不自由と快楽の狭間で

Anthony-Blue

文字の大きさ
40 / 231

40.最初の記憶

しおりを挟む
 萌は、ベッドに上がり膝を抱えて、少し悲しそうな表情を浮かべて話を続けた。

「わたしの母親って、高校の頃からヤリマンで有名だったらしいの。ちょっと不良っぽい男が好きで、次々に男を乗り換えてやりまくってたの。それが原因で、不良グループ同士でけんかになったこともあったんだって」

「そっかぁ」

「その頃に妊娠して、産まれたのがわたし。母親もバカでさぁ、妊娠に気がついた時には、もう堕ろせない時期になってて。ただ、それまでもそれからも男とやってたんだって。なにしてんだって話だよね。まぁ、母親にとってわたしはどうでもいい存在だったんだよね。運が良ければ流産でもしないかと思ってたなんて言ってたくらいだから。糞みたいな親だよね」

「でも、産んでくれたんだろ」

「仕方なかったんだよ。もうどうすることも出来なくて、親に泣きついて出産費用は出して貰ったみたい。でも、産んだ後、すぐに男が出来て実家を出たんだって。そこで、わたしを捨ててくれればまだ良かったのに、一緒に連れて出たんだよね。せめて実家に預けるとか、児童施設に入れるとかしてくれてたら、こんな悲惨なことにはならなかったのに」

「それが、今のお父さん?」

「そう、わたしが覚えてる最初の記憶も父親の膝の上で遊んでる時のものだよ」

「お母さんも、別れずに長く続いてるんだよね。もしかしていい人だったとか」

「うーん。表向きには、ちゃんと仕事して、ちゃんと家にお金を入れる人だった。周りから見れば、とてもいいお父さんに見えてたかもしれない」

「キミとお母さんにとっては、いい人ではなかった?」

「そうだね」

 萌は、ペットボトルを口に付けたが、もうすでに全部飲み干していたことに気がついてサイドテーブルに置いた。ボクは、冷蔵庫にあったもう一本のミネラルウォーターのペットボトルを出してきて萌に差し出した。

「ありがとう」

 バキッと力強い音がして、萌はペットボトルの水を煽った。ゴクゴクと喉を通り過ぎる音が、思いのほか静かな部屋に響いた。

「お父さんは、どんな人だったの」

「父親は、支配者だったわ。母親には、自分の言うことが正しいと擦り込んでいた。なにか口答えしようものなら、拳で腹を殴ってたわ。決して他人から見えるようなところは殴らなかった。学生の頃は、柔道をやってたみたいで、痛いところとかどのくらいの力加減でやれば苦しいかもわかってたんだと思う。母親が殴られて、うずくまって動けなくなってるところを何度も見てきたわ。ご機嫌を損ねるようなことをしなければ、なにもしてこないそんな人だった。母親も、それがわかってきた頃から、もう逆らうことを忘れたロボットのようだった。そうしていれば、生活に困ることはないほどのお金を稼いできてくれてたからね。母親は性欲が強い人だったけど、それ以上の性欲を父親は持ってたから、毎晩のようにセックスしてた。いいえ、夜だけじゃないわ。朝だって昼間だって、やってたわ。わたしの目の前でも平気でね。それを、小さい頃から見せられてきたの。だから、どこの家もこんなものだろうと思ってた。幼稚園の時、先生に『お父さんはいつも、お母さんのお股におちんちんを入れてるんだよ』って話したら、母親にバレて父親にこっぴどく叱られたのを覚えてる。『家に中のことは絶対に話すな』って」

「お父さんは、キミにはどうだったの?」

「父親は、わたしには基本やさしかったわ。わたしに暴力は振るわなかったし。普通に暴力という意味ではね。まあ、母親に対する支配的な行動を目の前で見せつけられてたから、変に逆らってはいけないってのはカラダに擦り込まれてたからね。でもね、まだ殴られてた方が楽だったかもしれないと思い始める時が来たのよ。これは、おかしいことなんだと思える日がね」

「どういう意味?」

「さっきも言ったでしょ。最初の記憶が、父親の膝の上だったって。その時の父親の手が、どこにあったかわかる?わたしの足の間。わたしの大切なところを触ってたの。わたしは真っ裸。父親はパンツを穿いてなくて。わたしの手には父親のモノを握らせていたの。わたしは大きく足を開かされ、父親はわたしの割れ目を指でなぞってた。それが、わたしにある最初の記憶なの」

 萌はそう言うとうつむき、シーツの上に一粒の涙の跡を残した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

処理中です...