ハハハ。

莉云ラム

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 道といえば何を思う?多くの人が歩く道路の事とか自分の人生の事だと思うよね。俺もそう。つまんないよね。なんでか端的に話すよ。

 いつ頃からかな。両足が使えなくなって、本物の足じゃなくなったのは。うーん、覚えてないや。道を歩けば影とか足跡ができるよね。俺はできないけど。そりゃ跡はできるだろうけどそうじゃなくて。地に本物の足つけてできた足跡。生きてるなあって思えるやつ。そこが気になって仕方なかったのは鮮明に覚えてる。ハハハ。まあそんなことどうでもいいさ。

 なあ。なんでそんな同情した目で俺を見るんだよ。周りの人間と同じ振る舞いをしろよ。俺だって昼休みに購買でパンとか買いたいよ。なんで階段を上り下りしてるだけで、ちょっと遅いだけで、そんな除け者にするんだよ。端で歩いてるんだから通れるだろ。あれ、気付いたら俺の消しゴムなくなってね?少しずつ物が消えていってる。脚が鉄で出来てるだけでこれだもんな。そうは言ったって俺が肉で出来た脚でも同じなんだろうな。個性が大事とか言われてるけどさ。本当なのかね。たしかに俺はつまらないやつかもしれないけど。それでも。俺は人間だよ。おまえらと同じなんだよ。勝手に決められた普通の枠に収まらないやつは阻害されてくなんてさあ。生きにくい世の中だよなあ。滑稽だよなあ。ハハハ。あーソケットが制服のズボンに当たって動きにくい。たまに痛む時もあるしさ。キリがないなこれ笑。あ、別に同情とか望んでないから。ハハハ。生きてるけど地獄。まあ正直死んでも地獄なのかはわからないよね。ハハハ。ハハハ。ハハハ。

 これが辿ってきた俺の道。ただただ“道”の記憶が濃い。ただそれだけ。理由ね、これ。端的だろう?あと、わかった。地獄だけど地獄じゃない。ここは。俺にとってはだけどね。ハハハ。良かった。俺の選んだ道。ハハハ。道を歩けば影とか足跡ができるよね。俺はできない。ハハハ。
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