人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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三章 王都オリーブ編3 王国に潜むの影

272 騎士団の実力

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 カズはトラベルスパイダーに近付き話し掛けた。

「攻撃してくるなら遠慮はしないがどうする?」

「先に危害を加えてきたのは、お前達人族だ。ワタシは急に拘束され、ここに連れて来られた。お前が強いのは分かる。だから抵抗はしない」

「人の言葉が話せるのか?」

「ワタシは人族とも交流していた事もある」

「なら誰にも危害を加えないでくれないか。話して済むならそうしたい。頼むよ」

「……いいだろう。その代わりに、ワタシを無理に連れてきた謝罪と賠償をもらい受ける」

「俺の渡せる物なら構わないが、お手柔らかに(賠償って、しっかりしてるモンスターもいるんだな)」

「ならばワタシはこの場から一旦離れ、上空で暫し待機する」

 トラベルスパイダーは空に向けて臀部でんぶから出した糸を大きく広げ、上空へと浮かび上がっていった。

「おぉ! ああやって飛ぶのか。……感心してる場合じゃないや、他のモンスターもなんとかしないと。既に近く屋敷まで移動…!?」

 カズの心配をよそに、何体かのモンスターに接触し戦う者達がいた。

「誰だ? モンスターが倒されてるから、衛兵……いや違う……まあなんでもいい。被害が出る前に、モンスターを討伐しないと(ルマンチーニとイキシアを探すのはその後だ)」

 破壊されたレンガ造りの建物には、まだモンスターが残っているのが分かっていたので、出てくるのを防ぐためカズは〈アースウォール〉で壁を作り、散らばったモンスターを倒しに向かう。
 この時点では他の貴族が住む屋敷の敷地に、モンスターは侵入してはなかった。
 駆け付けた騎士団が辛うじて食い止めていたからだ。
 しかし誰もが屋敷から出て来ないわけではなかった。
 レンガ造りの建物が崩壊した音とモンスターの唸り声で、不審に思い外に様子を見に出た使用人もいた。
 それに騎士団の者が気付く。

「外は危険だ!」

「モ、モンスター!?」

「早く屋敷に戻れッ!」

「うわぁぁぁ」

 騎士団の二人は、様子を見にきた使用人に大声で危険を知らせ屋敷に戻らせた。
 明るい昼間なら戦っているモンスターを圧倒する力があったが、暗い中での戦いに不馴れな騎士団の者達は、増えるモンスターに苦戦をしていた。

 戦闘中のモンスターを後回しにして、カズは交戦してないモンスターから倒しに回る。
 殆どのモンスターはレベルが30から40前後だったため、時間をかけることなく倒すことが出来た。
 散らばった残りのモンスターは、騎士団と交戦している五ヶ所だけとなった。
 四ヶ所は騎士団がモンスターを殆ど倒していたが、一ヶ所だけモンスターの数が多く苦戦をしていた。
 騎士団二人に対してレッドウルフが三体とデザートクラブが一体、レッドヒヒが四体の合計八体を相手にしていた。
 この数を相手に耐えていたのは、モンスター同士でも互いを牽制していたからだ。
 さすがに徒党を組んで、先に騎士団の二人を倒そうとはしていなかった。
 疲労してきた騎士団の二人は、防戦一方になる。
 他の騎士団の者達が急いで向かってはいるが、まだ遠い。
 体勢が崩れ始め、騎士団の二人は危険な状態になる。
 レッドウルフが隙を付き、騎士団の二人に襲いかかる。
 鋭い牙が騎士団の一人を襲う。
 腕を負傷して体勢が崩れると、今度はレッドヒヒ四体が一斉に騎士団の二人に飛びかかる。
 
「〈エアーバースト〉〈プラントバインド〉」

 レッドヒヒ四体は突風で飛ばされ、レッドウルフとデザートクラブは、突如地面から伸びた蔦で拘束される。

「大丈夫ですか?」

「貴女は?」

「私はフローラ。冒険者第2ギルドのマスターをしています。貴族区にモンスターの気配を感じたので、様子を見に来ました」

「さすがはギルドマスター。こんな夜中に気が付かれるとは。助かりました」

「話は後にしましょう。先に目の前のモンスターを倒します」

 フローラは手に持つ杖を媒体にして魔法を放ち、レッドウルフ二体とレッドヒヒ四体をアッサリと倒した。
 残ったデザートクラブは、自ら拘束を解きフローラに迫る。
 フローラは〈エアースラッシュ〉を放つが、硬い甲羅を少し傷付ける程度でしかなかった。
 今度はデザートクラブの進行方向に〈アースホール〉で落とし穴を作った。
 勢いよくフローラに向かってくるデザートクラブは、止まることができずに落とし穴に落ちる。
 落とし穴に〈ウォータージェット〉を放ち、デザートクラブを水に沈め〈フリーズ〉を使い氷漬けにした。

「……すご…い」

「ぼく達が苦戦したモンスターを、こうもあっさりと。これが冒険者ギルドを代表するマスターの強さ」

「じっとしていて〈ヒーリング〉」

「傷が……」

「傷は治しました。レッドウルフは毒を持ってませんから大丈夫だと思いますが、少しでも具合が悪くなったら、すぐに治療してもらってください」

「ありがとうございます。ギルドマスター」

「たかだかあの程度のモンスターに苦戦したあげく、この有り様……ぼく達はなんてふがいないんだ」

 傷を負っていた騎士団の若者は、自分の実力のなさに意気消沈する。

「ロイヤルガードを目指しているなら、この程度でくじけてはなりませんよ。その悔しさが貴方をもっと強くします」

「……は…い」

 優しい笑顔で励ますフローラを見て、騎士団の若者は顔を赤らめた。
 隣に居た一人もフローラの笑顔を見て心を奪われる。
 そこにカズが駆け付け、フローラが来たことに気付く。

「早かったですねフローラさん」

「そうでもないわ。この状況を見たら」

「フリートさんに連絡して、一緒に来るのかと」

「フリートにはフリートのやることがあるから。私は……それよりモンスターはこれで終わりの?」

「散らばったモンスターはこれで最後です。数体は壁で囲んで閉じ込めて……」

 カズはレンガ造り建物があった方向の上空に目を向けた。

「どうしたの?」

「どうやら飛行できるモンスターがいたらしいです。壁を越えてこちらに向かって来てる。一…二……四体」

「見えるの?」

「いえ姿はまだ……見えた! (鳥か? 《分析》)」



 名前 : オーシャンバット
 種族 : 海洋蝙蝠
 ランク: B
 レベル: 44
 力  : 344
 魔力 : 924
 敏捷 : 1054
 スキル: 超音波 催眠音波
 全長 : 1m30㎝
 補足 : 明るい昼間は暗い場所に留まり、暗くなると獲物を探しに動き出す。
 ・海岸沿いの洞窟などに生息し、繁殖期になると船を襲い巣を作る。
 ・どんな暗闇でも超音波を使い周囲の状況を把握できる。
 ・風系統の魔法を使い攻撃をする、中には酸で攻撃する個体もいる。



「オーシャンバット…大きな蝙蝠のモンスターみたいです。レベルは44(海から捕まえてきたのか?)」

「確かオーシャンバットは催眠を使うはず。眠らないように気を付けて」

「ギルドマスター、気を付けてと言われても、暗くてどこから来るのか」

「俺が行きますからフローラさんはそこの二人を」

「分かったわ。それと」

「なんです?」

 カズに近づき小声で話すフローラ。

「イキシアがどこに居るか分かる?」

「あっちの屋敷内に居ると思いますが(建物内にある反応は殆ど動かないから、屋敷の使用人だとすると、イキシアは居ないのか? ルマンチーニは今どこに……とりあえず先にデカイ蝙蝠からだ。マイヒメが居れば任せるんだけどなぁ)」

 カズは暗闇の中に走って行き〈フライ〉で上空へと飛翔し、オーシャンバットを倒しに行く。
 対抗手段として〈プロテクション〉を使い、催眠の耐性を自らに付けた。
 フローラは魔力感知でカズの位置を特定していたが、騎士団の二人には何も見えてはいない。
 《超音波》でカズの接近を感知したオーシャンバット四体は〈エアースラッシュ〉を放った。
 カズは〈ウィンドカッター〉を放ち、対抗する。
 更に近づこうとするカズ目掛けて〈エアーバースト〉と〈アシッドショット〉を放つオーシャンバット。
 エアーバーストで加速させた酸攻撃アシッドショットで溶かしにかかる。
 カズは〈スラッシュトルネード〉でオーシャンバットの攻撃を掻き消す。
 スラッシュトルネードは勢いそのままで、オーシャンバットの二体を切り刻み倒す。
 残りの二体が《催眠音波》を使うが、既に催眠耐性を付けてあったので、効果は受けなかった。
 効果は無しと判断したオーシャンバットは、街の方へ全速力で逃げ去ろうとする。
 カズは二体のオーシャンバットに〈ライトニングボルト〉を放ち撃ち落とした。
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