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77.戦場の女神
しおりを挟むレイシャール国で、のちに“戦場の女神”と呼ばれる少女が現れたのは、鈍色の空が城下街を包んでいるときだった。
いつものように賑わう昼下がりだが、人々は少し足早に用事を済ませている。
空模様から、このあと雨が降り出すことが予想されるからだ。
宝石の露天商の店主は、遠ざかる客足を見ながら、今日は早めに店仕舞いをしようかとのんびり考えていた。
そこへ、一人の客がやってきた。とても容姿の整った青年で、上質な服を身に纏っている。
これはいいカモになるかもと、店主はニヤリと下賤な笑みを浮かべた。
「いらっしゃいませぇ!どのような宝石をお探しですか?」
「あ~…もうすぐ公爵の名を継ぐ予定だから、相応しいブローチが欲しいなと思って」
「………公爵…?」
店主は目を丸くして青年を見た。冗談を言っているのかと思っていることに気付いたのか、青年は嘲るように笑う。
「まさか、知らないの?ラトリッジ公爵の名を」
「………!」
ラトリッジ公爵。この城下街の商業が栄えているのは、彼のおかげだといっても過言ではない。
目の前にいる青年は、その公爵の名を継ぐ者…つまり、息子であるということだ。
店主は顔色を青く変えると、勢いよく頭を下げた。
「……ラ、ラトリッジ公爵家のご令息とは思わず、大変失礼な態度を致しました…!」
「別にいいよ。最近は体調も悪くて、あまり外に顔を出せていないしね」
軽い調子でそう言いながら、公爵の息子が宝石を眺めている。
店主は冷や汗を流していた。息子の名前が思い出せなかったのだ。
確か、息子は二人いた。けれど、長男は病気療養中で辺境の地で暮らしていると聞く。
つまり、今ここにいるのは次男で間違いないはずだが、店主はどうしても名前が思い出せない。
―――ああ、ここで名前を呼べなければ、オレの評価が下がっちまう…!兄がネリ…ネロ?とかそんな名前で、弟は確か“サ“が付いたはずだ。サ…サレス…違うな、サ……。
「―――サイラス!!」
ああそうだサイラスだ、と店主はパッと顔を輝かせた。
そしてその名前を呼んだのは誰かと視線を向ければ、驚くことにサイラスそっくりの顔の青年が立っていた。
ほとんど同じ顔に、公爵家の令息を呼び捨てで呼ぶ間柄。店主が結論に辿り着くと同時に、サイラスは相手の名前を呼んだ。
「どうしたの、ネイト兄さん」
ああやっぱり兄だった、とまた店主が顔を輝かせながら、ふと疑問に思う。
病気療養中だと噂の兄が、何故ここに?と。
ネイトが一歩踏み出すと同時に、彼が魔術を唱えたのか、周囲に炎を纏った。
通りすがりの人たちが驚いて立ち止まる。
店主も目を見開いて固まっていると、ネイトが手を振りかざした。途端に、炎がサイラスへ向かって飛ぶ。
「き、消えろっ!!」
ネイトがそう叫ぶと、サイラスは転がるように横へ避けた。店主の目の前で、炎がボッと爆ぜる。
「ひいっ…!?」
短く悲鳴を上げ、店主が尻もちを着く。
今度はサイラスが魔術を唱えた。こちらも同じ炎を出し、玉のような形で何個もネイトの方へ飛ばす。
城下街を歩いていた人々は、悲鳴を上げながら散り散りに逃げていった。誰かが「騎士団を呼べ!」と声を張り上げている。
いつの間にか広場のど真ん中で、ラトリッジ公爵家の兄弟が魔術で戦っていた。
炎と炎がぶつかり、爆ぜる度に熱気が広がっていく。
幸い、周囲の建物や人には被害はまだないが、この戦いが激しくなればどうなるか分からない。
「サイラス、どうして俺を裏切った…!」
「兄さんがいれば、僕は公爵家当主になれないからだ!」
戦いの最中に兄弟が叫び合う言葉の内容から、これが公爵家の跡継ぎ争いのようなものなのだと、店主は気付いた。
けれど正直、他所でやってくれと思う。城下街のど真ん中で魔術を使用して戦うなど、騎士団に捕まれば跡継ぎどうこうの話ではなくなってしまうのに。
ポツリポツリと、静かに雨が降り出した。
けれど、魔術の炎は雨には負けない。
ネイトの放った大きな炎が、サイラスへ向かう。
魔力が無く、魔術に疎い店主から見ても、これは危険だと思うような魔術だった。
「―――…っ」
思わずごくりと喉を鳴らしたそのとき、小さな人影が突然飛び出してきたのだ。
それは、蜂蜜色の髪を揺らす少女だった。
店主の見間違いでなければ、団服を着ている。どうやら女騎士のようだ。
その少女はネイトが放った魔術を、自らが持つ剣のたった一太刀で消し去った。
目の前の光景が信じられず、店主は瞬きを繰り返す。
「……やめなさい!」
とても凛として、透き通った綺麗な声だった。小柄なはずなのに、その背中がとても頼もしく見える。
「……邪魔をするな!!」
ネイトが続けざまに魔術を放つ。少女はそれを華麗に避けながら、見事な剣捌きで消し去っていく。
それを見ていた人々が、少女を応援し始めた。
「いいぞお嬢ちゃん!頑張れ!」
「早く捕らえてちょうだい!」
「ちょっと待て、あの子見たことがあるぞ」
「私もだわ。確か武術大会の…」
「そうだ!“戦場の天使”だ!」
誰かが叫んだ言葉に、周囲がワッと沸く。
―――“戦場の天使”。店主はその名を聞いたことがあった。
たった一人の少女が、ネイトの魔術に対抗している。とても素早く軽やかで、目を奪われる戦い方だった。
やがて、少女はネイトのすぐ背後に回り込み、喉元に剣を突きつけた。
敗北を認めたネイトが両手を挙げると、戦いを見守っていた人々から歓声が上がる。
店主もようやく、そこでよろよろと立ち上がることができた。
少女が縄を取り出し、ネイトを拘束しようと動く。すると、サイラスがそこへ近付いて行った。
「……待って!兄さんは悪くない、僕が悪いんだ…!」
「サイラス…」
雨に濡れたネイトの顔は、まるで涙を流しているように見える。
「……でも、こんな場所でお前に攻撃を仕掛けた俺は……、この騎士に捕らえられるだろう」
「そんな…!お願いだ騎士さま、どうか兄に情けを…!僕が公爵家の責任を持って、兄と一緒にこの国のために尽くすことを誓うから…!」
サイラスが少女に向かって頭を下げ、続いてネイトも頭を下げた。周囲がざわざわと騒ぎ出す。
「聞いた?公爵家ですって」
「きちんと頭を下げて謝罪しているわ。貴族でもそういう方はいるのね」
「でも、こうやって騒ぎを起こしただろ?そう簡単に許せるか?」
「そうだな。直接街に被害は無かったからといって、さすがに無罪には…」
騎士である少女の判断がどうなるのか、人々がそわそわとしだした。
雨足が強くなり、店主は宝石が濡れないようにとできるだけ素早く店仕舞いを始める。早くこの場から離れたいとも思った。
「……今すぐこの場での判断は、私にはできません。お二人とも、一度城へ―――…」
「そんなの、納得がいかないな」
少女の言葉を遮るように、誰かの声が響く。
人垣を掻き分けて前に出たのは、一人の男だった。燃えるような赤毛が目を引く。
「その男たちを城へ連れて行っても、どうせその公爵家の力で事件そのものを握りつぶすんだろ?」
「……そんなことはしない!いきなり誰だお前は?」
「名乗るほどの者じゃない。……俺は昔から、貴族が嫌いなんだ。お相手願おう」
そう言って、男が腰に下げた剣を抜く。思わず店じまいの手を止めて見ていた店主は、おいおい、と思った。
周囲の人々も眉を寄せ、新たな戦いを始めようとしている男を迷惑そうに見ている。
すると、また誰かが声を上げる。
「あの男…もしかして武術大会で“戦場の天使”と活躍していなかったか?」
「そうだそうだ、確か去年の優勝者だ!」
「なんだ、良いヤツじゃないのか…?」
男はニヤリと笑みを浮かべると、一気にラトリッジ公爵家の兄弟に向かって斬り掛かった。
周囲から悲鳴が上がるが、その間に騎士の少女が体を滑り込ませ、その剣を払った。
「……剣を収めなさい!騎士団の妨害とみなしますよ!」
「別に構わない。俺は別に騎士の味方でもなんでもない…心から、貴族という存在が憎いだけだ」
男は再び剣を構える。その背後に纏う空気に、店主はぞくりとした。
「邪魔をするなら、お前も倒す!」
目にも止まらぬ速さで、剣が振るわれる。
それを少女は何とか受け止めると、二度、三度と金属のぶつかる音が響いた。
見るからに、男は強かった。それでも少女は懸命に戦っている。人々からは声援が送られた。
男と少女の剣が次に交わったとき、男は思い切り蹴りを入れた。吹き飛ばされた少女は地面に倒れ、泥が飛び散る。
そこへ容赦なく男が斬り掛かってきたが、炎の玉が行く手を阻んだ。
少女の両脇に、ラトリッジ公爵家の兄弟が立つ。
「貴族が憎いなら、俺たちが相手になる!」
「そうだ!無関係の彼女を巻き込むな!」
勇気ある兄弟の行動に、また人々が沸いた。完全に男が悪役になっている。
兄弟の間に倒れていた少女が、ゆっくりと立ち上がった。
「……無関係ではありません。私は、国民を護る…騎士ですから」
それは、とても美しい微笑みだった。
その場にいた誰もが見惚れているのが分かる。店主も例外ではなかった。
「ならば……お前も、俺の敵だ!!」
男が叫びながら地面を蹴る。素早く繰り出される斬撃を少女が受け止め、兄弟が魔術で援護をしていた。
一瞬の隙をつき、少女が男の足を薙ぎ払う。兄弟の魔術が直撃し、男が大きく吹き飛ばされた。
そして吹き飛ばされた男は、宝石の露天の……店主の目の前に倒れてきた。
店主が目を丸くする。立ち上がった男から鋭い瞳を向けられ、「ひっ」と悲鳴を上げて固まった。
気付けば、男は店主の背後にいた。そして喉元に剣を突きつけられていたのだ。
「今すぐ、その貴族を捕らえて処罰しろ!さもなければ、この何の罪もない男の命を奪ってやる!」
店主は驚きと恐怖のあまり、声が出せない。
少女と公爵家の兄弟が慌てて駆け寄ってくる様子が目に映った。
「その人を、解放しなさい!このままでは貴方が罪人になるわよ!」
「黙れ!国民を護るのが騎士だと言うのなら…全て護ってみせろ!」
男が声を荒げ、魔術を唱え始めた。剣も使える上に魔術も使えるらしい。
雨雲がどんどんと大きくなり、空が光った。雷を纏う矢が降り地面に刺さると、周囲が騒然とする。
「きゃああぁ!」
「危険だわ!あんなものが当たればどうなるの!?」
「今すぐ逃げろ!巻き込まれないようにっ…」
「―――動かないで!!」
一気にパニックになり逃げ出そうとする人々へ向かって、少女が声を張り上げた。
「むやみに動き回ればより危険です!大丈夫です……私が、アイラ・タルコットが、皆さんを護りますので!」
空がまた光り、無数の雷の矢が落ちてくる。アイラが口元を素早く動かすと、人々を覆うように光の壁が現れた。
そして、アイラの持つ剣が輝きを纏う。それを大きく一振りすると、光の刃が空へと向かった。
落ちてくる矢を砕き、そのまま光の刃は雨雲の奥へと消えた。一瞬、目が眩むほどの輝きが辺りを包む。
思わず目を瞑っていた店主が、次に瞼を持ち上げたとき、突きつけられていた剣が消えていた。
ゆっくりと振り返れば、男が地面に倒れ、その背にアイラが剣を突きつけている姿が目に入る。
あれだけ降っていた雨は止み、割れた雲の隙間から太陽の光が差し込む。
アイラの濡れた蜂蜜色の髪が、その光を受けてきらきらと輝いていた。
「―――無事で、良かったです」
そう言って、アイラは満面の笑みを店主に向ける。
その笑顔に心を打たれた店主は、思わず叫んだ。
「……女神だ…。女神が、オレを助けてくれたんだ…!!」
―――こうして、騎士の少女…アイラ・タルコットは、“戦場の女神”として国中にその名が馳せることとなったのだった。
***
「くしゅんっ」
「……大丈夫か?」
小さくくしゃみをしたアイラに、エルヴィスがふわりと自身の黒いマントを掛けてくれる。
アイラはお礼を言いながら、ふぅ、と息を吐いた。
「……上手くいくでしょうか?」
その言葉が指すのは、つい先ほど実行した“女神作戦”のことだ。
城の会議室に集まった面々が、それぞれ感想を述べる。
「この僕にあんな演技を強要したんだから、上手くいかないと困る」
「……おいサイラス、俺たちはこの作戦によって恩恵を受ける側だぞ。そんな言い方は…」
「僕に説教する前に、兄さんはあのヘッタクソな演技を反省して」
「へ、へったくそ…?」
サイラスに睨まれ、ネイトはショックを受けた顔をしていた。後ろに控えていた使用人のマーヴィンが、笑いを堪えている。
「確かにちょっと、ん?って思うところはあったけど、あの全てが演技だなんて思う人はいないんじゃないかな」
フィンがそう言いながら、「どう思った?」と騎士団の団員たちを振り返る。
「良かったと思います。先輩たちの野次の誘導で、“公爵家の兄弟“が、“戦場の天使”と共に国民を護ろうとした、という印象が最後に残ったと思います」
「アイラはちゃんと自分で名乗ったしな!格好良かったぞ」
リアムとデレクが、アイラに向かって笑いかけた。アイラは照れながら微笑み返す。
「それにしても、雨が降る日を狙ったとはいえ…最後に晴れ間が見えたのはもう奇跡だよねぇ~」
「本当にね!アイラの髪がより輝いてて、とっても綺麗だったわ」
「そうだな。神々しさは完璧だったぞ」
ギルバルト、カレン、オーティスが順に感想を口にした。フィンがうんうんと頷いてから口を開く。
「あの宝石の露天商の男も、うまい具合に“女神”って単語を叫んでくれたしね。あとは、彼が今回の話を大げさに拡散してくれればいいんだけど…」
「大丈夫だと思うよ。あの男はあることないことペラペラ話すし、商売に関しては欲深いから、例えば“女神の宝石”とか謳い文句付けて、瑠璃色の宝石を売り出したりするんじゃない?」
サイラスが肩を竦めてそう言った。
今回の作戦は、申し訳ないが誰か一人だけ国民を巻き込もうと決めていた。そこで選ばれたのが、宝石の露天商の店主だ。
サイラスは父親であるラトリッジ公爵に連れられ、何度も城下街を訪れ、商業に関することを学んでいた。
露天商の視察をすることもあり、単純で操りやすそうな男だなと思ったことを覚えていたらしい。
「まあ、なんと言っても一番の功労者は、赤毛の騎士……ですよね、エルヴィス団長?」
フィンが視線を送れば、エルヴィスは楽しそうに笑った。
「なかなか悪役は楽しかったぞ。アイラとも剣を合わせられたしな。クライドの魔術のタイミングも完璧だった」
「全く、こちらとしては前回の武術大会の優勝者が、変装した団長だった…ってことが信じられないんですけどね」
今回の作戦で、エルヴィスは赤毛の騎士としての正体を皆に打ち明け、その姿で参加するとアイラに提案したのだ。
当初、アイラが考えた案は、ネイトとサイラスに悪役になってもらうものだった。
まずアイラが戦って勝ち、国民に良い印象を与える。そして様々な条件を受け入れてもらう代わりに、兄弟二人で協力してラトリッジ公爵として進むチャンスを与えてあげたいと思っていた。
けれど、それでは騒ぎを起こしたラトリッジ公爵家に反発する者が必ず現れる。
新たな火種を生む可能性があるならば、“赤毛の騎士”という架空の人物を悪役にして、この世から消せばいい、とエルヴィスが言ったのだ。
ちなみに、髪と瞳の色を変える魔術具の開開発者が、トリシアであることは皆には秘密である。
エルヴィスが前団長から貰ったということにして、今回の使用限りでその魔術具は壊すと決めていた。
もう別人になる必要はないからと、エルヴィスが清々しい顔で言っていたことを、アイラは思い出す。
「……あと私たちにできることは、作戦の成功を祈るだけですね。ネイトさまとサイラスさまも、ご協力ありがとうございました」
にこりと笑ってそう言えば、サイラスはフンと鼻を鳴らした。ネイトがサイラスの頭に手を乗せ、無理やり下げさせる。
「アイラ嬢、本当に感謝する。あんなに酷いことをした俺たちに、またやり直す機会を与えてくれるなんて…。生涯を懸けて、ラトリッジ公爵家は君の味方をすると誓う。……ほら、サイラス」
「…………ありが、とう」
ほとんど聞き取れない声量で呟かれたサイラスの言葉は、アイラの耳にちゃんと届いていた。
どういたしまして、と笑えば、エルヴィスが優しくアイラの髪を撫でた。
「……本当に、誰も君には敵わないな」
「そんなことはありませんよ?誰にでも、機会さえ与えられれば、人生をやり直すことができるのですから」
―――私の、ように。
言葉にはしなかったが、アイラはその意味を込めてじっとエルヴィスを見た。
意図に気づいてくれたのか、紅蓮の瞳が優しく細められる。
「……ちょっとエルヴィス団長、アイラ。見つめ合うのは他所でやってくれる?この先まだまだ、やることは山積みなんだから」
フィンが呆れながら放った言葉に、周囲が頷きながら同意している。
顔を赤くしたアイラの耳元で、エルヴィスが小さく囁いた。
「―――君と一緒に、やり直すことができて良かった…アイラ」
アイラはパッとエルヴィスを見る。その言葉に対して、言いたいことは山ほどあった。
私もです、助けてくれてありがとうございます、これからもよろしくお願いします……けれど、どの言葉よりも、真っ先に伝えたいことは一つだった。
「エルヴィス団長…大好きです」
ふふっと笑ったアイラに、エルヴィスは面食らった顔をする。そしてすぐ、みるみるうちに顔が赤くなっていった。
珍しいその表情に、団員たちがざわりと騒ぎ出した。
「え、団長が?顔を赤く?」
「うそ~団長も照れることあるんですねぇ」
「おい、ギルバルト…まぁ確かに珍しいが…」
「すごいわねアイラ、さすが恋人だわ」
「あれ、もう婚約者になったんですよね?…デレク大丈夫?」
「………………んぐぅ」
「なにこれ、騎士団て緩くない?兄さん、僕たちが力を合わせたら掌握できるかもよ」
「サイラスお前………マーヴィン、弟の躾は任せた」
「はい、畏まりました。腕がなりますね」
「おい、お前たち…うるさいぞ」
「ふふ、通常運転ですね」
アイラとエルヴィスは顔を見合わせ、皆と一緒に笑った。
心から、幸せだと思った瞬間だった。
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