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第3章

31. 部下からの嗜虐行為は蜜の味

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「団長~まだ着かないんですか~?あっし疲れましたよ~」

3人の騎士が山道を歩いている。

「ははっ文句言うなよミカ。だってしょうがないだろ。馬車が壊れたら歩くしかない。そもそもお前が無茶な運転をするからこんなことになんだぞ」

中腹のミーツ村前で馬車が壊れた。この辺りでは、ごくたまに草むらで見つかる溶解片?で馬車の車輪が溶け壊れるらしい。なんだ溶解片って。怖い。この変じゃ普通の事なのだろうか?

「だっ団長・・・帰っていいですか?実はマッマの体調が最近芳しくなくっ」

「嘘を付くのは止めようねサンド君。君のお母さん毎日職場を見張ってるから超怖いんだよね。君への愛し方が異常なんだよ」

タメ息が出る。僻地に左遷されて5年、そこから更に僻地に左遷させられて1年が経つ。騎士としての誇り高い人生を夢見て頑張ったはずだったのに、気づけば閑職だ。

ただ魔界が慌ただしくなり始めた今となっては、この僻地生活を羨ましがる輩もいるのだから、人生もわからないものだ。次は逆に前線送りかな。ははっ。

「団長何か建造物が見えます!あれじゃないすか?カザハ村!」

目を凝らしてみるとミカの言う通り。確かに何かある。このペースで行ってあと2時間って所だろうか。

「団長(笑)私、先行って探検してきます!」

「えっおいっ団体行動!ミカ、ねぇっ、ははっ行っちゃった」

ミカは言い切る前にすごい勢いで走っていった。さすがの身体能力に加えて風の精霊魔法でスピードを増強したのだろう。もう遥か先にいる。

「団長、ボックは先帰っていったん休んできます!」

「それはダメだよサンド君。ほらっもうすぐだから頑張ろうよ。ねっ?」

ああこいつはもっと何なんだ。でも文句言えない俺も俺かなあ。俺とサンド君はゆっくりとカザハ村を目指す。村に着いた頃には辺りは暗くなっていた。


「団長~こっち~!」

「ミカ!お願いだから団長は付けて呼びなさい!」

ミカは既に村の散策を終えたらしい。何やらでかいパンを頬張っている。羨ましい。

「露店でもあったのか?こんな辺境の村に?」

民家ばかりのこんな辺境に飲食店があるとは思えないし、報告も受けていない。

「違いますよ~MPが切れて行き倒れになってたら、おっぱいの大きいめちゃ綺麗なお姉さんにもらったんすよ~!」

「なんだと!?ミカ、この際命令無視で山を登ったことも、騎士が初歩の初歩であるMP切れを起こしたことも不問にしよう。そんな事よりだ。おっぱいの大きくしかも綺麗なお姉さんについて情報を求める!その人は結婚していたか?」

「・・・わかんないす!」

「・・・という事は・・・可能性があるという事かぁ!」

期待が膨らむ、心が躍る。なぜなら私は綺麗な女性に、目が無い。

何が何でも結婚をし、1人の女性を愛し、幸せに暮らしたいと思っている。だが相手がいない。都の女性は綺麗だが心は汚かった。村の女はなんか一度綺麗な女を見てる分ね。あれだった。

立派な聖騎士の道の絶たれた私にはもはや平穏な家庭という幸せ、そう結婚しかない。そう。結婚しかないのだ。念のために2回言った。

「団長!意見します!相手の女性はあっしが見ても超美人でした!童貞で女に奥手のチキン団長には可能性があるレベルじゃないです!そもそもあのレベルの女と団長がまともに話せる可能性は0です。なので変な夢を見ないほうがいいです!」

「よし。ミカ。お前の言葉は俺の耳には届いていない。取りあえず今日は村長宅に泊まろう。話はついているはずだ。明日の午前はその美女を探し、任務は午後開始とする!」

「団長のそういう頭の足りてない感じ、あっし的には最高です」

「ぜはーぜはーぜはー・・・着いた」

彼らは北の北駐屯所、第12支部 ケニー隊。

当然のことながら成績は芳しくない。

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第3章が始まりました。いま正にストックとの戦いです。お話は決まっていても書くのが遅い。
順位的にもお気に入り登録だけは是非しといて頂きたい( ..)φメモメモ

明日も更新します・・・時間は・・・21時30分です。
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