傍にいてもいいですか?

アビス

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5話

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「いいか―…は…時代に…をした人物で――よく試験に出るからなー」
日本史の先生が黒板にカツカツと字を書いていく。4時間目にもなると、上の空になっている生徒がちらほらいるがこの先生は基本叱らずに無視するタイプで生徒達からはありがたいと言われている。彼からしたら面倒くさいというだけなのだが。

授業に飽きた蒼はふと真人の方を見る。
『すやすや……』
『(真人~っ!)』
とても気持ちよさそうに眠る真人を見て蒼は項垂れた。
これは睡魔と懸命に戦っているどころか、睡魔と手を繋いで夢の国に行っているのではないかと思ってしまうほどの眠りだった。別に日本史だから寝てても平気だとは思うが蒼は真人の為を思って何とか起こそうとしてみる。

「んん゛っ」
蒼はとりあえず大きめに咳払いをしてみた。

『すやすや……』
「えーっと、――は時系列がごちゃごちゃになるから注意な。」真人はまったく起きず、先生の声だけが教室に響く。

『くそ、起きないか…』
ここまで来るともはや意地でも起こしたい蒼はかなりリスクがあるものの、思い切ってペンケースを落とす事にした。『前クラスメイトがペンケースを落として中身をぶちまけた時、かなり大きい音がしてびっくりしたし、これなら起きるだろ。よし、いくぞ…』 

わざとに見えないように蒼は肘を使ってペンケースを落とす。

その次の瞬間、
『ガシャーーン!!!』
蒼のペンケースが重力に従って落ちた。金属製だったそれは有り得ないくらい大きな音をたてた。

起きている生徒も寝ている生徒も先生も肩が一瞬ビクッと動く。そして音がした蒼の方を何事かと凝視するが、蒼が気にしているのは犬飼真人が起きたかどうかそれだけである。

「ん…、なんか落ちた?」
前の方の席にいた真人が目をこすりながら呟いたのを確認した蒼は心の中で『よしっ!』とガッツポーズをした。
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