クズ王子、弟にざまあされる

相沢京

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崩れていく

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「父上、この者は・・わ」

「黙れ!そなたのは聞いておらぬっ!」


怒鳴られてダグラスが怯む。

だが、こんな時でも彼は国王の態度を疑わなかった。


『父上は私の味方だ』――――と・・



ギロリと睨まれてフランは体が強張る。


この国の頂点にいる人物と対面して緊張しない者はいない。

平民である彼ならなおさらである。


「わ、私は・・フランと申します。へ、平民ですが・・・ダグラス様の・・伴侶です」


頭を下げることも跪くもともせず、ダグラスに腰を抱かれたままの態勢で答える彼に、誰もが冷血な視線を彼に向けていた。



「伴侶だと・・?正気か」


「父上、私はフランを愛しております・・」


うっとりした顔でそう告白したダグラスに国王は怒りで手をぶるぶると震わした。


「ダグラス様・・」

「正式に妻に迎えたいと思っております」


「妻だと・・?」

「はい、未来の王太子妃に・・」

「私が王太子妃・・ですか」

「そうだ、私の妻になるのだがらな」


いちゃいちゃする二人に周りの空気が凍り付く。


「貴様、何をたわけたことをいっておるっ!!」


腹の底から唸るような殺気を含んだ国王の声に、驚き二人は恐怖で抱き合った。


「ち、父上・・?」

「陛下・・?」



「誰が王太子妃だとっ!平民が王族になれるわけがないだろうっ!!」

「で、でも・・王太子の権力でそれはどうにでもなるのでは・・」

「貴様、まだわからんのかっ!」

「え・・私は王太子妃になれないのですか?」

「フン!たとえ貴族の養子になっても平民は王族にはなれん!」

「そんな・・」



ショックをうけるフランを見てダグラスはムッとした。



「父上、私は国王に即位したらこんな法律変えて見せます」

「貴様は・・これだけ言ってもまだわからぬか?」

「何をですか・・?」

「貴様に王位継承権はない。よって王太子にも国王にもなれぬ」





「えっ・・?」





言っている意味が理解できないのかポカンとするダグラス。

そして、フラン。



彼はダグラスに王位継承権がないと聞いて愕然とする。






「ダグラス様に・・王位継承権が・・・ない・?」








フランは実はこれっぽっちもダグラスに好意を持っていなかった。それどころか傲慢な彼が大嫌いだった。だが貧乏だった生活から抜け出して何不自由ない生活を手にしたいただそれだけのためにこうやってきたのだ。



それが、何もかも崩れていくことに失望した。




「何のためにここまで・・」




悔しさで涙があふれてきた。







国王はそんな二人の様子を見てほくそ笑む。


―――そして、追い打ちをかける。






「フランよ、そなたカインに虐められたと申しておったが、それは誠か?」





事実でないことはわかっていたが、彼らが口にしたことをこのまま放置はできない。

何よりも、何が目的か真意を確かめたくなった。





そして、もう一つカインも知らない事件が起こっていた。













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