95 / 178
95話 ミドリムシのブレス
しおりを挟む父親達が茫然と見続けるなか、子供達がダンジョンから出るのが止まる。
「さぁ皆街をまもるよ~♪」
チキチキチキ♪ ザッ!
子供達が返事をし一斉に緑にむかって敬礼する。
「緑様どのように展開しましょうか?」
「緑さん支持をください♪」
「先陣は俺に切らせてください!」
「じゃあ、こんな感じで展開しようか」
そう言って緑はファントム仕込みのイリュージョンで平原にどのように陣を展開するかミニチュアの模型を作り出す。
緑は魔物の群れが逆三角形で向かってくるためにそれを受け止める様に展開するように指示を出す。その為平原に左右に陣を築く様にミニチュアの模型を作り出し皆で確認する。
そして、相手の逆三角形の先頭部分には、緑と魔緑が陣取る。
「兜には悪いけどまず、まーちゃんに特大のブレスを撃ってもらうね」
「ブレスなんか吐いた事ないんだが……」
「大丈夫、大丈夫無理だったら火の魔法でいいよ」
「ふむ、それなら毒のブレスを吐ける私が指南しよう!」
そういって珊瑚の父のヒューイが声を上げる。
「じゃあ僕が魔法でバリケードを作るね~」
そういって緑が魔法うために魔力を圧縮し始める。それまで会話に意気揚々と参加をしていた父親3人であったがその圧縮するに魔力の量に驚き始める。
「こ、これほどまでの魔力を保有していたのか!?」
「無茶苦茶や、こんなバカげた魔力を攻撃に使ったら斜線上に国でもあった滅んでまうで」
「味方だったからよかったが敵だったと思うとすっごく怖いな」
そんな父親達を見て琉璃、凛、珊瑚が口を開く。
「父様達はみーちゃんとまーちゃんの2人の能力をしらんからのう」
「おとん、みーちゃんとまーちゃんは水と光と空気があれば魔力が無限にわいてくるねん」
「2人で使う魔法はすっごいです」
その発言に唖然とする父親達。
獣人の6人がしゃべっていると緑が口を開く。
「よし! これくらいかな…… それ!」
緑が圧縮した魔力を使い魔法を使う。緑の左右の手から巨大な氷のバラが何本も飛び出していく。それは緑を頂点としVの字に伸び続け平原の端にまで伸びる。
氷のバラは茎が人の胴回りほどもありそれが何本も絡みつきながら伸びたたため厚さ3m高5mほどの氷のバラの城壁が平原の端まで続く。
その城壁には大小さまざまな隙間があり、クウやヒカリの子供達が隙間に入り込み敵を迎え撃つ準備をする。
そんな状況にあっけに取られていた父親達だが魔緑がヒューイに声をかける。
「すいません、ヒューイさん良ければブレスの吐き方を教えてください」
「ああ、そうだったね。すっごく簡単だからすぐにできるようになるよ」
そんな様子を見ていた緑は土の魔法で櫓を作りそこで父親達は登って緑達の戦いを見ている様に言う。
魔緑がブレスの吐き方を習い準備ができたところで先頭の魔物たちが平原に入ってくる。
「まーちゃんもっと引き付けてからだよ」
「わかっているよ」
龍になった魔緑の背に緑が乗り光合成をしながら魔緑にエネルギーを譲渡する。
魔物の群れが平原に入り切ったとこで緑が叫ぶ。
「まーちゃん準備して」
緑がそう言うと魔緑は自分のエネルギーと緑から渡されたエネルギーも使いブレスの準備態勢に入る。
魔緑の口内で大量の魔力が圧縮されていく。
「今だ撃って!」
緑が叫ぶと魔緑がブレスを吐く。その瞬間白い炎が魔緑の口から吐き出される。その炎の斜線上にいた魔物は一切の痛みを感じることなく蒸発していく。
「やばい!」
そういって魔緑はブレスを止める。それを見た緑も口を開く。
「危なかったねまーちゃん…… 魔物の群れを貫通してその先も燃やし尽くしちゃうところだったね」
「ああ、エネルギーを集めすぎたな、あのまま吐き続けたらどこまでいったかわからねぇ……」
そんな2人の会話をよそに向かってきていた魔物たちは大パニックをおこしていた。向かってくるときは逆三角形になっていたがそれが今、魔緑のブレスで真っ二つに裂かれさらにパニックでばらけ始めた。
「じゃあヒカリお願いね」「わかりました。皆いきなさい!」
ヒカリの声で氷のバラの城壁の隙間に入り込んでいた子供達が飛び立っていく。子供達は魔物の群れの外側から内側にむかって緑の爆弾の実を投下する。
「「……」」
その爆発音がやむと緑が今度はクウに話かける。
「じゃあ次はクウお願いね」「わかりました♪ 皆いって♪」」
次はクウの子供達が魔物の群れに突撃する。城壁から黒い絨毯が魔物の群れに襲い掛かる。
「「……」」
「城壁作る意味なかったかな?」
「ああ、なかったな」
「大将行ってきてもいいすかね?」
「ああ、兜お願い」
「うっす行ってきます……」
兜は暴れられると思っていたが思いのほか魔緑のブレスが強力だったため魔物の数がかなり減ってしまいそれを残念に思い肩を落として向かっていくのであった。
「兜には悪いことをしたかな……」
それまで黙っていた父親達はお互い苦笑いを浮かべながら顔を見合わせて呟く。
「こんな噂もきいたなのう…… Iランクのチームはいかれた冒険者ぞろいだと……」
「「いかれたランク……でIランクか……」」
「娘たちは良い旦那をつかまえたのう……」
ふいにフェンが呟く。
「でかしたわ……」
「すっごく良い娘達だ……」
その後にグリンもヒューイも同意するのであった。
だが、父親達の驚きはそこまでで止まらず、緑達の魔物の群れへの攻撃でボロボロになった平原を元に戻し始めさらに驚くのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
元構造解析研究者の異世界冒険譚
犬社護
ファンタジー
主人公は持水薫、女30歳、独身。趣味はあらゆる物質の立体構造を調べ眺めること、構造解析研究者であったが、地震で後輩を庇い命を落とす。魂となった彼女は女神と出会い、話をした結果、後輩を助けたこともあってスキル2つを持ってすぐに転生することになった。転生先は、地球からはるか遠く離れた惑星ガーランド、エルディア王国のある貴族の娘であった。前世の記憶を持ったまま、持水薫改めシャーロット・エルバランは誕生した。転生の際に選んだスキルは『構造解析』と『構造編集』。2つのスキルと持ち前の知能の高さを生かし、順調な異世界生活を送っていたが、とある女の子と出会った事で、人生が激変することになる。
果たして、シャーロットは新たな人生を生き抜くことが出来るのだろうか?
…………………
7歳序盤まではほのぼのとした話が続きますが、7歳中盤から未開の地へ転移されます。転移以降、物語はスローペースで進んでいきます。読者によっては、早くこの先を知りたいのに、話が進まないよと思う方もおられるかもしれません。のんびりした気持ちで読んで頂けると嬉しいです。
…………………
主人公シャーロットは、チートスキルを持っていますが、最弱スタートです。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる