白狼と虎と竜神

朱々丸

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第三章

七話

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ヴェルガルドの城へ戻るとき、一行は雪まみれの服を払いながら、衛兵に案内されて再び謁見の間に足を踏み入れた。

広間の空気は、先ほどより少しだけ柔らかくなっていた。

ヴェルガンの威圧感も、ほんのわずか和らいでいるように感じられる。

ハンチェン王は玉座にどっかり腰を下ろし、アゴヒゲを撫でながら豪快に笑った。

「おお、戻ってきたな、アリ坊! 魔獣どもはどうだった? 随分くたびれちまった顔してるな」

アリオスは疲労困憊ながらも、もう緊張はすっかり抜け落ちた様子で、肩を落としながら答える。

「ハンチェン王、ヴェルガン殿、ただいま戻りました! 魔獣どもは……えっと、倒しました。 というか……射精させて動物に戻しました?」

その言葉に、ハンチェンが膝をバンバン叩いて大笑いした。

ヴェルガンは低い唸りを上げつつ、紫黒の瞳を細める。

「……リューゴの入れ知恵だな。まあ、よかろう。国を取り戻す云々はともかく、お前達が他国へ行く手助けはしてやる。まずは西の島国、ホムラサキへ行くと良い」

「あの国はうちとしか貿易してねぇ閉鎖的な国でな。人の良いやつらなんだ。それに、魔導具がタダで貰えると聞いたら喜んで協力してくれるはずだ」

ハンチェンが大きく頷き、ニヤリと笑って続けた。

「ちなみにこの街の露天風呂はホムラサキの温泉を参考に作ったんだぜ」

「露天風呂……温泉……?」

その単語を聞いた瞬間、ティーガの耳がぴくっと跳ね上がる。ウォルカはくすりと笑ってティーガの横顔を盗み見た。

話の脱線を咎めるようにヴェルガンがぐぐっと喉を鳴らす。

「……それよりも重要なのは、かの地には教会の洗脳魔法を解除できる野生の女がおるということだ」

​アリオスはヴェルガンの言葉に、弾かれたように顔を上げた。

​「や、野生……? 教会に所属していない女が居るということですか?」

​「ああ。ホムラサキという島は、教会と一切の関わりがねぇらしい。だから、女は街で普通に暮らしているし、独自の神力とやらを操る巫女という奴らが、国を支えているんだと」

​続くハンチェンの補足に、一行は戦慄した。

女が、街を普通に歩き、暮らしている。それはこの大陸の人間にとって、天地がひっくり返るほどの衝撃だった。

​「女達が……野放しで歩き回る島だって? 冗談だろ……」

​ティーガの声には得体の知れない未知の世界に対する純粋な困惑が混じっていた。

ウォルカもまた、無意識に拳を握りしめる。

女は教会に守られ、あるいは教会という力を通じてのみ関わる、遠い世界の住人だ。それが自分たちと同じように土を踏み、風を感じて生活しているという光景は、にわかには信じがたい不可思議な幻想であった。

しかし、その力が借りられるのなら確かに心強い。
アリオスは姿勢を正し、困惑を抑え、顔を引き締めて宣言する。

「ご助力感謝いたします。必ずやホムラサキの協力を取り付けて参ります!」

「おうおう、頑張ってこいよ! 交易船に乗せてやるつもりだが、まずは港まで行かなきゃならねぇからな。今日はゆっくり休めよ、アリ坊!」

ハンチェンがにやりと笑う。

一行は礼を述べて謁見の間を後にした。


―――


城を出て宿へ向かう道中、ウォルカの歩みは自然と速くなった。

ウォルカの尾の付け根がじくじくと疼く。
あの狼の魔獣の熱く湿った息。射精の瞬間に上げた甘い喘ぎ。

――ホムラサキの女の話など今はどうでもいい。

「ティーガ、さっさと宿に戻ろう。この雪まみれの姿で外をうろつくべきではない」

アリオスとシグルドにも視線を向け、冷静に言葉を続ける。

「アリオス、シグルド殿も、今日は風呂に入って体を休めましょう。今夜は各自休息をとることを提案します」

アリオスは自分の背中の惨状を思い出し、力強く頷く。

「そうだな。今は一刻も早くこの服を脱いで風呂に入りたいよ…… 背中が気持ち悪いぜ……」

ティーガとリューゴ、シグルドも同意し、一行は宿へと急ぎ足で帰るのであった。


――


それぞれの部屋の前で別れ、ウォルカはティーガと共に自分たちの部屋へ入る。

扉を閉めた瞬間だった。

「っ! ウォルカ、どうし……んぐっ!? ぅおっ……!?」

ウォルカは我慢の限界を超え、ティーガを壁に押し付け、貪るように深く口づける。舌をねじ込み、互いの唾液が熱く混じり合い、糸を引く。ウォルカの理性は完全に消し飛んでいた。

「許せ、ティーガ……。お前の咆哮とあの狼どもの甘いイキ声が頭から離れないんだ……。俺も狼だ。本能が疼いてたまらん」

息を荒げ、ティーガの首筋に牙を立てかけ、耳元で低く唸るように囁く。手はすでにティーガの服を乱暴に剥ぎ取り、鍛えられた胸板に爪を立てて赤い筋を刻む。

「抱かせろ……今すぐだ。お前が欲しい」

「はあ…っ、こ、ここでか……!? 落ち着けって、戦ったばっかで汚れてるし、ドアの前だっつうのに……」

ティーガはウォルカのキスに息を上げながらも、目を丸くして抵抗するように身を捩る。けれども胸を引っ掻かれる刺激にびくびくと震え、身体は正直に反応していた。

「……ふん、そんなもの今はどうでもいい。お前、戦いの後で、こんなに生々しく、蒸れて熱くて……たまらない」

ウォルカは首筋に牙を軽く食い込ませ、長い舌で舐め上げた。汗と戦闘の熱気が残る肌を味わうように、舌先でゆっくりと這わせる。
ティーガのズボンを乱暴に引き下ろし、壁に押し付けたまま、ガチガチに張り詰めた自身の熱を擦り付ける。

「ドアの前だろうと構うものか。抵抗するな、ティーガ……お前は俺のものだろう?」

「ぅっ…待てって……ひぅっ!? っ、リューゴまで……っ! んんっ!」

「ふふ、手伝ってやるぞ。この狼はもう我慢できぬのだろう、受け入れてやれ」

ティーガの服の中から転がり出たリューゴがスライム状になり、ティーガの太ももを這い上がっていく。下腹部の神使の紋様が淡く紫に光り始めると、ティーガの陰茎も力強く勃起し、ウォルカの剛直と強く擦れ合った。
リューゴはそのまま尻の窄まりへと潜り込み、くちゅくちゅと濡れた音を立てながら内部を押し広げていく。

「は、あぅ……馬鹿、中まで……あぁ……、んぁ……」

​リューゴの分泌する滑らかな粘液がティーガの内部を満たし、受け入れの準備を整える。ウォルカは我慢できずにティーガを引っくり返し、一気に奥までその巨根をぶち込んだ。

「んぐっ……はぁ……ティーガ、お前の中……こんなに柔らかいのに……俺のチンポに食らい付いて、離さねぇ……」

ティーガは背を反らし、喘ぎながら壁に爪を立てる。

「あっ、ぁっ、あ゛っ、いきなり、強ぇ……っんぐぁっ……! あ゛あっ!」

ティーガの陰茎はびくびくと脈打ち、先走りが溢れ、ウォルカをより深く受け入れる。

「待てって、こんな、ああっ、……! ぐぅぅ……!」

「はぁっ…はぁっ、ティーガ、お前の中、熱い…締めすぎだ、俺も…もう…!」

ウォルカは容赦なく腰を叩きつけ、根元の瘤が前立腺をごりごりと抉る。ティーガの内部はリューゴのぬめりで異常なほど柔らかく、かつ吸い付くように熱い。ウォルカは獣のように唸りながら、狂暴に攻め立てた。

「はぁっ、ぁっ!がっ!あ゛ぁぁぁっ!」

ティーガの吼えるような絶頂の喘ぎが部屋に響き渡り、陰茎から熱い白濁が噴き出した。それに煽られるように、ウォルカもまた限界に達する。

「ぐっ……あぁっ、イくぞ、ティーガ……! ……出るっ……!」

​奥深くを突き上げ、脈打つ肉の塊がティーガを内側から満たしていく。

「はぁ……、ぁ……うぁ……、相変わらず、すげぇ出る、……っ……」

ウォルカはティーガの背中に体を預け、息を整える。長い射精が続き、体が震える。

「ふぅ……、ふー……最高だ、ティーガ。まだだ……、まだ出てる……」

ウォルカは優しく腹を撫で、尾が満足げにティーガの脚に絡まった。

しかしその時、ドタドタと廊下から足音がして、バンッとドアが開いた。

「大丈夫か!? 今のティーガの咆哮! また魔獣か!?」

「い゛っ!?!」

「ぷぎゃ!?!!」

心配したアリオスが飛び込んでくる。ティーガは繋がったまま、顔を真っ赤にして咄嗟にドアを叩くように閉めた。

廊下ではアリオスが壁に激突する鈍い音が響く。

「っかー! これから二回戦目が始まるところじゃというのに邪魔をしおって!」

​リューゴが竜の身体に戻り、ぷんすかと怒る。

ウォルカは繋がったままの状態で息を荒げ、鋭い紅い瞳でドアの方を睨んだ。

「……鍵を、かけ忘れたな……」

​ウォルカはティーガを後ろから抱き起こし、耳元で熱っぽく囁いた。

「……続きは風呂に入ってからだ。まだ付き合ってくれ」

ティーガは壁に凭れかかったまま、呆れたように息を吐いた。

​雪の夜は静かに更け、宿の部屋には再び、野性味あふれる重い吐息が響き始めた。
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