人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス

714 狙われるレオラ と アイリスの危険な囮作戦 8 不敵な笑い

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 更にレオラは強く腹部を踏みつけ、口から血を吐き出すようになっても、刺客者は一向に答えようとしない。
 このまま死んでしまっては、捕らえてきた意味がない。

「やり過ぎじゃないか?」

「この程度で死にはしない。ギルドに任せると、最初は殺そうとは、手荒な事はしない。だから時間がかかる」

「最初は?」

「拷問したとしても、ギルドは聴取した者を、殺さず国に引き渡す事になってる。一応は、だ」

「?」

「わからないか。素直に全てを吐けば、この程度ですむ。だが、二日三日と時間が経てば、五体満足でここを出る事ができない。例え出たとしても精神を病んでしまう事になるだろう。それでも口を閉していた者は、肉片一つも残らないだろう」

「そこまでの事をして、人権問題にならないのか?」

「今回のように皇族の命を狙う者を、生かしておくような裁定はされない。世界から争いが減ろうが、こういった者がいなくなることはない。だからこのような場所も、実行する者も必要なんだ。これは平和に見えるどんな国でもあることだろう」

 カズの疑問にレオラが答えていると、一切話そうとしなかった刺客者が「ふっ…はははははは!」と大声で笑った。
 突然の事でレオラとカズは驚き、何かあるかも知れないと、刺客者から一歩分距離を取る。

「一向に答えなかったが、観念して全部話す気になったか?」

「ただの戦闘狂でもなければ、肥える事しか考えてない皇族とは違う。汚い事を自ら請け負い実行する。我々のような者にとって、最も危険な存在」

 口に縄を食わえせさせているが、刺客者は問題なく喋れたので、縄を外す必要はないとレオラは判断した。

「それは褒め言葉と取っておこう。隠さず全て話せば、極刑だけは免れるかも知れないぞ」

「それはない。皇族を殺そうとした時点で、オレの死は決まっている」

「だったら口をつぐむか? 拷問してもダメなら、他の手段を使うが」

「種族も性別も年齢も、そんなもの関係なく、精神操作で全てをあらわにさせる。第六皇女の専属冒険者、そこにいるだろ。そいつなら難なく出来る。とんでもない護衛を付けたもんだ」

 刺客者は口角を上げて、何かを企んでいるかの様な、嫌な笑いを浮かべてカズの事を語る。
 この状況でその態度、何を考えてるのか不明。

「それだけ言えば十分だろ。あとは質問した事を全て答えろ。よけいな事を言えば、今まで以上にキツいのがいくぞ」

 刺客者の言いたいことを言わせ、もうこれで観念して話すだろうと、レオラは最終警告をした。

「それもいいが、ここまでやられたんだ。話してやる」

 刺客者はレオラに質問された事を、嫌な笑いを浮かべたまま答えていった。

 ・察しの通り、元セテロンあの国と関係ある。
 ・仮面の三人は適当に選び、どこの誰かは知らない。
 ・死んでいた御者を生きているように操った物と、三人に装着させた仮面は、元セテロンあの国にあったもの。

 レオラが質問した半分にも達してないところで、刺客者は答えるのを止めた。

「なぜ黙る? そのまま続けろ!」

 脅すようなレオラの強い言葉にも、相変わらず嫌な笑いを浮かべたままの刺客者。

「火薬武器。仲間。黒幕。道連れの爆発を知りたければ、解放して国外に逃がすのが条件だ」

「ふざけるな! 極刑にされると、貴様自身で言ったろ! 解放などできるか!」

「冷静になれ。今の言い方だと仲間はまだいて、黒幕はレオラの知る人物で、武器を流したのは、そいつだって事だ。ただ、ウソを言ってる可能も十分にある」

 頭に血が上るレオラをカズは落ち着かせる。

「少し熱くなった。確かにその通りだ」

「あれからどれだけたった?」

 カズの発言を聞いた刺客者は、浮かべていた嫌な笑いを消し、カズに疑問符を投げ掛けてきた。

「質問したことの答え以外、話していいとは言ってないぞ」

「第六皇女には聞いてない。そこにいるんだろ。専属冒険者」

 刺客者の開き直った態度に、レオラは痛みを与えて黙らせようと、拳を強く握り近寄ろうとする。
 それをカズが前に手を出して静止する。

「あれからとは、お前を捕えてからか?」

 刺客者は数秒考え口を開いた。
 縄を咥えて話しているので、口からは涎が流れ出し、顎から垂れてきていた。

「そうだ」

 カズが視線を送ると、レオラは頷き応えた。

「一日は経ってない」

 本当の事を教えはしないが、嘘は言ってない。
 刺客者は何が知りたかったのか不明。
 だが今はそれを追求するより、質問の回答が優先だとして、無駄話をはここまでにさせようと、レオラが口を開こうとした時、刺客者が気になる事を口にした。

「効果がない? いや、まだ変化がないだけ」

「効果に変化だと? コイツから奪ったあれを出せ」

 レオラを庇って刺客者に刺された時に奪った物を、カズは【アイテムボックス】から出してレオラに渡した。
 ぱっと見は王笏おうしゃくにも見えなくもないが、古い物らしく薄汚れている。
 何か文字が書かれていたようにも見えるが、削り取られていて殆ど読むことができない。

「お前が持っていた杖はなんだ? 効果と言ったが、なんの事だ?」

 レオラが質問をすると、刺客者はまた嫌ね笑いを浮かべた。

「慌てなくとも、その内わかる」

「どういう事だ?」

「その内わかる」

 聞くことが増えるだけで、このままでは時間が掛かってしまうと考えたレオラは、待機部屋から常備してある自白剤を持って来る。
 体内ですぐ溶ける錠剤の自白剤は、弱と強の二種あり、強の方を刺客者の口に放り込み、水で無理矢理飲み込ませる。
 自白剤の効果が出るまで十分弱、レオラはカズを連れてサイネリアとネモフィラの所に移動する。

「今、自白剤を飲ませた」

「て…では、これで情報を聞き出せたら、もう…先程のレオラ様を見なくて……」

 刺客者に対しての怒号は、長年担当していたサイネリアをも怖がらせていた。
 サイネリアの隣に移動し、腰を屈めて目線を合わせ、背中に優しく手を当てる。
 レオラは書類仕事公務をサボって来る時の子供の様な表情を見せ、サイネリアに優しく声を掛ける。

「無理することはない。待機部屋にいれば、こちらの音は聞こえないようにする防音のアイテムがある。ネモフィラと待機部屋にいるか?」

「こ…これは、ギルド職員としての、わたしの仕事です。それに、専属の受付としては、避けては通れないと覚悟しています」

「……無理する事はないぞ。辛くなったら、ネモフィラと待機部屋に行け」

「わかりました。ありがとうございます」

「頼んだぞ。ネモフィラ」

「はい」

 返事はしたものの、ネモフィラとしては、今すぐにでも待機部屋に行こうとサイネリアに言ってほしかった。
 しかし第五皇女の騎士が、自分だけ待機部屋になんて、恥ずかしいこと言えるわけがなかった。

「そろそろ効いてくるだろ。カズ」

 刺客者の所に戻ると合図するレオラに、カズは頷き答えた。
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