人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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三章 王都オリーブ編1 王都オリーブ

134 冒険者ギルドが使う転移水晶 と ハンデ戦!?

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 急ぎだと頼まれた運搬の依頼を終わらせ
第2ギルドに戻り、受付のトレニアに報告をした。

「トレニアさん、頼まれた依頼を終わらせてきました」

「ありがとうございます。急に頼んでしまい、申し訳ありませんでした」

「構いませんよ。そんなに大変だった訳ではないので」

「そうなんですか? やっぱりアイテムボックスを使える方は、便利で良いですね」

「おかげさまで、重宝してます」

「少ないのですが、こちらが報酬になります」

 トレニアから銀貨二枚(2,000GL)を受け取った。

 アイテムボックスを使った運搬は、少なくても金貨一枚(10,000GL)と言っていたから、それを考えると確かに少ないが、別にお金に困ってる訳ではないし、あんな話を聞かされたら……。

「本当に少なくて、ごめんなさい」

「いえ別に構いませんよ。事情もあるようですし」

「何か聞かれたんですか?」

「運搬先に着くまでの間に、依頼者のお婆さんが、経緯(いきさつ)を話してくれまして」

「じゃあ、私があそこの人達を、支援してることも?」(小声)

「ええ」

「出来れば内緒にしてください」

「何か知られては不味いことでも?」

「先日私と話していたことで、カズさんが絡まれたことがありましたよね。あのような冒険者の方がいることがありますので、私があそこの人達を支援してると知られると、巻き込んでしまいそうで」(小声)

「他に知ってる人はいるんですか?」(小声)

「サブマスには話してありますので、ギルマスも知ってるはずです。あとはモルトさんと、ネメシアさんも知ってます」

「ネメシアさんも?」

「迷惑な人が来たときは、助けてくれるんです」

「あのネメシアさんがですか?」

「そう言えばカズさんには、冷たく当たるんですよね」

「ええ、何故か」

「何故でしょうかね?」

「さぁ?」

「そう言う訳で、内緒でお願いしますね」

「はい」

 トレニアと話が済んだので、モルトとネメシアが来るまで、俺は部屋の隅にある椅子に座り待つことにした。
 そこで先程お婆さんから聞いた話で、気になることがあったので、記憶の糸をたぐる。
 もう少しで何か思い出しそうになったとき、モルトが声を掛けてきた。
 すぐここまで出かかってた記憶が、どこかにすっこんでしまった。

「カズ君お待たせしました。専用訓練所を使用する許可がとれましたので、行きましょう」

「ネメシアさんがまだ来てませんが」

「ネメシアなら先に向かいました」

「そうですか。それなら早く行った方が良さそうですね(どうせ『遅せぇぞ!』とか、言われるんだろうな)」

 カズはモルトについて、三階にある一室に入った。
 部屋の中央に大きなテーブルと10脚の椅子がある、言わば会議室だ。
 他には特に、変わった所は無い。

「モルトさん、ここで良いんですか?」

「ええ。一階は人が居ますし、二階の個室も、今日は殆ど使われてるので、ここ三階の部屋に来ただけです」

「どうやって専用訓練所に行くんですか? 転移水晶ですか?」

「いえ、専用訓練所には転移水晶ではなく『ソーサリーカード』を使って移動します。使用許可が出ると、専用訓練所に転移する為のソーサリーカードが、人数分渡されますので、それを使い移動します」

「どうして転移水晶じゃないんですか?」

「転移水晶ですと、一つの部屋に置いて置かなければなりませんし、もしギルド職員の目を盗んで、勝手に使う者が居た場合に、十中八九問題が起きますから。なので専用訓練所を使用する場合は、人数のソーサリーカードを供給する事で、使用の有無や使用人数が分かるようになるんです。それとソーサリーカードを使用する場所は、第2ギルド内と限定されてます」

「ギルドの外では使えないと?」

「はい。勝手に持ち出しても、使用出来ないように、魔法を込める際に、転移元を第2ギルドに設定してあるのです」

「なるほど。行きと帰りで、一人二枚ですか?」

「一人一枚なので、行きの分だけです」

「えっ、帰りは?」

「専用訓練所に、転移水晶が置いてありますので、帰りはそれを使います。転移先は、カズ君達が先日第8ギルドに転移した時に使った、転移水晶のある部屋に移動します。専用訓練所から、帰還する為の記録が、あの転移水晶にしてありますから」

「あの水晶に!? 王都にある他の冒険者ギルドにも、1個の転移水晶で移動するんですか?」

「そうです。使用する際にギルド職員が、転移先を切り替えます。行く場合には切り替えが必要ですが、来る場合に切り替えが必要ありません」

「1個の水晶で、それだけ記録してあるんですか! それに転移して行く場合のみ、切り替える必要があると」

「これだけ出来るのは、水晶の純度が高く、魔力を多く溜め込むことの出来き、とても珍しく高価な物だからです。王都の冒険者ギルドでも『第1から第3』の、三ヶ所にしかないんです。他の『第4から第9』までの冒険者ギルドは、2個の転移水晶を使って、王都にある各冒険者ギルドを移動してます」

「なるほど! それなら王都の端から端まで、緊急の依頼にも対処出来ますね」

「はい。なので広い王都には冒険者ギルドが、九ヶ所存在するんですよ」

「納得です。おっと、こんな話をして遅くなったら、またネメシアさんが怒りますね」

「それもそうですな。では行きましょうか。ソーサリーカードの使い方は、わかりますか?」

「はい大丈夫です」

 カズとモルトは、ネメシアの待つ専用訓練所に、ギルドから供給されたソーサリーカードを使用した。
 転移のソーサリーカードを使用すると、周りの空間が歪むように見え、次の瞬間には広い訓練所の片隅に居た。
 転移後カズはモルト聞くと、これはソーサリーカードに使用されている魔力が、転移水晶より少ない為に、転移時間が少し遅く、転移する際に空間が歪んで見えると言っていた。

「やっと来やがった」

 声のする方を見ると、そこにはネメシアが不機嫌そうに立って居た。

「お待たせしました」

「遅いぞ!」

「そう言うでない。ネメシアが先に一人で来たから、悪いではないか。ギルドの一階で待ち合わせと行ったのに」

「これから戦う相手と、一緒になんて来たかねぇーよ」

「相変わらず勝手な人ですね貴女は」

「ほっとけ! それより早く支度しな。私は準備は出来てるから、いつでも良いぜ」

「来てすぐですが、カズ君の準備はどうですか?」

「俺は大丈夫です」

「あれから(倉庫から戻ってから)休憩(魔力の回復を)しましたか?」

「あの後は、時間が少しあったので、運搬の依頼をしてきまして、ギルドに戻ったのが、モルトさんと会う少し前です」

「あの後に依頼を……大丈夫なんですか? (残りの魔力量的に)」

「大丈夫ですよ(昼と言っても、まだそこまでお腹は空いてないからな)」

「おいどうなんだ、準備は出来たのか?」

「ええ良いですよ」

「良し。立会人のじじぃは、離れて見てな」

「ネメシア分かってると思いますが、これは模擬戦ですから…」

「言いたいことは、分かってるさ」

「それなら良いんですが。危険だと判断したときは、止めに入りますから。カズ君も無理しないでください」

「分かりました。モルトさん」

「じじぃはコイツの戦闘を見てないから、そんなことを言うんだ。まぁいい、すぐに分かるさ! (その前に『これ』を付けさせねぇと)」(ボソッ)

「なんですか、ネメシア」

「なんでもねぇ」

 モルトは二人から距離をとる

「ではお互いに、用意は良いですね。剣は木剣を使用で、スキルと魔法は使用して構わないですが、死に至るような攻撃は、もちろん禁止です。危険だと判断したときは、即止めに入ります。それではよろしければ、模擬戦を開始してください」

 モルトが開始の合図をすると、ネメシアが歩いてカズに近付いて行く。

「おいカズ、始める前に何か武器を隠してないか、確認させな」

「構いませんよ(やけに用心深いな)」

 ネメシアがカズの前にやって来た。

「両手を見せてみろ」

「それで気が済むならどうぞ」

 カズは両手を前に出し、ネメシアに何も持って無いことを見せた。
 するとネメシアはモルトに見えない様に、カズの両手首に腕輪を装着した。

「えっ! なんですかこれ?」

「まさかこうもアッサリと、付けることが出来るとはな。これで思う存分に出来る。行くぞ、オラ!」

 ネメシアが思いっきり、カズに殴りかかった。
 カズは腕を出し防御したが、2m程吹っ飛ばされた。

「痛い! 何これ? 体が重い」

「どうした? その程度で、倒れたりはしないだろ」

 ネメシアはすぐに間合いを詰めて、今度は蹴りを入れてくる。
 それをカズは紙一重でなんとか避けて、後ろに下がり距離をとる。

「そろそろ準備運動はいいだろ。次からは強化していくぞ!」

 蹴りを避けて後ろに下がったカズは、ネメシアに装着された腕輪を【万物ノ眼】の効果を使い《鑑定》と《分析》をした。


 【弱体化の腕輪 】『二級』
 ・  装備者のステータス数値(力・魔力・敏捷)が10%減。(最大 - 100)


「弱体化の腕輪って、なんでネメシアさんがこんな物を持ってるの! しかも2個も!」

「チッ、やっぱり気付いたか。ハンデだよ!」

 常時カズは一割も力を出してない為に『- 100』も数値を下げられると、急に体が重くなったと感じた。
 しかも身体に分かるような、ステータス減少の効果を受けたのは初めてだったので、少し動揺もしていた。
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