悪役令嬢はGL展開を回避する為に婚約破棄を目指します!

鬼京雅

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二章・トサ王子との婚約破棄編

26話・トサ王国の王子がバクーフに到着しました

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 バクーフ国境でのバトルが終わり、私はトサ王国のトサ王子と出会った。

 道中でドラゴンの噂を聞きつけたトサ王子は、ゴブリンライダーのスピードを上げて三日後の到着の予定が今日到着していたの。そして、ガーゴイルに襲われてる動物を助けているとバクーフ国境兵士に見つかったようね。

 脳筋タイプなのかしら?

 赤い中わけの髪で、赤を基調とした服にショートマントをするトサ王子は、バクーフの街並みが珍しいのかキョロキョロしているわ。ゴブリンライダーは国の外で縄を繋いで待機させてるの。

「よそ見してないで歩くの。貴方はトサ王子でしょうけど、家臣もいない状況じゃ誰かが化けてる可能性も否定出来ないんだからね」

「さっき、トサ王国の王族のオンリーマジック・マジックストレート見ただろ? 肉体の力と魔法の魔力を融合させて大砲のように撃ち出す魔法。ピストル魔法じゃあの威力は出ないぜお嬢ちゃん」

「私は悪役令嬢のアヤカよ。死にたくなければ余計な事をせず真っ直ぐ歩きなさい」

「へいへい」

 男の王子は命令口調で話された事が無いから、命令すると意外と従ってくれる。男って面白いわ。

(それにこの私に見とれてるわね。私って意外とモテる?)

 と、思っていると溜息をついたトサ王子は言う。

「俺はお前のような魔法使いはあまり好きじゃねーんだよ。魔法使いは人を欺くからな」

「欺かれる方も悪いの。そもそも婚約しに来たのはバクーフ王の娘のスズカ姫でしょ?」

「そうだな。まぁ、姫と婚約したらそのスララも頂くぜ。俺は動物もモンスターも仲間と決めたら受け入れるからな。特にそのスライムはレアモノだろう?」

「スララはモノじゃないし。渡すつもりも無いわよ。光の魔力が多いだけで、スララは普通のスライムだし」

 スライムのスララは私の胸元で隠れているわ。突然羽が生えた変化で、ドラゴンの力を取り込んだ可能性もあるからね。光の魔力が強い事が影響してるのかな?

 そして、トサ王子はとんでもない事を言った。

「このバクーフに勇者がいるのは知ってるぞ。最近魔王軍の活動が活発になっていて、勇者はこのバクーフ王国にいるとされている」

「どこでそんな情報を? それに何故王子の貴女が勇者様を探してるのよ?」

「俺は婚約者を探してるけど、勇者も探しているんだよ。勇者は正しい存在だが、我がトサ国はモンスターも受け入れている。勇者の正義が世界の正義とは思わない事だ」

「わけがわからないわね。貴方は婚約だけが目的じゃないの? むしろ、勇者様探しに来たの?」

 私は王宮に辿り着く前にトサ王子の真意を知らないとならない。勇者様に敵意を持つ人間ならば、この私の敵でもあるから。その場合は、始末する事も考えないとならないわ……。

「モンスターを殺すくせに、モンスターと共存するの? おかしな国ねトサ王国は? だから勇者様にもおかしな国と思われるんじゃないの?」

「勇者や他国からモンスターと暮らしているという批判などは知らんよ。我々は仲間となったモンスターは仲間。ただそれだけだ」

「仲間か。その定義もよくわからないけど、王子が仲間と決めた存在が仲間で、敵と決めたら敵なのね。曖昧過ぎて反吐が出るわ。勇者様の正義は正しいと思うわよ」

「俺への侮辱行為はある程度は見逃せるが、仲間への侮辱行為は許さない。それを忘れるなよアヤカ」

 と、真面目な顔でトサ王子は言う。
 そもそも、クエストクラスの私に王子風情が勝てる道理は無いわ。

 勇者様の件はムカつくけど、骨があって面倒そうな男ね……と思った。勇者様への悪意は確かだけど、それなりの理由もあると考えて私はトサ王子をバクーフ王宮に連れて行った。





「やっぱりダメね。トサ王子が来るのは予定として三日後よ。だからバクーフ側も受け入れはしないそうだわ。魔法で化けてる可能性もあるから無理だそうよ」

 バクーフ王宮側の意見として、三日後まではトサ王子本人だろうと家臣もいない人間を王宮には入れられないとの返答だったわ。そのバクーフ側の意見にトサ王子も納得していた。

「確かに家臣もいない王子なんてあり得ないからな。ドラゴンに欲をかいた俺のミスだな。んじゃ、泊まる場所はあるのか?」

「私の家ね。そこで寝るしか無いわよ。監視も必要だし」

 嫌だけど、このトサ王子を私の家に泊めるしか方法は無いようだわ。迂闊に森で野宿されても困るし、街で泊まって女遊びをされても困る。

 ならば、クエストクラスの私が監視しつつ、三日後を待つしかないというのがバクーフの決定だわ。バクーフ騎士団として、私もその決定には従うの。

「とにかく、トサ王子は三日後まで私の家に泊まるの。いいわね? もし、私を襲う事があれば消し炭になる事を忘れないでね? 私は夜のお相手ではないから」

「ハッ、何言ってやがる。童貞の俺が女なんて抱くのは結婚してからだぜ」

 意外な事にトサ王子はまだ童貞だった。
 王子は第二次性徴期になれば、訓練された女と交わるトレーニングがある。ちゃんと女に興味があるかどうかも含めたトレーニングをするのが各国でも普通だと思ってたけど、トサ王国は違うようね。

「じゃあ行くわよ。ゴブリンライダーのエサは手配しておくから心配しないように」

「わーったよ。とにかくあったかい飯が出て、眠れる場所があればいいさ。三日後なんてすぐ来るだろ。とりあえず明日は森を探検しようぜ! ダンジョンも行こうぜ!」

「はぁ? やけに活発な王子ね。何かやりづらい王子だわ。でも見守っていて下さい勇者様」

 と、私は心の中で勇者様に祈る。
 家臣達がいない事もあり、バクーフ側としては私が監視者として預かる事になったわ。

 というわけで、トサ王子はアヤカハウスで寝泊まりする事になったの。童貞なら……襲われる心配無いかな?
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