人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス

490 決心の為の期限でも

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 シャワーで泡を流し、再度バスタオルを巻き、二人は浴槽に浸かる。

「お湯に浸かる時って、タオルとかダメじゃなかった?」

「まあそうなんだが、今日はしててくれ(でないと……)」

 肩まで浸かり、全身から疲れが抜けるのを感じてくると、アレナリアの興奮も収まってきた。

「ねえカズ、権力者と関わるの好きじゃないんでしょ。しかも皇族となんて」

「ああ、何かしらと面倒だからな」

「レラとビワの故郷を調べるのに、レオラの誘いに乗って来たけど、後々面倒になるんしゃないの?」

「旅をしながら調べるのも大変だからな。このままだと、あと何年掛かるかわからない。そんなに長く二人を連れ回せないだろ」

「それはそうだけど」

「それに帝国なら、俺の元居た世界に関する情報が得られるかも知れない。その為には地位の高い者と親しくなるのが一番。それが皇族なら尚更だ。レオラが気さくだから知り合いになれたんだが、本心では皇族や貴族と付き合いなんて、気疲れするだけで嫌なんだけど」

 カズの話を聞き、アレナリアは思い詰めた顔をして、数分沈黙する。

「もし、もしも元の世界に戻れる方法がわかったら……私達を置いて帰っちゃうの? 以前にも聞いたかも知れないけど、考えは変わってない?」

「黙って勝手に戻ったりはしないさ。ただ、今は正直、戻れないんじゃないかと思ってる」

「そう……」

「アレナリアとビワの気持ちに対するけじめとしての期限は、俺自身が元の世界と吹っ切るための覚悟、でもあるのかも知れない」

「帝都で三つの情報を探すのに、期限のままだったら一年もないわよ。いいの?」

「期限を延ばしてくれなんて言わない。約束だからな」

「そう……待つわ」

「ごめんな、アレナリア」

「カズの覚悟が聞けただけで良かった。私、もう出るわね。レオラと入った時みたいにのぼせちゃう」

「ああ。俺もちょっとしたら出るよ」

「じゃこれは、私のわがまま聞いて、一緒に入ってくれたお礼」

 アレナリアはカズの腕に抱き付き、そのまま引き寄せ、頬にキスをする。

「今はこれで我慢してあげる!」

 アレナリアは満面の笑みを浮かべ、先にお風呂を出た。

「ちょうどいい湯加減なのに暑くなった(気のせいか、少し当たりが柔らかくなったような)」

 アレナリアの胸の感触を感じて大きくなってしまい、元に戻るまで入ってる事になった。
 カズがお風呂を出た頃には、アレナリアはビワとレラの寝ている寝室に移動して、眠りについていた。
 翌朝ビワがお風呂に入れるように、お湯を入れ替えてからカズはもう一部屋の寝室に移動し、ベッドに入り眠った。


 ◇◆◇◆◇


 目が覚めて寝室からリビングに移動すると、ビワが一人ソファーに座り、誰かが起きてくるのを待っていた。

「おはようビワ」

「おはようございます。昨日はすみませんでした」

「謝ることないよ。疲れが出たんだ。昨日の昼以降何も食べてないからお腹空いたでしょ」

「朝食を作っておこうと思ったんですが、食材がなくて」

「起こしてくれればよかったのに」

「カズさんも疲れてと思って、だったら待ってようと」

「長いこと待ってた?」

「全然、十分も経ってないです」

「そうか。俺が昨日の内に食材を出して置けば、ビワがお腹空かせずにすんだのに。ごめん」

「そこまで減ってないので大丈夫です」

「アレナリアとレラはまだ起きてこないだろうから、お風呂に入ってくるといいよ。新しく汲んであるから」

「でも」

「今日レオラの所に行くみたいだからさ」

「そう…ですね。シャワーだけでも」

「汲んであるって言ったでしょ。ゆっくり浸かってくるといいよ。朝食は用意しておくから。ありきたりだけど」

「ありがとうカズさん。お風呂に入ってきます。早めに上がりますね」

「ごゆっくり」

 ビワがお風呂を出る頃を見計らい、カズは朝食の支度をする。
 と言っても、作り置きを【アイテムボックス】から出すだけなのだが。
 以外と早く二十分程でビワがお風呂から出て、カズの居るリビングへと来ると、しっとりとして艶のある肌と、綺麗な黄色い長い髪と尻尾にカズは目を奪われる。

「とても気持ち良かったです。カズさん……?」

 ぼんやりするして反応しないカズに、どうしてしまったのかとビワは声を掛けた。

「あ、いや。そう、脱衣場にドラ……風が出る道具があったから、それで髪を乾かすといいよ」

「そんな物があるんですね。でしたら使わせてもらいます」

「ああ(昨日アレナリアだけじゃなくて、ビワも一緒に入ってたら、完全に理性が飛んでた。危ない危ない)」

 ビワからはとても良い香りがした。
 脱衣場で髪と尻尾を乾かし、いつも使っている櫛で毛並みを整えて、再度リビングに来る。
 備え付けの石鹸と洗髪用の薬剤シャンプーとコンディショナーを使用して艶やかになった肌と、サラサラになった髪と尻尾のふんわりとした柔らかそうな毛並みに、カズの目は釘付けになる。

「いい……」

「?」

「その、なんだ。ふわふわモフモフの尻尾になったね。とても気持ち良さそう」

「あ……ありがとう…ございます」

 思わず口をついて出たカズの言葉を聞き、ビワは持っていたタオルで顔を隠して恥ずかしがり、尻尾は嬉しそうにゆらゆらと左右に動いていた。

「……かわいい(はッ! しまった)」

 お風呂上がりで良い匂いがし、火照るビワを見たカズは、感情が言葉として出てしまった。
 それを聞いたビワは、尻尾を更に大きく揺らし、持っていたタオルで完全に顔を覆った。
 その様子を少し前に目を覚まして起きてきたアレナリアが、寝室の扉を少し開けた隙間からじっと見ていた。

「朝っぱらから、良い雰囲気ね。昨夜の私には、そんなこと言ってくれなかったのに。やっぱり私がいない間、何かあったのね」

「無い無いッ! アレナリアの考えてるような事は、一切何もない。そうだよねビワ」

「えッ、あの…アレナリアさんの考えてるような事とは?」

「それは……」

「分かってるでしょビワ。子供を作るようなことよ」

「……!! してません。カズさんとは、まだ、そこまでは…」

「まだ? そこまで? だったらどこまでしたの!? 私がいない間に! したなら私にもしてッ!」

 カズの発言に対して、アレナリアはビワに嫉妬し、ビワに詰め寄り問い詰める。
 自分は昨夜カズと二人で、お風呂に入ったのにも関わらず。
 後退りしてソファーの隅に追い詰められたビワは、首を横に降り何もないと否定する。
 あまりの行動に、カズはアレナリアを羽交い締めして、ビワから離して落ち着かせる。

「なになに! どっちがカズの一番か決める修羅場?」

「レラは黙ってなさい!」

「図星的な?」

「違ッ…うわよッ!」

「にっちっち。起きたら久々に面白い事になってるじゃん」

 朝っぱらから一悶着が起き、高級宿屋に居る事を忘れ、たまにあるちょっとした日常的な空気を、四人は感じていた。
 カズは不貞腐れるアレナリアの機嫌を取り、ビワはカズが用意した、焼きたてのパンとハムとコーンスープを四人分取り分ける。
 レラはソファーにゴロリと横たわり、そのやり取りを楽しそうに眺めていたが、起きたばかりの空腹に焼いたハムを挟んだ香ばしいパンと、コーンスープの甘い匂いの前には敵わず、ビワに催促をして受け取ると、ハムサンドにかぶり付く。
 アレナリアを落ち着かせために、何故かカズはアレナリアに朝食を食べさせる事に。
 挑発したレラはそしらぬ顔でパクパクとハムサンドを食べ、ビワはコーンスープを飲みつつ、膝の上に置いた尻尾を手櫛でとかしていた。
 久々に四人で取る朝食はなんともおかしな空気になった。
 お腹が満たされると、アレナリアのイライラも少し収まった。

「アレナリア機嫌直ったぁ? それともま~だァ?」

「別に悪くないわよ」

「うっそだァ~。にっちっ…」

「レラはちょっと黙ろうか!」

 ようやく機嫌が、そこそこ良くなってきたアレナリアを挑発するレラをカズは注意した。

「反省します」

「謝るのは、俺じゃないだろ」

「ちょっと調子に乗っちゃった。ごめんねアレナリア。てへ」

 アレナリアはゆっくりと椅子から立ち上がり、反省する気のないレラの所に。
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