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20話 ミドリムシの花粉
しおりを挟むスタンピードを緑達が壊滅させた後が本当の戦場であった。ダンジョンから出てきたジェスターから来た冒険者達も緑達がスタンピードを壊滅させた報告を聞き、死をも覚悟していた緊張からは解放さる。
その後、冒険者達は戦後処理に駆り出されるのであった。
ゴランに着く前にピエールから言われていた緑達を含む冒険者達はゴランの怪我人の治療にあたっていた。緑の実を使えばそれこそ、生きてさえいれば治す事ができるが効果の高さと数が問題なためできるだけ秘密にする事になっている。
怪我人の中でも特に酷い者にかんしては記憶操作できる魔法を使い緑の実の記憶を消し治療する。初め緑は記憶操作の魔法を警戒したが瀕死にでもなってない限り普通はかからない魔法らしいために治療のために使う事に納得した。
3日後、大方の怪我人の処置が終わる。ピエールはそろそろジェスターの街に戻らなければならないと緑に伝える。そのため、ピエールとジェスターの冒険者の一部残るものを除いてジェスターに帰る事になる。
残る冒険者は緑とアランのチームである。シャークが自分達も残ると言ったがピエールが唯一のs級間近のチームが長期間2チームも街を開けてはならないとシャークのチームは戻るように言うのであった。
「アランさん怪我人の治療もほぼ今できる事は終わりましたしどうしましょう?」
「こんな、大きな戦いや災害があった後は、巻き込まれた人たちが元の生活に戻れるようにするのがいいと思うが・・・・」
その言葉を聞いて緑は思い出す、以前にいた世界でも災害が起こった際は救助も大切だが災害の爪痕が残った地では被害を受けた人たちが元の生活に戻るまで多大な時間をようした事を。
まずは、衣食住で衣に関しては各近隣の街からの救援物資で確保ができているため問題がないとは言えないが現状不足している物での優先順位は低い。
なら次は食である、これも近隣の街からの救援物資として送られてくるがこの世界はモンスターがいるために安全な土地の確保はかなり厳しい。ダンジョンの周りは安全な事が多いことから今回こもる形になった場所の城壁のまわりに広がっていた農作地はモンスターが攻めてきた事や緑産の爆弾で吹き飛ばされ無残な状況になっていた。
緑はこの城壁の外にあった農作地が壊滅している状況下では他の街からの食糧の支援があったところでいずれゴランの街の人々が飢えてしまうと考える。ならこの戦いの後の土地を以前のものかそれ以上の農作地に変えることを考える。
緑は今まで花や実を実らすことをしてきたが花の役割を考える。
「試してみよう・・・・」
緑は花を咲かせた後に花粉を飛ばすイメージをする。すると緑の花から目に見えて花粉が飛び始める。花粉が僅かにのこっていた農作物の花の雌しべに付着する。緑の超光合成産のエネルギーがたっぷり詰まった花粉を受粉した農作物は急速に成長し始める。
本来なら1年に1回の収穫が多い作物も緑の花粉を受粉し膨大なエネルギーをうけ成長しすぐに実をつけ始める。
ゴードンはそれを見てゴランの街の人々が飢えない事を喜ぶべきなのだろうがその理由を目のあたりにして苦笑いを隠せない。そんなゴードンが緑に確認する。
「ピエールの奴はこの事を知っているのか?」
「いえ、知りません・・・・・」
その言葉を聞いてゴードンは頭を抱えながら緑に言う。
「絶対にここから戻ったらピエールに直ぐに伝えろ!」
ゴードンの中ではこれだけの力を持つ冒険者が救援に来てくれたのは嬉しいが、その力を確認したのが自分で国や他のギルドの上部の者に報告をする役にはなりたくなかった。
なぜなら、先日のピエールの報告を笑い飛ばした過去があったからだ。ピエールの報告は異世界からきたものを保護した。その保護したものはとんでもない能力を保持しているとの事だった。
ピエールは緊急的に今まで無かった、冒険者のランクにIランクをその冒険者につけ、そのまま実績を積めばs級の冒険者にしたいとの事だった。s級冒険者は2人以上のギルドマスターの推薦が必要とされている。そのため、ピエールは付き合いの長いゴードンに推薦を頼んだがあまりの冒険者の能力から推薦をしぶっていた。ピエールとは合えば罵り合いをするが高い信頼を寄せ合っていた。
しかし、報告された能力があまりにも常識から外れており今までの信用が無くなりかけたのであった。
だが今回ピエールがその話が嘘であるなら、死に場所になる状況の場所にかけつけ。
だがゴードンは、実際にその冒険者の能力を目のあたりにし、信用をしなかった自分を恥じていた。
その冒険者は有難いことにこの地に留まり戦後の処理や復興を手伝ってくれていたが、その処理や復興で使用された能力が報告に無かったもので自分が報告するか更にピエールに追加で報告させるか迷っていたが自分の手柄のように報告をするような恥知らず行動はしなと言い聞かせ、元々報告していたピエールに報告する様に言うのであった。
そんなゴードンの気持ちを知らず食糧事情を改善しようと緑は気の向くままに花粉をばらまいていた。戦闘の後で妙に綺麗に残っている木がいくつか見られたが気にせず緑が花粉をまいていると緑やヒカリ、クウ、レイ、兜と緑の家族の人型になったものにしか聞こえない声で悲痛な叫びが聞こえてきた。
「「いやー!! 孕まされるー!!」」
緑の思惑とはかけ離れた不穏な叫びがあがるので緑が叫び声が聞こえた方向にいくと綺麗に残っている木々があった。緑達が声のしたと思われる木々の近くで辺りの様子を知らべていると木々から声が聞こえてくる。
「「あんた!何てことするの!せっかく大きな戦いが起こった場所で生き延びる事が出来たのに、その後見知らずのヤツに孕まそうとされるなんて!」
緑は、確かに植物からしたら花粉をばら撒くのは不特定多数の者に遺伝子をまき散らす行為であり彼女らが言っていることは間違っていないと思い平謝りをするのであった。
「ごめんなさい! 植物さん皆さんの事を考えていませんでした!」
緑が平謝りをしている様子を見たヒカリ、クウ、レイ、兜が不機嫌になり緑に語り掛ける。
「緑様このような者たちに謝る必要ありません! 緑様に対して失礼な物言いこのような者達切ってしまいましょう!」
緑に対しての言葉にヒカリが怒るのであった。
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