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90. アリオさんのツガイ
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ウルグベお母さんが言うには、アリオさんは四百歳だがまだツガイが現れていなかったそうだ。
同じ歳のアロさんには、ツガイや子どももいるのにと思っていたら、最近ソワソワするようになって、どうも王城の方がすごく気になると言いだした。
そんな話しをしていたら、王城から末のお姫様が、おとなの仲間入りをしたので、ツガイ候補は名乗り出るように、お触れが回ってきたらしい。
まさか息子のアリオさんが王族と?
そんなまさかはない、勘違いだろうとウルグベお母さんたちは思っていたそうだけど。
ツガイなら逢えばすぐわかる。
息子のためにもはやく確認したいところではあるが、そう簡単に逢って確認できる相手でもない。
もしツガイなら、お姫様をお迎えするのは、お金もすごくかかるようで……
王族がツガイで、自分が貴族ではなく平民の場合。
なにか手柄をたてるかよほど特別な何かがないと、王族が平民のツガイを認める許可をくださるか分からない。
もし許可されても、相手がお姫様ならめとる準備で家の財産は、すぐになくなるだろう……
竜人はおとなのツガイと出逢うと、もうどうしようもなく、一緒にいたくなるそうだ。
ホントにアリオさんのツガイなら、お姫様と逢ってしまうと、アリオさんはお姫様から離れられなくなると教えてくれた。
もしお姫様がツガイだとしたら、いまはまだおとなの仲間入りしたところなので、香りも薄い。
だからアリオさんがこれぐらいのあいまいな感情で済んでいるのかもしれないと、ウルグベお母さんが説明してくれる。
「それにさっきまでは、ツガイが姫様なのか、王城にいる誰かなのか、それさえもはっきり分からなかったはずなんだけとねぇ~」
「それはテトリとパールちゃんがきて、はっきりしたよ。ボクのツガイは若い。王城でこの二人ぐらい若い子なんて、末の姫様ぐらいだろ?」
「そう考えると、ここ百年ぐらいから、散歩だと言って王城のまわりをぐるぐる歩いたり、ボーッと王城を見つめていることが多かったかね……ツガイが子どもの場合でも、ある程度は無意識に惹かれていくもんなんだねぇ」
タルボさんが、ひと言。
「これは、決まりだな」
ダルボさん夫婦は、少しあきらめ顔だ。
「お金がかかったって、おめでたいことなんじゃないの?」
ちょっと、不思議に思って聞いてみた。
「ハァっ、それはね。王様はヘタをすると、末の姫様がまだ百四十歳と若いから姫様より先に会って、気に入らないツガイはいないものにして次のツガイ候補が現れるのを待つかもしれないからなんだよ……」
「いないもの?」
なんだか怖い言葉を、ウルグベお母さんが言いだす……
高貴な人のツガイ候補が残念な人の場合、昔からあったことなんだそうだ。
とくに高貴な人が娘、女性の場合、父親が先に娘が逢う前に娘に黙ってそのツガイと会い、見極めをすることがあると話してくれた。
だから庶民の親は息子を心配して高貴なツガイのところへ逢いに行かせるときには、家の財産を持たせたり手柄を立てさせるなど知恵を絞る。
そしていないものにされないよう、これから向かうとまわりの人たちに知らせ盛り立て、いろいろ根回しをするそうだ。
うわーっ、たいへん!
「父さん、母さん。こんなに革や布のお宝があるんだ。これを持っていったら、大丈夫だよ」
それでもウルグベお母さんは、心配なようで……
「いままでの迷い人だって、革や布を持っていたはずだよ。王様がモノ珍しくないと思ったら、お宝だけじゃない、おまえまで……奪われてしまうよ」
王城にはできるだけ行ってほしくないようだった……
「ウルグベ。アリオはもう、姫様をツガイだと認識してしまったんだから無理だ。これからは歳も普通にとっていくんだ……あきらめなさい」
「そうだね……」
「歳をとる?」
「そうか。パールは知らないのか。竜人はある程度の年齢までは、ツガイが見つかるまで歳がとりにくくなっているんだ。だから同じ歳のアロさんより、アリオさんのほうが若く見えただろ? そして、ツガイが見つからないと寿命が短くなる……」
たしかにね。
奥さんのいるアロさんより、だいぶ若く見える。
見つからないと、寿命が短く……怖いなぁ……
「じゃあ。アリオさんはツガイが見つかったから、寿命は長くなったんですね!」
「バカだな、パール! ツガイを見つけても一緒にいれないと、せつなすぎてもっと短くなるんだよ。だから、ツガイが見つからない竜人は、ホントたいへんなんだ。あきらめてツガイじゃない人同士で結婚する人たちもいる。ツガイがいない人たちよりは、まし程度の寿命にはなるけど、そのあともしツガイがどちらかに現れたら、悲惨なことになるんだぞ」
「悲惨って?」
「やっぱりツガイが一番だから、ツガイじゃない夫婦は、別れてしまうんだ……」
えーっ?!
竜人さん、たいへん!
今日、アリオさんは若いわたしたちを見て、自分のツガイが誰なのか本格的に気づいてしまった。
アリオさんのツガイは王城にいるお姫様。
お姫様を想い、潤んだ瞳で王城をじっと見つめ、そっとつぶやいていた……
「逢いたいよ……ティラノ姫……」
同じ歳のアロさんには、ツガイや子どももいるのにと思っていたら、最近ソワソワするようになって、どうも王城の方がすごく気になると言いだした。
そんな話しをしていたら、王城から末のお姫様が、おとなの仲間入りをしたので、ツガイ候補は名乗り出るように、お触れが回ってきたらしい。
まさか息子のアリオさんが王族と?
そんなまさかはない、勘違いだろうとウルグベお母さんたちは思っていたそうだけど。
ツガイなら逢えばすぐわかる。
息子のためにもはやく確認したいところではあるが、そう簡単に逢って確認できる相手でもない。
もしツガイなら、お姫様をお迎えするのは、お金もすごくかかるようで……
王族がツガイで、自分が貴族ではなく平民の場合。
なにか手柄をたてるかよほど特別な何かがないと、王族が平民のツガイを認める許可をくださるか分からない。
もし許可されても、相手がお姫様ならめとる準備で家の財産は、すぐになくなるだろう……
竜人はおとなのツガイと出逢うと、もうどうしようもなく、一緒にいたくなるそうだ。
ホントにアリオさんのツガイなら、お姫様と逢ってしまうと、アリオさんはお姫様から離れられなくなると教えてくれた。
もしお姫様がツガイだとしたら、いまはまだおとなの仲間入りしたところなので、香りも薄い。
だからアリオさんがこれぐらいのあいまいな感情で済んでいるのかもしれないと、ウルグベお母さんが説明してくれる。
「それにさっきまでは、ツガイが姫様なのか、王城にいる誰かなのか、それさえもはっきり分からなかったはずなんだけとねぇ~」
「それはテトリとパールちゃんがきて、はっきりしたよ。ボクのツガイは若い。王城でこの二人ぐらい若い子なんて、末の姫様ぐらいだろ?」
「そう考えると、ここ百年ぐらいから、散歩だと言って王城のまわりをぐるぐる歩いたり、ボーッと王城を見つめていることが多かったかね……ツガイが子どもの場合でも、ある程度は無意識に惹かれていくもんなんだねぇ」
タルボさんが、ひと言。
「これは、決まりだな」
ダルボさん夫婦は、少しあきらめ顔だ。
「お金がかかったって、おめでたいことなんじゃないの?」
ちょっと、不思議に思って聞いてみた。
「ハァっ、それはね。王様はヘタをすると、末の姫様がまだ百四十歳と若いから姫様より先に会って、気に入らないツガイはいないものにして次のツガイ候補が現れるのを待つかもしれないからなんだよ……」
「いないもの?」
なんだか怖い言葉を、ウルグベお母さんが言いだす……
高貴な人のツガイ候補が残念な人の場合、昔からあったことなんだそうだ。
とくに高貴な人が娘、女性の場合、父親が先に娘が逢う前に娘に黙ってそのツガイと会い、見極めをすることがあると話してくれた。
だから庶民の親は息子を心配して高貴なツガイのところへ逢いに行かせるときには、家の財産を持たせたり手柄を立てさせるなど知恵を絞る。
そしていないものにされないよう、これから向かうとまわりの人たちに知らせ盛り立て、いろいろ根回しをするそうだ。
うわーっ、たいへん!
「父さん、母さん。こんなに革や布のお宝があるんだ。これを持っていったら、大丈夫だよ」
それでもウルグベお母さんは、心配なようで……
「いままでの迷い人だって、革や布を持っていたはずだよ。王様がモノ珍しくないと思ったら、お宝だけじゃない、おまえまで……奪われてしまうよ」
王城にはできるだけ行ってほしくないようだった……
「ウルグベ。アリオはもう、姫様をツガイだと認識してしまったんだから無理だ。これからは歳も普通にとっていくんだ……あきらめなさい」
「そうだね……」
「歳をとる?」
「そうか。パールは知らないのか。竜人はある程度の年齢までは、ツガイが見つかるまで歳がとりにくくなっているんだ。だから同じ歳のアロさんより、アリオさんのほうが若く見えただろ? そして、ツガイが見つからないと寿命が短くなる……」
たしかにね。
奥さんのいるアロさんより、だいぶ若く見える。
見つからないと、寿命が短く……怖いなぁ……
「じゃあ。アリオさんはツガイが見つかったから、寿命は長くなったんですね!」
「バカだな、パール! ツガイを見つけても一緒にいれないと、せつなすぎてもっと短くなるんだよ。だから、ツガイが見つからない竜人は、ホントたいへんなんだ。あきらめてツガイじゃない人同士で結婚する人たちもいる。ツガイがいない人たちよりは、まし程度の寿命にはなるけど、そのあともしツガイがどちらかに現れたら、悲惨なことになるんだぞ」
「悲惨って?」
「やっぱりツガイが一番だから、ツガイじゃない夫婦は、別れてしまうんだ……」
えーっ?!
竜人さん、たいへん!
今日、アリオさんは若いわたしたちを見て、自分のツガイが誰なのか本格的に気づいてしまった。
アリオさんのツガイは王城にいるお姫様。
お姫様を想い、潤んだ瞳で王城をじっと見つめ、そっとつぶやいていた……
「逢いたいよ……ティラノ姫……」
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