迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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212. エルフの村ではシャブリ?

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 朝からブレンダと親方のところへ、ベビーベッドをもらいにいく。

 途中の休憩地点で少し魔力ポーションの材料になる薬草採りをして、早すぎる時間を調整する。

「もう、これだけ集めたらいいかな?」

「この樹海にこれだけ良質な薬草があったなんて知らなかったよ」

「そうでしょ? どうしてこんなに良い薬草があるのにラメールがポーション不足なのか不思議だよね? なんとかなりそうなモノなのに」

「ホントだね。やりようがありそうなモノだけど、だれも新しいことを始める努力を自分からはそうしないのさ」

「えっ? どうしてなのかな?」

「みんな、なんだかんだと今の生活に慣れてしまっているからじゃないのかい?」

「変だよね? ポーションは足りてないし、ピアンタよりも高いのにね?」

「そんなもんだと思えば、それなりに生活していけるもんさ。ぜんぜんポーションがないわけではないからね。人族は寿命が短いから、いろいろやりたいことも多い。ドワーフ族はからだがもともと丈夫だからね。エルフ族は長生きで森の民なんだ、自分たちなりの知恵をしっかり持っているんだよ」

「へぇ~」

「みんな不満を言いながらもそう変化のない今が、一番楽なんじゃないのかい? それにしばらく人族の王様だったから、これまではそれで良かったんだよ。そんなことより、おいしい食べ物やドレスに宝石。そんなモノに夢中だったさ。あの人たちはね……」

「そうか、ブレンダはずっと王妃様たちの護衛をしていたんだ……」

「そうさ、いまの王様になってこれでもだいぶ世の中が良くなったんだよ」

「じゃあ、これからもっと良くなるね! 次の王様は、ライでしょ? 毎日頑張って仕事してるし」

「ああ、そうなってほしいよ」

 そんな話をしながら薬草を集めて、親方のところへ向かう。


「親方~!! ケルスさん! 久しぶり! おはようございま~す!」

「おう! パール、えっとなんだ……」

「ブレンダさんですよ! おはようございます!」

「おお、ブレンダ! おはよう」

「おはようございます。親方、ケルス」

「ベビーベッドをもらいにきたんだーぁ! いまね、テオがかわいいよ~ぉ!!」

「おお、そうか! 奥の部屋に置いてある。こっちだ!」

 親方についていく、これは……

「親方、ケルスさん!? これがわたしのベビーベッド?! すごすぎるんだけど……」

「そうだろー!! どうだ、気に入ったか?」

「気に入りすぎだよ! もう、最高! ここでわたしも一緒に寝れるよね?」

「ああ、そうだ! この中で一緒に遊んで寝れるようにしておいたぞ……はっはっはっ!」

 それは変わった形の大きなベッドだった。

「ベットが正方形だぁ!?」

 ベッドに柵がぐるっとついているんだけど、その柵の彫り物がまた最高!

 直角に二面ずつ模様が連なっていて、一つはいろいろな花がいっぱい咲いているように立体的に彫ってあって、思わず触ってしまう……

 アッ! 

 コップと同じ模様……カニハの花? 木? もある!
 女の子向きかな?
 ここの近くで寝たらお花畑にいるみたい……

 もう一つは、いろんな動物がこっちも立体的に彫られていて男の子向け?!
 コリブリも飛んでる!
 こっちで寝たら、森の中にいるようだよ!

「なんて、すごいの!? わたしがもう寝たいよ!」

「そうだろう、そうだろう。ここで、パールが赤ん坊と遊んでいるのを想像しながら作ったからな! おまえ好みのはずだ!」

「うん、うん! もう最高!! ベッドに上がるステップの左右はリョジンボクだよねっ。かわいい!!」

 ふっふふ!

「これは、ホントにすごいねぇ……さすが、細工師の巨匠カリンパニ氏の作品だよ……」

「ホントに……こんなすごいベビーベッドを作ってしまう親方を尊敬します! はやく追いつけるように頑張らないと……」

「はっ、はっ、は、は、は! ベッドのマットも特注で作ってもらったから、もうそのまま使えるぞ! どれも最高品質だ! パール! 持っていけっ!」

「うん! ありがとう! 親方! 最高だぁー!」

 そうなんだよ。

 親方には、前にテントの中のベッドをマットごと注文したことがあったし、テオのベビーベッドにもちゃんとマット、敷布団がついていて、それが赤ちゃんに最高の硬さでできていたからあのときもまさかラメールには敷布団の概念がないとは思わなかったんだよね……

 こういったところは、ピアンタのほうが上なのか?
 それとも親方の知り合いが、すごい人たちなのかわからないけど……

 すぐ腰のマジックバックにしまっておいた。

 それから小さなすずをだして親方に尋ねてみる。

「あのね親方? このすずが入るこれより少し大きくて、丈夫で柔らかい入れ物ってある?」

「んっ? 何に使うんだ? 詳しく言ってみろ?」

「えっと~、これを入れてテオのラトルを作ろうかと思って……」

「ラトルとは、なんだ?」

「そうか、まだこっちにもないの? これに似たモノを今度は布で作ろうと思ってるの」

 そう言ってから、木のラトルのもらっておいた予備を親方に二つ見せる。
 親方は、ほぉーっと言ってから、これに似たモノがエルフの村にもあると教えてくれた。

 エルフの村ってホントにあるんだ……
 そっちにおどろくよ!

「エルフの村では『シャブリ』と呼んでいたな。もう少し単純な形だが、赤ん坊に持たせる似たモノはあるな」

「そうなんだ。これはね、軽くするのがホントたいへんだったんだよ。赤ちゃんが持って舐めるから先が小さすぎたら口の中に全部入って危険でしょ? それに丈夫で安全じゃないとダメ。テオともこれで遊んだけど、やっぱり音がしたほうを向くから、今度は音付きで簡単な人形タイプのシャブリ? を自分で作ろうかなって思って……」

「それで、どうするんだ?」

 それからまた、紙とペンを出して説明する。

 しばらく説明したら、親方が店の奥から小さな重ねるタイプの蓋付きカゴを二つ持ってきた。

「どこまで小さくできるのか、試しに作っていたことがあってな。柔らかい木の皮で作ってあるから押しても潰れにくいし丈夫だぞ。これでどうだ?」

 手のひらに二個乗せて細い木の皮で細かく編まれた小さなカゴを二つ渡してくれる。
 カゴの中に一つ、すずを入れて振ってみた。

 チロリン!  チロリン!

「いい感じ! いい音で鳴っているよ」

 うん。

 思った通りの響き方。

 かわいいすずの音色だな……

「パールさん、そのすずはどうしたんですか? メリッサのところと同じで少し変わった音色ですよね?」

「ふっふふ! いい音でしょ? メリッサのお祖父さんグレコマに教えてもらって作った、わたしの力作だよ」

 このチロリン! という音に決めるまですごく悩んで、やっと決めた音色だからね!

 決まるまでひとりでチロン! とかチリリン! とかいろいろ言ってたからブレンダが横で苦笑いしていた……

 もう一度振る。

 チロリン!

 あーーっ! いい音!!





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