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116話 ミドリムシの弟と妹
しおりを挟む緑と魔緑はエルフの国の扉を開くとエルフの総指揮官とフェン、グリン、ヒューイをさがすのであった。
「こんにちわ~」
「おお! 緑と魔緑か人の国の方は大丈夫なのか?」
緑の声に返事をしたのは、エルフの総指揮官であった。
「はい、今僕達の手は必要ないと聞いたのでこちらに来ました」
「確かに、ここも今は緑達の手を借りないといけない事はないな…… 2人の手があいてるならお前達の兄弟と話してみてはどうだ? 今は確か琉璃と凜、珊瑚と一緒に居てるはずだ。おい誰かこの2人を3人娘の場所に案内してやれ!」
その声に1人のエルフが反応し近づいて来る。
「この2人を案内してやってくれ! この2人は、エルフの国の恩人だくれぐれも丁重にな!」
「了解です! 私でもお2人の事は存じています! そんなお2人に無碍な態度をとったりしません!」
「なら頼むぞ」
「は! ではお2人共案内いたしますので」
そう言ってエルフは緑と魔緑を案内する。
緑と魔緑は案内役のエルフの後をついて森の木々の枝を飛び移りながら移動している。
「お2人共今のスピードで大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です!」「問題ない」
案内役のエルフは振り返り緑達の様子を伺うが問題なくついてくる2人を見て安心する。
「英雄のお2人に対して失礼でしたね…… もう少しスピードを上げますね」
「はい、もっとスピードを上げてもらっても大丈夫です」
「俺達が着いていけなければ、その時は声をかけるから遠慮なくスピードを上げてくれ」
「わかりました」
そう言って3人はぐんぐんスピードを上げていきエルフの国を囲む森の外まで来るとそこには魔緑の嫁の3人と小さな緑達がいるのであった。
「みんな何か手伝えることある?」
緑の声を聞いて皆が振り返る。
「おお、みーちゃんとまーちゃん人の国は大丈夫なのかのう?」
振り返った琉璃が尋ねる。
「今、僕達の手伝いは大丈夫みたい」
「そうなんや、でもこっちもみーちゃんやまーちゃんに手伝ってもらわなあかん仕事もないかな~」
「私達も手が空いたので2人の弟くんや妹ちゃん達の魔法の練習をしてたんです」
「あ! おにいちゃんだ!」
「「わーい」」
緑と魔緑を見つけた小さな緑達は2人の周りに集まった。
「1、2,3…… 全部で11人、全員いてるね……」
「しかし、落ち着いて見ると今度の水野 緑は多いな…… そういえばこいつ達を鑑定してなかった」
そう言って緑と魔緑は鑑定を使う。
「緑…… こいつら俺達が持ってない変なスキル【増えるワカメ】をもってるぞ……」
「う~ん、嫌な予感しかしないけど詳しく見てみよう」
「げ、まーちゃんこのスキルやばくない」
「絶対にやばいな……」
魔緑が見つけたスキルの名前を聞いて眉をひそめる緑だが鑑定してさらに驚きの声を上げる。
【増えるワカメ】
体内に蓄積するエネルギーがある一定値に達すると新たな自分を生み出す
「これほったらかしにしてたら、弟や妹が増えるってことだよね……」
「ああ、そうだなしかもこいつらがこれ以上増えたら何をしでかすか分からない・・・・」
「「どうしたものか……」」
2人が頭を悩ませる。
「このスキルって自動で増えるのかな?」
「さぁどうだろうな? なぁ、お前達この11人は、初めから11人だったのか?」
緑が疑問に思ったことを魔緑が小さな緑達に尋ねる。
「「うん! 初めから11人だったー」」
「まだ増えてなかったみたいだね」
緑は胸をなでおろし、魔緑が小さな【水野 緑】に確認する。
「お前達スキルを封印することはできそうか?」
「「う~ん」」
小さな緑達は唸りだし目を瞑り何やら考え込む。
「「できたー」」
緑と魔緑が再び鑑定をすると。
【増えるワカメ】 封印中
「お、スキルは封印できたな」
「これで僕達が増える事はなさそうだね」
一安心する緑と魔緑。
「そういえば皆は世界樹様が匿ってただよね?」
「「うん、せかいじゅママのところにいたー」
「世界樹様に寄生してたみたいだけどそれは何だったの?」
緑が質問すると1人が歩み出る。
「ママにをみんなでごはんをもらってました」
「みんな光合成はできない?」
「うーん、できるんだけど…… 足りないのー」
「あー、それは水が足りなかったんじゃねぇか?」
緑と小さな緑達の会話を聞き、魔緑は水が必要な事に気づかずエネルギーが不足したために食事でまかなっていた事を思い出し口に出す。
「じゃあ一度実験してみよう!」
そう言って緑はアイテムボックスより11個のタライを出し、それに水を満たしていく。
「じゃあ皆タライに入ってみて」
「「はい!」」
ザブーン!
小さな緑達は出された水の入ったタライに浸かっていく。
「「わー」」「「きゃー」」
水に浸かった瞬間、小さな緑達が驚きの声を上げる。
「「すごーい」」「「ごはんがいっぱーい」」
小さな緑達は騒ぎ始める。小さな緑達の様子を見ていた緑達は順調に光合成が出来ていると確認すると大きな声で宣言する。
「よし! じゃあ今晩は、皆の歓迎会をしようか! 今日は家で美味しい物を一杯たべよう!」
そう言って歓迎会を想像しワクワクする緑であった。
緑のダンジョン
「やっぱり、すごくかわいいですね」「みんな緑さんに似ています♪」
「そら! 高い高ーい」「わー!」「たかーい!」
「皆さんかわいいですね~」「おともだちがいっぱーい」
小さな緑達をみて蟲人達も大騒ぎする。
ヒカリとクウは小さな緑達を撫でまわす。兜は小さな緑達をお手玉の様に高い高いをする。
レイはニコニコとその様子を観察し。胡蝶は一緒に遊んでいる。
「みんな楽しそうだのう」「うちらも混ざりたいわ」「みんなすっごく可愛いですもんね~」
琉璃、凛、珊瑚達は緑と魔緑の料理の手伝いをしていた。
「3人共いってきていいよ」「ああ、もう料理の準備も大丈夫だ」
「本当か?」「行ってきていいん?」「遠慮しませんよ?」
「うん大丈夫!」「だそうだ行ってこい」
そう緑と魔緑に言われた3人は駆け出し蟲人と小さな緑達に向かって走っていく。
蟲人、小さなミドリムシ、獣人達は和気あいあいと遊んでいる。緑と魔緑は沢山の料理を乗せた皿をそれぞれの髪で支えながら用意した机に向かう。
「みんなで来たよ~!」
その言葉を聞いた小さな緑達は集まって来る。
「「ごはんだ~♪」」
小さな緑達を追い蟲人、魔緑の嫁達が集まって来る。
「じゃあ皆いただきま~す!」
「「いただきま~す!」
小さな緑達は食事に群がる。
「「おいし~」」「「ほっぺたがおちる~」」
小さな緑達が用意したご飯に群がるのを見ながら、皆が温かい目でそれを見る。
「ねぇ、まーちゃん」「ん? なんだ?」
「小さな僕達も幸せになるように頑張ろうね」
緑の言葉を聞いた魔緑は心の中で思った。
『何をやっても幸せになるだろう…… こいつはどこまで幸せになろうとするんだ?』
そんな事を思いながら魔緑は緑に返事をする。
「ああ、そうだな……」
魔緑の返事を聞くと緑はニコリと笑い呼びかける。
「じゃあ、皆でご飯をたべよう♪」
「「いただかいます」」
そういって小さな緑達以外も食事をはじめる。
翌日、全員で世界樹の元を訪れる。
「世界樹様、小さな僕達をかくまっていた理由をお聞かせください」
そういって代表して緑が世界樹に話しかけと、緑達の前に光の塊が現れ人の姿を取り始める。
「そ、それは以前言ったのですが小さな緑さん達が可愛すぎたのです……」
それを改めて聞いた緑達は苦笑いを浮かべるのであった。
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