不自由と快楽の狭間で

Anthony-Blue

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233.変化

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「助けてくれる?」

 ボクは、胸の中でその言葉を何回も反芻する。咲恵の想いが、ボクにとっては絆であり呪縛なのかもしれない。消化不良で心の澱のようになってしまったものを、この女が救ってくれると言うのであろうか。それは、咲恵と萌にとっての裏切りではないのであろうか。

「また、難しい顔をしてるわよ。なにをそんなに考えてるの」

「いや、別に」

「そればっかりなのね」

 呆れたように律子は、言葉を投げ捨てた。

「律子さんは、何を考えてるの」

「わたしは、今を生きてる証しが欲しいだけなのよ。やりたいことが、やっとかなって。それでいいのよ、わたしは。瑞樹さんだって、目標だった童貞は捨て去って、性欲を満たしてくれる彼女も出来て。もう、エッチをして快感に埋もれて、絶頂を迎えて精液を吐き出すことが目的になったんじゃないの」

「そうかもしれませんけど」

 他人に嘘をついて、それ以上の嘘を自分についている気がしてならなかった。

 そうしているうちに、節子が夕ご飯だと告げに来て、リビングに降りていき他愛もない話をしながら夕食を摂った。

「後片付けをしたら、お風呂を入れますからね。それまでは、ゆっくりしててくださいね」

 外はもう薄暗くなって、部屋の灯りを暗闇が吸い込んでいた。

「先に律子をお風呂に入れてもいいですか」

 節子は、夕食の片付けを終えてボクに聞いてきた。

「瑞樹さん、わたしと一緒にお風呂に入りたいですか」

「いえ、先に入ってきてください」

「わかったわ。夜は長いわ。お風呂で体力を使うより、ベッドの上で楽しみましょうね」

 節子に連れられて、律子は小さく手を振りながらリビングを出て行った。ボクは車椅子のポケットからスマホを取りだして、咲恵と萌にLINEをした。

「今、律子さんの家に来てます。今夜は泊まることになってます」

「そうですか」

「まあ、がんばりな」

 短いセンテンスが、タイムラインに散らばってスマホをテーブルに置いた。

「はぁ」

 深く吸い込んだ息を、煙草の煙を吐き出すようにゆっくりと胸をすぼめた。

「お待たせしました」

 ドアをノックして、素肌にバスタオルを巻いた節子が入ってきた。

「さあ、行きましょうね」

 節子は、電動車いすのクラッチレバーを外して、ボクの車椅子を押してバスルームへと連れて行った。脱衣所で、ボクの服を一枚ずつ脱がせていき、生まれたままの姿にさせられた。裸のボクを風呂場に連れて行き、洗い場に座らせた。

「律子が、瑞樹さんが元気がないって言ってましたよ。律子は、自分だけだと瑞樹さんがやる気にならないって淋しそうに言うんですよ」

「それは、律子さんが悪いわけではなくて、ボクの体調のせいですよ」

 節子はボクにシャワーでお湯をかけながら、ボクのカラダを確かめるように手を添えてお湯で流していった。

「わたし、バスタオルを外してもいいですよね」

 ボクの返事を待たずに、節子は胸の上で織り込んでいたバスタオルを外してカラダを晒した。

「お母さん、痩せられましたか」

 前に見た節子の裸体とは明らかに変化したカラダがボクの前に現れた。

「ちょっと、ダイエットで」

「そうなんですか」

 節子は、少し恥じらって手で乳房とお腹を隠した。一回りというと大げさかもしれないが、膨よかだった乳房もウエスト周りも肉がそぎ落とされていた。年齢と共に。崩れていく体形を脂肪がカヴァーしているカラダは嫌いではなかった。逆に、脂肪が減った分、年齢のによる粗が見えてしまっている感じだった。

「そんなに、ジロジロ見ないでください。恥ずかしい」

 そう言うと節子は、スポンジにボディーソープを含ませて、ボクのカラダを洗い始めた。首から洗い始めて、徐々に下半身に近づいていった。足先まで洗い終わり、スポンジを握りしめると、手にいっぱいの泡を纏わせて、ボクの股間に手を入れてきた。

「あら、全然硬くなってないんですね」
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