アトランティス

たみえ

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序章 理想と創造

神へと至る

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「――ようこそ。新たな神よ。汝の創造、理想、情熱は神界でも期待されている」

 私の夢は理想郷を創ることだった。それはついさっき完成した。したけれど、気付いたら良く分からない真っ白な空間を揺蕩っていた。きっと死んでしまったのだろう。完成したことに興奮したのがいけなかったのか、死因は心筋梗塞あたりか。

「そうだ。汝は死して神へと至った」

 先程から思っていたが、どこからともなく空間全体に響くような老若男女不明な声は不可思議な事を宣っている。私が神? 神になったのなら何故神としての自覚というものが無いのか。確かに死んだな、というのは理解できるが。それならこのまま輪廻の環とやらに呑み込まれるだけではないのか。

「経緯は稀有なことなれど、神へと至った。これは事実。しかし、稀有な経緯故に真の神へは至っていない。なればこそ試練が必要なのだ」

 なるほど。イレギュラーというやつなのか。それで急に神がどうこうと言われてもピンとこないのか? 正直、興味はない。真の神とやらになるより生前完成した理想郷に戻りたい。技術の向上で意識を中へと飛ばせる仕組みをようやく取り入れて完成させたのだ。死ぬならせめてあの理想郷の中に居る時にぽっくりと逝きたかった。

「試練とはすなわち創造の訓練でもある。神は創造を最も得意とする生物なのだ。創造の力を極めてこそ真なる神へと至る。つまり、やることは汝の生前と変わらぬということだ」

 ……へ?

「思うがままに新たな世界を創造し慈しみ養成し、管理するのだ。それこそが真なる神へと至る唯一の道」

 そ、そそそ、それってもしかして……好き勝手に星規模で地形、自然、天候、果ては生命まで思い通り思うがまま好き勝手にやっちゃって良いってことでしょうかっ!?

「う、うむ。そうともいうが……」

 なるほど! 真の神様! 誠心誠意、是非! やらせていただきます!

「そ、そうか。ならば良い。では、新たな神よ、汝の世界は汝の化身ともなる。そしてその世界の生命に信奉されることによって力は循環し、より強力な創造の力を手に入れられよう。さすればいずれは真の神へと至るだろう」

 つまり、一神教にして崇められるだけで理想郷がより理想郷へと近づくと! そういうわけですね!

「う、む。間違ってはおらんが……まあ、いい。だが、忘れるな。神には侵してはならぬ絶対の神盟があり、いかなる理由であっても侵犯はならぬ。侵した時点で汝の世界も消失せしめるだろう。故に、努々忘れるではない。神盟は魂に刻まれるもの。知らずとも知れよう」

 好き勝手にして良いけど、ルールは守れと。なるほど。それさえ出来れば後は何でもござれというわけですね。理屈は理解しました。何がダメかは分からないですけど。

「――知っている。だが、今は知らぬ。それで良い。では、問おう。汝が新たに創造する世界の神としての名を。汝の化身となるべき世界の名を。いま、ここに神言せよ」

 ――そんなものは最初から決まっている。私が追い求め、渇望し、死してなお無念と叫ぶあの世界の名だ。

『我が名はアトラ、アトランティスの唯一神なり』
「――神盟に契り、新たな神を迎えよう。ようこそアトラ、稀有なる神よ」

 ――次の瞬間、私は神になり、神を理解した。……そして悟った。

「だ、だ、騙されたあああああああ!!!!」
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