歩むなら邪道を

にら

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1.前世とは大違い

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なんだここ…

転生場所は小さな集落だった
困惑していると一人の子供とおじさんが俺に駆け寄ってきた

「ライにいちゃーん!久しぶり!」
「ライ!もう…大丈夫なのか?」

どうやらこの体の持ち主と親しい関係にあった2人のようだが俺にはわからない

「あの、どなたですか?」

「そうか…お前記憶が…」
「どうしたの兄ちゃん?」

おじさんはこの体の持ち主に何があったかを教えてくれた
村の外れにある森のモンスターに襲われて意識不明の重体だったそうだ
俺の名前は"ライ・ウォーカー"と言うらしい
おじさんは"マーク・トンプソン"で
子供は"アイラ・トンプソン"
2人は若くして親族を失っていた俺を気にかけているご近所さんって感じらしい

「兄ちゃん忘れちゃったの?」

「ごめんね何も覚えてないんだ…」

「ううん兄ちゃんが生きてるだけで僕
すごく嬉しいよ!」
「もう二度と会えないんじゃないかって家で泣いてたしな」
「お父さん!!」

アイラは恥ずかしそうにしている
そんな二人の様子がとても微笑ましかったが、自分はこの体の持ち主の人生を奪ってしまったのではないか。と考えてしまった

二人に別れを告げ家に戻る
冷静になって見ると自宅の様子は異常だった
やけに綺麗に整頓されている
生活感のかけらもなく不自然だ
机の上には書き置きがあった

"私ライ・ウォーカーはこれから死ぬだろう
正確には誰かに殺される
しかしこの運命は避けようがない
この国の王に狙われているのだ、逃げる術などあるはずがない
だからこそ私はこの手紙を読んでいるあなたに託す
私の人生を結集した魔法だ
"転生魔法"
見知らぬ者に任せるには荷が重いかも
しれないがどうか頼む
この村を、国を
救ってくれ"

字でわかる
震えているが力強い文字だ
彼はなんらかの理由で王の反感を買い
人生を俺に託したというわけだ
理由も分からないのにこんな意味の分からないことに巻き込まれるなんて俺はごめんだ
"理由が分からなければ"の話だが

「"死霊術"」
「ライ・ウォーカーの魂をここに」

強い想いを持った霊魂が俺の目の前に現れる

「お前がライ・ウォーカーだな」

質問の返事すら返さず彼は必死な顔で

「頼む!助けてくれ!
村が、いやこの国が危ない!」

なんて自分勝手なやつだ
一発ぶん殴ってやろうかと思ったが
霊なので殴れない仕方なく理由を聞くと

「王は極端な優生思想を持っている
国民の大半を殺し、新たな世界を創り上げる気だ」
「このままじゃこの村の人も危ない
お願いだ!」

…ふざけやがって
持たざる者は潔く死ねってか
俺には王の気持ちが分からない
元々"持ってない"側の人間だったからな

「わかった。助けてやる
ただ俺は正義のヒーローじゃない
ただのエゴでこの腐った国をぶっ壊す
綺麗な結末にはならないかもしれない
それでもいいか?」

「…この村のみんなが助かるのなら」

「わかった
お前の体も魂も俺に預けろ
お望み通り国も王も壊してやるよ」

------------------


王都にて

「陛下、こそこそかぎまわっていたあの魔法使いはこちらで処理いたしました」

「よくやったな
お前たち暗殺部隊はわが国の誇りだよ
我が計画後もお前たちには側近として働いてもらうよ」

「ありがたき幸せ…」

「我が崇高なる計画…
誰にも邪魔はさせん」


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みんなの感想(1件)

花雨
2021.08.10 花雨

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にら
2021.08.10 にら

ありがとうございます

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