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第1章:全てを司りし時計の行く末
1章0話 AIの夢見た世界[挿絵あり]
しおりを挟む「湊様」
青髪の少女はその男性を湊と呼んだ。
「私達に心はあるでしょうか」
少女は湊に問いかける。私達に心はあるのか、人間の温もりはあるのかと。
そして男は答えた。
「勿論さ。もし君に心が無かったら、君とのこの休日のショッピングも楽しめないだろう。君は楽しくないのか?」
「いえ。この身体は機械で出来た科学の産物。私に宿る貴方様に感じるこの気持ちが意識と呼べるかは分かりません。ですが、少なくとも湊様と一緒にいれて本当に幸せです」
少女は湊にそう返事する。
「じゃあそれでいいじゃないか。俺も、AIオートマトンと人間の共存と、その先にある未来を夢見て研究者になったんだから。今の自分の生を楽しむんだ、レミー」
湊は目の前の少女――レミーにそう呟いた。
「湊様はこの先、どのような未来をお望みですか?」
「そうだなあ。AIオートマトンに人権が認められて、人間と共生して、誰も寂しくなく、いつでも寄り添って人生を歩んでいけるそんな幸せな世界を望むかな」
レミーはその湊の返答を聞いて安心した。その機械の身体にも心が宿っていると言わんばかりの笑顔を彼に見せた。
「約束します。湊様達の望みを、このレミーが支えてあげると」
「頼もしいな、レミー。ありがとう」
「いえ。私はいつまでも貴方様の味方です。湊様――」
これはそう、何年前の記憶だろうか。湊がまだAIオートマトンの研究者として駆け出しの頃、機械仕掛けの彼女と共に街に行き、再度その機械に宿る温もりを確かめた儚い思い出の記憶。
「ずっと湊様の支えとなるよう、私達AIオートマトンは尽力して行きます」
そう1人呟いて、湊の手を無邪気に引っ張り、2人は夜の街に消えて行った。
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