婚約破棄されたのに二度目の召喚ってどういうこと?

相沢京

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最悪だっ!

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「待てぇえ―――っ!」

 午後から降り出した雨は豪雨と化し、視界が悪い中オレは歩道橋でストーカーに追いかけられていた。

 バイト先の客が何を勘違いしたのかオレに付きまとうようになり、学校まで現れるようになったので先生や友人と相談して警察に通報したら今度は恨まれて嫌がらせをされるようになった。

 そして今、このありさまだ。

「お前のせいで私はっ!」

 憎しみで顔を歪め包丁を振り回しながら襲い掛かって来る。それを除けて階段まで来た時、背中をドンっと押されて体が宙を舞う。

「なっ――!」


 咄嗟に奴を見ると嬉しそうに笑っていた。きっとオレを始末出来たと思ったんだろう。

 クソッ!

 このまま落ちればきっとケガだけじゃ済まなうだろう。最悪、死ぬかもしれない。そんな考えが頭を過ぎりムカついて奴の服の端を掴んだ。

「うわっ!」

 自分が落ちることを想定していなかった奴は驚いて声を上げる。

「うわあああ――っ!!」

 へん、ざまあみろっ!オレだけで落ちてたまるか!道連れにしてやる!

 これはオレの最後の悪あがきだ!

 それにしてもあの世界から帰還して平穏な生活を送っていたというのに、こんな目に合うとは最悪だ!
 落ちていく中視界は雨で霞んだ空でいっぱいになり、ああもう終わりだと諦めた時、背中から眩いせん光が走ったかと思ったら目の前が真っ暗になった。



 そして───気が付けば

 違う場所にいた

 床は冷たい石畳でオレを取り囲むように陣が描かれている。

 オレの世界には存在しない陣。

 だが、見覚えのある陣。


 まさか───・・
 そんなバカなはずは、ない───・・

 動揺しながらぐるりと見まわすと男と目が合った。


「ようこそおいで下さいました。神子さま・」

「はっ?」

 ウソだろうっ!
 何でっ!

「何で・・」


「申し訳ありません神子さま。私たちに力を貸してください・・」

 頭を下げる男たちを見て、あの時と同じパターンに頭が痛くなった。

「また、お前か・・」

 どういうことかと頭を上げる男。

「えっ?あの・・それはどういう?」
「・・はあ・・忘れたとは言わせないぞ!エリオル」
「えっ!なぜ私の名前を?」
「知ってるのは当たり前だろう?」
「は?ええ・・?」

 驚く奴らを目の前にして出たのはため息だ。

「お前、ボケたのか?」
「なっ!いくら神子さまとはいえ無礼であろうっ!」
「・・ルイス、相変わらず強面の顔だな」
「なっ!なぜオレの名をっ!」

 改めて奴らの顔を見て次々に名前を呼んでいく。

「ドイルは背が伸びたし、コールは髭面が似合うようになったな。ラスはますます筋肉バカになったか?後、ダリオスはどうした?」

 ポカンとしているこいつらを見て笑いが抑えきれない。

「なぜ・・なぜ我々のことを知っている?」
「・・・なぜって、お前オレを忘れたのか?」

「いや・・」
「うん・・?」

 みんな困ったようにお互いの顔を見合わせる。

「その・・子供は、なあ?」
「ん・・?子供・・?」

 子供って誰のことを言っているんだ?

「何か会話がかみ合ってないね」
「そうですね・・あの失礼ながら神子さまの年齢は?」
「は?17歳だが・・」
「「「「えっ!17歳?」」」」

 全員でひどく驚かれてこっちが戸惑う。
 こそこそと何やら話し合ったと思ったらドイルから鏡を渡された。

「え?あの・・?」
「あの、ご自分の顔を確認してください?」
「はあ?何を言って・・」

 奴の言っていることが呑み込めなくて頭を傾げながらそれを受け取る。

 ふざけてんのかと思いながら鏡を覗き込んだのだが・・・

「ん・・?」

 鏡に映し出された顔は高校生のオレの顔ではなく、幼いころの子供の顔だった。




「えっ!!はあ・・?な、何だよこれっ!!!!」




 パニックになっているオレにエリオルはたたみかけるようにこう告げる。

「神子様、あなたさまのお名前を教えて頂きたいのですが・・」


 ニコニコと笑みを浮かべながらそういうエリオルに殺意がわいた。

 お前──オレの正体に、絶対気づいているだろう───と・・・







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