緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない

文字の大きさ
165 / 178

165話 ミドリムシと子供達

しおりを挟む

「お! なんか斥候に出てくれてるレイの子供から連絡が来たみたいやね」

「ふむ、どんな連絡のなのかのう?」

「蟲人の方、訳してください」

 3姫達が斥候として先頭を進んでいるレイの子供達からの連絡を蟲人に訳す様に頼む。

 ヒカリ、クウ、レイの子供達との意思疎通は蟲人達を介してするために、今蟲人が居ないこのグループではウィスプの国の蟲人が付いてきており、その通訳をしていた。

「なんといっているのんだ?」

「わざわざ、レイの子供達が連絡をよこすなんてなんなのかな?」

 そう言うのはノームと腐緑。3姫が居るグループには腐緑が入ることが満場一致で決まっていた。

「なにやら、この先に村があるそうなんですが……その村には子供しかいないそうなんです」

「怪しいねぇ……」

 蟲人の通訳を聞いた腐緑が呟き、その言葉に珊瑚が尋ねる。

「あの。ふーちゃん何が怪しいんですか?」

「確かに怪しいな……」

 珊瑚の質問に腐緑が答える前にノームも頷く。

「それは、この先の村は戦争の最前線からかなり離れているけど、今って戦争中だよね? そんな時に村に子供だけのこすかな?」 

 腐緑は、【水野 緑】の中でも性格に難はあるものの知性は1番と思われていた。【水野 緑】が一度見た本の内容などは一言一句覚えており、もとが中学生とは思えないほどの知識と知性を持ち、その2つ連結し時折鋭い言葉を口にするのであった。

「ちなみにその村はなんの蟲人の村なんだろう?」

 腐緑にそう尋ねられた蟲人は自分が悪いわけでもないのに申し訳なさそうに返事をする。

「それが……連絡では、その村の蟲人達が何の蟲人がわからないと……そのためにこちらに指示を仰ぎたいと連絡してきたそうです」

 蟲人の返事を聞いた腐緑は、蟲人が何の蟲人か聞いたにも関わらず、わからないと言われると直ぐにその村に行ってみようと言う。

「そっか、それじゃあ疑問点は置いておいてとにかく行ってみよう。琉璃ちゃん、凛ちゃん、珊瑚ちゃん打ち合わせ通りにね」

 腐緑がそういうと3姫が頷くのであった。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 レイの子供達が報告した村の入り口に立つ3姫とノーム、その後ろに腐緑が控えている。彼女達の姿を村の者が見つけ駆け寄ってくる。

「「こんにちわ~」」

 そう挨拶したのは、小さな子供達であった。

「「こんにちわ~」」

 その挨拶に腐緑達も挨拶をかえし、それを確認すると凜が子供達に尋ねる。

「なぁ、誰か大人の人を呼んで来てくれへんかな?」

「「今はいないのー」」

「1人もおらへんの?」

「お父さんたちは狩りに行ってて、お母さんたちも食べ物を取りに森の中にいってますー」

 そう言った凜の質問に子供達の中でも少しだけ背の高い少年が返事をする。琉璃がその返事を聞いた上でさらに少年に質問をする。

「今は戦争中なのに大人がいないのかのう?」

 そんな琉璃の言葉に少年だけではなく、他の子供達も加わりニコリと笑い返事をする

「「うん、直ぐに帰って来るって言ってた」」

 その言葉の後に今度は、少年の背丈に近い少女が口を開く。

「大人の人がきたら村長のお家に案内するようにいわれてるので皆様、村長の家で待っても耐えますか?」

「え、いいんですか? 知らない人を村の中にいれるなんてすっごく危なくないですか?」

「大丈夫です。戦争してるけどこんな端っこの村にまで敵はこないって村長やお父さん達が言ってました」

 そう言って少女は無邪気な笑顔を見せる。

「なら、村長のお家に案内してもらえるかな?」

「「は~い」」

 そう返事をした子供達は腐緑達を村長の家に案内する。



「本当に子供しかおらへんやん……」

「すっごく危ないと思います……」

 腐緑達が村長の家に案内される道中にも大人の姿は見られず、思わず凜と珊瑚が呟く。そんな中、腐緑達が村長の家に行く途中にも他の子供達が遊んでいるのが見られると、腐緑と3姫にそれまで話す事のなかったノームが話かける。

「ねぇ、お姉ちゃん僕も遊んできていい?」

 その言葉に返事をしたのは腐緑でありノームの言葉に返事をする。

「こら、みんなと一緒にいなさい。知らない人が来たらみんなビックリするかもしれないしょう」

「は~い」

 ノームは返事をすると残念そうに下を向く。

 そんなやり取りを見た子供達の先頭を歩いていた少年が口を開く。

「大丈夫ですよ、村の皆も一緒に遊んでくれると嬉しいと思います」

 それを聞いた腐緑とノームはアイコンタクトを行い、ノームに腐緑が遊びに行く許可をだす。

「う~ん、こう言って貰えているから行ってきていいよ。ただし、村の人達にご迷惑はかけてはだめだよ」

「は~い」

 そう言ってノームは村の中で遊んでいる子供達に向かって走っていく。

 ノームが走っていくのを見届けてから腐緑達は子供達を先頭に村長の家を目指し再び歩き始める。そこかしばらく歩くと案内していた子供達が歩みを止める、そこには周りの家より大きな家があった。

「どうぞ入ってください」

 先ほどの少女がそう言って家のドアを開ける。

「ではここで靴を脱いで中におはいりください」

 その家では【水野 緑】の前世の日本の様に玄関で靴を脱ぐ。

 家の中に入り子供達の後を付いていくと腐緑達は人が十数人は入れる部屋に通される。

「じゃあ、お茶をいれてきます~ どうぞそれを床にひいて皆さまは好きなところにお座りください」

 そう少女が言うと子供達が座布団の様な物を全員に配り始める。全員が座るのを確認すると少女はお茶を入れに部屋の端にある台所の様な場所に少女が向かう。少女がお茶にを入れにいったその後は他の子供達から腐緑達は質問攻めにあった。

「お姉ちゃん達は何の獣人さんなの?」「あ、ずるーい、私も聞きたい何処からきたんですか?」

 そんな質問に答えていると台所に向かった少女が戻ってくる。

「みんな、そんなに1度に聞くとお姉さん達がこまるから!」

「「ごめんなさ~い」」

 少女の言葉に子供達が声をそろえて謝ると少年が口を開く。

「皆は、遊びに行った子と遊んでおいで」

「「は~い」」

 そう返事をすると、少年と少女の2人を残して他の子供達が家を出ていく。

「しばらくすると大人の人も帰ってくると思います。それまでお茶でも飲んでてください」

 そういって全員の分のお茶を出すと少女も床に座布団の様なものをひき腰を下ろす。

「すいません、みんな村の外から人が来るのが珍しくて……」

「いやいや、そんな気にすることないよ。みんないい子達だよ」

「そう言ってもらえるとありがたいです」

「お茶いただくね」

 腐緑がそう言うと皆でお茶を飲む。それからしばらくの間話をしていると不意に大きな音がする。

ガチャン!

 それは、出されたお茶が入ったコップを落とす音であった。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

元構造解析研究者の異世界冒険譚

犬社護
ファンタジー
主人公は持水薫、女30歳、独身。趣味はあらゆる物質の立体構造を調べ眺めること、構造解析研究者であったが、地震で後輩を庇い命を落とす。魂となった彼女は女神と出会い、話をした結果、後輩を助けたこともあってスキル2つを持ってすぐに転生することになった。転生先は、地球からはるか遠く離れた惑星ガーランド、エルディア王国のある貴族の娘であった。前世の記憶を持ったまま、持水薫改めシャーロット・エルバランは誕生した。転生の際に選んだスキルは『構造解析』と『構造編集』。2つのスキルと持ち前の知能の高さを生かし、順調な異世界生活を送っていたが、とある女の子と出会った事で、人生が激変することになる。 果たして、シャーロットは新たな人生を生き抜くことが出来るのだろうか? ………………… 7歳序盤まではほのぼのとした話が続きますが、7歳中盤から未開の地へ転移されます。転移以降、物語はスローペースで進んでいきます。読者によっては、早くこの先を知りたいのに、話が進まないよと思う方もおられるかもしれません。のんびりした気持ちで読んで頂けると嬉しいです。 ………………… 主人公シャーロットは、チートスキルを持っていますが、最弱スタートです。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...