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4.若き(将来の)騎士団長との出会い(前編)
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カフェの建設をお父様に承認してもらえたので、早速建設に移ることにしました。
軽食を出すことになるので、厨房はそれほど大きくありません。一方で、お客さんにはゆっくりくつろいでもらえるように、客席部分は広めに取るようにしました。窓も多めにして、外がよく見えるように。でも、植栽《しょくさい》を配置することで、あまり外からジロジロと見られているような印象を持たれないようにレイアウトを少し工夫します。
お店の全体的なカラートーンは、この辺りでは珍しい、パステルカラー調の調度品を使用することにしました。全体的には木目調の落ち着いた床や壁だが、椅子や机は目で見て楽しめるような色合いにします。
前回のループでは、計画だけは立てていたので、隣国の情報なども下調べしていたのです。情報収集は経営の基本ですから。それによると、こういうカジュアルタイプのカフェが流行しているらしく、この国でも流行るのではないかと思っていたのでした。
建築には数か月の時間がかかります。今は設計図の確認が終わり、土木工事の作業が始まったばかりです。ただ、自分の長年の夢(前世の夢???)が叶うかと思うと、ワクワクして、何度も足しげく通ってしまいました。貴族令嬢としては、ちょっとはしたないのですが、自分のお店を持てるのだから、興奮してしまうのは仕方ありません。それにこのお店が私の自由の象徴なのだから、愛着がわくのも仕方ありません!
……と、そんな感じで、とりあえず自分を全力で擁護してみました。
しかし、これほど熱意を燃やせるやりたい事があったのに、よく前回の人生では我慢してたなーと、我ながら思います。周囲に気を使い過ぎていたうえに、周りから押し付けられることも多かったので、自分のやりたいことをやって生きるという考え自体が余り浮かばなかったのでしょうね。
でも、今回は自分の人生を歩む。
それが目の前で実現していく。着々と現実のものとして姿を現し始めている。
それがとてもハッピーでした。
……が、それはやっぱり余り良くなかったらしいです。
「お前がこの店のオーナーだな。若い女のくせに生意気な奴め! よし、出せ!」
「きゃあっ⁉ 放して‼」
「お、お嬢様!」
現場に何度も足を運び、あれこれ細かい指示を出す私を見て、チンピラのような男たちが数名の護衛たちの一瞬の隙をついて、私を自分たちの馬車へと連れ込んだのだ。そして、すぐに馬車を出発させる。護衛達はこの馬車を見失ったかもしれない。
「私をどうする気?」
「決まってるだろう? お前ほどの若くてきれいな女がどんな目に遭うかなんてなぁ」
「私がアイリーン=リスキス公爵令嬢と知っての狼藉《ろうぜき》かしら?」
私は胸から下げたペンダントを見せながらにらみつける。そこには我が家の紋章であるホワイトアイが刻まれている。普通ならばそれでひるむはずのところだが……。
「公爵令嬢だぁ⁉ はははは! 馬鹿言っちゃいけねえなぁ、お嬢ちゃん。確かにあんたは金持ちの娘のようだが、公爵令嬢があんな場所に足しげく通ってくるわけねえだろうが。大方、一代で財産を成した商家の娘か何かなんだろうが、あの辺りはある御方が狙っていた土地でね。悪いがあんたが邪魔なんだそうだ」
「おい、それ以上しゃべるな。依頼人に迷惑がかかるだろう」
「おっと、そうだな。まっ、とは言っても、楽しませてもらった後はこの街から俺たちは消える。証拠も残らねえから分かりっこねえさ」
「へへ、まぁな。それにしても奇麗な女だな。役得ってやつか」
私は男たちが何を考えているか理解して、自分のおかれた危機的な状況に青ざめる。
自分のやっていたことが間違っていたとは思わない。
現場に足を運ぶのも他人に自分の人生を委《ゆだ》ねないためには大事なことだ。
ただ、油断があったことは否めない。
自分がうら若い女であったことで、実は非常に目立っていたという事に、たった今初めて気づいた。よく考えれば王太子殿下や他の男性の方々もよく容姿も褒めてくれていたっけ……。
土地の利権問題もかなりややこしい問題で、一等地のあの場所を狙っていた者は多いだろう。
だから、こういった強硬策に出てくるアンポンタンがいることは、予想してしかるべきだった。やはり少し舞い上がっていたのだろう。
こうして私は誘拐されて、街はずれの廃墟のような場所へ、男たちに連れ込まれたのだった。
軽食を出すことになるので、厨房はそれほど大きくありません。一方で、お客さんにはゆっくりくつろいでもらえるように、客席部分は広めに取るようにしました。窓も多めにして、外がよく見えるように。でも、植栽《しょくさい》を配置することで、あまり外からジロジロと見られているような印象を持たれないようにレイアウトを少し工夫します。
お店の全体的なカラートーンは、この辺りでは珍しい、パステルカラー調の調度品を使用することにしました。全体的には木目調の落ち着いた床や壁だが、椅子や机は目で見て楽しめるような色合いにします。
前回のループでは、計画だけは立てていたので、隣国の情報なども下調べしていたのです。情報収集は経営の基本ですから。それによると、こういうカジュアルタイプのカフェが流行しているらしく、この国でも流行るのではないかと思っていたのでした。
建築には数か月の時間がかかります。今は設計図の確認が終わり、土木工事の作業が始まったばかりです。ただ、自分の長年の夢(前世の夢???)が叶うかと思うと、ワクワクして、何度も足しげく通ってしまいました。貴族令嬢としては、ちょっとはしたないのですが、自分のお店を持てるのだから、興奮してしまうのは仕方ありません。それにこのお店が私の自由の象徴なのだから、愛着がわくのも仕方ありません!
……と、そんな感じで、とりあえず自分を全力で擁護してみました。
しかし、これほど熱意を燃やせるやりたい事があったのに、よく前回の人生では我慢してたなーと、我ながら思います。周囲に気を使い過ぎていたうえに、周りから押し付けられることも多かったので、自分のやりたいことをやって生きるという考え自体が余り浮かばなかったのでしょうね。
でも、今回は自分の人生を歩む。
それが目の前で実現していく。着々と現実のものとして姿を現し始めている。
それがとてもハッピーでした。
……が、それはやっぱり余り良くなかったらしいです。
「お前がこの店のオーナーだな。若い女のくせに生意気な奴め! よし、出せ!」
「きゃあっ⁉ 放して‼」
「お、お嬢様!」
現場に何度も足を運び、あれこれ細かい指示を出す私を見て、チンピラのような男たちが数名の護衛たちの一瞬の隙をついて、私を自分たちの馬車へと連れ込んだのだ。そして、すぐに馬車を出発させる。護衛達はこの馬車を見失ったかもしれない。
「私をどうする気?」
「決まってるだろう? お前ほどの若くてきれいな女がどんな目に遭うかなんてなぁ」
「私がアイリーン=リスキス公爵令嬢と知っての狼藉《ろうぜき》かしら?」
私は胸から下げたペンダントを見せながらにらみつける。そこには我が家の紋章であるホワイトアイが刻まれている。普通ならばそれでひるむはずのところだが……。
「公爵令嬢だぁ⁉ はははは! 馬鹿言っちゃいけねえなぁ、お嬢ちゃん。確かにあんたは金持ちの娘のようだが、公爵令嬢があんな場所に足しげく通ってくるわけねえだろうが。大方、一代で財産を成した商家の娘か何かなんだろうが、あの辺りはある御方が狙っていた土地でね。悪いがあんたが邪魔なんだそうだ」
「おい、それ以上しゃべるな。依頼人に迷惑がかかるだろう」
「おっと、そうだな。まっ、とは言っても、楽しませてもらった後はこの街から俺たちは消える。証拠も残らねえから分かりっこねえさ」
「へへ、まぁな。それにしても奇麗な女だな。役得ってやつか」
私は男たちが何を考えているか理解して、自分のおかれた危機的な状況に青ざめる。
自分のやっていたことが間違っていたとは思わない。
現場に足を運ぶのも他人に自分の人生を委《ゆだ》ねないためには大事なことだ。
ただ、油断があったことは否めない。
自分がうら若い女であったことで、実は非常に目立っていたという事に、たった今初めて気づいた。よく考えれば王太子殿下や他の男性の方々もよく容姿も褒めてくれていたっけ……。
土地の利権問題もかなりややこしい問題で、一等地のあの場所を狙っていた者は多いだろう。
だから、こういった強硬策に出てくるアンポンタンがいることは、予想してしかるべきだった。やはり少し舞い上がっていたのだろう。
こうして私は誘拐されて、街はずれの廃墟のような場所へ、男たちに連れ込まれたのだった。
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