人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

文字の大きさ
682 / 912
五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス

661 第五迷宮の探索 1 観光客の多い迷宮

しおりを挟む
 冒険者ギルドから歩いて十数分で、街の名前でもある二基の塔がそびえ立つ場所に着く。
 順番待ちをするような事はないようなので、少し様子を見てから入ることにした。
 三分置きくらいで単独ソロの冒険者二人が入っていった。
 その五分後に三人組のパーティーと、四人組のパーティーが続けて入っていく。
 外では並んでなくても、中では渋滞ができてるのではと思った。
 三十分程近くで見ていたが、それ以後第五迷宮フィフス・ラビリンスに入って行く者がいなかったので、そろそろ入ろうと移動する。

 出入口の管理小屋に居るギルド職員に入場許可証とギルドカードを提示する。
 それを確認するとギルド職員は「迷宮に入るのは?」と聞いてきた。
 カズは「初めて」と答える。
 するとギルド職員は一通り簡単な説明を始めた。

 迷宮内での怪我や死亡、冒険者同士の揉め事について、街やギルドは一切関与しない。
 ただし見物の観光客と、雇われた冒険者に対して、故意に危害を加えた場合は、それにあたらない。
 迷宮内で発見した物や、倒したモンスターの素材等を持って出る事に問題はないが、生きているモンスターを迷宮内から連れ出してはならない。
 以前に迷宮内のモンスターを拘束し、隠して連れ出して、珍しいモンスターとしてして売り出そうとした者がいたが、迷宮の外に出た瞬間にモンスターが凶暴化して、連れ出した者は襲われて瀕死。
 なので迷宮で出現したモンスターを、生きたまま連れ出すのは禁止されている。
 迷宮内で発見した隠し通路や隠し部屋等をギルドに報告すれば、未発見であれば情報料が貰える。
 迷宮内の事について街やギルドは関与しないと言ったが、迷宮を出た後の事も考えて行動した方がいいだろう。
 深く潜るのであれば、石に記録する事を勧めるて、最後に付け加えた。

 説明を聞き終え「どうも」と言い、管理小屋を離れるカズの耳に、ギルド職員の大きな独り言が聞こえてきた。

「迷宮内で他の冒険者を襲っても問題ではないが、それが冒険者達の耳に入り噂話として広まれば、どうなるかは言わずとも。説明を聞いても理解せずに、そういった行動を起こし、冒険者としての活動ができなくなる者が、年に一人もしくは一組のパーティーがいるとかいないとか……」

 街に居た冒険者の雰囲気から、そういった冒険者のは少なからいるのだなと考えながら、カズは大きく開かれた門を抜けて第五迷宮フィフス・ラビリンスへと入って行く。
 内部に光源があるわけでもないのに不思議と明るく、通路全体はレンガ調作りになっいた。
 そこまで音が響くことはなく、先に入って行った冒険者や観光客の声が微かに聞こえるだけ。
 この日は様子を見に入っただけなので、左の壁沿いに移動して行く。
 できるだけ他の冒険者には出会さないようにしながら、一階層をマッピングする。
 先に入った冒険者達が倒してしまったのだろうか、モンスターは一体も現れない。
 三十分も歩かない内に、上層階に続く階段を見付けた。
 一階層を見るだけにするつもりだったが、思っていたより早く二階層に上る階段を見付けてしまったので、先へ行く事にした。

 二階層に上がると、微かにはしゃぐ声が聞こえてきたので、見物の観光客が上がって来ているのだと分かった。
 一階層と同じく左側の壁沿いに進んで行き、人気のある方を避けて進む。
 小部屋を見付け中を覗くと、ザ・宝箱がポツンと置かれていた。
 宝箱には気配があり【マップ】にもモンスターとしての反応があったので、宝箱に偽装したモンスターのミミックだと気付いたので、近付く事はしなかった。
 底階層はそれほど広くないらしく、二階層も三十分程で上層階に続く階段を見付けた。

 時間にはまだまだ余裕があるので、三階層にも上がってみる。
 場所的にも時間的にも、流石に見物の観光客は上がって来てないようだった。
 三階層を十数分散策しながらマッピングしていると、迷宮で初めてモンスターが近付いて来た。(ミミックは留まっているので別とする)
 低階層だからか、現れたモンスターはレベル4のブルースライムとレッドスライム。
 三階層でこれならば、確かに観光客への危険は少ないだろうと思いながら、二体のスライムに〈エアーブレット〉を放ち、体内の魔核コアを破壊して倒す。
 特に何かを残すわけでもなく、ドロリと溶けて消えた。
 これなば威圧スキルを使い、寄って来ないようにすれば、時間を無駄にすることはないと考えた。

 日没が近付いて影が伸びてくると、第五迷宮フィフス・ラビリンスの低階層で日銭を稼ぐ冒険者達が次々と出て行く。
 冒険者達が飲食店で飲み食いしながら、一日の出来事に尾ひれを付けて自慢話をしている頃、カズは二階層にある偽の宝箱ミミックが置かれている小部屋に空間転移魔法ゲートで移動出来るか試みた。
 見えている範囲なら可能なのだが、残念な事に他の階層には空間転移魔法ゲートで転移する事はできなかった。

 これでは時間が掛かってしまうので、どうしたものかと考えながら、この日到達した九階層から出入口のある一階層を目指して歩き出す。 
 以前ダンジョンを脱出する際に、エスケープの魔法を使ったのを思い出した。
 これが有効ならば、脱出に時間は取られないと考えた。
 だが、迷宮の出入りを管理している衛兵やギルド職員の前に、突然現れる事になるので、エスケープを使用するかは保留した。
 もし他の冒険者が、似たようなスキルか魔法を使っているうなら、使用しても大丈夫だろうと考えた。

 迷宮内での移動時間を短縮する方法を考えてる内に、三階層に下りる階段の所まで戻って来た。
 マッピングをしていた事で、最短のルートを通って来れた。
 九階層から下り始めて三階層に来るまで、一時間も経ってない。
 威圧スキルでモンスターを追っ払った事により、戦闘をせずに済んだのが大きい。

 迷宮を出ると外は暗く、飲食店や酒場は冒険者で何処も満席。
 通りの露店にも多くの冒険者が酒を片手に、楽しそうに食事をしていた。
 そんな冒険者達を横目に、カズは住宅地近くの宿屋に戻り、アイテムボックス内にある料理で夕食を済ませた。
 食後、隠し部屋に初めて入った時、知性ある本インテリジェンス・ブックから『あるじキルケの知識を一部与える』と、知識を授かった事を思い出し、アイテムボックスに入れてあるインテリジェンス・ブックアーティファクトの古書を取り出す。
 そこで迷宮探索に使えそうなスキルや魔法が載ってないか、少し探してから寝ることにした。


 ◇◆◇◆◇


 この日も見物の観光客が第五迷宮フィフス・ラビリンスの前に集まり、雇った護衛と共に四組が入場していく。
 次に冒険者達が順に入場しておく。
 カズは露店で買った串焼きを食べながら、入場人数が減りのを待った。
 昨日の朝、冒険者ギルドに行った時間より遅く来たのだが、入場者が減るのを待っていたら五十分も経ってしまった。
 昼前には前日行き着いた九階層を越えて、十二階層くらいまでは行きたいと、カズは【マップ】を確認しながら進んで行く。

 見物の観光客を見掛ける事はあったが、冒険者はあまり見かける事はなかった。
 低階層に時間を掛けないように、自分達でマッピングした地図を頼りに、最短のルートで上層階に上がる階段へと向かったのだろう思った。
 しかし五階層を過ぎても、先に入った冒険者達に追い付く事はなかった。
 そこで自身が到達した階層まで、瞬時に移動できるような特別な方法があるのかも知れないと頭を考えた。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...