緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない

文字の大きさ
118 / 178

118話 ミドリムシの弟と妹 3

しおりを挟む

 人族、エルフ、ドワーフの国の各王と宰相がそれぞれ席に着く。緑達が褒賞の相談をしたいと各王から連絡を受け、それならばダンジョンに来て欲しいと返事をしたために各国の王と宰相は緑のダンジョンに集まる事になった。

「皆さんお集り頂いてありがとうございます!」

「緑、礼を言うのは我らの方だ、重ねて言うが今回のスタンピード本当に助かった」

 人族の国、サークル王国の王が緑に礼を言い頭を下げる。それに続く様にエルフとドワーフの国の王も頭を下げる。

「それでだ、今回の褒賞として我らは何を送ればいい?」

 各国の王は今回の褒賞を与えるに至って何を送れば緑達が喜ぶか考えたがどの国も答えを出すことが出来なかった。それならいっその事、緑に聞けばいいという結論に至った。

「はい、それについては僕達も話あった結果、僕達が今度ダンジョンに作る学校の先生になれるような人を紹介してほしいと決まりました」

「ほう学校とはなんだ?」

 ドワーフの国の王が尋ねる。

「はい、僕達が目指すのは小さな子供達を対象にした教育機関です」

「「ほほう」」

 各国の王は緑の言葉を聞き興味を持つ。

「冒険者ギルドの講習の様な物ではないのか?」

 エルフの国の王が尋ねる。

「はい、冒険者ギルドの講習とは違い数年がかりの教育になると思われます……」

「なんと、その間その学校通う者達はどうやって生活をするのだ?」

「はい、その学校ではまず初めに文字、算数、農業、魔物との戦闘、魔法、鍛冶、音楽など様々なを教育しようかと考えていて、はじめは今ダンジョンの中で働いている子供達を対象にするつもりです」

「ふむ、確か緑のダンジョンでは人族の孤児をたくさん保護していたな……」

 ドワーフの国の王が思い出したように呟く。

「はい、更には学校で習った事を生かしてダンジョンの外にでても生活をしていけるようになれれば良いと考えています」

「「なるほどな…… 緑のダンジョンで知識や技術を教えていくのか……」」

「だが、今現在サークル王国で教鞭を振るっている者達を直ぐにこちらに向かわせるのは厳しいな……」

「そうだな、うちの国からも鍛冶を教える者を直ぐに向かわせるとなると厳しいな……」

「うちの国民は長寿のために何か新しい事をするとなると喜ぶ者は多そうだが」

 人族とドワーフの王は難色をしめし、エルフの国の王はすぐに人材を派遣できそうだと答える。

「ああ、今現役の人は、いいんです」

「「現役でなくてもいいのか?」」

「はい、子供達相手なのでむしろ現役を引退した人達のほうが都合がいいんです、何人かはもうダンジョンで働いてくれていますし」

「確かにピエールもここで世話になっていたな」

「うちの国だとビルとゴードンか」

「はい、それに【達人】の2つ名をもつ流さんもいます」

「何! あやつここで働いているのか!?」「「あの【達人】がか!?」

 緑の口から流の名前が出て驚く各国の王達。

「はい、僕の家族やダンジョンで働いてる子供達の中の一部が戦闘訓練を受けています。それに今回のスタンピードで家族が増えたので、その子達にも学校でいろんな事を学んで欲しいので」

「何? 家族とは蟲人か?」

「いや、確か弟や妹だったか……」

 人族の王の質問にエルフの国の王が呟く。

「今、呼ぶので紹介してもいいですか?」

「「ああ、構わない。むしろ見ておきたい」」

 緑の弟妹と聞き興味がわいた各国の王は緑が紹介する事を促す。

「皆出ておいで~」

 緑がそう言うと小さな緑達と魔緑が緑の元に集まってくる。

 小さな緑達が1列に並ぶ、その列の途中に魔緑が立っていることに不思議に思うが緑は続ける。

「さぁ、みんな挨拶をして」

「子!」「丑!」「寅!」「卯!」「辰・・・・」「巳!」「午!」「未!」「申!」「酉!」「戌!」「亥!」

「「12人そろってミドリムシ鮮隊干支セトラです!」」

 ドーン! 

 12人がそう言うと魔緑が魔法を使い後方で爆発が起こる。

 緑も弟、妹達に挨拶をするように言っていたがこのような準備をしていたとは知らず絶句する。

 そんな中、魔緑が口を開く。

「俺はもういいか……?」

 そう言ってその場から去ろうとする魔緑の目は死んだ魚の様になっている。

「「おにいちゃんがりゅうでリーダーだよ! どこにいくの」!?」

「誰もいない所だ……」

 魔緑は、弟妹達の質問にぼそりと呟くとふらふらと歩いて行こうとする。

「あははははははははは!!!」

 そんなやり取りを見ていた緑が腹を抱えて笑い始める。

「「あははははは!!」」

 普段の魔緑を知る各国の王と宰相達も緑につられ笑い始める。

 皆が笑っていると魔緑の顔がみるみる赤くなり叫ぶ。

「俺はもう行く! お前達、後はちゃんと挨拶をしておけ!」

「「ああ! おにいちゃん!」」 


 
「というわけで、この子達が僕達の新しい家族です。皆、挨拶をして」

「「よろしくおねがいします!」」

「よろしく」「ふむ、よろしくね」「がははは、よろしくな」

 人族、エルフ、ドワーフの国王達は好々爺となり挨拶をするが、エルフの国の王が思い出し呟いた言葉に人族とドワーフの国王は驚き声を上げる。

「こんな可愛いのにうちの国のスタンピードの魔物の多くを倒したらしいね」

「「え!?」」

 その驚きの声を聞いた緑が話始める。

「そうなんですよ、先ほどから見てもらってわかるように、この子達はまだ子供なんですが戦闘力はかなり高いんです。なので学校を作って他の子達と一緒に一般常識を学んで欲しいのです」

『『それは緑を見ると無理な気がするが……』』

 各国の王は同じ思いをするが黙って緑の話を聞く。

「なので、現役を引退した元、教育機関の関係者を紹介して欲しいんです」

「紹介でいいのか?」

 ドワーフの王が緑に質問する。

「はい、強制的に教えに来てもらっても良い結果にはならないと思うので、僕達が直接会って話をしたいと思います」

 緑の言葉を聞いた各国の王と宰相はリストを作って届けると伝える。

「では、よろしくお願いします」

 そう言って緑は深々と頭を下げる。

 そう言って話し合いは終わるが不意にエルフの王が手を上げ質問する。

「話は変わるが何故子供達と魔緑は全員同じかっこをしているのだ?」

 小さな緑と魔緑達は全員がエメラルドグリーンの全身タイツとマフラーをしている。

「「皆、緑色が好きなの~」」

「ぶは! あはははは!」

 そのやり取りを聞き思わず吹き出す緑であった。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

元構造解析研究者の異世界冒険譚

犬社護
ファンタジー
主人公は持水薫、女30歳、独身。趣味はあらゆる物質の立体構造を調べ眺めること、構造解析研究者であったが、地震で後輩を庇い命を落とす。魂となった彼女は女神と出会い、話をした結果、後輩を助けたこともあってスキル2つを持ってすぐに転生することになった。転生先は、地球からはるか遠く離れた惑星ガーランド、エルディア王国のある貴族の娘であった。前世の記憶を持ったまま、持水薫改めシャーロット・エルバランは誕生した。転生の際に選んだスキルは『構造解析』と『構造編集』。2つのスキルと持ち前の知能の高さを生かし、順調な異世界生活を送っていたが、とある女の子と出会った事で、人生が激変することになる。 果たして、シャーロットは新たな人生を生き抜くことが出来るのだろうか? ………………… 7歳序盤まではほのぼのとした話が続きますが、7歳中盤から未開の地へ転移されます。転移以降、物語はスローペースで進んでいきます。読者によっては、早くこの先を知りたいのに、話が進まないよと思う方もおられるかもしれません。のんびりした気持ちで読んで頂けると嬉しいです。 ………………… 主人公シャーロットは、チートスキルを持っていますが、最弱スタートです。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...