人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

文字の大きさ
609 / 912
五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス

588 図書館巡り 3 建造 と 魔道具 と 疑いの東区

しおりを挟む
 ◇◆◇◆◇


 早朝からビワが朝食の支度を始め、カズが起きる頃には昼食用の弁当まで完成させていた。
 手伝うと言っておきながら、ビワに任せてしまい、全くもって頭が下がる思いだ。
 レラは起きると、そこに食事が用意されているのが当たり前の様に、寝惚けたまま食べ始める。
 少しはビワに感謝してるのだろうかと、カズは疑問に思ってしまう今日此の頃。

 昼食用の弁当はカズが【アイテムボックス】に入れて持って行く。
 そして昨日と同じ様に、肩掛け鞄にアーティファクトの古書を入れ、五ヶ所の図書館を回る乗り合い馬車で、東区の図書館に向かう。
 建造物の資料本もあると聞いていたので、もしかしたら図書館の設計図もあるかもとカズは考えた。
 何十年と経ち使われなくなった建物や、既に壊されて無くなってしまってる建物なら、その設計図を見れるのは分かるが、現在も使われている建物に関する細かな資料を見れるのは、防犯の面から考えて大丈夫なのだろうかと、カズは疑問に思った。
 魔道具アイテムに関しても、作り方が記載されていると聞いたが、版権的なものはないのだろうかとも。

 乗り合い馬車内で本を読む他の乗客と共に、カズ達は東区の図書館に到着する。
 図書館の大きさは中央と西区の図書館よりも少し小さく、北区の図書館よりも少し大きい。
 書庫として使われる地下二階と、一般の閲覧が可能な地上三階建てとなっている。
 ビワとレラは建造物に然程興味もないとのことだったので、図書館に関する資料本を探すか、魔道具アイテムが書かれた本でも見て時間を潰していてもらう事にした。
 カズはまた最上階の奥までザッと見ながら行き、そこから館内を調べつつ本の街の図書館に関する資料を探す。

 東区の図書館に蔵書されてる本の智識を求め、新たな魔道具アイテムを作る切っ掛けになればと、帝都周辺の若い開発者や、本の街から遠く離れた小さな町や村から訪れた者が来ていた。
 刺激を求めているのは若い世代だけではなく、白髪でしわの多い人族や、若いドワーフに獣人に小人と、他の図書館とは違い様々な種族が来ていた。
 来館している殆どの者は、年齡も性別も種族も関係なく、誰もが独特で近寄り難い雰囲気を出している。
 特に魔道具アイテム関連の本が置いてある書棚には、そういった者達が多い。

 館内を一回りしたが、やはり隠し部屋がありそうな場所はなかった。
 魔道具アイテムに関する本に興味があったので少し見ていたら、魔導列車に関する本があった。
 その場で開いて少し目を通したが、内容は魔導列車が作られた歴史が、荒れ地や雑木林を切り開き、襲い来る獣やモンスターを撃退しながら線路を引き、今に至るまでの苦労話などが書かれていた。
 帝国最高峰の魔導技術なだけに、詳しい内部構造なんかは、当然のことながら流石に表記されてはいなかった。

 魔道具アイテムの作り方が書かれている本も確かにあったが、鉱石ライターなどの簡単なものだった。
 カズは本を書棚に戻し、その場を離れた。

 ビワとレラを探して館内を歩いていると、すれ違った数人がカズの持つ肩掛け鞄に目を向けていた。
 無断で本を鞄に隠して、持っていこうとしてるのではと疑っている様だった。
 東区の図書館に来ている者達は、蔵書してある本は全て技術書として素晴らしい物と考えており、盗む者も少なくはない。
 なので肩掛け鞄にアーティファクトの古書を入れているカズは、明らかに盗んでいると思われていた。
 誰かが司書に話したのだろうか? 周囲の視線からカズを見付け、一人の司書が近付き声を掛けてきた。

「ちょっと、そこの方」

「はい?」

「あなたが無断で本を持ち出そうとしていると聞きました。その中を見せてもらえますか」

 司書に鞄の中身を見せるように言われ、周囲の視線がカズに集まる。
 静かな図書館内で目立ってしまい、このまま疑われてはたまらないと、やましい事など一切してないカズは、素直に肩掛け鞄を開けて中を見せた。
 当然本は入っている。
 司書がカズが提げている肩掛け鞄の中から本を取り出し、開いて確認する。
 だが中は全て白紙。
 カズと司書では、見えているものが違う。
 カズの目にはハッキリと魔法やスキルが記され、司書はどこまで開いて見ても白紙白紙白紙。
 古ぼけただけの白紙の本。
 蔵書されている本には全て図書館の物だという印字がされているので、すぐに間違いだと分かり疑いは晴れた。
 ただ、そんな本一冊だけを持っているカズを変だという雰囲気を醸し出しながらも、司書は間違いを認めて謝罪をした。

 一人で来ているなら、少し強めの要求として、図書館の書庫を見れる様に計らってくれないかと言って見るのもありだが、ビワとレラまで変な目で見られては可哀想だと、謝罪を受け入れて要求はせずに許した。
 周囲から冷たい視線を受け続けるのも嫌なので、ビワとレラを連れて東区の図書館を出て、南区の図書館に向かう乗り合い馬車を停留所に行く。
 
「あの司書女の人の、お尻でもさわったの?」
 
「なんでそうなる」

「図書館から出て来る時にカズをずっと見てたから、とうとうやらかしたのかなって」

「とうとう、ってなんだよ! そんな事するか! 本を盗んだんじゃないかって、疑われたんだよ」

「大丈夫だったんですか?」

アーティファクトの古書これを見せて、図書館の本じゃないって証明したから大丈夫。司書はバツが悪そうだったけどね」

「その本見られて大丈夫なの? レオっちが貴重な本だって言ったんでしょ」

「俺には見えるけど、司書が見てもただの白紙だからな」

「あちしやビワが見ても?」
 
「同じだと思うぞ」

「ちょっと見せてよカズ」

「宿に戻ってからな。ほら、馬車が来た」

 宿屋に戻って夕食を済ませた後でと、レラと約束をして三人は乗り合い馬車に乗車。
 次は南区の図書館に向かう。
 やはりこの乗り合い馬車も、殆どの乗客が本を読んでいた。
 本を見ながら時々ペンを走らせ、カリカリと何かを書いてる人もいた。
 揺れる馬車でやらなくてもと、カズとビワは思った。
 ビワの膝の上に座るレラは、乗車してから十分程して寝てしまった。


 南区の図書館は地下三階、地上四階建てになっており、すぐ隣りには北区の図書館と同程度の大きな書庫が建っている。
 地下は書庫として使われており、他の図書館と同様関係者以外立ち入り禁止と、正面の出入口に表示してあった。
 一階にある館内の案内図を見て、ビワは裁縫の本がある二階に、レラは北区の図書館で見た絵本やビワから物語の内容を聞き、他にもフェアリー同族が書かれた本を見たくなったのか、絵本がある一階に残る。
 昼までそれ程時間はないので、カズは今回一階から順に調べて上がっていく事にした。
 昼食を取る為にビワとレラの二人と時間を決め、一階の案内図前で待ち合わせる事にした。

 この日は他の四ヶ所の図書館から運ばれて来た本の仕分けと整理で、南区の図書館で働く司書は大忙し。
 その理由は半月に一度、中央図書館から直接南区の図書館に本が運ばれるため。
 本来中央図書館からは西区、北区、東区の三ヶ所に運ばれるのだが、中央図書館で勤める五人の上級司書が、不適切ではと判断した新書が運ばれたからだ。
 今日はたまたま半月に一度、中央図書館から本が運ばれる日だった。
 カズ達はそんな事知らないので、南区の図書館司書は、何時も忙しそうにしてるのだと思った。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...