人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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第五部 テクサイス帝国 1 大陸最大の国

413 変異種大百足の討伐

 住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかではかかってこいと、長い触手動かして挑発する。

「ここでデカいのを一発でも噛ますと、自分は平気でも、俺が生き埋めになると思ってやがるな。なら威力を上げた、最初と同じのを当ててやるよ」

  カズは右手を前に出して〈ライトニングボルト〉を放つ。
 初撃より数倍威力を高めた雷撃が住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでに直撃すると、瞬時に全身へ青白い光が走り抜け、ビリビリと外皮で音を立てる。
 だが致命的なダメージは入らない。
 二体のゴーレムを取り込んだ事で、外皮が初見よりも硬くなり魔法の効果も弱らせていた。

 攻撃に耐え「キシャシャシャ」と笑い、次は自分の番だとカズ目掛けて〈アシッドブレス〉を使う。
 カズは〈バリア・フィールド〉でそれを防ぐと、続けて巨大な酸の塊〈アシッドボム〉を口から放つ。
 カズは〈ストーンウォール〉で厚い石壁を足元から出現させるも、酸の強さが上がり、石壁を意図も容易く溶かししてまう。
 石壁で止めていた一瞬の内に移動し、強力な酸の攻撃からカズは逃げた。

「こんな強力な酸を生成してるなら、真っ二つにするのは危険か。さて、どうする……手っ取り早く凍らせてみるか」

 次々と飛んでくる強力な酸を避けながら〈ウォータージェット〉や〈ウォーターボム〉を使い、住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでをずぶ濡れにすると、カズは現在居る空間を対象として〈アイスフィールド〉を使用した。
 カズを中心に冷気が広がり、空間内は半透明の氷一色となった。
 濡れていた住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでも氷に閉じ込められた。

「どうだ。これなら……あれ!?」

 パキパキと氷にひびが入り崩れ落ち、住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでは氷から出てきた。
 多少動きは鈍くなっているものの、内部まで凍らせることはできず、倒すまでにはいたらない。

「おいおい、頑丈な奴だな」

 カズの決め手を耐えきり、あとは楽しみながらなぶり殺しにてやろうと「グシュシュ、キシキシ、キシャシャシャッ」と、今まで以上に大口を開けて笑い、外皮に張り付いた氷を振り払いながら、四百本以上ある脚で動き回り、壁面から天井へと移動し、逆さまになり酸の粘液を垂らしてカズを見下ろす。

「これが壁面移動ウォールムーヴか。スキルで上下左右関係なく移動出来るのはわかったが、凍り付いていても関係ないとは(これだけ強い相手は、パラサイトスペクター以来だ。場所が場所だけに、未だ試してないトレカを使用しするにしても、崩れてきてるダンジョンに影響を与えないのを選ばないと)」

 天井に張り付き気持ち悪い笑いをして、更に強力な酸を生成する住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかで
 カズはアイテムボックス内にあるトレカのリストを脳内で表示させて、使えるものを選択する。

「……メルトダウンこれはこの場所じゃ使えないし、ブラックホールこっちも無理だよなぁ(ってか使ったら駄目なやつか)」

 ぶつぶつと独り言をいうカズに無視されたと感じた住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでは、凍っている天井から脚を離し、カズ目掛けて落ちる。
 ライトで出していた光球の光が遮られ、カズは大きな影の中に入った。
 急に暗くなったとカズは上を見る。
 するとそこには、長く大きなものが落ちて来るのが、カズの視界に入った。

「うわッ!」

 ぐねぐねと硬い外皮をきしませながら落ちる住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでに対して、瞬時に《筋力強化》を使いジャンプして蹴りを繰り出す。
 ドゴーンの音と共に、住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでの巨体が壁に激突する。

「かたッ!」

 地面に降りたカズは、しゃがむと蹴った足を何度もさする。

「強化したのになんて硬さだよ。これだと斬鉄剣クラスの武器でも、一刀で切断するのは難しか。切れ味が高くても体内の強力な酸で、数回斬れば使えなくなる。斬鉄剣それ以上の武器となると……」

 カズは考えた末に、今回は武器以外のトレカを使用することにして【アイテムボックス】から3枚のトレカを選び取り出した。

「あの外皮に効果があれば、素手でも倒せるんだが。1メールくらいからな」

 カズがモンスターのトレカに魔力を込めると、手元から消えると同時に、楕円だえんをした半透明のスライムが出てきた。

「2メートル弱か。思ったより大きいんだ。おっと、五分しかないんだっけ。あのデカい百足を攻撃だ『ぶよよんスライス』」

 攻撃命令を受けたぶよよんスライムは、弾みながら壁まで蹴り飛ばされた住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでに向かう。
 それに気付くと尻尾を大きく上げて、ぶよよんスライムを叩き潰しにかかる。
 地面が揺れひび割れる程の衝撃と共に、ぶよよんスライムは太い尻尾の下敷きになる。

「あれ、もしかして一撃で? 効果的な能力があったから選んだけど……さすがに無理だったか。すまん」

 ぶよよんスライムが倒されたと思っていたら、叩き付けた尻尾に半透明の液体がまとわり付くのが見えた。

「お! 生きて…あれ?」

 だが住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでの攻撃で、半分は潰されて消滅してしまっていた。
 ぶよよんスライムが尻尾の二ふしに薄く伸びてまとわりつくと、半透明の体が次第に赤茶色に色が付きだす。
 それと同時にまとわりついている尻尾の二ふしの色が、薄くなっていくのが見て取れた。
 異変を感じ取った住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでは、まとわりつくぶよよんスライムを引き離そうと大きく尻尾を振る。
 薄く伸びたぶよよんスライムの表面が波打ち、少しずつちぎれていき、段々と小さくなっていってしまう。
 ぶよよんスライムは一分と経たず細切れとなり、召喚してから三分も経たず消滅してしまった。

「やっぱりレベル差があり過ぎたか。だが効果があるのは十二分にわかった(カードゲーム通りはいかないか。現実だから当然か。でもやっぱりチートを期待しちゃう)」

 弱者と思っていたぶよよんスライス相手の攻撃で、カズから気が逸れた瞬間に、色の変わった尻尾の二ふしに接近したカズは、再度蹴りを入れる。
 当然まだ強化スキルの効果は有効中。
 今度は足に痛みはなく、蹴った外皮の部分は凹みひび割れる。
 見て分かる外傷が出来た事で、住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかではもう気持ち悪い笑いをする事はなくなり、開く大口から出るのは激怒の咆哮へと変わった。

「俺を敵と見なしておきながら、格下と見誤ったな!」

 挑発に乗って怒り任せに突っ込む事はせず、以外と冷静な住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかで

「ステータスの情報通り知能が低い、ってわけじゃないか。変異種だから特殊ってことか」

 一瞬目が青くギラッと光り、強力な酸の塊を吐き出す〈アシッドボム〉を連続して放つ。
 飛来する粘液の塊と、それが着液して飛び散る粘液を避けながら、カズは2枚目のトレカに魔力を込め『デススペル』使用する。

 これが有効だと軽々しく使えないが、これ以上長引かせるとここが崩れかねんからな。
 さあ、どうだ大百足? 即死魔法のはずだが。

 カズの手元からトレカが消えると、強力な酸の塊を吐き出していた住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでの動きがおかしくなった。
 止まったと思ったら何かを探すように、頭部を右へ左へ、上へ下へと動かす。

 生きてるってことは、不発か効果なし。

 カズは使用したトレカに書かれた効果をしっかりと思い出す。

 確か『デススペルは、敵モンスター一体を選択して死亡させる。この効果は自分のターンしか使用できない』なんだけど……仕方ない、アーティファクトの古書あの本に浮かび上がってれば、変化した効果を確認出来るか。

 カズが考え事をしていると「キャジャギャジャアアアアァ!!!!!」と大きく叫び、数百ある全ての脚がだらんと垂れ下がり、住壁鉱食大百足じゅうへきこうしょくおおむかでの巨体が地面に倒れ地面が揺れると、ひび割れたダンジョンの壁が数ヶ所で崩れていた。
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