人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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三章 王都オリーブ編2 周辺地域道中

183 潜入調査 7 作戦終了

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 とっさにカズは【アイテムボックス】から斬鉄剣のトレカを取り出し、実体化させてバトルアックスを受け止めた。

「危なかった。油断大敵ってやつか」

「なっ! テメェどっからそんな剣を…」

「秘密」

「なんでそんな細い剣で、わいの一撃を受け止められるんだ?」

「俺も驚いた(あれ、刃こぼれしちゃってる)」

「ふざけてんのか! だったらもう一撃…」

「遠慮させてもらう」

 カズは斬鉄剣で、バトルアックスの柄を切断すると、刃こぼれした部分から亀裂が入った。

「ぐぉ!」

「柄が短くなって、使えなくなったでしょ(とっさだったから、武器強化しないで受け止めたのがまずかったか。)」

「わいの武器をよくも」

「あまり時間をかけられないから、もう終わりにしよう」

「終わりだぁ? そのヒビの入った剣で、わいを斬るってのか」

「お互い武器も使えなくなったってことで、降伏しないか?」

「バカか! わいにはまだこれ(短剣)があるんだ。それにひきかえテメェが持つヒビの入った剣じゃあ、わいのレザーアーマーを傷つけることはできねぇ」

「そうかもな。だけど俺は魔法を使えるから」

「わいに効かねぇ魔法だろ。どっちが有利か分からねぇとは、とんだバカだぜ」

「じゃあそのバカが使う魔法で、気絶してもらおうか」

「効かねぇって言ってんだろ!」

 アヒリモがカズに接近して、短剣で突き刺しにくる。
 その突き出した短剣が届く前に、カズが威力を上げた〈ライトニングショット〉を放った。 
 電撃耐性で効果が弱まると思い込んだアヒリモは、避けようともしなかった。
 しかしレザーアーマーの電撃耐性では、意味をなさないほどの攻撃は、アヒリモの意識をとばし気絶させた。
 勝ったと思っていたアヒリモは、ニヤついたまま気を失った。
 斬鉄剣は破壊と認識されたらしく、実体化の制限時間が過ぎると、トレカには戻らず消滅してしまった。

「別に威力を上げれば、その程度の耐性なんて意味ないんだけど……って聞いてないか。斬鉄剣も消滅しちゃったな(油断が招いた結果だな)」

 カズは気絶しているアヒリモを縛り上げたあと、部屋の中を調べ回ったが、残念ながらこれといった証拠になる物は無かった。
 その代わり、皆に付けられてる枷の鍵を見つけた。
 カズは柄の切れたバトルアックスを【アイテムボックス】に入れて、縛り上げたアヒリモを持ち、アイガーと合流して見つけた枷の鍵を渡した。

「さすがだな。こっちも目標を確保した」

「俺はその鍵以外に、これといった物は特に」

「だとすると証拠になるような物は、ここ(採掘場)には無いか、もともとそういう記録をしないでいたかだな」

「ええ。でも向こうの隠れた集落に、そういった物があるかも知れないですよ」

「確かにそれはあり得る。まあそれは、向こうに行った連中に任すさ」

「何か見つかれば良いんですが」

「とりあえずカズは、この貴族と言われてる奴と、ここを仕切っていた奴(アヒリモ)を、王都のギルドに運んでくれ。ないと思うが、途中で襲撃されて、二人を口封じなんて事があるかも知れないからな」

「分かりました。その前にちょっと失礼して」

 カズは盗賊が貴族と言っていた人物を【分析】した。



 名前 : ゴンズ・イシガテラ
 称号 : 落ちぶれ貴族
 年齢 : 48
 性別 : 男
 種族 : 人
 職業 : 闇の売人



「一応は貴族みたいですね」

「一応?」

「俺が調べた結果だと、落ちぶれ貴族と」

「落ちぶれ貴族か……あとはギルドの方で詳しく調べてもらおう」

「その方が良いですね」

「一応気を失っているが、目隠しはしてある。だからあれ(ゲート)で転移しても、見られることはないだろ」

「じゃあ、今のうちに運んでしまいます」

「ああ。それとだな、一つ困った事があって」

「なんですか?」

「ハーピーなんだが」

「ハーピーがどうかしましたか?」

「アイツらも解放してやりたいんだが、気が立っていて近づけないんだ。枷を外すためとはいえ、怪我をさせるわけにもいかないからな。おそらく他者との交流を、殆どしてこなかったんだろ。言葉が通じない」

「言葉か……とりあえず俺は、この二人をフローラさんの所に連れて行きます。すぐに戻って来ますから、ハーピーは俺が話してみます」

「ハーピーの言葉が分かるのか?」

「大丈夫だと思います」

「分かった。他のことはオレ達がやっておくから、ハーピーは頼んだ」

「分かりました。それで怪我をした人はいますか?」

「オレ達は大丈夫だが、保護した人達の中には、怪我や病気の者がいるようだな」

「死人は出なかったなら良かったです。俺の持ってる回復薬を渡しますから、使ってください」

 カズは【アイテムボックス】から、薄めた回復薬をアイガーに渡した。

「ああ。……なぁカズ」

「なんですか?」

「あ、いや……また今度にする。じゃあ頼んだ。回復薬はありがたく使わせてもらう」

 カズは落ちぶれ貴族と、アヒリモを脇に抱えて〈ゲート〉で第2ギルドに戻った。
 最後まで抵抗していた盗賊達も、アヒリモが捕らえられたと聞くと、おとしく降伏した。
 これにより採掘場の制圧と、捕まっていた者達の保護は完了した。

「アイガーさんに頼まれて、貴族と採掘場を仕切ってたアヒリモを運んできました」

「ご苦労様。気絶しているようね。二人とも地下…じゃなくて、下の階にある部屋に運んでおいて。すぐに他の者に、地下へ運ばせるから」

「俺が直接地下の部屋に運びますよ」

「さっきイキシアが地下に行ったから、今会うのはまずいでしょ」

「そうですね。分かりました。それと向こうでまだやることがあるので、二人を運んだらすぐに戻ります」

「分かったわ」

「ナツメとグレープはどうしましたか?」

「他の部屋でまだ寝てるわよ」

「そうですか。あの二人にも話を聞いて、家族の元に帰してあげないとなりませんから」

「ええそうね。二人が起きたら、私も聞いてみるわ」

「お願いします」

 カズは落ちぶれ貴族とアヒリモを、下の階にある部屋に運び、再び〈ゲート〉で採掘場に戻った。
 そしてすぐに、ハーピーの居る所に向かった。
 するとそこには二人の冒険者が、ハーピーの近くに居た。

「助けてやるってのに、全然言うこと聞かねぇよ。仕方ねぇから力ずくで、おとなしくさせるか?」

「見てるだけで良いって、アイガーに言われたろ」

「お疲れ様。あとは俺が相手をします」

「誰だ?」

「ん? ああ! あんたここに潜入調査してた奴か」

「ええ」

「そういえば!」

「分かった。アイガーから聞いてるから、あとは任せた。行こうぜ」

 ハーピーを見ていた二人の冒険者は、捕らえている盗賊の見張りに行った。

「ヒュイ(なんだお前は!)」

「ヒュイ、ヒューヒュ!(ワタシ達を奴隷として売るのか。人族の男よ!)」

「そんなことしない。他の捕まって働かされていた人達と同じように、君達も助けようとしてるだけ」

「ヒュェ! (お前ワタシらの言葉が分かるのか!)」

「一応ね」

「ヒュイ(助けるとは本当なのか)」

「見ての通り、皆の枷を外してるでしょ」

「ヒュイヒュエ(ワタシのこれも外してるくれるのか)」

「ああ。だからおとなしくしてくれないか?」

「……ヒュイ(分かった)」

 ハーピーの二人はおとなしくなり、カズを自分達に近づけさせた。

「鍵は他の人が持ってるから、君達の枷は壊すよ〈ブレイクアイテム〉」

 ナツメとグレープの枷を破壊したときの魔法を使い、ハーピー二人の両足に付いていた枷と鎖を破壊した。
 枷が付いていたところが擦れて傷になっていたので、カズは〈ヒーリング〉で傷を治した。

「ヒュ(外れた)」

「ヒュイ(これで仲間の所に帰れる)」

「もう捕まらないように気を付けて」

「ヒューイヒュイ(ありがとう。怪我も治してくれて)」

「ヒュイヒュエ(この恩は忘れない。ありがとう)」

 ハーピーは笑顔喜び、採掘場を飛び去って行った。
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