唸るように確かに言った

が、戦闘自体はそこで終わる。直立のまま後ろにエスカレータに乗ったようにススッと下がって大きく跳躍し、闇の空の中に消える

晴海も射撃刀を撃とうとするが射撃する前に居なくなった、これは前例があるので分かってる

とりあえず刀を消し、招来魂も戻して手に納めた

「やっぱり無理か」そう自身でも言ったがその通りで、相手に撤退手段がある限り、討伐はその物が不可能と分かっている。

が、少なくとも晴海の業と技術の習得の結果、前回よりは戦えている。短期間の内に接戦から有利に持ち込めるだけの差の成ったのは大きな進歩だろう

「晴海様」
「分かってる、何れにしろ追い返したし、どの道撃滅は難しい、撤退させただけ良しとしよう」
「はい」
「それより被害がかなり出ているから、そちらの対処を特にアヤネ」
「ええ、わたくしも現場に戻ります」
「頼む」

そうして晴海はその場で一応線量捜査と哨戒に残り警戒を継続、警察隊の被害を把握と救護が終わるまでその場に居続けた

結果的には追い返したが、通達を破って迎撃した警官重症12人と酷い事になった。

ネルガルに殺す意図があまりなく、手足を突いて敢えて殺さずに玩具にしただけなので死者自体は出てないが

最初の路線のクレーターみたいに空いた穴から明らかに武器を持ったネルガルを見て接近し刺された警官も問題だが、その場面を一般市民が目撃

幸い、ネルガルは見た目が人の女性体なので「妖怪だ」という事にもならず、通り魔事件の扱いで報道してもバレはしないが、その「存在」が衆目に明らかになるリスクも大きくなった

ECMと開発部の隊員と移動の設備や業で可能な限り治療を行い、救急が来るまで維持。30分後に委譲してECM自体は撤退する
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