人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

文字の大きさ
429 / 936
第五部 テクサイス帝国 1 大陸最大の国

412 ダンジョン最後の抵抗

 先程必死になって逃げる様を見て、完全に格下だと見ている住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでの顔面に狙いを定めて、カズは得意の〈ライトニングボルト〉を撃ち放つ。

 放たれた高速の雷撃は、住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでに直撃すると、獲物と思っていたカズ小物からの攻撃に一瞬ひるみ、け反って天井に頭部を強打。

「走って!」

 放たれた青白い雷撃に驚いて動きを止めていたヤトコに、カズは声を掛けダンジョンを急ぎ出るように言う。
 ハッ、と我に返ったヤトコは、破壊され広くなった通路へ全速力で走る。


 土属性の魔法はダンジョンの状態を考えると、あまり使わない方がいいだろ。
 破壊し過ぎてダンジョンが変化しなくなってきたからな。
 大百足が広げた通路もそのままた。
 まさか、ダンジョンが崩壊する寸前とか、か?
 だけど変化しないのなら好都合、これならヤトコさんとレラがダンジョンここを難なく抜けられるだろ。


 カズか再度【マップ】を確認すると、通路が全く変化しなくなっていた。
 二人がダンジョンを出るのには好機だと思ったカズが見たのは、数体反応のあったモンスターが消え、それが今自分の居るこの空間にあるということだった。
 しかし周囲を見渡すも、それらしきモンスターの姿は見えない。

「! おっと」

 カズは後方に飛び退き、飛来する液体を避ける。
 ドロッとした液体がベチャりと地面に落ち、ジュッと音を立てると、ツンと鼻につく臭いがした。
 液体が落ちた地面は溶けて窪みが出来ていた。

「ダメージはほぼなし。さてどうするか……」

 睨みを利かせてカズを見下ろす住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでの後方で、急に二ヶ所の地面が盛り上がりだした。
 すると四足歩行の獣と、二足歩行の人形の姿を成していった。
 どちらも住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでに迫る勢いで大きくなる。

「さっきのモンスター反応はあれか! ゴーレムみたいだが、なんだあれ?」

 カズは住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでの動きに気を付けながら、現れたゴーレムを《分析》を使い調べる。


 名前 : ダンジョンゴーレム・キマイラ
 種族 : ダンジョンゴーレム(魔晶鉱石・混在)
 ランク: ─
 レベル: 46
 力  : 784
 魔力 : 1004
 敏捷 : 614
 全長 : 8m
 スキル:アシッドファング
 魔法 : フレイムブレス アイスニードル ストーンブレット
 補足 : 住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでを排除しようと、ダンジョンが造り出したキマイラをしたゴーレム。
 ・毒蛇を模した尻尾の牙の高濃度の酸は、硬い金属すらも溶かす。


 名前 : ダンジョンゴーレム・巨人
 種族 : ダンジョンゴーレム(鉄鉱石 アダマンタイト・混在)
 ランク: ─
 レベル: 48
 力  : 1461
 魔力 : 323
 敏捷 : 527
 全長 : 6m
 スキル: パワーアーム ハイパワーブースト 自爆
 補足 : 住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでを排除しようと、ダンジョンが造り出した巨人をしたゴーレム。
 ・硬質なアダマンタイトを含む鉱石で造られたパワーに特化したゴーレム。
 ・破壊されそうになると広い範囲を巻き込み自爆する。


 二体のダンジョンゴーレムは住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでの後方から襲いかかった。
 巨人のゴーレムはそのパワーで掴み動きを封じようとし、キマイラのゴーレムは口を開けて〈フレイムブレス〉火炎を吐く。
 体をよじり巨人のゴーレムから離れようとするも、がっしりと掴んだ手は簡単には外れない。
 キマイラのゴーレムが吐いた火炎が直撃するも、その硬い外皮に阻まれ効果は薄い。
 続けて〈アイスニードル〉〈ストーンブレット〉と他の属性で攻撃をするも、やはり効き目は薄い。
 キマイラのゴーレムが効果の薄い攻撃を繰り返してる間に、住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでは大きく体を波打たせて、巨人のゴーレムを壁に叩き付け引っ剥がす。

 三体のモンスターが戦ってる内に、カズはこの場から離脱しようと、通路に向かおうとする。
 が、それに気付いた住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでが、またもや強力な酸を飛ばしてくる。
 最初に放った一撃が相当気に食わなかったのか、カズを逃がすつもりはないらしい。

「俺じゃなく、ダンジョンゴーレムそっちを相手にしてればいいだろ(暗視があっても、この暗闇と場所では大百足に地の利があるか)」

 どちらが厄介か理解しているらしく、カズから視線を外そうとはしないな。
 叩き付けられた壁から抜け出し、スキルを使用してもう一度掴みに掛かる巨人のゴーレム。
 力が上がった巨人のゴーレムに掴まらないように、住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでは体をくねらせて避ける。
 キマイラのゴーレムもその巨体で押さえようとするが、簡単にはいかなかった。
 意識が二体のダンジョンゴーレムに向いた一瞬に、カズは〈ライト〉を使い1メール程の光球を作り出した。
 急に強い光に照らされ住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでがたじろぐと、その隙に二体のダンジョンゴーレムが上から伸しかかり動きを封じる。
 ぐらぐらと地面が揺れるほど暴れる住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでに、キマイラゴーレムが尻尾の蛇を巻き付かせ噛み付く《アシッドファング》を使用。
 蛇の牙から出た強酸が、硬い外皮を少しずつ溶かしていく。
 溶かされ外皮に驚異を感じた住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでは、大きくのた打ち回り二体のダンジョンゴーレムを引っ剥がそうとするも、その重さと巨人ゴーレムの豪腕から動けずにいた。

「もうすぐ二人がダンジョンを出るから、それまで拘束しててくれよ」

 二体のダンジョンゴーレムが住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでをそのまま倒してくれればとカズが考えていると、蛇の尻尾に噛まれ強酸で溶かされているふしをその上から切り離し、ぐるりとと頭部の向きを変え、大口を開けて〈アシッドブレス〉を放った。
 カズはとっさに自分を囲むよう〈バリアフィールド〉を使い、強力な酸の息から身を守った。

 もろに食らった二体のダンジョンゴーレムの表面には亀裂が入り、蛇の尻尾や豪腕が崩れだす。
 キシャシャシャと気持ちの悪い笑い声を出しながら、キマイラゴーレムの頭部にかぶり付き、硫酸のような強力な酸で瞬時に溶かしながら取り込んでいく。
 巨人ゴーレムが住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでに飛び掛かり、ひび割れをする豪腕で頭部を掴みむと、頭部の無くなったキマイラゴーレムが巨人ゴーレムの後ろから四本の足でしがみつき魔力を流した。
 巨人ゴーレムにキマイラゴーレムの魔力が流れ、それが体内の一点に集中して魔力の密度が高まっていく。

「おいおい、勝てないと判断して自爆するのか! まずい、ダンジョンが崩壊する。脱出しないと」

 頭部をおおってる今なら、強力な酸を飛ばしてこれないと判断したカズは、急ぎ通路に向かうとする。
 その姿を見た住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでは、切り離した下半分を動かして、近くにある大石をカズ目掛けて弾き飛ばした。

「うおっ! 離れてるそっちを動かせるのかよ!」

 大石を弾き飛ばしてカズの足止めをすると、今度は自傷覚悟で大きく開いた口から〈アシッドボム〉を放ち、正面にしがみつく二体のダンジョンゴーレムを溶かし吹き飛ばす。
 巨人ゴーレムの体内で集中していた魔力が半分以上が霧散してしまい、自爆が不発に終わった。
 これによりダンジョンが崩壊する事はなくなったが、寄生する住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでをダンジョンか退ける方法もなくなった。
 鉱石は食われて殆ど無くなり魔素も残り僅か、ダンジョン自体の打つ手はなくなり、あとは食い散らかされて崩壊するのを待つだけとなった。

 相変わらずキシャ、キシャシャシャと気持ちの悪い笑い声を上げながら、動かなくなった二体のダンジョンゴーレムを大口で取り込み、キマイラゴーレムに溶かされたふしの一部を切り捨て、切り離した下半分と上半分を接続させた。

「そんなこと出来るなんて調べた時には書いてなかったぞ! この戦いで進化したのかよ」

 自らの放ったアシッドボムの影響で溶けていた外皮が、ダンジョンゴーレムを取り込んだ事で少しずつ回復して元へと戻っていく。

「もう回復しやがった。こんなのが外に出たら、どれだけ死人が出るか」

 邪魔な者は居なくなったと言わんばかりにカズを見据え、キシャシャシャと大きく口を開き、強力な酸のよだれを垂らす。

「逃がすつもりは最初はなからないってか。いいだろ、やったろじゃないか! お前よか小さいからって、あなどった事を後悔させてやる」
感想 91

あなたにおすすめの小説

即席異世界転移して薬草師になった

黒密
ファンタジー
ある日、学校から帰ってきて机を見たら即席異世界転移と書かれたカップ麺みたいな容器が置いてある事に気がついた普通の高校生、華崎 秦(かざき しん) 秦は興味本位でその容器にお湯と中に入っていた粉を入れて三分待ち、封を開けたら異世界に転移した。 そして気がつくと異世界の大半を管理している存在、ユーリ・ストラスに秦は元の世界に帰れない事を知った。 色々考えた結果、秦は異世界で生きることを決めてユーリから六枚のカードからスキルを選んだ。 秦はその選んだスキル、薬草師で異世界を生きる事になる。

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら、訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒
ファンタジー
そのコンビニにいた人たち全員が異世界転移された。 異世界転移する前に神に世界を救うために呼んだと言われ特典のようなものを決めるように言われた。 その中の一人であるフリーターの優斗は異世界に行くのは納得しても世界を救う気などなくまったりと過ごすつもりだった。 攻撃、防御、速度、魔法、特殊の五項目に割り振るためのポイントは一億ポイントあったが、特殊に八割割り振り、魔法に二割割り振ったことでチートな箱庭をゲットする。 そのチートな箱庭は優斗が思った通りにできるチートな箱庭だった。 前の世界でやっている番組が見れるテレビが出せたり、両親に電話できるスマホを出せたりなど異世界にいることを嘲笑っているようであった。 そんなチートな箱庭でまったりと過ごしていれば迷い込んでくる女性たちがいた。 偽物の聖女が現れたせいで追放された本物の聖女やら国を乗っ取られて追放されたサキュバスの王女など。 チートな箱庭で作った現代技術たちを前に、女性たちは現代技術にどっぷりとはまっていく。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

虐げられた前王の子に転生しましたが、マイペースに規格外でいきます!

竜鳴躍
ファンタジー
気が付いたら転生していました。 でも王族なのに、離宮に閉じ込められたまま。学校も行けず、家庭教師もつけてもらえず、世話もされず。社交にも出られず。 何故なら、今の王様は急逝した先代の陛下……僕の父の弟だから。 王様夫婦には王子様がいて、その子が次期王太子として学校も行って、社交もしている。 僕は邪魔なんだよね。分かってる。 先代の王の子を大切に育てたけど、体が弱い出来損ないだからそのまま自分の子が跡を継ぎますってしたいんだよね。 そんなに頑張らなくても僕、王位なんていらないのに~。 だって、いつも誰かに見られていて、自分の好きなことできないんでしょ。 僕は僕の好きなことをやって生きていきたい。 従兄弟の王太子襲名の式典の日に、殺されちゃうことになったから、国を出ることにした僕。 だけど、みんな知らなかったんだ。 僕がいなくなったら困るってこと…。 帰ってきてくれって言われても、今更無理です。 2026.03.30 内容紹介一部修正

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。